法令 安全衛生情報センター:ホームへ
ホーム > 法令・通達(検索) > 法令・通達

国有林野事業の実行に係る民間事業における労働安全衛生確保対策の推進について

改正履歴


  林業における労働災害の防止については、従来から林業事業者に対する監督指導の実施、行政指導の強
化等、その対策に努めてきたところであるが、なお労働災害の発生はあとをたたず、特にチェンソーの使
用による振動障害等の職業性疾病の発生が憂慮される現状にある。
  このような現状にかんがみ、国有林野事業を行う林野庁においては、今般、国有林野事業の実行に係る
民間事業における労働安全衛生の確保について当局と協議の上、別添のとおり営林局長あて通達し指導を
行うこととなった。
  ついては、貴職においても、この通達の趣旨を了知するとともに下記に留意の上、営林局又は営林署と
の密接な連携を保ち一体となって労働者の安全衛生の確保に努められたい。

記
1.営林署との連絡協議の場においては、営林署から請負契約の相手方、請負金額、請負期間、事業の行
  われる地区等についての情報を的確に得るとともに、労働基準監督署からは労働災害発生状況に関する
  情報提供、監督指導の重点事項に対する協力要請を行うなど、労働災害防止に必要な事項について十分
  に連絡協議を行うよう配慮すること。
    なお、営林署の管轄が2以上の労働基準監督署の管轄にまたがる場合には、関係労働基準監督署間の
  相互の連携を保ちつつ協議の場に参加すること。この場合において、関係労働基準局が話合いのうえ一
  の労働基準監督署を代表として定め、当該署が連絡協議に参加することとしても差し支えない。
2.次に掲げるものについては、原則として林野庁長官の通達記の5中の「労働安全衛生の確保に関して
  勧告指導を行ったにもかかわらず改善されていない者」として営林署に連絡すること。
  (1)  法違反について是正勧告を行ったにもかかわらず是正が不十分なもの、又はこれに関連する労働
      災害を発生させたもの
  (2)  労働災害防止のための指導事項(例えば、振動障害防止のための時間規制等)について再三指導
      を行ったにもかかわらず、措置を講じないもの

(別  添)

51林野業第262号  
昭和51年8月31日

営林局長殿
林野庁長官    

国有林野事業の実行に係る民間事業における労働安全衛生確保対策の推進について

  国有林野事業における素材生産若しくは造林事業を請負により行い又は国有林野事業から販売された立
木について素材生産を行う民間事業体における労働安全衛生の確保については、国有林野事業としても従
来から指導の強化に努めてきたところである。
  しかしながら、最近の民間事業における労働災害は依然としてかなりの発生をみており、特に振動障害
等職業病の発生の増大が憂慮される現状にあり、これら災害の防止が林業行政及び労働行政上の極めて重
要な課題となっているところである。
  このような現状にかんがみ、国有林野事業としても特に国有林野事業の実行に係る民間事業における労
働安全衛生の確保について、対策の一層の強化を図ることとし、その具体的な措置を下記のとおり定めた
ので、了知の上民間事業体に対する指導等の適切な実施に努められたい。
  なおこのことに関しては労働省労働基準局と協議済みであるので申し添える。
記
1.関係行政機関との連絡等の緊密化について
  (1)  労働安全衛生の確保について監督指導を行う労働基準監督機関との緊密な連携を図るため、営林
      署と関係労働基準監督署との間において連絡協議の場を設けるものとする。
  (2)  連絡協議の場においては、請負契約及び立木販売契約の相手方に関する情報を交換するとともに、
      これら民間事業の労働安全衛生の確保に関する対策等について検討するものとする。
  (3)  連絡協議は、原則として年度当初に行うほか必要に応じ適宜に行うものとする。
2.請負契約及び立木販売契約の締結に当たっての措置について
    請負契約及び立木販売契約の締結に際しては、印刷物の手交等の方法により契約の相手方に対して機
  械集材作業等に係る林業架線作業主任者の職務の励行、振動障害の防止のためのチェンソー使用の時間
  規制等労働安全衛生の確保に関する重要な法令又は指導による遵守事項の熟知徹底を図るものとする。
  特に立木販売契約に当たっては、買受人が素材生産を他の者に請負わせる場合にもこのことが十分に伝
  達徹底されるよう買受人に周知徹底を図るものとする。
3.請負契約における契約事項としての取扱いについて製品生産事業又は造林事業の請負契約に当たって
  は、当該請負契約書に「請負者は、事業の実行に当たっては、労働安全衛生に関する諸法令及び諸通達
  に示す指導事項を遵守しなければならない」旨の労働安全衛生管理に関する条項を明記するものとする。
4.契約事項に基づく労働安全衛生の確保について
    労働安全衛生に関する諸法令及び諸通達に基づく監督指導は、基本的には労働基準監督機関が行うこ
  ととなっているが、営林署においても労働基準監督署と連絡協調を緊密にし上記3の契約を締結した相
  手方に対する必要な指導を行うものとする。
5.契約の相手方の選定について
    製品生産事業及び造林業の請負契約並びに随意契約による立木販売契約の相手方の選定に当たっては、
  当該契約における選考の一般的考慮事項のほか、労働基準監督機関から、労働安全衛生の確保に関して
  勧告指導を行ったにもかかわらず改善されていないとの連絡があった者については、その連絡の内容を
  も勘案して契約の相手方としない等その選定を適切に行うものとする。
    なお、この趣旨についてあらかじめ契約締結の機会等に相手方に周知させ、その注意を喚起するもの
  とする。