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ビル管理業、清掃業等における自主的安全衛生活動の推進について

改正履歴


  最近の労働災害の発生状況をみると、製造業、建設業等において減少傾向にある中にあって、労災保険
給付統計の「その他の事業」に属する業種については年々増加しつつある。「その他の事業」に分類され
るものは、いわゆる「第三次産業」に属するものが多く、この第三次産業については近年、サービス経済
化の進行に伴い、その労働者数が増加していることもその労働災害の増加の要因ではあるが、多種多様な
業種、職種、作業形態等があるため、従来、効果的な行政指導が十分行われ得なかった面があること、中
小規模の事業場が多く、経済的基盤のぜい弱なものも少なくないこと、労働災害防止についての事業者の
関心が比較的薄いものが少なくないこと等の特徴があり、労働災害多発の要因になっているものと思われ
る。業種別には、卸売小売業、飲食業、清掃業(日本標準産業分類L894及びL895の廃棄物処理業をいう。
以下同じ。)、ビル管理業、ゴルフ場等で多くの割合を占めており、労働災害全体の減少をより着実なも
とするためには、これらの業種における労働災害の減少を図ることが特に必要とされる。
  そのため、今後、第三次産業における各業種毎の災害発生態様、災害要因の解明を図りつつ、逐次、具
体的な対策を講じていくものとするが、当面、清掃業及びビル管理業を中心に下記の対策の推進を図るこ
ととしたのでその運用に遺憾なきを期されたい。

記
1.モデル集団の育成等
  (1)  ビル管理業又は清掃業に属する企業等の団体を集団としてとらえ、各局一集団以上を指定のうえ、
      当該集団の自主的安全衛生活動を促進し、モデル集団として育成すること。
        この場合において、既存の団体を指定することは差し支えないこと。
  (2)  自主的安全衛生活動を促進するため、集団内に構成員企業等の経営首脳者等による安全衛生に関
      する協議組織等を設置させ、集団としての概ね3か年にわたる中期的な安全衛生活動基本計画を策
      定させるとともに、当該集団に対し、次の事項等の推進を図らせること。
    イ  災害事例研究
        構成員企業等で発生した労働災害について、災害要因の分析、対策等についての事例研究を行う
      こと。
    ロ  相互安全衛生診断
        構成員企業等による相互安全衛生診断パトロールを実施し、労働災害防止に関する問題点を明ら
      かにし、その対策の検討等を行うこと。
    ハ  安全衛生教育
        雇入時等教育、職長教育、危険有害業務従事者教育、安全推進員教育等のうち構成員企業に共通
      する安全衛生教育を共同で実施すること。
    ニ  定期検査、点検等
        各種機械設備等の定期検査、点検等について共同でチェックリストの作成等を行うとともに、必
      要に応じて適任者を選び、その者に構成員企業の行う定期検査、点検等について助言指導させる。
        また、必要に応じ定期検査、点検等に用いる検査機器の共同利用を行うこと。
    ホ  その他
        構成員企業が導入する機械設備等の安全性の検討、共通する作業に関するマニュアルの検討等を
      行うこと。
  (3)  モデル集団育成のため、各局は、関係行政機関等との連携をとりつつ、次の事項に関し、指導援
      助を行うこと。
    イ  経営者首脳者等に対する啓発
    ロ  安全衛生に関する資料、情報の提供
    ハ  安全衛生に関する改善計画の作成に関する指導及び必要に応じ職場環境改善資金の活用の勧奨
    ニ  専門的な指導者の育成及び労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント、安全管理士、衛
      生管理士等専門家の活用
2.安全衛生に関する指導の強化
    モデル集団の育成と併せ、労働災害が多い個別企業等に対し、次により安全衛生に関する指導を強化
  すること。
    この場合、これらの業種に対する監督指導が計画されている場合には、十分調整のうえ効率的に実施
  すること。
  (1)  清掃業
        清掃業については、昭和57年7月28日付け基発第499号通達「清掃事業における労働災害の防止
      について」に基づき、安全衛生対策の促進を図ること。特に、酸素欠乏症、硫化水素中毒対策につ
      いては、酸素欠乏危険場所の確実な把握を行わせること。また、集団指導等の機会に焼却炉の冷却
      装置の点検整備、ごみ収集自動車のごみ積込み作業等の適正化、ごみ処理の際の爆発又は破裂の防
      止について指導すること。
  (2)  ビル管理業
        ビル管理業については、次の事項等を重点に指導すること。
    イ  安全衛生管理体制の整備
        安全・衛生管理者、産業医、作業主任者の選任及び安全衛生委員会の設置等法定事項を履行させ
      るとともに、安全推進員及び労働衛生管理員を選任させ、安全衛生管理体制の機能が十分発揮でき
      るようにすること。
    ロ  安全衛生教育の実施
        新規雇入時又は作業転換時の安全衛生教育の徹底を図るとともに、作業の安全を確保するため、
      その後においても、必要な安全衛生教育を実施させること。
        また、ゴンドラの操作の業務等危険な業務に従事する労働者に対する特別教育及び職長に対する
      教育を実施させること。
    ハ  定期自主検査等の実施
        法第45条に規定する定期自主検査はもとより、昇降設備、清掃用機械、作業床等法令対象外の
      機械設備、用具、工具等についても定期に点検を実施させること。
    ニ  適正な作業方法の成立
        ゴンドラによる作業、電動床みがき機(フロアポリッシャー)による作業等労働災害の発生する
      危険性が高い作業について、安全作業手順を作成し、作業者にこれを周知徹底させること。