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石油コンビナート等災害防止法の施行について

改正履歴
		
  昨年12月、石油化学コンビナート等災害防止法(昭和50年12月17日法律第84号(以下「コンビナート法」)
という。)が制定され、本年6月1日(附則中消防法の一部改正に係る部分については、6月16日)から
施行された。
  コンビナート法の概要は別紙のとおりであるが、石油コンビナートにおける災害防止対策は、労働災害
の防止対策と密接な関連を有することにかんがみ、関係行政機関との連携を図りつつ、特に下記の点に留
意して、石油コンビナートにおける災害防止に万全を期されたい。

記
1.都道府県労働基準局が、特定地方行政機関になったこと。これについては、次の点に留意すること。
  (1)  特別防災区域が所在する都道府県に、石油コンビナート等防災本部を組織する場合、都道府県労
      働基準局長又はその指名する職員はその本部員となること。(コンビナート法第27条及び第28条第
      5項関係)
  (2)  都道府県知事は、都道府県労働基準局の職員のうち、専門の事項を調査させるための専門員を任
      命することができること。(コンビナート法第28条6項及び同条第7項関係)
  (3)  特定事業所における出火、石油の漏えいその他の異常な現象の発生があった場合は、市町村長又
      は消防署長から石油コンビナート等法防災本部に対して、その旨の通報がなされること。(コンビ
      ナート法第23条第2項関係)
  (4)  管内の特別防災区域の中で発生した災害(火事、爆発、石油等の漏えい若しくは流出その他の事
      故又は地震、津波その他の異常な自然現象により生ずる被害)の状況及び実施した措置の概要につ
      いては、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、石油コンビナート等防災本部に遂次
      報告すること。(コンビナート法第26条関係)
  (5)  石油コンビナート等防災計画において、特別防災区域に係る防災に関し、都道府県労働基準局の
      処理すべき事務又は業務の大綱、都道府県労働基準局の防災に関する組織の整備及び防災に関する
      事務又は業務に従事する職員の配置等に関すること等の事項が定められること。(コンビナート法
      第31条第2項関係)
2.第一種事業所に係る労働安全衛生法第88条に基づく計画の届出については、別途通達昭和51年8月18
  日基発第591号「化学工業等における爆発火災等の防止のための監督指導について」によること。
3.自衛防災組織を統括する防災管理者は労働安全衛生法第10条に規定する総括安全衛生管理者を兼ねる
  ことができるものであること。(コンビナート法第17条関係)
4.自衛防災組織は、総括安全衛生管理者の職務の遂行に協力しなければならないこと。(コンビナート
  法第16条関係)
5.コンビナート法の附則により消防法の一部が改正され地下タンク貯蔵所等が定期点検の対象となった
  が、これが労働安全衛生法の定期自主検査と重複する場合は、その限りにおいて、労働安全衛生法の定
  期自主検査を省略できること。(消防法第14条の3の2関係)

(別紙)

石油コンビナート等災害防止法の概要

1.目  的
    消防法、高圧ガス取締法、災害対策基本法その他災害の防止に関する法律と相まって、石油コンビナ
  ート等特別防災区域に係る災害の発生及び拡大の防止のための総合的な施策の推進を図り、もって石油
  コンビナート等特別防災区域に係る災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする。
2.新設等の届出、指示等
    第一種事業所(注1)(特別防災区域内(注2)にあって、石油又は高圧ガスを大量に貯蔵し、又は取り
  扱う事業所)の新設・変更をしようとする者は、その計画を主務大臣(自治大臣及び通商産業大臣)に届
  け出なければならないこととし、主務大臣はその内容が災害の発生の場合の拡大防止に支障を生ずるお
  それがあると認められるときは、関係行政機関(注3)と協議の上、その計画の変更又は廃止を指示する
  ことができる。
3.特定事業者に係る災害予防
    特定事業者(注4)(特定事業所(第一種事業所又は第二種事業所)(注5)を設置する事業者)は、次
  のような災害予防を行わなければならない。
  [1]  特定防災施設等(流出油等防止堤、消火用屋外給水設備及び非常通報設備)の設置及び維持並び
      にこれらについての定期点検、記録の作成及び保存
  [2]  自衛防災組織の設置及び防災要員の選任
  [3]  防災管理者の選任(第一種事業所にあっては、副防災管理者も必要)
  [4]  自衛防災組織が行うべき事項についての防災規程の作成
  [5]  石油コンビナート等特別防災区域協議会の設置(努力規定)
4.災害に関する応急措置
    出火、石油等の漏えいその他の異常な現象の発生の場合には、特定事業所(第一種事業所又は第二種
  事業所)を統括管理する者は、消防署等への通報を行わなければならない。
    特定事業所は、自衛防災組織等に必要な措置を行せわなければならない。
    特定地方行政機関(注6)の長その他特別防災区域に係る災害の発生又は拡大の防止に関し責任を有す
  る者は、発生した災害の状況等につき、石油コンビナート等防災本部に遂次報告しなければならない。
5.防災に関する組織及び計画
  (1)  特別防災区域が所在する都道府県に、石油コンビナート等防災本部(以下「防災本部」という。)
      を置き、石油コンビナート等防災計画の作成等を行わせる。
  (2)  防災本部の本部長は都道府県知事をもって充て、本部員は、特定地方行政機関の長、市町村長等
      をもって充てる。
  (3)  特別防災区域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがあるときは、石油コンビナート等現地
      災害本部を設置することができる。
  (4)  一の特別防災区域が二以上の都府県にわたって所在する場合は、防災本部の協議会を設置するこ
      ととしている。
  (5)  防災本部及びその協議会は、石油コンビナート等防災計画を作成することとされ、その計画は特
      別防災区域に係る防災に関して関係機関等の処理すべき事務又は業務の大綱等の事項を定めること
      としている。
6.緑地等の設置
    地方公共団体の長は、防災のための緩衝地帯として緑地等を設置しようとするときは、緑地等の設置
  に関する計画を作成し、主務大臣(建設大臣)の承認をうけなければならないこととし、その費用の3
  分の1は、その防災区域に所在する第一種事業者に負担させることができることとしている。
7.一定の設備についての定期点検
    コンビナート法の附則により消防法の一部が改正され、事業者は次の設備について、一年以内ごとに
  一回定期点検を行わなければならないこととなった。
  (1)  危険物を取り扱うタンクで地下にあるもの(地下タンク)を有する製造所
  (2)  地下タンク貯蔵所
  (3)  移動タンク貯蔵所
  (4)  地下タンクを有する給油取扱所
  (5)  地下タンクを有する一般取扱所
  (注1)  特別防災区域に所在する事業所であって、石油の基準貯蔵・取扱量が1万k以上の事業所、高
        圧ガスの基準処理量が200万m3以上の事業所又は石油・高圧ガスのそれぞれを基準量で除して
        得た値の合計が1以上となる事業所をいう。
          例えば、石油貯蔵量が6,000k、高圧ガスの処理量が80万m3の事業所は、
6,000kl 80万m3
=0.6+0.4=1.0
10,000kl 200万m3
となり、
          したがって、第一種事業所となる。
  (注2)  石油の基準貯蔵・取扱量が10万k以上、高圧ガスの基準総処理量が2,000万m3以上又は石油、
        高圧ガスのそれぞれを基準量で除して得た値の合計が1以上となる区域をいう(具体的な区域に
        ついては別添1のとおり。)
          例えば、石油貯蔵量5万k、高圧ガスの処理量が1,000万m3の区域は、
5万kl
1,000万m3
=0.5+0.5=1.0
10万kl 2,000万m3
となり、
          したがって、特別防災区域となる。
  (注3)  第一種事業所の設置、変更に当たって、主務大臣から協議を受ける行政機関であって、労働省、
        警察庁、環境庁、厚生省、農林省、運輸省及び建設省がこれに当たる。
  (注4)  第一種事業所を設置している事業者及び第二種事業所を設置している事業者をいう。
  (注5)  特別防災区域に所在する事業所のうち第一種事業所以外の事業所であって、石油、高圧ガス等
        を一定量以上取り扱い、貯蔵し又は処理する事業所をいう。
  (注6)  都道府県労働基準局、管区警察局、北海道開発局、沖縄総合事務局、通商産業局、港湾建設局、
        管区海上保安本部及び地方建設局がこれに当たる。

(別  添)

石油コンビナート等特別防災区域

1.釧路地区(北海道)
2.苫小牧地区(北海道)
3.室蘭地区(北海道)
4.上磯地区(北海道)
5.青森地区(青森)
6.八戸地区(青森)
7.塩釜地区(宮城)
8.仙台地区(宮城)
9.男鹿地区(秋田)
10.秋田地区(秋田)
11.酒田地区(山形)
12.いわき地区(福島)
13.鹿島臨海地区(茨城)
14.京葉臨海北部地区(千葉)
15.京葉臨海中部地区(千葉)
16.京葉臨海南部地区(千葉)
17.豊洲地区(東京)
18.品川・大井地区(東京)
19.京浜臨海地区(神奈川)
20.根岸臨海地区(神奈川)
21.久里浜地区(神奈川)
22.新潟東港地区(新潟)
23.新潟西港地区(新潟)
24.直江津地区(新潟)
25.富山地区(富山)
26.新湊地区(富山)
27.伏木地区(富山)
28.婦中地区(富山)
29.金沢港北地区(石川)
30.三国地区(福井)
31.清水地区(静岡)
32.渥美地区(愛知)
33.蒲郡地区(愛知)
34.衣浦地区(愛知)
35.名古屋港臨海地区(愛知)
36.四日市港臨海地区(三重)
37.尾鷲地区(三重)
38.大阪北港地区(大阪)
39.堺泉北臨海地区(大阪)
40.岬地区(大阪)
41.尼崎地区(兵庫)
42.神戸地区(兵庫)
43.東播磨地区(兵庫)
44.姫路臨海地区(兵庫)
45.和歌山北部臨海北部地区(和歌山)
46.和歌山北部臨海中部地区(和歌山)
47.和歌山北部臨海南部地区(和歌山)
48.水島臨海地区(岡山)
49.福山地区(広島)
50.江田島地区(広島)
51.能美地区(広島)
52.岩国・大竹地区(広島・山口)
53.下松地区(山口)
54.徳山・新南陽地区(山口)
55.宇部地区(山口)
56.小野田地区(山口)
57.彦島地区(山口)
58.阿南地区(徳島)
59.番の州地区(香川)
60.新居浜地区(愛媛)
61.上浦地区(愛媛)
62.菊間地区(愛媛)
63.松山地区(愛媛)
64.苅田地区(福岡)
65.北九州地区(福岡)
66.福岡地区(福岡)
67.唐津地区(佐賀)
68.相浦地区(長崎)
69.長崎地区(長崎)
70.八代地区(熊本)
71.大分地区(大分)
72.喜入地区(鹿児島)
73.平安座地区(沖縄)
74.泊地区(沖縄)
75.小那覇地区(沖縄)