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石油精製・石油化学設備等の点検、修理、整備作業等における労働災害の防止について

改正履歴

                                                                          基安発第8号の2
                                                                           平成7年6月6日
																																					 
  標記については、日頃からその徹底を図っているところであるが、本年5月30日、神奈川県川崎市の東
燃株式会社川崎工場において、石油精製設備等の点検作業中に硫化水素が漏えいし、47名(消防職員1名
を含む。)の労働者が被災、うち1名が死亡する重大災害が発生したところである。
  本災害の発生状況等は別添1のとおりであり、現在細部について調査中であるが、化学設備等に係る災
害は、点検、修理、整備等のいわゆる非定常作業における災害が多数発生しているところである。
  このような実態を踏まえ、今般、石油連盟及び石油化学工業協会に対し、別添2のとおり安全衛生管理
体制の確立等について要請を行ったので、貴局におかれても、関係事業場に対し、本要請の趣旨を踏まえ、
標記労働災害防止のため、的確な指導を実施されたい。

(別添1)

東燃川崎工場における硫化水素漏えい事故概要

1  発生場所及び発生日時
  神奈川県川崎市川崎区浮島町7−1
  東燃株式会社川崎工場300号地
  平成7年5月30日(火)午前9時30分
2  被災状況
    東燃株式会社社員5名、市消防職員1名を含む47名(うち1名死亡)
3  災害発生状況
    脱硫装置の定期改修工事中、圧力調節弁が開いて配管から硫化水素が漏洩したものである。
    災害の発生した装置は、石油の脱硫により生成された硫化水素(H2S)から硫黄及び硫酸を製造する
  もので、災害時には定期改修工事のため、主として硫酸製造装置へ硫化水素ガスを流し装置を稼働させ
  ていた。また、硫化水素ガスラインには、ガス圧力が上昇したときにガスを放出し、燃焼塔に送る圧力
  調整弁が付いていた。この圧力調節弁は硫化水素ガス圧を検出してエアー駆動により当該弁を開閉する
  機構であった。
    定期改修工事のため、圧力調節弁の下流側ブロック弁の取り外しを行ったが、上流側のブロック弁
  (手動)を開放したままで行われ、かつ、圧力調節弁のエアー元弁を他の工事の作業員が閉めたため、
  圧力調節弁が開き硫化水素が放出された。
4  災害発生原因(別紙参照)
    硫化水素が通っている配管について、
  [1]  手動ブロック弁を開放状態にしていたこと
  [2]  圧力調節弁については、作業員が他の工事のためエアー元弁を閉めたため開放されたこと
  により、ガスが漏洩したものと考えられる。(詳細は現在調査中)

(別添2)

基  安  発第8号
平成7年6月6日

石油連盟会長
石油化学工業協会会長  殿

労働省労働基準局
安全衛生部長

石油精製・石油化学設備等の点検、修理、整備作業等における労働災害の防止について

  標記につきましては、日頃からご尽力頂いているところでありますが、本年5月30日、神奈川県川崎市
の東燃株式会社川崎工場において、石油精製設備等の点検修理作業中に硫化水素が漏えいし、47名(消防
職員1名を含む。)の労働者が被災、うち1名が死亡する重大災害が発生したところです。
  本災害の発生原因等については、現在細部について調査中ですが、化学設備等に係る災害は、点検、修
理、整備等のいわゆる非定常作業において多数発生しているところです。
  つきましては、貴団体におかれましては、会員事業場が発注者として下記事項に留意の上、関係する請
負人に対して、適切な指導・援助を行うようその徹底方をお願い申し上げます。
記
1  設備の管理等を行い、修理、整備等の業務を受け負わせている発注者とそれらを請け負い、工事を実
  施する元方事業者間の安全衛生管理上の役割分担の明確化を図ること。
2  各請負人間の作業分担の明確化を図らせるとともに、統括安全衛生責任者の選任等により、統括管理
  体制を確立させること。
    特に、各工程の進捗状況に応じて、統括安全衛生責任者には、各関係請負人が行う作業間の連絡調整
  等必要な措置を実施させるとともに適切な指示を行うこと。
3  非定常作業を行うに当たっては作業標準を作成するとともに、各請負人の各級管理者及び労働者に対
  して周知徹底を図るため、安全衛生教育を実施させること。
    さらに、非定常作業中の異常が発生した場合の緊急停止措置や緊急避難措置等の応急対策についても
  教育・訓練を十分行うこと。