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有機溶剤中毒予防規則第29条及び鉛中毒予防規則第53条に規定する検査
のための血液又は尿の採取時期及び保存方法等並びに健康診断項目の省
略の要件について
改正履歴
  平成元年8月22日付け基発第462号「労働安全衛生規則の一部を改正する省令、有機溶剤中毒予防規則
の一部を改正する省令及び鉛中毒予防規則の一部を改正する省令等の施行について」における記の第3の
IIの1の(3)及び(4)並びに第3のIIIの1の(3)及び(4)により別途示すこととしていた、有機溶剤中毒予
防規則第29条及び鉛中毒予防規則第53条に規定する検査のための血液又は尿の採取時期及び保存方法等並
びに健康診断項目の省略の要件については、下記の通りであるので、これらの事項を参考とし、その適切
な運用が図られるよう関係者に周知されたい。

記
1  有機溶剤中毒予防規則別表(以下「有機則別表」という。)下欄に掲げる検査のための尿の採取時期
  及び保存方法等については、次に示すところによるものであること。
  (1)  尿の採取時期について
        尿の採取時期は、尿中の有機溶剤の代謝物の濃度が最も高値を示す時期とすべきものである。
        作業日が連続している場合においては、連続した作業日のうちで後半の作業日の当該作業終了時
      (注)に行うことが望ましいが、有機則別表中、尿中のメチル馬尿酸の量の検査、尿中のN−メチ
      ルホルムアミドの量の検査、尿中のマンデル酸の量の検査、尿中の馬尿酸の量の検査並びに尿中の
      2・5−ヘキサンジオンの量の検査のための尿の採取時期については、連続した作業日の最初の日
      を除いた、いずれの作業日の作業終了時でも差し支えないこと。
      (注)  「連続した作業日のうちで後半の作業日の当該作業終了時」とは、例えば、月曜日から金曜
          日まで連日ほぼ同一時間当該有機溶剤業務に従事している労働者の場合、木曜日又は金曜日の
          当該作業終了時をいうこと。
            また、「作業終了時」とは、例えば9時から17時まで当該有機溶剤業務に従事している労働
          者の場合、17時頃をいい、この場合の尿の採取方法は、15時前後に排尿した後、17時頃に尿を
          採取するものであること。
  (2)  尿の保存方法について
        採取した尿は、可及的速やかに検査することが望ましいものであること。
        尿の保存は、冷凍保存を原則とするが、冷蔵保存する場合は、特に尿の腐敗等による検査値への
      影響を考慮すべきものであること。
  (3)  その他
      イ  尿の排泄量が極端に多いか又は少ない尿を用いることは、検査結果に影響を与えるので、適切
        な水分摂取について指導することが必要であること。
      ロ  飲酒は、検査結果に影響を与えるので、尿の採取前日から採取までの間は飲酒を控えるよう、
        あらかじめ労働者に対しその旨指導することが必要であること。
      ハ  テトラクロルエチレン、1・1・1−トリクロルエタン、トリクロルエチレンに係る有機溶剤
        等に係る尿中代謝物の検査については、検査すべき尿中代謝物が同一であるので、これらの有機
        溶剤等を2以上使用している場合、有機溶剤の種類と作業環境気中濃度を考慮のうえ検査結果を
        評価することが必要であること。
      ニ  尿中の馬尿酸の量は、いちご、すもも等の果実摂取や安息香酸を含有する清涼飲料水等の摂取
        によっても変動することがあるので、検査の際には、これらの摂取状況を確認することが必要で
        あること。
          なお、摂取したことが明らかである場合には、別に適切な日を選んで実施することが望ましい
        ものであること。
      ホ  有機溶剤等健康診断結果報告書における分布の区分は、正常・異常の鑑別を目的としたもので
        はないこと。
2  有機溶剤中毒予防規則第29条第4項の規定に基づき、医師が必要でないと認め、尿中の有機溶剤の代
  謝物の量の検査の実施が省略できるときは、次に示す条件をすべて満たす場合とするが、この判断は産
  業医等の医師が当該作業現場の実態を十分に把握して、総合的に行うべきものであること。
    なお、省略可能とされた労働者がその実施を希望する場合は、その理由等を聴取した上で判断するこ
  と。
  (1) 尿中の馬尿酸の量の検査以外の検査について
    イ  前回の健康診断を起点とする連続過去3回の有機溶剤健康診断において、異常と思われる所見
    が認められないこと。
    ロ  「尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査」については、前回の当該検査を起点とする連続過去3
    回の検査の結果、明らかな増加傾向や急激な増減がないと判断されること。
   ハ  今回の当該健康診断において、別添の表1に掲げる自覚症状又は他覚症状のすべてについて、
    その有無を検査し、その結果、異常と思われる所見がないこと。
        ただし、これらの症状が、有機溶剤以外の要因によると判断される場合は、この限りでない。
    二  作業環境の状態及び作業の状態等が従前と変化がなく、かつその管理が適切に行われていると
    判断されること。
  (2) 尿中の馬尿酸の量の検査について
    上記(1)のイから二の条件をすべて満たす場合又は次に示す条件をすべて満たす場合のいずれ
    かとすること。
   イ 前回の健康診断を起点とする連続過去3回の有機溶剤健康診断において、異常と思われる所見
        が認められないこと。
   ロ 今回の当該健康診断において、別添の表1に掲げる自覚症状又は他覚症状のすべてについて、
    その有無を検査し、その結果、異常と思われる所見がないこと。
     ただし、これらの症状が、有機溶剤以外の要因によると判断される場合は、この限りではない。
   ハ 前回の作業環境測定を起点とする連続過去3回の作業環境測定の結果の評価がすべて第1管理
    区分であること。
   二 作業環境の状態及び作業の状態等が従前と変化がなく、かつその管理が適切に行われていると
    判断されること。
3  鉛中毒予防規則第53条第1項第4号及び第5号並びに第3項第3号に掲げる検査のための血液又は
  尿の採取の時期及び保存方法等については、次に示すところによるものであること。
  (1)  血液又は尿の採取時期について
        血液又は尿の採取時期は、当該作業に従事している期間であれば任意の時期で差し支えないこと。
  (2)  血液又は尿の保存方法について
      イ  血液中の鉛の量の検査のための血液の保存方法は、容器を密閉して冷蔵保存すること。
      ロ  尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査のため採取した尿は、可及的速やかに検査すること
        が望ましいものであること。
          尿の保存は、冷凍保存を原則とするが、冷蔵保存する場合は、特に尿の腐敗等による検査値へ
        の影響を考慮すべきものであること。
      ハ  赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査のための血液の保存方法は、暗所で保存することと
        し、その場合冷凍保存を原則とするが、冷蔵保存でもよいこと。
  (3)  その他
      イ  血液中の鉛の量の検査の際は、血液採取の器具や血液保存容器の材料である、硝子、ゴム、樹
        脂には鉛が含まれているものが多いので、これらの器具等からの鉛の溶出に注意すること。
      ロ  尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査の際は、尿の排泄量が極端に多いか又は少ない尿を
        用いることは、検査結果に影響を与えるので、適切な水分摂取について指導することが必要であ
        ること。
      ハ  鉛健康診断結果報告書における分布の区分は、正常・異常の鑑別を目的としたものではないこ
        と。
4  鉛中毒予防規則第53条第2項に規定する血液中の鉛の量の検査及び尿中のデルタアミノレブリン酸の
  量の検査の省略の要件は、次に示す条件をすべて満たす場合とするが、この判断は産業医等の医師が当
  該作業現場の実態を十分に把握して、総合的に行うべきものであること。
    なお、省略可能とされた労働者がその実施を希望する場合は、その理由等を聴取した上で判断するこ
  と。
  (1)  前回の健康診断を起点とする連続過去3回の鉛健康診断において、異常と思われる所見が認めら
      れないこと。
  (2)  「血液中の鉛の量の検査」並びに「尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査」については、前
      回の当該検査を起点とする連続過去3回の検査の結果、明らかな増加傾向や急激な増減がないと判
      断されること。
  (3)  今回の当該健康診断において、別添の表2に掲げる自覚症状又は他覚症状のすべてについて、そ
      の有無を検査し、その結果、異常と思われる所見がないこと。
        ただし、これらの症状が、鉛以外の要因によると判断される場合は、この限りでない。
  (4)  作業環境の状態、作業の状態等が従前と変化がなく、かつその管理が適切に行われていると判断
      されること。

別  添

表1

表2