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造船業における労働災害防止対策の徹底について

改正履歴


  労働安全衛生法が施行されて満2年を経過し、この間、貴会におかれても労働災害防止について努力さ
れ、かなりの成果を見つつあったが、本年の後半に至り、別添の通り重大災害が続発していることは、誠
に遺憾に耐えないところである。
  労働省としては、造船業における労働災害の防止を行政の最重点として推進しているところであり、特
に、構内下請事業を含めて総合的安全衛生管理の徹底については、かねてから、貴会に対しても強く要請
しているところであるが、最近の重大災害においては、依然として下請事業の労働者が多数被害を受けて
いる実情にある。
  よって、この際、同種災害の絶滅をはかるため、下記の事項についてさらに徹底されるよう会員事業場
に対し所要の措置を講じられるよう要望する。
  なお、本要望に基づく措置の実施状況について報告されるようお願いする。

記
1.工程計画策定の段階において、安全面に対する配慮を十分に行うこと。
    新造船、修繕船等に係る工程計画策定の時点において予定される作業内容についての安全面に対する
  配慮が十分でない点が見られるので、工程計画策定の初期段階において、個々の作業内容及び関連各種
  作業間における安全確保について十分検討し、工程計画に基づく各工事の進捗過程ごとに、安全上の配
  慮事項を明確にしておくように努めること。
    この場合、下請事業への工事発注にあたっては、工期、作業計画等について、事前に安全確保の観点
  から十分に検討する必要があるが、このことについては、昭和46年8月13日基発第580号により貴会あ
  て要望したとおりである。
2.工事施行の段階においては、設備管理及び作業管理を厳正に行い、特に溶接等の火気使用作業及び運
  搬作業に係る安全基準の徹底を期すること。
    造船業においては、極めて多種類の作業が親企業と下請事業との有機的かつ一体的な関連のもとに行
  われるため、設備の点検及び安全保持並びに安全作業基準の励行が厳しく要求されるが、これらの点に
  ついて十分でない向きが見られるので、設備に対する点検体制について再検討するとともに、親企業及
  び下請事業の作業者に対する安全衛生教育の強化、安全作業の徹底並びに第一線監督者による作業指導
  の確立をはかること。
    特に、最近、溶接等の火気使用作業及びクレーン等による重大災害が多発していることにかんがみ、
  これらの作業について、以上の諸点を徹底すること。
3.修繕船に係る作業においては、当初予定されなかった不測の事態の発生や工程の推移に伴って生ずる
  危険に、直ちに、対応できるよう次の措置を励行すること。
  (1)  修繕作業においては、船主側との事前打合せの時点において、災害発生の潜在危険に関係する問
    題点の有無について解明しておくこと。
  (2)  特に、タンカー等の入渠に際しては、積荷の状況、タンク、配管内等の危険物残存の有無、洗浄
    の程度等について船主側と十分に協議し作業実施場所の状態に適応した防護措置と作業方法の採用、
    事故時の退避等が可能なように事前検討を行うこと。
  (3)  作業の実施にあたっては、親企業における工事担当部門と安全衛生管理担当部門とが互いに密接
    な連絡を保ちつつ、異常事態又は事故の発生時における災害危険性のは握及び評価を行い、それに基
    づき作業予定の変更又は作業中止等の措置を的確かつじん速に行うこと。
4.下請事業に対する統括安全衛生管理をさらに徹底すること。
    下請事業の労働者が行う作業についての監督指導の徹底については、昭和46年8月13日基発第580号
  により貴会あて要望したとおりであるがさらに、工程の進捗段階毎に、工事担当部門及び安全衛生管理
  担当部門が協力し、適切な安全作業方法を具体的に定め、下請事業において労働安全衛生法に違反しな
  いように監督指導と適切な指示を行うとともに、特定元方事業者としての統括安全衛生管理を的確に実
  施すること。
    造船業においては、一般に同一場所において指揮系列の異なる多種類の作業が併行して実施されるこ
  とが多いが、この場合には、これらの作業を含めて、統括的な安全衛生管理が行われるよう体制を確立
  すること。