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交通労働災害防止のためのガイドラインの策定について
(平成20年基発第0403001号により廃止)
改正履歴
                                                                              基発第83号
                                                                          平成6年2月18日
自動車等の交通事故による労働災害(以下「交通労働災害」という。)は、近年多発しており、その死 亡者数は、全労働災害による死亡者数の約3割を占めるに至っている。 これを職業別にみると、自動車の運行を中心的業務とする陸上貨物運送事業のみならず、商業、建設業、 製造業等の幅広い業種において発生している。 このため、自動車等を使用する事業者は、業種を問わず広く交通労働災害の防止対策に取り組むことが 必要であるが、交通労働災害の多くが事業場の外の道路上で発生することもあり、一般の労働災害と比較 して、積極的な対策が十分に講じられているとはいえない現状にある。 しかしながら、交通労働災害は、業務との密接な関係の中で発生するものであり、これを防止するため には、事業者は、単に自動車等の運転を行う労働者に交通法規の遵守を求めるだけでなく、一般の労働災 害と同様に総合的かつ組織的にその防止対策に取り組むことが必要である。 このため、今般、事業者が自主的に講じることが望ましい交通労働災害防止対策のほか、労働安全衛生 法、道路交通法、道路運送車両法、貨物自動車運送事業法、道路運送法等の関係法令に基づく措置の一部 を総合的に示した指針として、別添1のとおり「交通労働災害防止のためのガイドライン」を策定した。 ついては、関係事業者に対し、様々な機会を通じて、広く本ガイドラインの周知徹底を図り、関係機関 とも連携しながら交通労働災害防止対策の推進に努められたい。 なお、本ガイドラインは、道路交通法、道路運送車両法、貨物自動車運送事業法、道路運送法等の規定 に基づき、運行管理規程の作成、安全運転管理者又は運行管理者の選任及び研修、運行経路の調査、運行 計画の作成、運行前点検等を行うことにより本ガイドラインに示す事項を実施している事業者に対して、 当該事項を重ねて実施させるものではないので、本ガイドラインの周知にあたって留意するよう、念のた め申し添える。 おって、労働災害防止団体に対しては、別添2のとおり要請したので了知されたい。 別添1 交通労働災害防止のためのガイドライン 第1 目的等 1 目的 本ガイドラインは、労働安全衛生関係法令、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成 元年労働省告示第7号。以下「改善基準告示」という。)等とあいまって、事業場における交通労働 災害防止のための管理体制の確立等、適正な労働時間等の管理及び走行管理、運転者に対する教育等、 健康管理並びに交通労働災害防止に対する意識の高揚等の積極的な推進により、交通労働災害の防止 を図ることを目的とする。 2 本ガイドラインの対象とする交通労働災害 本ガイドラインの対象とする交通労働災害は、道路上及び事業場構内における自動車及び原動機付 き自転車(以下「自動車等」という。)の交通事故による労働災害とする。 3 事業者及び運転者の責務 労働者に自動車等の運転を行わせる事業者(以下「事業者」という。)は、本ガイドラインを指針 として、事業場における交通労働災害防止対策の積極的な推進を図ることにより、交通労働災害の防 止に努めるものとする。 自動車等の運転を行う労働者(以下「運転者」という。)は、交通労働災害を防止するため、事業 者の指示等の必要な事項を守るほか、事業者が実施する交通労働災害の防止に関する措置に協力する ことにより、交通労働災害の防止に努めるものとする。 第2 交通労働災害防止のための管理体制等 1 交通労働災害防止のための管理体制の確立 (1) 交通労働災害防止のための規程の作成 事業場における交通労働災害防止に対する取組の基本的事項を示すため、次の事項について交 通労働災害防止のための規程を作成し、これを運転者に周知すること。 イ 管理体制 ロ 管理者の職務 ハ 運転者の遵守事項 ニ 運転者に対する教育及び訓練の内容等 (2) 交通労働災害防止担当管理者の選任 イ 交通労働災害防止を担当する管理者(以下「交通労働災害防止担当管理者」という。)を選 任し、次の職務を行わせること。 (イ) 本ガイドラインに示す交通労働災害防止推進計画の作成 (ロ) 走行管理 (ハ) 教育等の実施、意識の高揚等 ロ 交通労働災害防止担当管理者を選任するに当たっては、その職務を遂行できる立場の者を選 任し、その職務を行うために必要な権限を与えるとともに、必要に応じて、その職務を補助す る者を選任すること。 (3) 安全委員会等における調査審議 安全委員会等(安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会等をいう。以下同じ。)において、 交通労働災害の防止に関する事項について調査審議すること。 なお、安全委員会及び衛生委員会の調査審議事項については、労働安全衛生法(以下「安衛法」 という。)第17条及び第18条に規定されているので留意すること。 この場合において、安全委員会等の委員として、交通労働災害防止担当管理者を指名すること。 また、安全委員会等の中に交通労働災害防止部会を設置する等により、交通労働災害の防止に ついて、特に重点的に取り組むことが望ましい。 (4) 交通労働災害防止のための管理体制の整備 交通労働災害を防止するための管理組織は、一般の安全衛生管理組織と一体的に運営されるよ う整備し、一般の労働安全衛生管理の中で交通労働災害防止に関する指導が徹底できる体制とす ることが望ましい。 2 交通労働災害防止推進計画の作成 交通労働災害の防止を効果的に推進するため、安全委員会等で調査審議の上、次の事項について定 める交通労働災害防止推進計画を作成すること。 イ 過去の交通労働災害の発生状況等を考慮した具体的な目標 ロ 基本的実施事項 ハ 重点とする実施事項 ニ 実施事項の実施時期又は実施期間 ホ 実施責任者及び実施者 なお、定期的に、計画の達成状況、効果の有無等についての評価を行うことにより、効果的な対 策の推進に努めること。 第3 適正な労働時間等の管理及び走行管理 1 適正な労働時間等の管理 運転者の疲労による交通労働災害を防止するため、改善基準告示並びに平成元年3月1日付け基発 第92号「一般乗用旅客自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者の拘束時間及び休息期間の 特例について」及び同日付け基発第93号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」 に定められている運転者の労働時間等の改善のための基準の遵守を徹底すること。 2 適正な走行管理 (1) 走行計画の策定 イ 走行経路の調査 運転者に自動車等を走行させる場合には、事前の調査、道路地図、過去の乗務記録、ラジオ 等により、道路の状況、所要時間、交通規制、制限速度、給油場所、途中点検場所、休憩・仮 眠・食事等の場所、危険箇所、気象等の情報を集め、これらの情報に基づき、適切な走行経路 を決定し、当該走行経路に適した自動車等を配置するとともに、運転者に対して安全な走行に 必要な事項を示すこと。 なお、これらの情報等を地図又は案内図の中に盛り込んだ交通安全情報マップを作成し、運 転者に配布する等により、これらの情報等を運転者に分かりやすく伝えるよう努めること。 ロ 走行計画の作成 運転者の疲労による交通労働災害を防止するため、改善基準告示等及びイの走行経路の調査 に基づき、無理のない適正な運転時間等を設定した適正な走行計画を作成すること。 なお、道路上以外の場所において、貨物自動車等を走行させる場合の作業計画の作成等の必 要な措置については、労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)第151条の3から第151条 の7までに規定されているので留意すること。 (2) 乗務記録等による適正な走行管理 運転日報等の乗務記録により、常に運転者の乗務の実態を把握し、走行計画に基づく適正な走 行管理を行うとともに、問題がある場合は速やかに改善すること。 なお、運行記録計(タコグラフ)を備えた自動車を使用する場合は、この記録に基づいて、適 正な走行管理を行うとともに、これを安全運転指導等のための資料として活用すること。 (3) 労働者の送迎の際の交通労働災害の防止 マイクロバス、ワゴン車等の自動車によって、労働者を送迎する場合には、(1)に掲げる事項 のほか、次の事項を行うこと。 イ 運転者には、使用する自動車の運転に必要な資格を有する者のうちから特に十分な技能を有 する適格者を指名すること。 ロ 踏切(自動遮断装置、踏切警手付きのものを除く。)、見通しの悪い箇所、狭あいな箇所、 路肩が軟弱な箇所等特に危険な箇所を走行させる場合には、あらかじめ、十分な技能を有する 適格者を誘導者として指名するとともに、一定の合図を定め、当該合図により、誘導者に誘導 させること。 ハ 自動車の運転以外の勤務の終了後に労働者を自動車の運転の業務に従事させる場合には、疲 労による交通労働災害を防止するため、自動車の運転以外の勤務の軽減等について配慮するこ と。 (4) 自動車の点検 イ 走行前点検 自動車等の安全を確保するため、走行前に行う自動車等の点検の具体的な実施方法等につい て実施要領を定め、当該実施要領に基づき、点検を行わせること。 また、当該点検により異常を認めた場合は、直ちに補修その他必要な措置を講じること。 なお、貨物自動車を使用する場合の走行前点検及び事後措置については、安衛則第151条の 75及び第151条の76に規定されているので留意すること。 ロ 途中点検 長距離走行を行わせる場合は、走行経路の途中において、自動車等及び荷の状態について、 点検を行わせること。 なお、この場合に、当該点検について走行計画に盛り込むこと。 ハ 走行後点検 自動車等の安全を確保するため、走行後に行う自動車等の点検の具体的な実施方法等につい て実施要領を定め、当該実施要領に基づき、点検を行わせること。 なお、当該点検により異常を認めた場合は、補修その他必要な措置を講じること。 (5) 点呼等 安全な走行を確保するため、走行前の点呼等により、運転者の服装、履き物等の点検、体調の チェック等を行うこと。 なお、走行前の点呼等において、体調が不調な者に対しては、運転を禁止し、休養をとらせる 等の措置を講じること。 (6) 異常気象等の際の措置 異常な気象、天災等により安全な運転の確保に支障が生じるおそれのある場合は、安全な運転 の確保を図るため、運転者に対する必要な指示を行うこと。 また、異常な気象、天災等が発生した場合は、その状況を的確に把握し、運転者に対して迅速 に伝達するよう努めるとともに、必要に応じて、走行を中止し、又は安全な場所での一時待機、 徐行運転を行わせる等の適切な指示を行うこと。 この場合に、運転者には、適宜事業場と連絡をとらせ、その指示に従わせること。 (7) 荷の適正な積載 貨物自動車に荷を積載して走行させる場合は、特に次の事項を徹底すること。 イ 最大積載量を超えないこと。 ロ 偏荷重が生じないように積載すること。 ハ 荷崩れ又は荷の落下を防止するため、荷にロープ又はシートをかける等の措置を講ずること。 なお、上記イからハまでの事項については、安衛則第151条の10及び第151条の66に規定され ているので留意すること。 (8) 自動車に装備する安全装置等 交通労働災害を未然に防止し、又は災害発生時の被害を最小限に抑えるため、自動車に、アン チロックブレーキシステム、エアーバック装置等の安全装置等を整備することが望ましい。 (9) 応急用器具等 走行中に故障等が発生した場合の応急修理のため、車止め、ジャッキ、車輪脱着用スパナ、ド ライバー、プライヤー、絶縁テープ、予備タイヤ、予備電球、予備ヒューズ等の器具及び備品類 を備えておくこと。 また、走行中に負傷等が発生した場合の応急手当のため、止血帯、ほう帯材料等の救急用具及 び材料を備えておくこと。 第4 教育及び運転者認定制度等 1 教育等 (1) 交通労働災害防止管理教育 交通労働災害防止担当管理者等に対して、その職務、第2の1の(1)の交通労働災害防止のた めの規程の内容等について、教育を行うこと。 (2) 雇入れ時等の教育 新規雇入れ運転者に対して安衛法第59条第1項の規定により行う雇入時教育において、交通法 規の遵守、運転時の注意事項、走行前点検の励行等の運転者が遵守すべき事項について教育を行 うとともに、必要に応じて、安全運転の知識及び経験が豊富な運転者等が添乗することにより、 実地に指導を行うこと。 また、作業内容の変更により運転者となる者に対して安衛法第59条第2項の規定により行う作 業内容変更時教育においても、新規雇入れ運転者に対する教育及び指導に準じた教育及び指導を 行うこと。 (3) 日常の教育 運転者に対して、交通法規の遵守、運転時の注意事項、走行前点検の励行等の運転者が遵守す べき事項について教育を行うこと。 また、運転者に、走行経験のない経路を走行させるときは、過去の乗務記録、道路地図等の情 報を活用することにより、安全走行に必要な事項についての指導を行うこと。 (4) 交通危険予知訓練 実際の運転場面を想定したイラストシート、写真等を用いて、運転者に、交通労働災害の潜在 的危険性を予知させ、その防止対策を立てさせることにより、安全を確保する能力を身につけさ せる交通危険予知訓練を継続的に行うことが望ましい。 (5) 安全運転指導員制度及び安全運転実技訓練 安全運転の徹底を図るため、一定の資格を有する者が添乗指導を行う等により運転者の指導を 行う安全運転指導員制度を導入することが望ましい。 なお、安全運転指導員の資格要件、活動内容等については、各事業場の実情に応じて定めるこ と。 また、安全運転の実技訓練を実施している機関を利用する等により、安全を確保する能力を身 につけさせる安全運転実技訓練を行うことが望ましい。 (6) 交通労働災害防止講習会 交通労働災害の事例の研究、交通法規の再確認等の交通労働災害防止に関する内容をテーマと した講習会を開催し、又は関係団体が実施する講習会に参加させる等により、運転者に交通労働 災害防止に関する知識を付与すること。 2 運転者認定制度等 (1) 運転者認定制度 使用する自動車等の運転に必要な資格を有する者のうち、一定の教育指導を受けたもの、認定 試験に合格したもの等に対してのみ運転業務を認める運転者認定制度を導入することが望ましい。 なお、教育指導、認定試験の内容等については、各事業場の実情に応じて定めること。 (2) 運転適性検査 運転者の持つ生理的・心理的運転特性を把握するため、運転適性検査を実施している機関を利 用する等により、運転適性検査を実施し、その結果を運転者本人に通知するとともに、必要に応 じ、その結果に基づき、安全な運転についての指導を行うことが望ましい。 なお、検査結果の取扱いについては、プライバシー保護の観点から、十分な注意が必要である。 第5 健康管理 1 健康診断 (1) 健康診断の実施 運転者に対し、健康診断を確実に実施するとともに、その結果に基づき、健康状況を総合的に 把握したうえで、保健指導等を行うこと。 なお、安衛法第66条の規定により、雇入れ時及び1年以内ごとに1回、定期に健康診断を行う ことが義務付けられており、特に、深夜業を含む業務等に従事する運転者に対しては、6箇月以 内ごとに1回、定期に健康診断を行うことが義務付けられているので留意すること。 (2) 健康診断の結果に基づく措置 健康診断等で所見が認められた運転者に対しては、必要に応じて診療を受けるよう指導すると ともに、産業医等の意見に基づいて、運転の可否、安全運転上留意すべき点等について指導する 等適切な事後措置を講じること。 2 心身両面にわたる健康の保持増進 運転者の心身両面にわたる健康の保持増進を図るため、事業場における健康の保持増進措置を継続 的かつ計画的に講じるように努めること。 3 運転時の疲労回復 運転者の疲労による交通労働災害を防止するため、運転者に対して、走行経路の途中において、適 宜、肩、腕及び腰部のストレッチング、体操等により、運転時の疲労回復に努めるよう指導を行うこ と。 第6 交通労働災害防止に対する意識の高揚等 1 交通労働災害防止に対する意識の高揚 ポスター又は標語の募集及び掲示、交通労働災害の現場写真の掲示、表彰制度の設立、優良運転者 の公表、交通労働災害防止大会の開催等により、運転者の交通労働災害防止に対する意識の高揚を図 ること。 2 交通危険マップの作成 交通事故の体験、交通事故の危険を感じた事例(ヒヤリ・ハット事例)等に基づき、危険な箇所、 注意事項等を示した交通危険マップを作成し、配布、掲示等を行うことにより、運転者の交通労働災 害防止に対する注意の喚起を図ること。 3 一般の労働者に対する交通労働災害防止 運転者以外の一般の労働者に対しても、関係行政機関等が実施する交通安全講習会等に積極的に参加 させる等により、交通労働災害の防止に努めること。 別添2 基発第83号の2 平成6年2月18日 中央労働災害防止協会長 殿 建設業労働災害防止協会長 陸上貨物運送事業労働災害防止協会長 港湾貨物運送事業労働災害防止協会長 林業・木材製造業労働災害防止協会長 鉱業労働災害防止協会長 労働省労働基準局長 交通労働災害防止のためのガイドラインの策定について 労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。 さて、自動車等の交通事故による労働災害(以下「交通労働災害」といいます。)は、近年多発してお り、その死亡者数は、全労働災害による死亡者数の約3割を占めるに至っている状況にあります。 このため、労働省におきましては、事業者が自主的に講じることが望ましい交通労働災害防止対策のほ か、労働安全衛生法、道路交通法、道路運送車両法、貨物自動車運送事業法、道路運送法等の関係法令に 基づく措置の一部を総合的に示した指針として、別添のとおり「交通労働災害防止のためのガイドライン」 を策定し、関係事業者に対する周知徹底を図ることとしました。 つきましては、貴協会におかれましても本ガイドラインの趣旨を御理解のうえ、会員事業場に対してそ の周知徹底を図られますとともに、交通労働災害防止対策の推進に特段の御配慮を賜りますようお願い申 し上げます。 なお、本ガイドラインは、道路交通法、道路運送車両法、貨物自動車運送事業法、道路運送法等の規定 に基づき、運行管理規程の作成、安全運転管理者又は運行管理者の選任及び研修、運行経路の調査、運行 計画の作成、運行前点検等を行うことにより本ガイドラインに示す事項を実施している事業者に対して、 当該事項を重ねて実施させるものではありませんので、本ガイドラインの周知にあたって留意いただきま すよう、念のため申し添えます。