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「機械の包括的な安全基準に関する指針」の解説等について
(平成19年7月31日基安安発第0731004号により廃止)

改正履歴
基安安発第14号
平成13年6月5日
都道府県労働局労働基準部
安全主務課長殿

厚生労働省労働基準局安全衛生部
安全課長



「機械の包括的な安全基準に関する指針」の解説等について


「機械の包括的な安全基準に関する指針」(以下「指針」という。)が平成13年6月1日付け基発第501号により示されたところであるが、下記のとおり、用語の解説等をとりまとめたので、指針の周知に当たって参考とされたい。


1 「3用語の定義」について
(1) 「機械」の定義については、ISO/DIS12100及び欧州機械指令における機械の定義に準じていること。
「制御部」には、オンオフのみのスイッチを含むものであること。「動力部」に用いられる動力源としては、電力、内燃機関、油圧、空気圧等があり、人力のみによって動かされるものは、指針において定義されている「機械」には該当しないこと。
(2) 「危険源」とは、労働災害を引き起こす原因となる部分であり、災害分析における起因物におおよそ該当するものであること。
(3) 「リスク」の定義において、「労働災害の発生する確率」については、[1]危険源にさらされる頻度及び時間、[2]危険事象の発生する確率、[3]被害を回避又は制限できる可能性等の要素が、また、「労働災害の重大さ」については、[1]被害の重篤度、[2]被害を及ぼす範囲(一人か複数か)等の要素が考えられること。
(4) 「リスクアセスメント」の定義において、「利用可能な情報」には、機械の仕様、機械の設置から使用、廃棄までの各段階における機械の安全方策に関するもののほか、同種の機械による事故や健康障害に関するもの等があること。
(5) 「製造者等」の定義において、「設計、製造」には、複数の機械を組み合わせる場合が含まれること。このため、複数の機械を組み合わて使用する事業者は、製造者等としてリスクアセスメント等を行う必要があること。
(6) 「安全防護装置」とは、労働者の存在を検知して機械の運動部分の動作を停止させること等の機能を持つもので、光線が遮断されることにより存在を検知する光線式安全装置、機械の起動操作を両手で行うことにより手が危険区域内にあるときは機械の操作ができないようにした両手操作式安全装置、マット状のスイッチにより労働者がその上に乗ったことを検知する装置、労働者の身体が接触したことを検知するバンパースイッチによる装置、超音波センサー、静電容量式センサー等のセンサーにより労働者の存在を検知する装置などがあること。
なお、インターロック付き可動ガードはガードに該当し、制御ガード(ガードを閉じることにより機械の運動部分が動作するもの。)は安全防護装置に該当すること。
(7) 「安全防護物」の定義において、「ガード」とは、囲い、柵、蓋、覆い等であり、容易に取り外せないように取り付けた固定ガード、扉のように開閉できるようにした可動ガード及び固定ガードの一部を作業等の必要性に合わせて調節できるようにした調節ガードがあること。
(8) 「製造等における残存リスク」は、製造者等が設備上の安全方策を講じた後に残るリスクとし、使用上の情報の提供により低減することが見込まれるリスクについては考慮しないこととしていること。これは、製造者等が機械を譲渡等する段階ではリスクが低減することが不確かであり、機械の使用者において安全方策が実施されて初めてリスクが低減するためであること。
(9) 「合理的に予見可能な誤使用」が起こり得る場合としては次のようなものがあること。
[1] 機械の使用中に、機能不良、事故又は故障が生じた時の人の反射的な行動があった場合
[2] 集中力の欠如又は不注意から生じる(故意の誤使用でない)正しくない行動があった場合
[3] 作業中における「近道反応」、「省略行動」等の行動があった場合
[4] 機械の運転を継続させようという動機から正しくない行動があった場合
[5] 製造者等が意図する目的又は方法を正しく知らない労働者がとりがちな行動があった場合

2 「5リスクアセスメントの方法」について
(1) リスクアセスメントにおいて、特定される「機械の危険源」には、別紙に掲げるもの等があること。
(2) 「リスクを評価」する方法としては、リスクの見積りにおいて、リスクを数値化すること等により区分しておき、許容されるリスク等について一定の基準を設定することによりリスクを評価すること等があること。
(3) 「リスクの低減の必要性の有無を決定する」判断の基準は、社会的な慣行、技術的可能性、費用対効果等の種々の要素のバランスにより決まるものであることから、指針においては「許容可能なリスク」の具体的な基準等は示していないが、死亡や後遺障害の残る可能性のあるような危険源に対しては必ず何らかの安全方策がとられるべきものであること。
(4) 「機械が使用等される状況」については、機械に関していかなる状況においても安全が確保されるよう、取り扱われるあらゆる場面、事態を想定しておくことが必要であり、指針に示されている状況以外にも危険が想定される状況があれば当然考慮する必要があるものであること。
「機械の意図する使用が行われる状況」には、機械の起動、操作、停止、材料の供給、製品の取出し等の作業があること。
「機械に故障、異常等が発生している状況」には、機械の部品の劣化や破損、回路の短絡等による故障、電磁ノイズによる異常事象、ソフトウェアエラーによる誤動作等が含まれること。

3 「7製造者等が行う安全方策の具体的方法等」について
機械の危険源の中で最も典型的であるのは、機械の運動部分の動作に伴うもの(機械的危険源)であるが、機械の運動部分は、加工等の機械の本来の目的である動作を行うものであることが多く、この危険源を除去することは困難であることから、一般的な安全方策としては安全防護によることとなること。
なお、機械的危険源以外で、安全防護を行うことによりリスク低減が可能な危険源としては、電気的危険源(接触することにより感電するおそれのある部分にガードを設ける。)、熱的危険源(近接、接触することにより火傷するおそれのある部分に断熱材によるガードを設ける。)等があること。

4 「別表第1本質的な安全設計の方法の例」について
(1) 1は、機械の外表面部や開口部の鋭利な端部、角、突起物等により身体が切り傷を受けること等を防止するため、このような危険な部分をなくす等の措置を求めているものであること。
具体的な安全化の方法としては、鋭利な角等をなくすことのほか、金属板の縁部について、バリを除去すること、折り曲げること等の措置を講じること、角部に丸みを付けること、管等の開口部に蓋をつけること等があること。
(2) 2は、機械の運動部分にはさまれたり、押しつぶされたり、あるいは切断されたりする危険を防止するために、機械の形状、寸法、駆動力等を考慮して設計しようとするものであること。
(3) 3は、材料の強度等に関する一般的知識に基づき機械を設計することにより機械の破損、破壊等を防止しようとするものであること。
この方法には示されている事項のほか、設計に当たって、応力変動がある部分について疲労強度を考慮すること等が考えられること。
(4) 4は、既に確立している本質安全の技術を使用することにより、危険源を除去しようとするものであり、機械の液圧機構部分に使用する液体に難燃性で、かつ有害性のないものを使用すること、可燃性ガスがある場所等爆発のおそれのある雰囲気で使用する機械について、型式検定に合格した本質安全防爆構造の電気機械器具を構成する機器に使用すること等があること。
(5) 5は、機械の設計に当たって人間工学に基づいた原則、知識を活用することにより、労働者の身体的負荷及び精神的負荷の軽減並びに認識誤り等による誤操作の発生の防止を図り、労働災害が発生する確率を低減しようとするものであること。
この方法には、示されている事項のほか、次に掲げるものも考えられること。
[1] 作業の妨げとなる点滅光、閃光等がないようにすること。
[2] 機械から、騒音、振動、温熱等を可能な限り除去すること。
[3] 作業位置から見て、危険な箇所が十分認識できるようにすること。
なお、操作装置の人間工学的な配慮事項については別表第6の第16号に示していること。
(6) 6は、制御システムについて誤作動等を防止しようとするものであること。制御システムの安全化のための方法としては、平成10年7月28日付け基発第464号「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドラインの策定について」によりフェールセーフ化の手法が示されているところであり、本号の具体的な措置の実施に当たっては当該ガイドラインの活用が望ましいこと。
「非対称故障特性」とは、複数の故障モードがある部品や回路において、特定の故障モードの発生確率が他より極端に高くなるような特性で、部品や回路にこの特性を持たせることにより、安全側に(一般的には機械が停止する側に)故障する確率を高くするものであること。
「冗長系」とは、複数の回路を並列的に設けることにより、一部に故障が生じても機能を維持する構造としたものであること。
「異種冗長化構成」とは、質の異なる複数の系を設けて、同時故障を避けるようにするものであること。
「自動監視」とは、装置に自己診断機能を持たせ、装置の故障、異常等の有無を定期的に自動的に確認し、故障等があれば機械を停止させる等安全側に作動するようにするものであること。
「プログラムの変更が容易にできないようにすること」には、プログラムにROM(リード・オンリー・メモリー)を使用する、パスワードを設定して所定の者以外プログラムに触れられないようにする等の方法があること。
(7) 7は、危険源に接近することなく、作業が行えるようにすることにより、危険状態が生じないようにしようとするものであること。

5 「別表第2機械的危険源に対する安全防護の方法」について
(1) 1は、機械的危険源に対する安全防護の原則が、労働者の身体が機械の運動部分と接触することを防止するための措置を講じることであることを定めたものであること。
(2) 2は、安全防護領域の設定の方法について定めたものであること。
「安全防護物が有効に機能するために必要な距離」とは、例えば格子状のガードであればその格子の間から身体の一部が内部に入ることを考慮し、仮に手等を格子の間から入れても機械の運動部分に接触しないように、格子の幅等に応じて身体の一部が内部に進入し得る距離であり、光線式安全防護装置であれば身体の一部が光線を遮断してから機械が停止するまでの時間において身体が進入する可能性のある距離及び光軸の間隔の寸法に応じて光軸を遮断することなく身体の一部が進入し得る距離であり、両手操作式の安全防護装置であれば手がスイッチを離れてから機械が停止するまでの時間において危険区域に手が進入する可能性のある距離をいうこと。
「はさまれ防止のために必要な空間」とは、安全防護領域内に作業者又はその身体の一部が入る場合に、ガードと機械の運動部分にはさまれることがないようにするために必要な幅を確保するための空間をいうこと。
(3) 3は、安全防護物の性能、設置の方法等について定めたものであること。
3の(1)は、労働者が安全防護領域に入る必要がない作業の場合の安全防護の方法は、安全防護領域すべてを固定ガードで囲うことにより、労働者の身体と機械を物理的に隔離しようとするものであること。
3の(2)は、材料の供給、加工後の製品の取出し等のために労働者が安全防護領域内に進入することが必要な場合の安全防護の方法は、労働者の身体の一部又は全部が入る必要のある部分を開口部とし、他の部分は進入することができないよう固定ガード等を設けるとともに、開口部には、可動ガード又は安全防護装置を設け、労働者の身体が進入したときは機械が停止するか又は機械の作動中には労働者が進入できないようにしようとするものであること。また、開口部に労働者の身体が通過したとき機械の運動部分が停止する機能を持った安全装置を設けた場合で、労働者が安全防護領域内に全身をいれることが可能なときは、労働者が中に入ってしまった状態で、他の者が機械を起動する等の危険があることから、これを防止するために、安全防護領域内の労働者の存在を検知する装置を設け、内部に労働者がいる場合には運転できないようにインターロック機構を設けること等の措置を講じる必要があること。
3の(3)は、ガードに共通的な構造上の要件を定めたものであること。
3の(4)は、固定ガードの要件を定めたものであること。
ここでいう開口部は、定常作業において作業の必要上安全防護領域に進入するために設けられているものとは異なり、材料の位置ずれ等が生じたときに反射的に作業者が手を入れて修正しようとした場合における危険防止を想定したものであること。
3の(5)は、可動ガードの要件を定めたものであること。
可動ガードは、作業能率を上げようと、リミットスイッチ部にテープを巻いて固定したり、電磁スイッチ部に磁石を付けたりすること等により安全機能が無効化されることがあるため留意する必要があること。
3の(6)は、調節ガードの要件を定めたものであること。
3の(7)は、安全防護装置の要件を定めたものであること。
安全防護装置の構造基準は、強制規格あるいは任意規格により定められているものが多くあるので、これに留意する必要があること。
3の(8)は、安全防護装置の制御システムの要件を定めたものであること。

6 「別表第3追加の安全方策の方法」について
(1) 1は、緊急の事態が生じたときに、機械の操作者又は共同作業者等が機械を停止させ、労働災害の発生又は被害の拡大を防止することができるようにしようとするものであること。
(2) 2の「労働者の脱出又は救助のための措置を可能とすること」には、機械を非常停止させたときに、手動により操作できるようにすること、はさまれた被災者を開放するために反転動作ができるようにすること、被災者等が救助を求めるための通信手段を設けること等があること。

7 「別表第4使用上の情報の内容」について
(1) 3は、機械の寸法、重量、能力等についての情報であり、機械の能力範囲内での運転、性能の維持等に必要なものであること。
(2) 4は、機械のリスク等に関する情報であり、機械の危険源及び危険状態並びにそれに対して行った安全方策を示すことにより、機械の使用者が誤って安全方策を無効にすること等がないようにすること、製造者等において、安全方策が十分でなく残存しているリスクについて明示し、使用上の情報に従って機械を使用する事業者が行うべき安全方策について認識させることをねらいとしたものであること。
(3) 5は、機械の運搬、設置、使用及び廃棄といった各段階において安全な取扱いを行うために必要なものであり、取扱説明書等に含めるべき事項を示したものであること。
5の(1)の「機械の構造に関する情報」には、次のようなものがあること。
[1] 機械、取付け具、ガード及び安全防護装置に関する詳細な情報
[2] 図面(特に、安全機能に係る概念図)
[3] 機械から生じる騒音、振動、放射線、粉塵に関するデータ
[4] 電気設備に関するデータ(例えば、感電又は電気火災を引き起こすような電気装置の故障等、機械の機能不良を引き起こすような制御回路の故障等、機械の機能不良を引き起こすような電力回路の故障、電源の変動等、電気機器の内部で発生する電磁ノイズ等、内部に蓄積される電気的エネルギー)
[5] 機械が法令により規制を受けているものである場合、適合していることを証明する書面(検定合格証等)
5の(2)の「機械の運搬、保管、組立て、据付け、試運転等に関する情報」には、次のようなものがあること。
[1] 寸法、質量、重心位置
[2] 取扱いに関する指示(例:吊り上げ設備使用時の吊り位置を示した図面)
[3] 機械の保管条件
[4] 組立て及び取付けの条件
[5] 機械の固定、据付けに関する条件(振動減衰の方法等に関する事項も含む)
[6] 使用及び保守作業等に必要なスペース
[7] 許容できる環境条件(温度、湿度、振動、電磁波等)
[8] 動力源への接続に関する事項(特に、電気的過負荷に対する保護に関する事項)
[9] 必要に応じて、使用者が実施すべき安全防護、信号装置等の措置
5の(3)の「機械の運転に関する情報」には、次のようなものがあること。
[1] 手動操作装置に関する事項
[2] 機械の運転準備、調整等に関する事項
[3] 停止(特に、非常停止)のモード及び手段
[4] リスクアセスメントで特定した危険源
[5] 製造等における残存リスクに関する情報
[6] 特定の用途及び取付け具によっては生じるおそれのある特別なリスク並びにその用途に必要とされる特定の安全防護物についての情報
[7] 禁止すべき用途に関する情報
[8] 想定される故障、異常等の種類及び部位、その修理の方法並びにその後の再起動に関する事項
[9] 必要に応じて、使用すべき保護具及び必要な訓練に関する事項
5の(4)の「機械の保守等作業に関する情報」には、次のようなものがあること。
[1] 点検の対象、方法、頻度等
[2] 特定の技術知識又は特別な技量を要し、機械の運転に熟練した者だけで行われるべき保守等作業に関する事項
[3] 特別の技量を有しない者によって行うことが許される保守等作業(部品交換等)に関する事項
[4] 保守等作業を行う者がその作業(特に、故障等の検出作業)を適切に遂行するための図面及び図表
5の(5)の「非常事態に関する情報」には、次のようなものがあること。
[1] 使用できる消火設備の型式
[2] 有害物質の漏洩等の可能性についての警告及び、可能ならば、その事態に対処する手段
(4) 6は、故意に行われる用途外使用等の誤った使用について警告することを求めたものであること。合理的に予見可能な誤使用については、設備上の安全方策により労働者の知識等の如何にかかわらず、それによる危険を防止することが原則であるが、故意に行われる誤った使用まですべて設備的な対策をとることは困難なことが多いため、明確に禁止する等の警告を行うことが必要である。

8 「別表第5使用上の情報の提供の方法」について
(1) 1は、機械本体に貼り付ける標識、警告表示等の要件を定めたものであること。
「標識」は、容易に理解できる単純化した図形やシンボルマークを使用した説明なしの絵文字により何らかの安全に関する情報を伝えるものをいい、「警告表示」は、危険源を知らせるものと、危険に関して禁止される事項や行うべき事項を知らせるものがあり、絵文字のものや絵文字と文字を組み合わせたもの等があること。
標識、警告表示以外に、機械本体に貼り付けて表示すべき事項としては、製造者名、型式名、製造番号等の機械を特定するための情報、機械の仕様等があること。
(2) 2は、警報装置の要件を定めたものであること。
「警報装置」とは、警笛、サイレン、ブザー、点滅灯等の聴覚信号又は視覚信号により機械の操作者等に情報を伝えるものをいうこと。特に、機械の起動、速度超過等重要な警告を発する場合には、関係者が確実に認識できるように警告を工夫する必要があること。
(3) 3は、取扱説明書、使用マニュアル等の機械に付属する文書についての要件を定めたものであること。
取扱説明書等は、機械が使用されている間、常に利用できる状態にあることが必要であり、このために必要な事項を定めていること。
(4) 4は、製造者等が機械の使用者(実際に操作に当たる者、機械の管理に当たる者、機械運転の指導に当たる者等を含む。)に対し、使用方法等について直接に指導を行う場合を想定したものであり、必要に応じて適宜実施されることが望ましいこと。

9 「別表第6安全方策に係る留意事項」について
(1) 1は、加工中の材料、加工後の製品、金属屑等の排出物等が、通常の作業工程において、あるいは位置不良、破損等により落下、飛来等することによる危険を防止するための措置を求めているもので、破損の可能性のある加工物である場合に飛散防止のためのガードを設けること等の措置が必要であること。
(2) 2は、機械の油圧機構等における高圧流体の噴出、高圧ホースの跳ね等による危険を防止するための措置を求めているもので、高圧流体が通るホース等が外力により損傷することがないようカバーを設けること、圧力が許容値を超えないよう制限弁を設けること、噴出のおそれのある部分にガードを設けること、アキュムレータは機械の運転が停止されたとき自動的に減圧されるようにすること等の措置が必要であること。
(3) 3は、高温又は低温の部分に労働者の身体が接触又は近接することによる火傷等の危険を防止するための措置を求めているもので、当該部分にガードを設けること、断熱材を取り付けること等の措置が必要であること。
(4) 4は、機械で使用する材料、動力源として使用する燃料等により機械が着火源となって火災が発生することを防止するための措置を求めているもので、機械の各部の温度上昇が危険を生じるまでにならないよう制限すること、機械に使用する材料を難燃性のものとすること等の措置が必要であること。
(5) 5は、機械に使用する材料、動力源として使用する燃料等により、あるいは、機械が着火源となって爆発が発生することを防止するための措置を求めているものであり、機械において使用する可燃性のガス等が爆発範囲の濃度にならないようにすること、機械に使用する材料を難燃性のものとすること、機械を防爆性能を有するものとすること等の措置が必要であること。
(6) 6は、感電による危険を防止するための措置を求めているもので、露出した充電部分へのガードの設置、安全電圧以下の電圧を使用すること、漏電防止装置の設置等の措置が必要であること。
(7) 7は、大型の機械で、高所における作業が必要なものについて、墜落による危険を防止するための措置を求めているもので、定常作業はもとより、非定常作業についても、その作業を安全に行うために必要な広さの作業床を設け、かつ、当該作業床の端に手すりを設けること等の措置が必要であること。
(8) 8は、大型の機械で、機械上を移動する必要があるものについて、転落による危険を防止することを求めているもので、適切な広さの通路、階段、はしご等を設け、かつ、当該通路等に滑り防止対策及び墜落防止対策を講じること等の措置が必要であること。
(9) 9は、機械に設けた作業床での滑り、つまづき等による危険を防止するための措置を求めているもので、床面を滑りにくい材料とすること、不要な凹凸をなくすこと等の措置が必要であること。
(10) 10は、機械において取り扱う有害物質による健康障害を防止するための措置を求めているもので、作業者の有害物質への暴露が制限されるよう、密閉設備とすること、局所排気装置等の設置等を行うこと等の措置が必要であること。
(11) 11は、電離放射線、レーザー光線等(以下、「放射線等」という。)による健康障害を防止するための措置を求めているもので、放射線等を使用する機械においては、関係者が当該放射線等をばく露しないよう当該放射線等が機械の外部にできる限り漏れないようにすること等の措置が必要であること。
(12) 12は、機械が発生させる騒音又は振動による健康障害を防止するための措置を求めているもので、騒音又は振動をできる限り低減するため、防振技術、制振技術を機械に適用すること等の措置が必要であること。騒音については、それが騒音性難聴等をもたらすおそれのあるレベル以下であっても、騒音のために警報が聞こえないといったリスクをもたらす可能性があり、できる限り抑制することが望ましいこと。
(13) 13は、保守、点検、清掃、修理、調整等(以下、「保守等」という。)の非定常作業における危険を防止するための措置を求めているものであること。
「リスクの低減のために必要な措置」には、保守等の作業中は機械の運転速度を低下させ、ホールド・ツー・ラン(作業者が操作している間のみ機械が動作する運転モード)等により運転するようにすること等の措置があること。
13の(3)は、機械の動力源を遮断して保守等の作業時を行う際に、誤って他の者が動力を入れる等の危険を防止するための措置を求めているものであること。
(14) 14は、重量のある機械について、運搬中の落下等による危険を防止するための措置を求めているもので、機械を安定的につりあげることができるようなフック、リング等を設けること、フォークリフトで持ち上げるためのフォークの案内溝を設けること等の措置が必要であること。
(15) 15は、機械が機械自体の運動による力、操作者による力、地震、風圧等の外力等により転倒することによる危険を防止するための措置を求めているもので、設計段階で重量分布、機械の運動部分のモーメント等を考慮し、安定性を持った形状とすること、安定度を高めるための張出部を設けること等の措置が必要であること。
(16) 16は、機械の安全防護領域内に関係者がいるにもかかわらず、機械の運転を開始し、機械にはさまれること等の危険を防止するための措置を求めているもので、運転開始時の安全確認を可能とすること等の措置が必要であること。
(17) 17は、誤操作、回路の故障等による危険を防止するため、操作装置に係る留意事項をまとめたもので、人間工学的な配慮、適切な回路の設定等の措置が必要であること。
17の(2)のアは、誤って身体の一部がレバー等に触れること等により、起動させようという意図がないのに機械が起動してしまうことを防止しようとするもので、押しボタンを押しながら起動レバーを動かさないと機械が起動しないような起動装置とすること等を求めているものであること。