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小規模雑居ビルの防火安全対策について

改正履歴
基安発第55号
平成13年10月10日


都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局
安全衛生部長


小規模雑居ビルの防火安全対策について


 周知のとおり本年9月1日、東京都新宿区歌舞伎町の「明星56ビル」における火災(別添1参照)により、同ビルに入居する店舗の労働者を含め多数が死傷するという重篤な災害が発生したところである。
 現在、所轄の東京労働局等において、事故の発生原因等の調査を進めているところであるが、当該事故の重大性に鑑み、小規模雑居ビルにおける火災等の事故防止に万全を期することが必要である。
 ついては、下記事項に留意しつつ、小規模雑居ビルに店舗を置く事業者を対象として、あらゆる機会を活用し火災時における労働者への危害防止のための指導等に努められたい。




1 事業者に対する指導等
不特定多数の者が出入りする雑居ビルの火災防止のための防火管理、消防用設備等の設置、建築物の防火の基準等の法の適用については、主として消防法及び建築基準法によるものであること(別添2参照)。
労働基準行政機関においては、火災時における労働者への危害を未然に防止する観点から、労働者に対する教育訓練の実施、避難用通路等の確保等、労働安全衛生関係法令を踏まえた次の事項を中心として、必要に応じて、消防等関係機関とも連携を図りつつ、事業者に対する指導等をするものであること。
(1) 火災時における応急措置及び避難等に関する事項を中心とした安全教育を 随時実施すること。
労働者を雇い入れた際には、事故時等における応急措置及び退避に関する ことを含めた雇入れ時の安全衛生教育を実施すること(労働安全衛生法第59 条第1項、労働安全衛生規則第35条)。
(2) 店舗に通ずる雑居ビルの共用階段等に避難の際に障害となる物を置かない 等その通路としての安全性を確保すること(労働安全衛生法第23条、労働安全 衛生規則第540条、542条)。
(3) 常時使用しない避難用の出入口、通路又は避難器具については、避難用である旨の表示をするとともに、当該場所に避難の際に障害となる物を置かないこと(労働安全衛生法第23条、労働安全衛生規則第549条)。
(4) 必要に応じて、上記(2)及び(3)の措置の実施については、ビルの所有者 及びビルの所有者から貸与を受けて店舗を置く他の事業者との間で協議を行 い、連携した取組みを行うこと。
(5) 事業の規模等を勘案し、必要に応じ、昭和55年12月16日付け基発第692 号「旅館・ホテルの防火安全対策について」の記の3に準じて、安全管理の担当 者を選任するとともに、 その者に次の事項を担当させること。
消防及び避難・誘導の教育訓練、その他の安全教育の実施に関すること
ビルの所有者及びビルの所有者から貸与を受けて店舗を置く他の事業者との消防、避難等に関する事項の協議、連絡調整に関すること

2 指導、助言の実施等
(1) 上記1の指導等については、商工会議所、商工会等の各種団体の会合、集 団指導、労働保険への加入促進のための説明会等の機会を活用して行うこと。
なお、別紙のとおり、指導啓発用資料の参考例を作成したので、参考とされたい。
(2) 小規模雑居ビル火災の防止につき、消防等関係行政機関から集団指導等 の実施について協力を求められた場合には積極的に協力すること。