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手押しかんな盤等の構造、使用等に関する安全上のガイドライン等の策定について

改正履歴


                                                                            基発第656号
                                                                        平成6年10月24日

  標記については、平成5年3月25日付け基発第179号「木材加工用機械災害防止総合対策の推進につい
て」に基づき、その検討を進めてきたところであるが、今般、手押しかんな盤等、面取り盤及びルーター
について、その安全を確保するための指針として、その構造、使用等に関する安全上のガイドラインをそ
れぞれの機械ごとに別添1、2及び3のとおり策定したところである。
  ついては、関係事業場に対しこれらガイドラインの周知徹底を図り、木材加工用機械災害防止総合対策
の推進を図られたい。
  なお、別添4により関係団体に対しその周知について、協力を要請したところであるので申し添える。

別添1

手押しかんな盤等の構造、使用等に関する安全上のガイドライン

1  適用範囲
    本ガイドラインは、日本工業規格(JIS)B0114(木材加工用機械の名称に関する用語)に規定する番
  号6211の手押しかんな盤及び直角削り手押しかんな盤(以下、「手押しかんな盤等」という)の構造、
  使用及び点検等に関する基準について定めたものであること。

第1図

第2図

2  構造に関する基準
    手押しかんな盤等は、次に定める構造を備えたものであること。
  (1)  フレーム
        フレームは、ボルト等を用いて堅固に据え付けることのできる構造であること。
  (2)  覆い
        横かんな胴及び立かんな胴(切削に必要な部分を除く)、歯車、プーリー、ベルト等の回転部で、
      回転中に接触するおそれがある箇所には、覆い等を設けること。
  (3)  かんな胴
      イ  かんな胴の材料は、JIS G4051(機械構造用炭素鋼鋼材)に規定するS45C、又はこれと同等以
        上の引張強さ、伸びを有するものであること。
      ロ  かんな胴の形状は、丸胴であること。
      ハ  かんな胴の釣り合い良さは、JIS B0905(回転機の釣り合い良さ)に定める釣り合い良さの等
        級がG6.3以上であること。
  (4)  かんな刃の取付方法
        かんな刃は、次の方法によりかんな胴に取り付けられるものであること。
      [1]  A形の刃の取付方法
            JIS B4709(木工機械用平かんな刃)に定めるA形のかんな刃、又はこれと同等のかんな刃を
          用いるかんな胴へのかんな刃の取付方法は、かんな刃の両端に設けられた袋穴にボルトを通し
          て取り付けるなど、かんな刃が、かんな胴の回転により飛散しない方法であること。

第3図

      [2]  B形の刃の取付方法
            JIS B4709(木工機械用平かんな刃)に定めるB形のかんな刃、又はこれと同等のかんな刃を
          用いるかんな胴へのかんな刃の取付方法は、取付溝をくさび形とするなど、かんな刃がかんな
          胴の回転により飛散しない方法であること。

第4図

  (5)  切削屑排出装置
        集じん装置のダクトを接続することのできる集じん口を有するか、シュート、ガイド等により切
      削屑を安全に機体外部に排出することのできる装置を備えたものであること。
  (6)  刃の接触予防装置
        手押しかんな盤等は、刃の接触予防装置が取り付けられる構造であること。
        この場合において、刃の接触予防装置とは、次に定めるところに適合するものをいうものである
      こと。
      イ  可動式の刃の接触予防装置にあっては、刃の加工材を切削している部分以外の部分を覆うこと
        のできるものであること。
          固定式の刃の接触予防装置にあっては、加工材の切削幅に応じて調節することのできるもので
        あること。

第5図

      ロ  刃の接触予防装置は、覆いの下面と加工材を送給する側の前テーブルの上面との間隔が8mm以
        下となるように取り付けられる構造のものであること。
      ハ  刃の接触予防装置は、通常の作業時における外力等により、反り、ねじれ、欠け等の損傷を生
        じないための強度を有するものであること。
      ニ  刃の接触予防装置のヒンジ部のボルト、ピン等には、抜止めが施されていること。
  (7)  ブレーキ
        動力をしゃ断したときに回転するかんな胴を停止させることのできるブレーキを備えていること。
      ただし、ブレーキモーターを使用するものについてはこの限りではない。
  (8)  かんな胴固定装置
        刃物の交換、調整等の作業の際、かんな胴が回転することにより生じる危険を防止するため、か
      んな胴が回転しないように固定するための装置を備えていること。

第6図

  (9)  操作装置
      イ  操作スイッチは、作業者が作業位置を離れることなく操作できる位置に備えられていること。
      ロ  操作スイッチは、接触、振動等により不意に作動するおそれのないものであること。
      ハ  直角削り手押しかんな盤の横かんな胴及び立かんな胴は、それぞれのかんな胴についてモータ
        ーを有し、かつ、それぞれのかんな胴について起動及び停止の操作ができるものであること。
  (10)  定規
        定規は、テーブル又はフレームに確実に固定できる構造であること。なお、定規を傾斜できるも
      のについては、定規が不意に傾斜しないために固定することができる構造であること。
  (11)  テーブル(直角削り手押しかんな盤の定規を含む)
        テーブル刃口部に騒音軽減のために設けるスリット、又は穴は第7図に示す寸法を超えてはなら
      ない。
  (12) テーブル昇降装置
      イ  前後のテーブル昇降装置は、テーブルが不意に下降しないように固定することができる構造で
        あること。
      ロ  前テーブルの昇降装置は、テーブル先端とかんな刃先との隙間が3mm以下に調節することがで
        きる構造であること。
  (13)  取扱説明書等
      イ  取扱説明書
          手押しかんな盤等を販売するときは、次の事項を記載した取扱説明書を添付すること。
        [1]  形式
        [2]  仕様
        [3]  構造
        [4]  刃物の交換、機械の調節に必要とされる工具
        [5]  操作方法
        [6]  点検方法
        [7]  整備方法
        [8]  据付方法
        [9]  使用上の注意事項
        [10]  その他安全上の注意事項
      ロ  検査表
          手押しかんな盤等を販売するときは、刃の接触予防装置等の安全装置及び機械可動部分の機能
        に関する検査結果及び機械の精度に関する検査結果を添付すること。
      ハ  表示
          手押しかんな盤等を販売するときは、手押しかんな盤等の見やすい箇所に容易に消えない方法
        で、次の事項を表示すること。
        [1]  製造業者名
        [2]  製造年月
        [3]  形式
        [4]  定格出力又は定格電流
        [5]  定格電圧
        [6]  無負荷回転速度(変速装置を有する場合は、変速の段階別の無負荷回転速度)
        [7]  かんな胴の長さ及び有効切削幅
3  使用に関する基準
    手押しかんな盤等を使用して作業を行うときは、次に定めるところにより行うこと。
  (1)  機械の据付け
        手押しかんな盤等は、据付けボルト等により床面に安定した状態で固定して使用すること。
  (2)  回転部の覆い
        歯車、プーリー、ベルト等の回転部の覆いは確実に閉じた状態で使用すること。
  (3)  手袋等
        手袋、手ぬぐい等回転部分に巻き込まれるおそれのあるものは着用しないこと。
  (4)  切削屑排出装置
        集じん装置のダクトを接続するための集じん口を備えているものは、必ず集じん口にダクトを接
      続して使用すること。また、シュート、ガイド等により切削屑を排出するものについては、機械の
      運転を停止し、ブレーキを作動させ、かんな胴が停止したことを確認した後で切削屑を排出するこ
      と。
  (5)  ブレーキ
        運転を停止したときは必ずブレーキを作動させ、かんな胴の回転が停止したことを確認すること。
        なお、長時間作業位置を離れるときは操作スイッチ及び電源スイッチを切ること。
  (6)  かんな胴固定装置
        かんな刃の交換、調整等を行うときは、必ずかんな胴固定装置を使用すること。
  (7)  刃の接触予防装置
      イ  手動で送材する場合は、可動式の刃の接触予防装置(2(6)に定めるものをいう。)を使用す
        ること。ただし、形状が均一で切削幅が一定している多数の加工材を加工する場合で、加工中に
        手がかんな刃に触れるおそれがないときは、固定式の刃の接触予防装置(2(6)に定めるものを
        いう。)を使用してもよい。
      ロ  刃の接触予防装置は、覆いの下面と加工材を送給する側のテーブル(前テーブル)上面との隙
        間を8mm以下に調整して使用すること。
  (8)  治具及び手工具
        加工材の形状(長さ、幅、厚さ)が小さく、手で把持することにより手がかんな刃に接触する等
      危険のおそれがある作業については、押し棒、押さえ具等を使用すること。

第8図

  (9)  補助テーブル
        加工材が長いために手による保持が困難で、かつ、手がかんな刃に接触するおそれのある作業に
      ついては、補助テーブルを使用すること。
  (10)  かんな刃
        研削したかんな刃をかんな胴に取り付けるときには、取り付けるかんな刃の重量差が2g以内の
      ものを取り付けること。
  (11)  加工材
        割れ、反り、ねじれ、腐れ等を有する加工材で、これを加工することにより手がかんな刃に接触
      したり、加工材の反ぱつを招くおそれのあるものについては、手押しかんな盤等による加工を避け
      ること。
  (12)  修理等の場合の運転停止等
        手押しかんな盤等の点検、整備、修理等を行うときは、操作スイッチ及び電源スイッチを切る等、
      手押しかんな盤等が不意に起動しない措置を講じ、かつ、点検、整備、修理等の作業中である旨の
      表示を行ってから当該作業を行うこと。
  (13)  安全衛生教育
        新たに雇い入れた者を手押しかんな盤等を使用する作業に就かせるとき及び作業内容の変更によ
      り労働者を新たに手押しかんな盤等を使用する作業に就かせるときは、手押しかんな盤等に添付さ
      れた取扱説明書等により安全衛生教育を行った後に作業に就かせること。
  (14)  異常時の措置
        異常音又は異常振動が発生する、あるいは可動部分がガタガタして動く状態(スティックスリッ
      プ)となる等の異常を生じたときは、直ちに操作スイッチを切り、ブレーキを作動させ、刃物の回
      転を停止させること。その上で修理等を行い、安全を確認してから使用を再開すること。
4  点検に関する基準
  (1)  点検の内容
      イ  作業開始前に安全装置及び可動部分の機能の状況並びに損傷の有無について点検すること(以
        下、これを「日常点検」という。)。
      ロ  1年を超えない範囲で期間を定め、定期に点検すること(以下、これを「定期点検」という。)。
      ハ  日常点検又は定期点検の結果、異常を認めたときは、調整、修理を行うこと。
      ニ  なお、定期点検のほか、一定の期間毎に回転部等の精度等を確保するため、機械の精度検査を
        行うことが望ましいこと。精度検査を行うに当たっては、メーカー等が添付した精度検査表、又
        は日本工業規格を参考に検査を行うか、機械メーカー等に検査を依頼すること。
  (2)  点検項目等
        日常点検又は定期点検を行う際の点検項目、点検方法及び異常を認めたときの措置については、
      別添(表)の点検基準によること。
  (3)  記録
        定期点検の結果及び整備の内容を記録し、少なくとも3年間保存すること。
  
別添2

面取り盤の構造、使用等に関する安全上のガイドライン

1  適用範囲
    本ガイドラインは、日本工業規格(JIS)B0114(木材加工用機械の名称に関する用語)に規定する番
  号6321の単軸面取り盤及び番号6322の複軸面取り盤(以下、「面取り盤」という。)の構造、使用及び
  点検等に関する基準について定めたものであること。
2  構造に関する基準
    面取り盤は、次に定める構造を備えたものであること。
  (1)  フレーム
      フレームは、ボルト等を用いて堅固に据え付けることのできる構造であること。
  (2)  覆い
      歯車、プーリー、ベルト等の回転部で、回転中に接触するおそれがある箇所には、覆い等を設ける
    こと。
  (3)  主軸
      イ  主軸の材料は、JIS G4051(機械構造用炭素鋼鋼材)に規定するS45C、又はこれと同等以上の
        引張強さ、伸びを有するもので、熱処理が行われていること。
      ロ  フランジの締め付けねじは、締まり勝手のものであること。
      ハ  フランジの締め付けに用いるボルト、ナット等の形状は、主軸の回転により被服等が巻き込ま
        れるおそれのない形状で、かつ制動のときの緩みを防止するため、皿ばね座金を用いる等の緩み
        止めが施されていること(第1図参照)。
      ニ  主軸上端部は主軸の回転により、被服等が巻き込まれるおそれのない形状であること。
  (4)  フランジ
      イ  フランジの材料は、JIS G5501(ねずみ鋳鉄品)に規定するFC200、又はこれと同等以上の引張
        強さを有するものであること。
      ロ  締付け側フランジは、主軸の回転により被服等が巻き込まれるおそれのない形状で、かつ、締
        付け力に十分耐え得るものであること。
      ハ  固定側フランジは、主軸と一体の構造のものか、又はキー、ねじ、焼ばめ、圧入等の方法によ
        り、主軸に堅固に固定されているものであること。
      ニ  固定側及び締付け側フランジの直径は、それぞれ主軸の直径の1.7倍以上の値であること。
  (5)  カラー
      イ  カラーの材料は、JIS G5501(ねずみ鋳鉄品)に規定するFC200、又はこれと同等以上の引張強
        さを有するものであること。
      ロ  カラーの直径は、フランジ締付けナットの外径以上であること。
  (6)  定規
      イ  定規は、テーブル、フレーム等に固定できる構造であること。
      ロ  定規は、当て板が取り付けられる構造であること(第2図参照)。
      ハ  定規は、取り付けることができる刃物の最大高さ以上の高さを有するものであること。
  (7)  切削屑排出装置
      切削屑排出装置のフードは、テーブルに堅固に固定することができ、有効な集じん装置に接続でき
    る構造であること。
  (8)  カッタブロック
      カッタブロックは、ブロックを形成する刃物、裏刃、ボルト、ナット等が遠心力により飛散しない
    構造であること。カッタブロックは丸胴形と角胴形があるが、それぞれについて刃物等が飛散しない
    構造の例としては第3図の例があること。
  (9)  主軸固定装置
        刃物の交換、調整等の作業の際、主軸が回転することにより生じる危険を防止するため、主軸が
      回転しないように固定するための装置を備えていること。
        主軸固定装置の例としては、ストップピンを使用するものがあり(第4図(a)参照)また、主軸
      固定装置に代わるものとして、主軸を2面幅(2面落とし)としても差し支えないものであること
      (第4図(b)参照)。
  (10)  ブレーキ
        動力をしゃ断した場合に回転する主軸を停止させることのできるブレーキを備えていること
   (第5図参照)。ただし、ブレーキモーターを使用するものについてはこの限りでない。
  (11)  主軸固定装置(主軸昇降機能等を有する場合)
        主軸を昇降又は傾斜することのできる面取り盤は、昇降又は傾斜したときに主軸が不意に傾斜し
      ないように主軸を固定するための装置を備えていること。
  (12)  テーブル固定装置(テーブル昇降機能等を有する場合)
        テーブルを昇降又は傾斜することのできる面取り盤は、昇降又は傾斜したときにテーブルが不意
      に下降又は傾斜しないようにテーブルを固定するための装置を備えていること。
  (13)  ガイドリング
        面取り盤については、治具をガイドするためのガイドリングを備えていること。
  (14)  振止め装置
        質量の大きいカッタブロックや成形刃物を用いる面取り盤は、主軸の振れを防止するための装置
      を備えていること。
  (15)  操作装置
      イ  操作スイッチは、作業者が作業位置を離れることなく操作できる位置に備えられていること。
      ロ  操作スイッチは、接触、振動等により不意に作動するおそれのないものであること。
      ハ  複数の主軸を有する複軸面取り盤においては、それぞれの主軸について起動及び停止の操作が
        できるスイッチを備えること。
  (16)  刃の接触予防装置
        面取り盤は、次に定める刃の接触予防装置を取り付けることのできる構造であること。
      イ  直線加工用刃の接触予防装置
          直線加工用刃の接触予防装置とは、次に定めるところに適合するものをいうものであること。
        [1]  加工材の切削に必要な部分以外の部分の刃を覆うことができるものであること。
        [2]  刃物の直径、高さ及び加工材の厚さ等に応じて調節ができるものであること。
        [3]  反り、ねじれ等の変形を生じない十分な強度を有するものであること。

第6図

      ロ  曲線加工用刃の接触予防装置
          曲線加工用刃の接触予防装置とは、次に定めるところに適合するものをいうものであること。
        [1]  刃物の上部(主軸の部分を除く)及び加工材の切削に必要な部分を除く刃の周面を覆うこ
          とができるものであること。
        [2]  加工材の厚さに応じて調節ができるものであること。
        [3]  反り、ねじれ等の変形を生じない十分な強度を有するものであること。

第7図

  (17)  刃の接触予防装置の支持部
      イ  刃の接触予防装置の支持部は、刃の接触予防装置の重量、構造等に対して十分な強度を有する
        ものであること。
      ロ  刃の接触予防装置の支持部は、刃の接触予防装置の着脱及び位置の調節が容易にでき、かつ確
        実に固定できるものであること。
  (18)  取扱説明書等
      イ  取扱説明書
          面取り盤を販売するときは、次の事項を記載した取扱説明書を添付すること。
        [1]  形式
        [2]  仕様
        [3]  構造
        [4]  刃物の交換、機械の調整に必要とされる工具
        [5]  操作方法
        [6]  点検方法
        [7]  整備方法
        [8]  据付方法
        [9]  使用上の注意事項
        [10]  その他安全上の注意事項
      ロ  検査表
          面取り盤を販売するときは、刃の接触予防装置等の安全装置及び機械可動部の機能に関する検
        査結果及び機械の精度に関する検査結果を添付すること。
      ハ  表示
          面取り盤を販売するときは、面取り盤の見やすい箇所に容易に消えない方法で、次の事項を表
        示すること。
        [1]  製造業者名
        [2]  製造年月
        [3]  形式
        [4]  定格出力又は定格電流
        [5]  定格電圧
        [6]  無負荷回転速度(変速装置を有する場合は、変速の段階別の無負荷回転速度)
        [7]  使用できる刃物の最大高さ及び直径(変速装置を有する場合は変速の段階ごとに表示する
            こと)
3  使用に関する基準
    面取り盤を使用して作業を行うときは、次に定めるところにより行うこと。
  (1)  機械の据付け
        面取り盤は、据付けボルト等により床面に安定した状態で固定して使用すること。
  (2)  回転部の覆い
        歯車、プーリー、ベルト等の回転部の覆いは、確実に閉じた状態で使用すること。
  (3)  フランジの緩み止め
        フランジには、緩み止めとして皿ばね座金等を、必ず使用すること。
  (4)  手袋等
        手袋、手ぬぐい等回転部分に巻き込まれるおそれのあるものは、着用しないこと。
  (5)  切削屑排出装置
        切削屑排出装置には、必ず集じん装置のダクトを接続して使用すること。
  (6)  刃物
        取扱説明書に記載された大きさ(高さ×直径)を超える刃物を使用しないこと。
  (7)  主軸変速装置
        主軸変速装置(ベルトの掛替え機構、極数変換モーター等により主軸の回転速度の変速を行う装
      置をいう。)を有する面取り盤を使用する場合に加工材の材質、刃物の形状及び大きさ等を変更し
      たときは、主軸変速装置を使用条件に適合した状態に切り替えること。
  (8)  ブレーキ
        運転を停止したときは必ずブレーキを作動させ、主軸の回転が停止したことを確認すること。な
      お、長時間作業位置を離れるときは、操作スイッチ及び電源スイッチを切ること。
  (9)  主軸固定装置
        刃物の交換、調整を行うときは、必ず主軸固定装置を使用すること。
  (10)  振れ止め装置
        質量の大きいカッタや刃高の高い刃物を用いて加工を行うときは、必ず振止め装置を使用するこ
      と。
  (11)  刃の接触予防装置
        加工の目的に合った刃の接触予防装置(2(16)イ又はロに定める直線加工用又は曲線加工用の刃
      の接触予防装置)を必ず使用すること。
  (12)  治具及び道具
        曲線加工では、加工材を確実に把持できる治具を必ず使用すること。なお、直線加工で、加工材
      の形状(長さ、幅、厚さ)が小さく、手で把持することにより手が刃に接触する等の危険が予想さ
      れるときは、押し棒、押さえ具等の道具を使用すること。
  (13)  補助テーブル
        加工材が長いことにより手による保持が困難で、かつ、手が刃に触れるおそれのある作業につい
      ては、補助テーブルを使用すること。
        なお直線加工で同一の加工を繰り返す場合には送り装置を用いることが望ましいこと。
  (14)  切削屑の除去
        面取り盤の運転中に刃物の近くにある切削屑を除去するときには、エアーガン等を用いて除去す
      ること。
  (15)  反ぱつの防止
        曲線加工を行う場合は、加工材の反ぱつを防止するため、できるだけ複軸面取り盤を使用するこ
      と。
  (16)  加工材
        割れ、反り、ねじれ、腐れ等を有する加工材で、これを加工することにより手が刃物に接触した
      り、加工材の反ぱつを招くおそれのあるものについては、面取り盤による加工を避けること。
  (17)  修理等の場合の運転停止等
        面取り盤の点検、整備、修理等を行う時は、操作スイッチ及び電源スイッチを切る等面取り盤が
      不意に起動しない措置を講じ、かつ、点検、整備、修理等の作業中である旨の表示を行ってから当
      該作業を行うこと。
  (18)  安全衛生教育
        新たに雇い入れた者を面取り盤の作業に就かせるとき及び作業内容の変更により労働者を新たに
      面取り盤の作業に就かせるときは、面取り盤に添付された取扱説明書等により安全衛生教育を行っ
      た後に作業に就かせること。
  (19)  異常時の措置
        異常音又は異常振動が発生する、あるいは可動部分がガタガタして動く状態(スティックスリッ
      プ)となる等の異常を生じたときは、直ちに操作スイッチを切り、ブレーキを作動させ、刃物の回
      転を停止させること。その上で、修理等を行い、安全を確認してから使用を再開すること。
4  点検に関する基準
  (1)  点検の内容
      イ  作業開始前に安全装置及び可動部分の機能の状況並びに損傷の有無について点検すること(以
        下これを「日常点検」という。)。
      ロ  1年を超えない範囲で期間を定め、定期に点検すること(以下これを「定期点検」という。)。
      ハ  日常点検又は定期点検の結果、異常を認めたときは、調整、修理を行うこと。
      ニ  なお、定期点検のほか一定の期間毎に、回転部等の精度等を確保するため、機械の精度検査を
        行うことが望ましいこと。精度検査を行うに当たっては、メーカー等が添付した精度検査表、又
        は日本工業規格を参考に検査を行うか、機械メーカー等に検査を依頼すること。
  (2)  点検項目等
        日常点検又は定期点検を行う際の点検項目、点検方法及び異常を認めたときの措置については、
      別添(表)の点検基準によること。
  (3)  記録
        定期点検の結果及び整備の内容を記録し、少なくとも3年間保存すること。

別添3

ルーターの構造、使用等に関する安全上のガイドライン

1  適用範囲
    本ガイドラインは、日本工業規格(JIS)B0114(木材加工用機械の名称に関する用語)に規定する番
  号6341のルーターの構造、使用及び点検等に関する基準について定めたものであること。

第1図

2  構造に関する基準
    ルーターは、次に定める構造を備えたものであること。
  (1)  フレーム
        フレームは、ボルト等を用いて堅固に据え付けることのできる構造であること。
  (2)  覆い
        歯車、プーリー、ベルト等の回転部で、回転中に接触するおそれがある箇所には、覆い等を設け
      ること。
  (3)  主軸
      イ  主軸の材料は、JIS G4051(機械構造用炭素鋼鋼材)に規定するS45C、又はこれと同等以上の
        引張強さ、伸びを有するもので、熱処理が行われていること。
      ロ  刃物をチャッキングするためのコレットチャックは、JIS B6141(スプリングコレット)に規
        定する性能、又はこれと同等以上の性能を持つもので、チャックナットは被服等が巻き込まれる
        おそれのないものであること(第2図参照)。
  (4)  主軸固定装置
        主軸は、刃物の交換、調整等の作業の際、主軸が回転することにより生じる危険を防止するため、
      主軸が回転しないように固定するための装置を備えていること。

第3図

  (5)  テーブル固定装置
        テーブルは45度まで傾斜できる傾斜装置を備え、傾斜のどの位置においてもテーブルが不意に傾
      斜しないために固定することができる装置を備えていること。

第4図

  (6)  テーブル昇降装置
        テーブル昇降式ルーターに用いるテーブル昇降装置は、テーブルを所定の位置で固定することが
      できる機構を備えていること。

第5図

  (7)  センターピン
        治具をガイドさせるためのセンターピンを備えていること。
  (8)  ヘッド昇降装置
        ヘッド昇降式ルーターのヘッド昇降装置は、ヘッドが不意に下降しないようにヘッドを固定する
      ための装置を備えていること。
  (9)  定規
        定規は、テーブルに確実に固定することができる構造であること。
  (10)  ブレーキ
        動力をしゃ断したときに回転する主軸を停止させることのできるブレーキを備えていること。

第6図

  (11)  操作装置
      イ  操作スイッチは、作業者が作業位置を離れることなく操作できる位置に備えられていること。
      ロ  操作スイッチは、接触、振動等により不意に作動するおそれのないものであること。
  (12)  刃の接触予防装置
        ルーターは、刃の接触予防装置を取り付けることのできる構造であること。この場合の刃の接触
      予防装置とは、次に定めるところに適合するものをいうものであること。
      イ  刃による加工材の切削に必要とされる部分以外の主軸の周面のうち、作業者側の2分の1以上
        の周面を覆うことのできるものであること。
      ロ  加工材の厚さに応じて上下の調節が容易にできるものであること。
      ハ  不意に下降しないよう措置されていること。
      ニ  形状及び寸法は、反り、ねじれ等の変形を生じにくいものであること。
  (13)  刃の接触予防装置の支持部
      イ  刃の接触予防装置の支持部は、刃の接触予防装置の重量、構造等に対して十分な強度を有する
        ものであること。

第7図

      ロ  刃の接触予防装置の支持部は、刃の接触予防装置の着脱及び位置の調節が容易にでき、かつ確
        実に固定できるものであること。
  (14)  取扱説明書等
      イ  取扱説明書
          ルーターを販売するときは、次の事項を記載した取扱説明書を添付すること。
        [1]  形式
        [2]  仕様
        [3]  構造
        [4]  刃物の交換、機械の調整に必要とされる工具
        [5]  操作方法
        [6]  点検方法
        [7]  整備方法
        [8]  据付方法
        [9]  使用上の注意事項
        [10]  その他安全上の注意事項
      ロ  検査表
          ルーターを販売するときは、刃の接触予防装置等の安全装置及び機械可動部分の機能に関する
        検査結果及び機械の精度に関する検査結果を添付すること。
      ハ  表示
          ルーターを販売するときは、ルーターの見やすい箇所に容易に消えない方法で、次の事項を表
        示すること。
        [1]  製造業者名
        [2]  製造年月
        [3]  形式
        [4]  定格出力又は定格電流
        [5]  定格電圧
        [6]  無負荷回転速度(変速装置を有する場合は、変速の段階別の無負荷回転速度)
        [7]  使用できる刃物の最大高さ及び最大直径
3  使用に関する基準
    ルーターを使用して作業を行うときは、次により行うこと。
  (1)  機械の据付け
        ルーターは、据付けボルト等により床面に固定して使用すること。
  (2)  回転部の覆い
        歯車、プーリー、ベルト等の回転部の覆いは、確実に閉じた状態で使用すること。
  (3)  手袋等
        手袋、手ぬぐい等回転部分に巻き込まれるおそれのあるものは、着用しないこと。
  (4)  切削屑の除去
        ルーターの運転中に刃物の近くの切削屑を除去するときには、エアーガン等を用いること。
  (5)  刃  物
        取扱説明書に記載された大きさ(高さ×直径)を超える刃物を使用しないこと。
  (6)  フートスイッチ
        フートスイッチには覆いを設け、固定して使用すること。
  (7)  ブレーキ
        運転を停止したときは必ずブレーキを作動させ、主軸の回転が停止したことを確認すること。な
      お、長時間作業位置を離れるときは、操作スイッチ及び電源スイッチを切って離れること。
  (8)  主軸固定装置
        刃物の交換、調整等を行うときは、必ず主軸固定装置を使用すること。
  (9)  刃の接触予防装置
        加工には、必ず刃の接触予防装置(2(12)に定めるものをいう。)を使用すること。なお、加工
      材の厚さに応じて調節して使用すること。
  (10)  治具及び道具
        ならい加工については、加工材を確実に把持できる治具を必ず使用すること。なお、加工材の形
      状(長さ、幅、厚さ)が小さく、手で把持することにより手が刃に接触する等の危険が予想される
      ときは、保持具等を使用すること。
  (11)  補助テーブル
        加工材の形状(長さ×幅)が大きく、加工材を手で保持することにより加工材の落下や刃物への
      接触のおそれのある作業については、補助テーブルを使用すること。
  (12)  保護眼鏡
        集じん装置が使用できないときは、保護眼鏡を用いて作業を行うこと。
  (13)  傾斜加工
        テーブル傾斜式で傾斜加工を行うときに、加工材が滑落するおそれのある場合には、滑落防止の
      ためのストッパーを設ける等の措置を講じて行うこと。
  (14)  加工材
        割れ、反り、ねじれ、腐れ等を有する加工材で、これを加工することにより手が刃物に接触した
      り、加工材の反ぱつを招くおそれのあるものについては、ルーターによる加工を避けること。
  (15)  修理等の場合の運転防止等
        ルーターの点検、整備、修理等を行うときは、操作スイッチ及び電源スイッチを切るなどルータ
      ーが不意に起動しない措置を講じ、かつ、点検、整備、修理等の作業中である旨の表示を行ってか
      ら当該作業を行うこと。
  (16)  安全衛生教育
        新たに雇い入れた者をルーターの作業に就かせるとき及び作業内容の変更により労働者を新たに
      ルーターの作業に就かせるときは、ルーターに添付された取扱説明書等により安全衛生教育を行っ
      た後に作業を就かせること。
  (17)  異常時の措置
        異常音又は異常振動が発生する、あるいは可動部分がガタガタして動く状態(スティックスリッ
      プ)となる等の異常を生じたときは、直ちに操作スイッチを切り、ブレーキを作動させ、刃物の回
      転を停止させること。その上で修理等を行い、安全を確認してから使用を再開すること。
4  点検に関する基準
  (1)  点検の内容
      イ  作業開始前に安全装置及び可動部分の機能の状況並びに損傷の有無について点検すること(以
        下、これを「日常点検」という。)。
      ロ  1年を超えない範囲で期間を定め、定期に点検すること(以下、これを「定期点検」という。)。
      ハ  日常点検又は定期点検の結果、異常を認めたときは、調整、修理を行うこと。
      ニ  なお、定期点検のほか、一定の期間毎に回転部等を確保するため、機械の精度検査を行うこと
        が望ましいこと。精度検査を行うに当たっては、メーカー等が添付した精度検査表又は日本工業
        規格を参考に行うか、機械メーカー等に検査を依頼すること。
  (2)  点検項目等
        日常点検又は定期点検を行う際の点検項目、点検方法及び異常を認めたときの措置については、
      別添(表)の点検基準によること。
  (3)  記  録 
        定期点検の結果及び整備の内容を記録し、少なくとも3年間保存すること。  

別添4

基発第656号の2
平成6年10月24日

別紙の各団体の長殿

労働省労働基準局長

手押しかんな盤等の構造、使用等に関する安全上のガイドライン等の策定について

  労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
  さて、木材加工用機械による死傷者数(休業4日以上)は減少してきたところでありますが、今なお年
間1万人を数えており、また被災者に身体障害が残る災害の割合も高いところであります。
  労働省としましては、木材加工用機械による労働災害を防止するため「木材加工用機械災害防止総合対
策」を策定し、その推進についてすでにご協力をお願い申し上げているところでありますが、今般、手押
しかんな盤等、面取り盤及びルーターについて、その安全を確保するための指針として、それぞれの機械
ごとに別添1、2及び3のとおり安全上のガイドラインを策定し、関係事業場に対する周知徹底を図るこ
とといたしました。
  つきましては、貴団体におかれましてもこれらガイドラインの趣旨を御理解のうえ、会員事業場に対し
その周知徹底を図られますとともに、木材加工用機械災害防止総合対策の推進に特段の御配意を賜ります
ようお願い申し上げます。

別記
中央労働災害防止協会
林業・木材製造業労働災害防止協会
全国中小企業団体中央会
日本経営者団体連盟
日本商工会議所
日本労働安全衛生コンサルタント会
産業安全技術協会
全国木材組合連合会
全国家具工業連合会
日本合板工業連合会
日本特殊合板工業会
全国木材チップ工業連合会
日本フローリング工業会
全国建具組合連合会
全国木工機械商業組合
全国建設業協会
全国中小建築工事業団体連合会
全国中小建設業協会
建築業協会
全国建設専門工事業団体連合会
日本建設大工工事業協会
プレハブ建築協会
全国建設労働組合総連合
全国木工機械工業会
日本電機工業会