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パン及び納豆の製造工程における発酵場所に係る関係法令の適用について

改正履歴


  パン及び納豆の製造工程における発酵場所については、近年の技術進歩による製造方法の変化等を踏ま
え、下記のとおり取り扱うこととしたので、その運用に遺憾なきを記されたい。
  なお、本件に関し、全国納豆協同組合連合会会長に対し別紙1により、社団法人日本パン工業会会長及
び全日本丸十パン商工業協同組合理事長に対し別紙2により、これらの発酵場所における労働災害防止の
徹底について要請しているので了知されたい。

記
1.納豆の製造工程における発酵場所は、労働安全衛生法施行令第6第8号の「むろ」に含まれること。
2.パンの製造工程における発酵場所は、1の「むろ」には含まれないこと。

別紙1

基発第266号の2
平成3年4月15日

  全国納豆協同組合連合会会長  殿

労働省労働基準局長

納豆の製造工程における発酵場所に係る労働災害の防止について

  労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表第6に規定する酸素欠乏危険場所における酸素欠
乏症の防止については、酸素欠乏症等防止規則(昭和47年労働省令第42号)等に基づき、その防止対策の
徹底を図っているところです。
  労働省では、今般、納豆の製造工程における発酵場所の酸素欠乏の危険の有無について調査を行ったと
ころ、酸素濃度が18パーセントを下回ること、また、二酸化炭素濃度が1.5パーセントを超えることがあ
り、酸素欠乏症等の危険があることが明らかになりました。
  つきましては、酸素欠乏症等の防止のため、貴会傘下事業者に対し、下記の事項について周知徹底して
いただくよう要請します。

記
1.納豆の製造工程における発酵場所は、労働安全衛生法施行令別表第6第8号に規定する「しょうゆ、
  酒類、もろみ、酵母その他発酵する物を入れてあり、又は入れたことのあるタンク、むろ又は醸造槽の
  内部」に該当するので、酸素欠乏症等防止規則に規定された酸素欠乏症の防止対策に係る措置を講ずる
  こと。
2.納豆の製造工程における発酵場所は、酸素濃度が低下するほか二酸化炭素濃度が非常に高くなること
  もあるので、当該場所に労働者を立ち入らせる場合には、換気する等二酸化炭素中毒を防止するための
  措置を講じること。

(参考)

  納豆の製造工程における発酵場所の酸素欠乏等に係る調査結果概要

1.  調査の目的
    労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表6に規定する酸素欠乏危険場所においては、作
  業者の酸素欠乏症の防止について、酸素欠乏症等防止規則(昭和47年労働省令第42号)に基づき、各種
  の防止の措置を講じることとされている。
    一方、納豆の製造工程において発酵を行う場所(以下「納豆発酵室」という。)については、近年の
  技術の進展等に伴う製造設備の近代化、製造方法の改良等により、作業環境について変化がみられるこ
  とろである。
    このような状況を踏まえ、納豆発酵室について酸素欠乏の危険の有無の実態を明らかにすることを目
  的として、中央労働災害防止協会に調査研究委員会(委員長:山口裕  自治医科大学講師)を設置し、
  実態調査等を実施したものである。
2.  実態調査の要領
  (1)  調査対象事業場
        納豆製造事業場  7事業場(北海道、東北、関東、九州地区)
  (2)  調査の期間
        平成2年10月16日〜平成2年12月13日
  (3)  測定内容
    ○  納豆製造工程についての測定内容
      a  発酵室について、納豆が仕込まれて発酵が開始されてから、搬出されるまでの全時間について
        酸素濃度、二酸化炭素濃度等の連続測定を行った。
      b  連続測定の対象とした発酵室以外の発酵過程にある他の発酵室等について、携帯形の測定器に
        より酸素濃度、二酸化炭素濃度等のスポット測定を行った。
3.  測定結果
  ○  納豆製造工程についての測定結果
    [1]  発酵室内の連続測定結果  (表)
    [2]  他の発酵室等のスポット測定結果
          スポット測定の結果、2事業場において、最低酸素濃度が15.2〜19.1%で、最高二酸化炭素
        濃度が1.0〜6.5%であったが、その他についてはいずれも20%以上であった。

別紙2

基発第266号の3
平成3年4月15日

社団法人  日本パン工業会  会長  殿
全日本丸十商工業協同組合理事長  殿

労働省労働基準局長  

パンの製造工程における発酵場所に係る労働災害の防止について

  労働省では、近年の技術進歩による製造方法の変化等を踏まえ、パンの製造工程における発酵場所の酸
素欠乏の危険の有無について調査を行ったところ、パンの製造工程における発酵場所は、酸素濃度が18パ
ーセントを下回るおそれはなく、酸素欠乏症の危険はないものの、二酸化炭素濃度が1.5パーセントを超
えることがあることが明らかになりました。
  つきましては、二酸化炭素中毒の防止のため、貴会(貴組合)傘下事業者に対し、下記の事項について
周知徹底していただくよう要請します。

記
1.労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第585条第1項に基づき、関係者以外の者が立ち入る
  ことを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示すること。
2.発酵場所に労働者を立ち入らせる場合には、換気する等二酸化炭素中毒を防止するための措置を講じ
  ること。

(参考)

パンの製造工程における発酵場所の酸素欠乏等に係る調査結果概要

1.  調査の目的
    労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表6に規定する酸素欠乏危険場所においては、作
  業者の酸素欠乏症の防止について、酸素欠乏症等防止規則(昭和47年労働省令第42号)に基づき、各種
  の防止の措置を講じることとされている。
    一方、パンの製造工程において発酵を行う場所(以下「パン発酵室」という。)については、近年の
  技術の進展等に伴う製造設備の近代化、製造方法の改良等により、作業環境について変化がみられると
  ころである。
    このような状況を踏まえ、パン発酵室について酸素欠乏の危険の有無の実態を明らかにすることを目
  的として、中央労働災害防止協会に調査研究委員会(委員長:山口裕  自治医科大学講師)を設置し、
  実態調査等を実施したものである。
2.  実態調査の要領
  (1)  調査対象事業場
        パン製造事業場  8事業場(北海道、東北、関東、中部、近畿、九州地区)
  (2)  調査の期間
        平成2年10月16日〜平成2年12月13日
  (3)  測定内容
    ○  パン製造工程についての測定内容
      a  発酵時間が長い中種発酵室について、パン中種が発酵室に搬入されてから、搬出されるまでの
        全時間について酸素濃度、二酸化炭素濃度等の連続測定を行った。
      b  他の中間・最終発酵室等について、携帯形の測定器により酸素濃度、二酸化炭素濃度等のスポ
        ット測定を行った。
3.測定結果
  ○  パン製造工程についての測定結果
    [1]  中種発酵室内の連続測定結果  (表)
    [2]  他の中間・最終発酵室等のスポット測定結果
          スポット測定の結果、最低酸素濃度は20.9〜21.0%で最高二酸化炭素濃度は、1.0〜0.2%であ
        った。