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動力プレス機械構造規格
   第五章  安全プレス(第三十六条−第四十五条)

動力プレス機械構造規格 目次


(危険防止機能)
第三十六条 動力プレスで、スライドによる危険を防止するための機構を有するもの(以下「安全プレ
 ス」という。)は、次の各号のいずれかに該当する機能を有するものでなければならない。
 一 スライドの上型と下型との間隔が小さくなる方向への作動中(スライドが身体の一部に危険を及ぼ
  すおそれのない位置にあるときを除く。以下「スライドの閉じ行程の作動中」という。)に身体の一
  部が危険限界に入るおそれが生じないこと。
 二 スライドの閉じ行程の作動中にスライドを作動させるための操作部から離れた手が危険限界に達す
  るまでの間にスライドの作動を停止することができること。
 三 スライドの閉じ行程の作動中に身体の一部が危険限界に接近したときにスライドの作動を停止する
  ことができること。
2 行程の切替えスイッチ、操作の切替えスイッチ又は操作ステーションの切替えスイッチを備える安全
 プレスは、当該切替えスイッチが切り替えられたいかなる状態においても前項各号のいずれかに該当す
 る機能を有するものでなければならない。
3 安全プレスの構造は、第一項の機能が損なわれることがないよう、その構造を容易に変更できないも
 のでなければならない。

(インターロックガード式の安全プレス)
第三十七条 インターロックガード式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として前
 条第一項第一号の機能を利用する場合における当該安全プレスをいう。)は、寸動の場合を除き、次の
 各号に定めるところに適合するものでなければならない。
 一 ガードを閉じなければスライドが作動しない構造のものであること。
 二 スライドの閉じ行程の作動中(フリクションクラッチ式以外のクラッチを有する機械プレスにあっ
  ては、スライドの作動中)は、ガードを開くことができない構造のものであること。ただし、ガード
  を開けてから身体の一部が危険限界に達するまでの間にスライドの作動を停止することができるもの
  にあっては、この限りでない。

(両手操作式の安全プレス)
第三十八条 両手操作式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十六条第一
 項第二号の機能を利用する場合における当該安全プレスをいう。以下同じ。)は、次の各号に定めると
 ころに適合するものでなければならない。
 一 スライドを作動させるための操作部を操作する場合には、左右の操作の時間差が〇・五秒以内でな
  ければスライドが作動しない構造のものであること。
 二 スライドの閉じ行程の作動中にスライドを作動させるための操作部から手が離れたときはその都度、
  及び一行程ごとにスライドの作動が停止する構造のものであること。
 三 一行程ごとにスライドを作動させるための操作部から両手を離さなければ再起動操作をすることが
  できない構造のものであること。

(両手操作式の安全プレスのスライドを作動させるための操作部)
第三十九条 スライドを作動させるための操作部は、両手によらない操作を防止するための措置が講じ
 られているものでなければならない。

(両手操作式の安全プレスの安全距離)
第四十条 両手操作式の安全プレスのスライドを作動させるための操作部と危険限界との距離(以下この
 条において「安全距離」という。)は、スライドの閉じ行程の作動中の速度が最大となる位置で、次の
 式により計算して得た値以上の値でなければならない。
  D=1.6(Tl+Ts)
  (この式において、D、Tl及びTsは、それぞれ次の値を表すものとする。
   D 安全距離(単位 ミリメートル)
   Tl スライドを作動させるための操作部から手が離れた時から急停止機構が作動を開始する時まで
    の時間(単位 ミリセカンド)
   Ts 急停止機構が作動を開始した時からスライドが停止する時までの時間(単位 ミリセカンド))

(光線式の安全プレス)
第四十一条 光線式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十六条第一項第
 三号の機能を利用する場合における当該安全プレスをいい、第四十五条第一項の制御機能付き光線式の
 安全プレスを除く。以下同じ。)は、身体の一部が光線を遮断した場合に、当該光線を遮断したことを
 検出することができる機構(以下「検出機構」という。)を有し、かつ、検出機構が身体の一部が光線を
 遮断したことを検出した場合に、スライドの作動を停止することができる構造のものでなければならない。

(投光器及び受光器)
第四十二条 光線式の安全プレスの検出機構の投光器及び受光器は、次の各号に定めるところに適合す
 るものでなければならない。
 一 スライドの作動による危険を防止するために必要な長さにわたり有効に作動するものであること。
 二 投光器及び受光器の光軸の数は、二以上とし、かつ、前号の必要な長さの範囲内の任意の位置に遮
  光棒を置いたときに、検出機構が検出することができる当該遮光棒の最小直径(以下「連続遮光幅」
  という。)が五十ミリメートル以下であること。
 三 投光器は、投光器から照射される光線が、その対となる受光器以外の受光器又はその対となる反射
  器以外の反射器に到達しない構造のものであること。
 四 受光器は、その対となる投光器から照射される光線以外の光線に感応しない構造のものであること。
  ただし、感応した場合に、スライドの作動を停止させる構造のものにあっては、この限りでない。

(光線式の安全プレスの安全距離)
第四十三条 光線式の安全プレスに備える検出機構の光軸と危険限界との距離(以下この条において「安
 全距離」という。)は、スライドの閉じ行程の作動中の速度が最大となる位置で、次の式により計算し
 て得た値以上の値でなければならない。
 D=1.6(Tl+Ts)+C
  (この式において、D、Tl、Ts及びCは、それぞれ次の値を表すものとする。
  D 安全距離(単位 ミリメートル)
  Tl 手が光線を遮断した時から急停止機構が作動を開始する時までの時間(単位 ミリセカンド)
  Ts 急停止機構が作動を開始した時からスライドが停止する時までの時間(単位 ミリセカンド)
  C 次の表の上欄に掲げる連続遮光幅に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる追加距離)
連続遮光幅(ミリメートル) 追加距離(ミリメートル)
三〇以下
三〇を超え三五以下 二〇〇
三五を超え四五以下 三〇〇
四五を超え五〇以下 四〇〇
(安全囲い等)
第四十四条 光線式の安全プレスに備える検出機構の光軸とボルスターの前端との間に身体の一部が入
 り込む隙間がある場合は、当該隙間に安全囲い等を設けなければならない。

(制御機能付き光線式の安全プレス)
第四十五条 制御機能付き光線式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十
 六条第一項第三号の機能を利用する場合における安全プレスであって、検出機構を有し、かつ、身体の
 一部による光線の遮断の検出がなくなったときに、スライドを作動させる機能を有するものをいう。以
 下同じ。)は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
 一 検出機構が光線の遮断を検出した場合に、スライドの作動を停止することができる構造のものであ
  ること。
 二 ボルスター上面の高さが床面から七百五十ミリメートル以上であること。ただし、ボルスター上面
  から検出機構の下端までに安全囲い等を設け、当該下端の高さが床面から七百五十ミリメートル以上
  であるものを除く。
 三 ボルスターの奥行きが千ミリメートル以下であること。
 四 ストローク長さが六百ミリメートル以下であること。ただし、安全囲い等を設け、かつ、検出機構
  を設ける開口部の上端と下端との距離が六百ミリメートル以下であるものを除く。
 五 クランクプレス等にあっては、オーバーラン監視装置の設定の停止点が十五度以内であること。
2 制御機能付き光線式の安全プレスは、検出機構の検出範囲以外から身体の一部が危険限界に達するこ
 とができない構造のものでなければならない。
3 制御機能付き光線式の安全プレスのスライドを作動させるための機構は、スライドの不意の作動を防
 止することができるよう、次の各号に定める構造のものでなければならない。
 一 キースイッチにより制御機能付き光線式の安全プレスの危険防止機能を選択する構造のものである
  こと。
 二 当該機構を用いてスライドを作動させる前に、起動準備を行うための操作を行うことが必要な構造
  のものであること。
 三 三十秒以内に当該機構を用いてスライドを作動させなかった場合には、改めて前号の操作を行うこ
  とが必要な構造のものであること。
4 第四十一条から第四十三条までの規定は、制御機能付き光線式の安全プレスについて準用する。この
 場合において、第四十二条第二号中「五十ミリメートル」とあるのは「三十ミリメートル」と、第四十
 三条の表は、次のとおり読み替えるものとする。
連続遮光幅(ミリメートル) 追加距離(ミリメートル)
一四以下
一四を超え二〇以下 八〇
二〇を超え三〇以下 一三〇