労働安全衛生規則の一部を改正する省令

 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二十七条第一項第五十九条第三項及び第百十三条の
規定に基づき、労働安全衛生規則の一部を改正する省令を次のように定める。

  労働安全衛生規則の一部を改正する省令

第一条 労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)の一部を次のように改正する。
  目次中「第二節 飛来崩壊災害による危険の防止(第五百三十四条―第五百三十九条)」を
 「第二節 飛来崩壊災害による危険の防止(第五百三十四条―第五百三十九条)
  第三節 ロープ高所作業における危険の防止(第五百三十九条の二―第五百三十九条の九)」
 に改める。
  第二編第九章第二節の次に次の一節を加える。
     第三節 ロープ高所作業における危険の防止
   (ライフラインの設置)
 第五百三十九条の二 事業者は、高さが二メートル以上の箇所であつて作業床を設けることが困難なと
  ころにおいて、昇降器具(労働者自らの操作により上昇し、又は下降するための器具であつて、作業
  箇所の上方にある支持物にロープを緊結してつり下げ、当該ロープに労働者の身体を保持するための
  器具(以下この条及び次条において「身体保持器具」という。)を取り付けたものをいう。)を用いて、
  労働者が当該昇降器具により身体を保持しつつ行う作業(四十度未満の斜面における作業を除く。以
  下この節において「ロープ高所作業」という。)を行うときは、身体保持器具を取り付けたロープ(以
  下この節において「メインロープ」という。)以外のロープであつて、安全帯を取り付けるためのも
  の(以下この節において「ライフライン」という。)を設けなければならない。
   (メインロープ等の強度等)
 第五百三十九条の三 事業者は、メインロープ、ライフライン、これらを支持物に緊結するための緊結
  具、身体保持器具及びこれをメインロープに取り付けるための接続器具(第五百三十九条の五第二項
  第四号及び第五百三十九条の九において「メインロープ等」という。)については、十分な強度を有
  するものであつて、著しい損傷、摩耗、変形又は腐食がないものを使用しなければならない。
 2 前項に定めるもののほか、メインロープ、ライフライン及び身体保持器具については、次に定める
  措置を講じなければならない。
  一 メインロープ及びライフラインは、作業箇所の上方にある堅固な支持物(以下この節において
   「支持物」という。)に緊結すること。この場合において、メインロープ及びライフラインは、そ
   れぞれ異なる支持物に、外れないように確実に緊結すること。
  二 メインロープ及びライフラインは、ロープ高所作業に従事する労働者が安全に昇降するため十分
   な長さのものとすること。
  三 突起物のある箇所その他の接触することによりメインロープ又はライフラインが切断するおそれ
   のある箇所(次条第四号及び第五百三十九条の五第二項第六号において「切断のおそれのある箇所」
   という。)に覆いを設ける等これらの切断を防止するための措置(同号において「切断防止措置」と
   いう。)を講ずること。
  四 身体保持器具は、メインロープに接続器具(第一項の接続器具をいう。)を用いて確実に取り付け
   ること。
   (調査及び記録)
 第五百三十九条の四 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、墜落又は物体の落下による労働者の危
  険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について次の事項を調査し、その結果を記録し
  ておかなければならない。
  一 作業箇所及びその下方の状況
  二 メインロープ及びライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置及び状態並びにそれら
   の周囲の状況
  三 作業箇所及び前号の支持物に通ずる通路の状況
  四 切断のおそれのある箇所の有無並びにその位置及び状態
   (作業計画)
 第五百三十九条の五 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、あらかじめ、前条の規定による調査に
  より知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければなら
  ない。
 2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
  一 作業の方法及び順序
  二 作業に従事する労働者の人数
  三 メインロープ及びライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置
  四 使用するメインロープ等の種類及び強度
  五 使用するメインロープ及びライフラインの長さ
  六 切断のおそれのある箇所及び切断防止措置
  七 メインロープ及びライフラインを支持物に緊結する作業に従事する労働者の墜落による危険を防
   止するための措置
  八 物体の落下による労働者の危険を防止するための措置
  九 労働災害が発生した場合の応急の措置
 3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について関係労働者に周知させなけ
  ればならない。
   (作業指揮者)
 第五百三十九条の六 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者
  に前条第一項の作業計画に基づき作業の指揮を行わせるとともに、次の事項を行わせなければならな
  い。
  一 第五百三十九条の三第二項の措置が同項の規定に適合して講じられているかどうかについて点検
   すること。
  二 作業中、安全帯及び保護帽の使用状況を監視すること。
   (安全帯の使用)
 第五百三十九条の七 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、当該作業を行う労働者に安全帯を使用
  させなければならない。
 2 前項の安全帯は、ライフラインに取り付けなければならない。
 3 労働者は、第一項の場合において、安全帯の使用を命じられたときは、これを使用しなければなら
  ない。
   (保護帽の着用)
 第五百三十九条の八 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、物体の落下による労働者の危険を防止
  するため、労働者に保護帽を着用させなければならない。
 2 労働者は、前項の保護帽の着用を命じられたときは、これを着用しなければならない。
   (作業開始前点検)
 第五百三十九条の九 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、メイン
  ロープ等、安全帯及び保護帽の状態について点検し、異常を認めたときは、直ちに、補修し、又は取
  り替えなければならない。
第二条 労働安全衛生規則の一部を次のように改正する。
  第三十六条に次の一号を加える。
  四十 高さが二メートル以上の箇所であつて作業床を設けることが困難なところにおいて、昇降器具
   (労働者自らの操作により上昇し、又は下降するための器具であつて、作業箇所の上方にある支持
   物にロープを緊結してつり下げ、当該ロープに労働者の身体を保持するための器具(第五百三十九
   条の二及び第五百三十九条の三において「身体保持器具」という。)を取り付けたものをいう。)を
   用いて、労働者が当該昇降器具により身体を保持しつつ行う作業(四十度未満の斜面における作業
   を除く。以下「ロープ高所作業」という。)に係る業務
  第三十九条中「及び第三十九号」を「、第三十九号及び第四十号」に改める。
  第五百三十九条の二中「高さが二メートル以上の箇所であつて作業床を設けることが困難なところに
 おいて、昇降器具(労働者自らの操作により上昇し、又は下降するための器具であつて、作業箇所の上
 方にある支持物にロープを緊結してつり下げ、当該ロープに労働者の身体を保持するための器具(以下
 この条及び次条において「身体保持器具」という。)を取り付けたものをいう。)を用いて、労働者が当
 該昇降器具により身体を保持しつつ行う作業(四十度未満の斜面における作業を除く。以下この節にお
 いて「ロープ高所作業」という。)」を「ロープ高所作業」に改める。

   附 則
  (施行期日)
第一条 この省令は、平成二十八年一月一日から施行する。ただし、第二条の規定は、平成二十八年七月
 一日から施行する。
  (経過措置)
第二条 第一条の規定による改正後の労働安全衛生規則(以下この条において「新安衛則」という。)第五
 百三十九条の二に規定するロープ高所作業のうち、ビルクリーニングの業務に係る作業又はのり面にお
 ける石張り、芝張り、モルタルの吹付け等ののり面を保護するための工事に係る作業以外の作業につい
 ては、次の措置を講じたときは、当分の間、同条及び第五百三十九条の三第二項第一号の規定は、適用
 しない。
 一 新安衛則第五百三十九条の二に規定するメインロープ(次号において「メインロープ」という。)を
  作業箇所の上方にある異なる二以上の堅固な支持物に、外れないように確実に緊結すること。
 二 突起物のある箇所その他の接触することによりメインロープが切断するおそれのある箇所とメイン
  ロープとの接触を避ける措置を講ずること。ただし、当該措置を講ずることが作業の性質上困難な場
  合において、前号の支持物の他に当該箇所の下方にある堅固な支持物にメインロープを緊結させたと
  きは、この限りでない。
2 前項の場合における新安衛則第五百三十九条の三から第五百三十九条の七までの規定の適用について
 は、新安衛則第五百三十九条の三第一項中「ライフライン、これらを」とあるのは「これを」と、同条
 第二項中「、ライフライン及び」とあるのは「及び」と、「次に」とあるのは「第二号から第四号まで
 に」と、同項第二号中「メインロープ及びライフライン」とあるのは「メインロープ」と、同項第三号
 中「メインロープ又はライフライン」とあり、及び「これら」とあるのは「メインロープ」と、新安衛
 則第五百三十九条の四第二号中「メインロープ及びライフライン」とあるのは「メインロープ」と、
 「それぞれの支持物」とあるのは「堅固な支持物(次条第二項第三号及び第七号において「支持物」と
 いう。)」と、新安衛則第五百三十九条の五第二項第三号中「メインロープ及びライフライン」とある
 のは「メインロープ」と、「それぞれの支持物」とあるのは「支持物」と、同項第五号及び第七号中
 「メインロープ及びライフライン」とあるのは「メインロープ」と、新安衛則第五百三十九条の六第一
 号中「第五百三十九条の三第二項」とあるのは「第五百三十九条の三第二項第二号から第四号まで及び
 労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成二十七年厚生労働省令第百二十九号)附則第二条第一項」
 と、「同項」とあるのは「これら」と、新安衛則第五百三十九条の七第二項中「ライフライン」とある
 のは「メインロープ」とする。
  (厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術
 の利用に関する省令の一部改正)
第三条 厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の
 技術の利用に関する省令(平成十七年厚生労働省令第四十四号)の一部を次のように改正する。
  別表第一の表一労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)の項中
「第三百九十九条の規定による記録の保存」を

「第三百九十九条の規定による記録の保存
 第五百三十九条の四の規定による記録の保存」に改める。

 別表第二の表労働安全衛生規則の項中
「第三百九十九条の規定による記録」を

「第三百九十九条の規定による記録
 第五百三十九条の四の規定による記録」に改める。