法令 安全衛生情報センター:ホームへ
ホーム > 法令・通達(検索) > 法令・通達

電離放射線障害防止規則第3条第3項並びに第8条第6項及び
第9条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める限度及び
方法を定める件の一部を改正する件の適用及び
電離放射線障害防止規則第8条第4項の規定に基づき、
厚生労働大臣が定める方法を定める件の廃止について

改正履歴
基発第254号
平成13年3月30日
都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局長


電離放射線障害防止規則第3条第3項並びに第8条第6項及び
第9条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める限度及び
方法を定める件の一部を改正する件の適用及び
電離放射線障害防止規則第8条第4項の規定に基づき、
厚生労働大臣が定める方法を定める件の廃止について

 労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行に伴い、電離放射線障害防止規則第3条第3項並びに第8条第6項及び第9条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める限度及び方法を定める件(昭和63年労働省告示第93号。以下「93号告示」という。)の一部を改正する件(平成13年厚生労働省告示第91号。以下「改正告示」という。)及び電離放射線障害防止規則第8条第4項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める方法を定める件を廃止する件(平成13年厚生労働省告示第94号)についても、平成13年3月27日に公布され、平成13年4月1日より適用されることとなったところである。。
 今回の改正は、放射線審議会の「ICRP1990年勧告(Pub.60)の国内制度等への取入れについて(意見具申)」の取入れによる電離放射線障害防止規則の一部改正と併せて、放射線審議会基本部会の「外部被ばく及び内部被ばくの評価法に係る技術的指針」に対応するためのものである。
ついては、下記に示す今回の改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。
 なお、昭和64年1月1日付け基発第2号「電離放射線障害防止規則第3条第3項並びに第8条第6項及び第9条第2項の規定に基づく厚生労働大臣が定める限度及び方法を定める告示及び電離放射線障害防止規則第8条第4項の規定に基づく厚生労働大臣が定める方法を定める告示の適用について」は、平成13年3月31日をもって廃止する。



第1 93号告示の改正について
1 第1条関係
(1) 「核種」とは、放射性同位元素の種類を表すものであること。
(2) 「化学形」とは、放射性同位元素が化合物中に含まれる場合はその化合物の種類を、放射性同位元素が単体で存在する場合はその単体を示すものであること。なお、今回、「化学形」を「化学形等」に改めたのは、別表第1の第1欄の化学形等の欄の中に化学形以外の表記が含まれているためであること。
(3) 第4号について、改正告示による改正前の93号告示(以下「旧93号告示」という。)では、
別表第2においてアルファ線の放出の区分によって適用する限度を定めていたが、今回、それに加えて、さらに物理的半減期の区分による限度を定めたこと。
2 第2条関係
(1) 旧93号告示では、第1項において、放射性物質の摂取量を、別表第1に示した年摂取限度(1年間の線量当量限度に相当する摂取量)と比較することにより、内部被ばくによる線量当量を計算する方法を示していたが、今回、年摂取限度に代えて線量係数(1ベクレルの放射性物質を摂取した場合の内部被ばく線量)(単位ミリシーベルト毎ベクレル)を別表第1に示し、放射性物質の摂取量に当該線量係数を乗じることにより内部被ばくによる線量を計算する方法を示すこととしたこと。
なお、内部被ばく線量は、旧93号告示の場合と同様、摂取後50年間(成人の場合)にわたる総被ばく線量を摂取時の線量として評価するものであり(預託線量)、この観点を考慮して線量係数が定められていること。
(2) 旧93号告示では、実効線量当量限度に相当する年摂取限度による管理だけでは特定の臓器・組織に対して非確率的影響(確定的影響)を引き起こすおそれがある一部の放射性物質について、別表第1に組織線量当量限度(500ミリシーベルト)に相当する年摂取限度を示し、第1項第2号において、放射性物質の摂取量と当該組織線量当量限度に相当する年摂取限度を比較することにより、内部被ばくによる組織線量当量を計算する方法を示していたが、内部被ばくによる実効線量を実効線量限度以下に制限することによって、どの臓器・組織についても確定的影響を引き起こすことはないことから、内部被ばくによる等価線量は評価しないこととしたこと。
(3) 旧93号告示では、第2項において、放射性物質の摂取量を計算する方法を示していたが、ICRPが示している摂取量算定のためのモデルがきわめて複雑であり、同項に示されていたような簡便式で記述することが困難であることから、摂取量算定の方法については告示に規定しないこととしたこと。
3 第3条関係
(1) 第1号ただし書について
旧93号告示では、不均等被ばくの場合の外部被ばくによる実効線量当量の計算式を示していたが、今回、放射線測定器を装着した各部位における1センチメートル線量当量に乗じる組織荷重係数が変更され、不均等被ばくによる影響が小さくなったため、不均等被ばくの場合の計算式を法令等で詳細に規定しないこととしたものであること。
なお、本号ただし書に規定されている「適切な方法」には、次の計算による方法があること。
HEE=0.08Ha+0.44Hb+0.45Hc+0.03Hm
HEE:外部被ばくによる実効線量
Ha:頭・頸部における1センチメートル線量当量
Hb:胸・上腕部における1センチメートル線量当量
Hc:腹・大腿部における1センチメートル線量当量
Hm:上記のうち外部被ばくによる実効線量が最大となるおそれのある部位における1センチメートル線量当量
胸・上腕部及び腹・大腿部を覆う防護衣を着用した場合は、頭・頸部及び胸・上腕部(女性(妊娠する可能性がないと診断された者を除く。)の場合、腹・大腿部)に放射線測定器を装着し、Hb=Hc(防護衣の中は均等被ばく)、Hm=Ha(防護されない頭・頸部が最大被ばく)となるので、次の計算式となること。
HEE=0.11Ha+0.89Hb
(2) 第2号イについて
旧93号告示では、眼の水晶体の組織線量当量の算定は3ミリメートル線量当量によって行うこととしていたが、いかなる場合も、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量を測定、確認しておけば、3ミリメートル線量当量が、眼の水晶体の1年間の等価線量限度である150ミリシーベルトを超えないように管理することができるので、電離放射線障害防止規則(以下「電離則」という。)第8条第2項において、3ミリメートル線量当量の測定を義務付けないこととしたことから、眼の水晶体の等価線量の算定は、「1センチメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうちいずれか適切なもの」によって行うこととしたこと。
なお、「いずれか適切なもの」としては、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量のうち、値が大きいものを採用することが安全側の評価として望ましいが、その値が著しく過大になる場合については、放射線の種類及びエネルギーの種類に応じて適切なものを採用して差し支えないこと。
(3) 第2号ロについて
中性子線の場合は、常に1センチメートル線量当量が70マイクロメートル線量当量よりも大きく、1センチメートル線量当量が1年間の実効線量限度である50ミリシーベルトを超えない限り、70マイクロメートル線量当量が皮膚の1年間の等価線量限度である500ミリシーベルトを超えることはないので、電離則第8条第2項において、1センチメートル線量当量のみの測定、確認とすることとしたことから、中性子線の場合の皮膚の等価線量の算定は1センチメートル線量当量によって行うこととしたこと。
(4) 旧93号告示の第2号ハについて
眼及び皮膚以外の等価線量限度を定めないこととしたことから削除したこと。
(5) 第2号ハについて
旧93号告示(第2号ニ)では、腹部の組織線量当量の算定は、1センチメートル線量当量と内部被ばくによる実効線量とを加算することにより行うこととしていたが、今回、電離則第6条において、妊娠中の女性について内部被ばくによる線量限度と外部被ばくによる線量限度とが別に定められることとなったことから、内部被ばくによる実効線量を加算しないこととしたこと。なお、妊娠中の女性の内部被ばくによる実効線量については、93号告示第2条により計算すること。
4 別表第1関係
第1欄の「サブマージョン」とは、人が放射性の気体に囲まれる場合に、吸入により身体組織に放射性物質が集積することによる線量よりも、体外又は肺の中の放射性気体からの線量の方がはるかに大きくなる核種を意味すること。例えば、放射性希ガスがこれに該当すること。

第2 昭和63年労働省告示第94号(電離放射線障害防止規則第8条第4項の規定に基づく厚生労働大臣が定める方法を定める件)の廃止について
昭和63年に電離則が改正された際、線量当量の単位は「レム」から「シーベルト」変更されたが、「レム」と「シーベルト」は、本来、単純な対応関係になく、放射線の種類及びエネルギーの大きさに応じて換算する必要があったため、事業場において、改正の前後で被ばく線量の比較、換算ができるよう、昭和63年労働省告示第94号が定められることとなったこと。
今回の改正では、被ばく線量の単位は「シーベルト」のままであり、最近では、1センチメートル線量当量等を直読可能な放射線測定器が普及していることから、事業場において当該告示にあるような係数を用いて換算を行う必要はほとんどなく、放射線測定器のメーカー等が、放射線測定器の校正等の目的に使用するものであること。このため、当該告示は必要なく、今回廃止することとしたこと。
なお、今回の改正に伴い、放射線の種類及びエネルギーから1センチメートル線量当量等を評価するための換算係数が変更され、新たな換算係数に対応した放射線測定器の日本工業規格(JIS)が定められることとなっていること。