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キーパンチャーの作業管理について

改正履歴

  標記の件については、昭和38年2月8日基発第112号をもって、I・B・Mユーザー協議会及びユニバ
ック研究会の「キーパンチャーの作業管理に関する自主調整基準」に基づいて、関係事業場に対する指導
援助をすすめてきたところであるが、その後、これが基準について再検討の必要が認められたので、本年
3月13日中央労働基準審議会に諮問して以来、同審議会において慎重審議がなされてきたが、9月15日、
同審議会から別添のとおり労働大臣に対し答申がなされた。
  よって、今後において、同答申に基づきキーパンチャーの障害発生の防止について指導を行なうことと
されたいが、同答申中の「キーパンチャーの作業管理に関する労働衛生分科会報告」の前文にうたわれて
いるとおり、キーパンチャー問題の特殊性にかんがみ、とくに下記に留意してこれが運用に当られたい。
  なお、前記昭和38年2月8日基発第112号通ちょうは、廃止する。

記
1  キーパンチャーの健康障害等の問題発生の原因は、必ずしも穿孔作業時間、作業環境等の作業条件の
  みに起因するものではなく、広く労務管理その他に関係する複雑な面を有しているものであること。
2  報告内容の各基準については、現段階における医学的、心理学的知見を総合勘案して作成されたもの
  であるので各企業における作業管理の実態から、直ちに、全面的にこれにより難い場合も考えられる。
    したがって、当面、つぎのごとき諸点については実態に即して運用されることも、キーパンチャーの
  障害発生に留意しつつ行なわれる限りやむを得ないものと認められること。
  イ  穿孔作業時間1日300分以内については、たとえば期末決算期等とくに繁忙な時期における取扱
  ロ  穿孔作業時間内には、穿孔作業に直接関係ある付帯作業を含めることとされているが、その内容に
    ついては、各企業により使用機種、作業方法、作業管理方式(スーパー・バイザー数の多少等)等に
    相違があるので、その場合の運用
  ハ  平均生産タッチ数におけるかっこ内の算出方法

別添

昭和39年9月15日

労働大臣臨時代理
国務大臣  神  田  博  殿

中央労働基準審議会            
会長  石  井  照  久

キーパンチャーの作業管理について(答申)

  標記の件については、本年3月13日の本審議会において、その審議を労働衛生部会に付記し、以来、下
記のとおり労働衛生部会(労働災害防止部会労働衛生分科会)及びキーパンチャーの作業管理に関する専
門分科会において、それぞれ慎重に検討してきたが、9月11日開催の労働災害防止部会労働衛生分科会か
ら、全会一致をもって結論をえた別紙「キーパンチャーの作業管理」に関する報告をうけた。
  本審議会は、これについて慎重に検討した結果、同報告を適当であると認め、この旨答申する。
記
昭和39年3月13日  中央労働基準審議会開催
          3月30日  労働衛生部会開催
          4月18日  第一回専門分科会開催
          5月 9日  第二回専門分科会開催
          6月 9日  第三回専門分科会開催
          6月27日  第四回専門分科会開催
          7月 8日  労働衛生部会開催
          8月19日  労働衛生分科会(労働衛生部会を改組)開催
          9月11日  労働衛生分科会開催
          9月 15日  労働災害防止部会開催
                     中央労働基準審議会開催
キーパンチャーの作業管理に関する労働衛生分科会報告
  昭和39年7月8日、労働衛生部会「キーパンチャー作業管理分科会」からキーパンチャーの作業管理
について、別紙のとおりの報告をうけたが、同報告は、専門家により現段階における医学的、心理学的知
見を総合して作成されたものであるので、報告内容自体についてその趣旨を尊重することについては、と
くに異論がなかった。
  しかしながら、同報告の前文にもうたわれているとおり、いわゆるキーパンチャーの障害については、
その原因は複雑であり、必ずしも穿孔作業時間、作業環境等の作業条件のみによるものでなく、かつ、新
しい分野の問題でもあるので、当分科会としては、関係労使の意見を聴取する等慎重に検討した。
  その結果、同報告の内容の運用については、障害の発生の防止に留意しつつ、企業の実情に即した運用
をはかるべきであるとの結論に達した。

キーパンチャーの作業管理に関する報告

  キーパンチ作業に従事する者に、手指や上肢伸筋群、上肢関節部等の痛みや、神経的、感覚的な何らか
の訴えをするものが相当多数に及んでおり、その一部は、手指筋群又は手指関節部等の腱炎、腱周囲炎あ
るいは作業時に作業に支障をきたすような手指の振せん、書痙等に発展する可能性がある。
  これらについては、直接的には穿孔作業条件・環境等がその原因となるべきものと思われるが、神経的、
感覚的訴えについては、必ずしもこれらのみに起因するものとはいえない複雑な面を有している。
  本報告は、これらの問題の発生を最小限にとどめることを目標として作業条件・環境等に関し、現段階
における医学的、心理学的な知見を総合的に勘案して作成したものである。
キーパンチャーの作業管理について
1  穿孔作業管理
  (1)  穿孔作業時間
        穿孔作業時間は、1日300分以内とすること。
    (注)  この報告で穿孔とは、検孔を含めた意味で用いている。
        穿孔作業時間とは、当該事業場においてあらかじめ穿孔機の操作及びこれに付帯する作業に従事
      すべき時間として定めた時間をいう。
  (2)  一連続穿孔作業時間
        一連続穿孔作業時間は、60分をこえないようにすること。
  (3)  休憩時間
        作業間に10〜15分の休憩を同一室内で、作業する者に一せいに与えるようにすること。
  (4)  平均生産タッチ数
        実穿孔作業従事者の1人1日当りの平均生産タッチ数(月間完成カードより逆算した穿孔の総数
      をその期間中の実際に穿孔作業に従事した者の延人員で除したもの)は、40,000をこえないよう
      に作業を調整することが望ましいこと。
        なお、各人の作業量及び毎日の作業量は、できるだけ平均化すること。
2  作業環境等の管理
  (1)  騒音
        騒音は、作業者の耳の位置において、75フォン以下とすることが望ましいこと。
  (2)  照明
        原票の位置の照度は、400ルクス以上とすること。
        また、照明採光は、できるだけ明暗の差が少なく、しかもまぶしさを起させないような方法によ
      ること。
  (3)  室温
        室温は、冬期18度℃を下らないように管理すること。
  (4)  作業室の広さ
        穿孔機一台当り4平方メートル以上とすることが望ましいこと。
  (5)  休憩施設
        休憩の施設を設ける場合には、できるだけ作業室に近接した位置に設けるようにすること。
  (6)  作業姿勢等
        椅子、作業台及び原票の読取りの難易等について人間工学的な見地より十分の考慮を払うこと。
        特に、適正な姿勢の保持に留意すること。
3  健康診断
  (1)  配置前の健康診断
        キーパンチャーについては、配置前に性向検査、上肢、せき柱の形態及び機能検査、指機能検査、
      視機能検査、聴力検査等を行なう必要があること。
  (2)  定期の健康診断
        定期の健康診断の際には、配置前の検査の結果の推移を観察することが必要であること。