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労働安全衛生規則及び機械等検定規則の一部を改正する省令の施行及び
防じんマスクの規格及び防毒マスクの規格の適用について

改正履歴
基発第686号
平成12年11月15日
都道府県労働局長 殿

労働省労働基準局長


労働安全衛生規則及び機械等検定規則の一部を改正する省令の施行及び
防じんマスクの規格及び防毒マスクの規格の適用について


 労働安全衛生規則及び機械等検定規則の一部を改正する省令(平成12年労働省令第38号。以下「改正規則」という。)及び防じんマスクの規格及び防毒マスクの規格の一部を改正する告示(平成12年労働省告示第88号。以下「改正告示」という。)は、平成12年9月11日に公布され、平成12年11月15日から施行されたところである。
 今回の改正は、防じんマスク及び防毒マスク(以下「防じんマスク等」という。)の性能試験方法等の国際的整合を図るとともに、技術水準の向上に応じた防じんマスク等の性能の確保を図ったものである。
 ついては、下記に留意の上、その運用に遺漏のないようにされたい。

第1 労働安全衛生規則の一部改正関係
従来、労働安全衛生規則第26条においては、労働大臣が定める規格を具備すべき防毒マスクについて、亜硫酸ガス用防毒マスクのうち亜硫酸・いおう用防毒マスクを掲げ、亜硫酸・いおう用防毒マスクについてのみたばこの煙を用いた粉じん捕集効率試験を実施することとしてきたところであるが、全ての種類の防毒マスクについて、防じん機能を有するものに係る規格を設けることとしたため、いおう粉じんを捕集するためのフィルターを具備する亜硫酸・いおう用防毒マスクの区分を廃止することとしたこと。

第2 機械等検定規則(昭和47年労働省令第45号)の一部改正関係
1 8条及び別表第2関係
防じんマスクの規格(昭和63年労働省告示第19号)及び防毒マスクの規格(平成2年労働省告示第68号)の改正に伴い、型式検定を受けようとする者が有するべき検査のための設備の基準を改めたものであること。
また、これに伴い型式検定を受けようとする者が有すべき検査のための設備のうち、随時他の者の有する検査設備を利用できる場合に当該設備を有する者とみなされる検査設備の範囲を改めたものであること。
2 第14条関係、様式第11号(3)(甲)及び様式第11号(3)(乙)関係
防じん機能を有する防毒マスクの吸収缶のうち、ろ過材が分離できるものにあっては、ろ過材を分離した吸収缶及びろ過材の両方に型式検定合格標章を付すこと並びに規格改正に伴い型式検定合格標章に表示すべき事項に性能による区分を追加することとしたものであること。
なお、「R」は取替え式防じんマスクを、「D」は使い捨て式防じんマスクを、「S」は塩化ナトリウム粒子を用いて粒子捕集効率試験を実施したものであることを、「L」はフタル酸ジオクチル粒子を用いて粒子捕集効率試験を実施したものであることを示すものであり、また、「1」、「2」及び「3」は粒子捕集効率、吸気抵抗等の性能による区分を示すものであること。
3 別表第1関係
新たな性能試験が追加されたこと等により、防じんマスク等の新規検定を受ける際の現品等の提出数を改めたものであること。
4 附則関係
改正規則による改正前の機械等検定規則の型式検定の基準に基づく型式検定(附則第2項に規定する型式検定を含む。)に合格した防じんマスク等であって、当該型式の型式検定合格証の有効期間が満了する日までに製造されたものについては、改正後の機械等検定規則の型式検定の基準に基づく型式検定に合格したものとみなすこととしたこと。

第3 防じんマスクの規格の一部改正関係
1 改正の要点
(1) 防じんマスクについては、従来、性能による区分は設けられていなかったが、作業の態様、有害物の態様等に応じて選択・使用できるよう、その性能による区分を設けたこと(第1条関係)。
(2) 性能による区分を設けたことに伴い、試験性能の向上を図るとともに試験方法の国際的な整合を図るため、オイルミストの捕集を想定していない防じんマスクについては、粒子捕集効率試験の試験粒子を石英粒子から塩化ナトリウム粒子に変更するとともに、粉じん及びオイルミスト等を捕集する防じんマスクについては、試験粒子としてフタル酸ジオクチル粒子を
用いることと等、粒子捕集効率試験等の性能に係る試験の試験方法及び条件を設けたこと。(第6条関係)。
2 細部事項
(1) 第3条関係
面体の材料の弾力牲の向上等により装着時に強く締めることなく密着性を保つことが可能となってきたため、取替え式防じんマスクのしめひも取付部分及びしめひもに係る引張試験の荷重を変更したこと。
(2) 第5条関係
使い捨て式防じんマスクのしめひもの具備すべき性能について、取替え式防じんマスクと同様に長さを容易に調節することができることとしたこと。ただし、顔面への密着性が保持できるときには、この限りでないこと。
また、しめひもは、マスクの顔面への密着性の保持を担保するためのものであることから、耳に掛けて装着する型式の使い捨て式防じんマスクは、耳に掛ける装着方法以外の適切な装着方法も可能な構造のものであることが望ましいこと。
(3) 第6条関係
粒子捕集効率試験については、一定量の試験粒子がろ過材に供給されるまでの間の捕集効率を測定することにより合否を判定することとし、粒子捕集効率試験の試験粒子の種類に応じて、粒子捕集効率試験の条件を、80.0%以上、95.0%以上及び99.9%以上の3つに区分したこと。
また、吸気抵抗試験及び排気抵抗試験の条件についても、取替え式又は使い捨て式の別及び各々の3つの区分ごとに条件を定めたこと。
排気弁に関する試験については、排気弁の動的漏れ率試験を廃止し、作動気密試験を実施することとしたこと。
呼吸により面体内に滞留する二酸化炭素濃度の上昇の程度を把握するため、新たに二酸化炭素濃度上昇値試験を実施することとしたこと。
(4) 第7条関係
第2項第1号「使用の範囲」において、当該防じんマスクの点検方法、装着及び着脱の方法並びに保管方法等の従来の項目に加え、粒子捕集効率の区分に応じた適用範囲及び使用用途を記載することが望ましいこと。
第2項第7号の「着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を容易に確認する方法」としては、フィットチェッカーを用いる方法等があること。
(5) 改正告示附則第2項関係
平成12年11月15日前に申請があった防じんマスクの型式検定は、改正前の防じんマスクの規格を基準として行われるものであること。

第4 防毒マスクの規格の一部改正関係
1 改正の要点
防毒マスクを使用する作業の中には、有害ガスに加えて粉じんが混在する作業環境中で作業が行われる場合があるため、新たに防じん機能を有する防毒マスクと有しない防毒マスクに区分するとともに、防じん機能を有するものについては防じんマスクの規格と同様にその性能に応じた区分を設けることとしたこと(第2条関係)。
2 細部事項
(1) 第1条関係
機械等検定規則の改正に合わせて、亜硫酸・いおう用防毒マスクの区分を廃止したこと。なお、従来の亜硫酸ガス及びいおうの蒸気又は粉じんを捕集する防毒マスクは、防じん機能を有する亜硫酸ガス用防毒マスクとなること。
(2) 第4条関係
面体の材料の弾力性の向上等により装着時に強く締めることなく密着性を保つことが可能となってきたため、取替え式防毒マスクのしめひも取付部分及びしめひもに係る引張試験の荷重を変更したこと。
(3) 第6条関係
表の吸収缶の項中「ろ過材を具備していること。」とは、ろ過材を吸収缶の内部に具備しているものに加えて、ろ過材が吸収缶の外側から取り付けられているものを含むものであること。
(4) 第7条関係
呼吸により面体内に滞留する二酸化炭素濃度の上昇の程度を把握するため、新たに二酸化炭素濃度上昇値試験を実施することとしたこと。
通気抵抗試験については、性能による区分に応じてそれぞれ条件を定めたこと。
亜硫酸・いおう用防毒マスクの区分が廃止されたことから除毒能力試験において、当該区分に応じた試験方法及び条件を削除したこと。
防じん機能を有する防毒マスクの吸収缶の試験方法として、粒子捕集効率試験を規定し、その方法及び条件については、防じんマスクの規格と同様のものとしたこと。
(5) 第8条関係
第1項第3号の「使用上の注意事項」には、防じん機能の有無及び性能による区分に応じた適用範囲、使用用途、吸気抵抗、排気抵抗、死積、重量等についても記載されていることが望ましいこと。
第3項第3号の「使用上の注意事項」には、除毒能力、重量、未使用吸収缶の保存期限、防じん機能の有無及び性能による区分に応じた適用範囲、使用用途等についても記載されていることが望ましいこと。
第3項第6号の「吸気抵抗上昇値」は、今般新たに防じん機能を有する防毒マスクの区分が設けられたことにより追加したこと。
第3項第7号の「着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を容易に確認する方法」には、フィットチェッカーを用いる方法等があること。
(6) 改正告示附則第2項関係
平成12年11月15日前に申請があった防毒マスクの型式検定は、改正前の防毒マスクの規格を基準として行われるものであること。