法令 安全衛生情報センター:ホームへ
ホーム > 法令・通達(検索) > 法令・通達

安全衛生教育の推進について
改正履歴
  安全衛生教育については、労働災害防止対策の重点として、従前より種々の施策を講じてきたところで
あり、昭和59年には労働者の職業生活全般を通じ適時適切な安全衛生教育の推進を主眼とする「安全衛生
教育推進要綱」を定め、同要綱に基づいて各種の安全衛生教育の計画的な推進に努めてきたところである。
  しかしながら、最近においては、技術革新の急速な進展、高年齢労働者の増加、パートタイム労働者の
増加等にみられる就業形態の多様化、第三次産業の進展等社会経済情勢の変化に伴い労働災害の増加が懸
念されており、事業場においてこれらの変化に的確に対応しつつ、安全衛生水準の向上に資する適切かつ
有効な安全衛生教育を実施することが求められている。
  このため、こうした状況を踏まえ、新たに別紙の「安全衛生教育推進要綱」を定め、今後は本要綱に基
づいて必要な安全衛生教育の推進を図ることとしたので、事業者をはじめ安全衛生団体等に対しこの旨周
知するとともに、安全衛生団体等との連携を図り、これら教育の実施計画を策定し推進するための協議会
を設置する等地域の実情に応じた安全衛生教育の推進について指導・援助されたい。
  なお、本通達をもって、昭和59年2月16日付け基発第76号は廃止する。

別紙

                安全衛生教育推進要綱

1.趣旨・目的
    安全衛生教育(以下「教育」という。)は、労働者の就業に当たって必要な安全衛生に関する知識等
  を付与するために実施されるもので、機械設備の安全化、作業環境の快適化等の施策とあいまって労働
  災害の防止の実効を期す上で極めて重要な施策である。また、教育は、企業はもとより広く社会におけ
  る安全衛生意識の普及・定着を促すための貴重な機会であり、安全衛生に関係する様々な立場にある者
  に対してその機会を提供することにより、我が国の安全衛生水準の向上に大きく寄与するものと期待さ
  れる。
    このため、労働省では労働安全衛生法に基づく雇入時教育、作業内容変更時教育、特別教育、職長等
  教育、危険有害業務従事者に対する教育、安全衛生業務従事者に対する能力向上教育及び健康教育はも
  とより、労働災害の防止のために必要な教育については法定外のものであってもカリキュラム等を定め、
  安全衛生団体等を通じ実施の促進を図ってきたところである。
    しかしながら、近年における技術革新の進展、就業形態の多様化等労働環境を取り巻く情勢の変化、
  これに伴う労働災害の動向等は、教育の重要性を改めて認識させるとともにより適切かつ有効な教育の
  実施を求めている。
    本要綱は、以上のような状況を踏まえ、次のような基本的な立場に立って教育の今後の在り方、進め
  方を示すものである。
  (1)  各種の教育は、相関連して総合的な観点から実施されることが効果的であることから、法定及び
      法定外の教育全般について体系化を図る。
  (2)  労働者の生涯を通じた教育、経営首脳者・管理監督者・労働者等企業内における各層に対するそ
      れぞれの立場に応じた教育に留意する。
  (3)  機械設備の安全化を促進するための設計技術者等に対する教育及び事業場の安全衛生水準の向上
      のための技術面での指導援助を担当する安全衛生専門家の研修を充実する。
  (4)  教育の種類・内容等は、技術革新、労働者の高齢化、就業形態の多様化等近年の労働環境の変化
      に対応したものとする。
  (5)  教育内容の具体化、教材の整備、講師の養成、教育実施機関の育成等を通じ、教育水準の向上を
      図る。
  (6)  教育の促進のため、企業、安全衛生団体等に対する指導・援助を行なう。
2.教育の対象者
    教育の対象者は、作業者、管理監督者、経営首脳者、安全衛生専門家、技術者等とし、それぞれ次に
  掲げる者とする。
  (1)  作業者
    [1]  危険有害業務に従事する者
      イ  就業制限業務に従事する者
      ロ  特別教育を必要とする危険有害業務に従事する者
      ハ  その他の危険有害業務に従事する者
    [2]  [1]以外の業務に従事する者
  (2)  管理監督者
    [1]  安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者及び衛生推進者
    [2]  作業主任者、職長及び作業指揮者
    [3]  元方安全衛生管理者
    [4]  救護技術管理者
    [5]  計画参画者
  [6] 安全衛生責任者
  [7] 交通労働災害防止担当管理者
  (3)  経営首脳者
    [1]  事業者
    [2]  総括安全衛生管理者
    [3]  統括安全衛生責任者及び安全衛生責任者
  (4)  安全衛生専門家
    [1]  産業医
    [2]  労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント
    [3]  安全管理士及び衛生管理士
    [4]  作業環境測定士
    [5]  「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(昭和63年健康保持増進のための指針)
         に定める運動指導担当者、運動実践担当者、心理相談担当者、産業栄養指導担当者及び産業保
         健指導担当者
  (5)  技術者等
    [1]  特定自主検査に従事する者及び定期自主検査に従事する者等
    [2]  生産・施工部門の管理者及び技術者
    [3]  機械設備及び建設物の設計技術者等
  (6)  その他
    [1]  季節労働者
    [2]  海外派遣労働者
    [3]  就職予定者
    [4]  その他教育を必要とする者
3.教育の種類、実施時期及び内容
    事業者が実施しなければならない教育の種類は、労働安全衛生法に基づく雇入時教育、作業内容変更
  時教育、特別教育、職長等教育、危険有害業務従事者に対する教育、安全衛生業務従事者に対する能力
  向上教育及び健康教育である。また、これら法定教育以外の教育で事業者が実施すべきものは次のとお
  りとする。
  (1)  就業制限業務又は特別教育を必要とする危険有害業務に準ずる危険有害業務に初めて従事する者
      に対する特別教育に準じた教育
 (2) 就業制限業務又は特別教育を必要とする危険有害業務に従事する者に対する危険再認識教育
  (3)  一定年齢に達した労働者に対する高齢時教育
  (4)  職長等に対する能力向上教育に準じた教育
  (5)  作業指揮者に対する指名時の教育
 (6) 安全衛生責任者に対する選任時の教育
 (7) 交通労働災害防止担当管理者教育
  (8)  特定自主検査に従事する者に対する能力向上教育に準じた教育
  (9)  生産・施工部門の管理者、設計技術者等に対する技術者教育
  (10)  経営首脳者に対する安全衛生セミナー
  (11) 労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等の安全衛生専門家に対する実務向上研修
  (12) 季節労働者に対する教育
  (13) 海外派遣労働者に対する教育
  (14) 就業予定の実業高校生に対する教育
     なお、教育の対象者ごとに実施する教育の種類、実施時期及び内容は、具体的には、別表によるこ
   ととする。また、これらの教育の体系は、別図のとおりである。
4.教育の実施体制
    教育は、企業、安全衛生団体等及び国がそれぞれの立場で相互に連携して推進する。企業内の安全衛
  生関係者に対する教育については、企業が自ら又は安全衛生団体等に委託して実施する。安全衛生団体
  等は、安全衛生の専門的事項に関すること等企業が自ら実施することの困難な教育、労働安全コンサル
  タント、労働衛生コンサルタント等の安全衛生専門家に対する研修等を実施するほか、教育を担当する
  講師の養成、教材の整備等を図る。国は、必要に応じ教育のカリキュラムを策定するほか、教育を実施
  する企業及び安全衛生団体等に対して教育用資料の提供等の指導・援助を行う。
    また、企業及び安全衛生団体等は、教育の実施に当たっては、次により計画的な実施と教育内容等の
  充実を図る。
  (1)  実施計画等の作成
        教育の種類ごとに、対象者、実施日、実施場所、講師及び教材等を定めた年間の実施計画を作成
      する。企業においては、労働者の職業生活を通じての継続的な教育の実施等のため、中長期的な推
      進計画を作成することが望ましい。
  (2)  実施結果の保存等
        教育を実施した場合には、台帳等にその結果を記録し、保存する。また、安全衛生団体等が実施
      した場合には、修了者に修了証を交付する。
  (3)  実施責任者の選任
        実施計画の作成、実施、実施結果の記録・保存等教育に関する業務の実施責任者を選任する。
  (4)  教育内容の充実
        教育内容の充実のため、講師の養成・選定、教材の作成・選定等については次の点に留意する。
    イ  講師は、当該業務に関する知識・経験を有する者であることはもちろんのこと教育技法に関する
      知識・経験を有する者であることが望ましい。このため、安全衛生団体等は、指導者に対する研修
      等の実施により講師の養成を図る。
    ロ  教材は、カリキュラムの内容を十分満足したものであることはもちろんのこと労働災害事例等に
      即した具体的な内容とする。また、VTR、OHP等の視聴覚機材を有効に活用することが望まし
      い。
    ハ  教育技法は、講義方式のほか、教育の対象者、種類等に応じ、受講者が直接参加する方式、例え
      ば、事例研究、課題研究等の討議方式を採用する。
  (5)  安全衛生教育センターの活用
        国においては、教育水準の向上を図る観点から安全衛生教育センターを設置し、中央労働災害防
      止協会及び建設業労働災害防止協会に運営を委託しているところである。同センターにおいては、
      教育の講師となる人材の養成のための講座を開設しているので積極的な活用を図る。
5.教育の推進に当たって留意すべき事項
    教育の推進に当たっては、中小企業、第三次産業、高年齢労働者及び就業形態の多様化といった労働
  災害防止上の課題に適切に対応していくことが重要となっている。
    これらの課題に対しては、雇入時教育等の法定教育の実施を徹底することはもとより労働災害の発生
  等の実情に応じて次による教育の推進が肝要である。
  (1)  中小企業
        中小企業においては、教育の講師、教材等の問題から自ら教育を実施することの困難な事業場も
      みられるので、親企業等による指導・援助、安全衛生団体等の活用による教育実施の促進を図る。
      また、国が中小企業の援助措置として実施している「小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業」
   の積極的な活用を図る。
  (2)  第三次産業
        第三次産業においては、パートタイム労働者、派遣労働者の増加等多様な就業形態がみられると
      ともに、製造業等の第二次産業に比べ安全衛生管理体制の整備が遅れていること等から、雇入時教
      育の充実・強化を図るとともに、経営首脳者及び安全管理者等の管理監督者の教育を促進する。
  (3)  高年齢労働者
        高年齢労働者については、高年齢向けの機器の開発、職場環境の改善、適正配置とともに、高年
      齢労働者自身の安全衛生に対する意識付けが重要である。
        このため、経営首脳者、管理監督者等に対する教育の実施に当たっては、高年齢労働者の労働災
      害の現状と問題点、高年齢労働者の労働災害防止対策、高年齢労働者の能力に応じた適正配置に関
      する事項を含めて実施する。機械設備の設計・製造を担当する者に対しては、高齢者の心身機能等
      に配慮すべき事項を含めた教育を実施する。
        また、一定年齢に達した労働者に対しては、加齢に伴う心身機能の低下の特性、心身機能に応じ
      た安全な作業方法に関する事項についての教育を実施する。
  (4)  就業形態の多様化
        従前からの季節労働者に加え、最近ではパートタイム労働者、派遣労働者等多様な就業形態がみ
      られ、こられの労働者に対しては、就業時に従事する作業に関する安全衛生の知識等を付与するこ
      と、すなわち雇入時等の教育を徹底することが重要である。
        また、経済の国際化に伴い急増する海外派遣労働者については、海外生活での安全衛生を確保す
      るため派遣元の企業において当該労働者の派遣前に現地での職域及び生活環境における安全衛生事
      情に関する知識を付与することが重要であり、そのための教育の推進を図る。


(参考)  労働者の生涯を通じた安全衛生教育の例

〇A氏の場合 (入社)    (就業制限業務に配置転換)      (5年経過)         (10年経過)             
       雇入時教育→     免許取得        →危険有害業務従事者教育(定期) →危険再認識教育 →

       (職長就任)     (5年経過)       (安全衛生推進者就任)    (5年経過)
       職長等教育 →能力向上教育に準じた教育 →能力向上教育(初任時) →能力向上教育(定期) →


〇B氏の場合  (入社)     (設計部門に配置換え)   (現場技術管理部門に配置換え)   (安全管理者就任)
       雇入時教育  →  技術者教育(随時)  →    技術者教育(随時)      → 能力向上教育(初任時) →
 
           (5年経過)       (総括安全衛生管理者就任)
         →能力向上教育(定期)  →  安全衛生セミナー(随時)  →

注:全期間にわたって雇入時、定期、随時に健康教育を行う。