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労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する
法律の一部を改正する法律等の施行について

改正履歴
基発第233号
平成13年3月30日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長

労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する
法律の一部を改正する法律等の施行について


労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律(平成12年法律第124号)による労働者災害補償保険制度の改正の大綱については、既に平成12年12月26日付け労働省発基第101号をもって労働事務次官より通達されたところである。
今般、同法の施行に伴い、労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成13年政令第1号)、労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する等の省令(平成13年厚生労働省令第31号)及び労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める件の一部を改正する件(平成13年厚生労働省告示第128号)が平成13年4月1日(介護作業従事者に関する特別加入制度の創設及び継続事業(一括有期事業を含む。)における建設の事業又は立木の伐採の事業に係るメリット制の増減率の改定に係る部分については平成13年3月31日)から施行されることとなった。
ついては、下記事項に留意の上、事務処理に遺憾なきを期されたい。
(注)法令の略称は次のとおりである。
改正法=労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律(平成12年法律第124号)
労災法=労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)
旧労災法=改正法第1条による改正前の労災法
新労災法=改正法第1条による改正後の労災法
徴奴法=労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)
旧徴収法=改正法第2条による改正前の徴収法
新徴収法=改正法第2条による改正後の徴収法
整備攻令=労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成13年政令第1号)
新徴収令=整備政令第2条による改正険の保険料の徴収等に関する法律施行令
改正省令=労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する等の省令(平成13年厚生労働省令第31号)
労災則=労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号)
旧労災則=改正省令第1条による改正前の労災則
新労災則=改正省令第1条による改正後の労災則
徴収則=労働保険の保険料の徴収等に関する法律法律施行規則(昭和47年労働省令第8号)
旧徴収則=改正省令第2条による改正前の徴収則
新徴収則=改正省令第2条による改正後の徴収則
旧告示=労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める件の一部を改正する件(平成13年厚生労働省告示第128号)による改正前の労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める件(昭和35年労働省告示第10号)
新告示=労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める件の一部を改正する件による改正後の労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める件
安衛法=労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
安衛則=労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)
介護労働者法=介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成4年法律第63号)
介護労働者則=介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則(平成4年労働省令第18号)



第1 第1二次健康診断等給付の創設
1 改正の趣旨
近年、定期健康診断における有所見率が高まっているなど、健康状態に問題のある労働者が増加している中で、業務による過重負荷により基礎疾患が自然経過を超えて急激に著しく増悪し、脳血管疾患及び心臓疾患(以下「脳及び心臓疾患」という。)を発症して死亡又は障害状態に至ったものとして労災認定された件数は、増加傾向にある。脳及び心臓疾患は生活習慣病といわれ、偏った生活習慣に起因することが多い疾病であるが、業務に起因するストレスや過重な負荷により発症する揚合もあるところである。
脳及び心臓疾患の発症は、本人やその家族はもちろん、企業にとっても重大な問題であり、社会的にも様々な問題を惹起している。今後、労働者の高齢化がさらに進展し、脳及び心臓疾患に係る労災請求事案の増加が懸念される中、労働者に起こり得る甚大な被害の発生を防ぐことの重要性が増しているところである。
一方、医療の分野においては、予防の重要性が広範に認識されるようになっているところであるが、脳及び心臓疾患については、安衛法で定める定期健康診断等により、その発症の原因となる危険因子の存在を事前に把握し、かつ、適切な保健指導を行うことにより発症を予防することが可能である。
こうした観点から、平成12年1月25日の労働者災害補償保険審議会において、業務上の事由による脳及び心臓疾患の発生の予防に資するための新たな保険給付の創設について建議がなされたこと等から、「二次健康診断等給付」を創設することとしたものである。
2 改正の内容
(1) 二次健康診断等給付の支給要件(新労災法第26条第1項及び新労災則第18条の16第1項関係)
二次健康診断等給付は、安衛法第66条第1項の規定による健康診断又は当該健康診断に係る同条第5項ただし書の規定による健康診断(以下「定期健康診断等」という。)のうち、直近のもの(以下「一次健康診断」という。)において、血圧検査、血液検査その他業務上の事由による脳及び心臓疾患の発生にかかわる身体の状態に関する検査であって、厚生労働省令で定めるものが行われた場合において、当該検査を受けた労働者(労災法第4章の2に規定する特別加入者を除く。以下同じ。)がそのいずれの項目にも異常の所見があると診断されたときに、当該労働者(当該一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患(以下「脳又は心臓疾患」という。)の症状を有すると認められるものを除く。)に対し、その請求に基づいて行われるものであること。
具体的には次のとおりであること。
一次健康診断の結果、次に掲げる検査のすべての項目において医師による異常の所見(以下「給付対象所見」という。)が認められた場合に支給されること。
(ア) 血圧の測定
(イ) 血中脂質の検査
次の検査のいずれか1つ以上とする。
・血清総コレステロール
・高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)
・血清トリグリセライド(中性脂肪)
(ウ) 血糖検査
(エ) BMI(肥滴度)の測定
なお、BMIは次の算式により算出された値をいうこと。
BMI= 体重(kg)

身長(m)2
この場合、「異常の所見」とは、検査の数値が高い場含(高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)にあっては低い場合)であって、「異常なし」以外の所見を指すものであること。
ただし、一次健康診断の担当医がアの(ア)から(エ)の検査については異常なしの所見と診断した場合であっても、安衛法第13条第1項に基づき当該労働者が所属する事業場に選任されている産業医や同法第13条の2に規定する労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師(地域産業保健センターの医師、小規模事業場が共同選任した産業医の要件を備えた医師等)(以下「産業医等」という。)が、一次健康診断の担当医が異常なしの所見と診断した検査の項目について、当該検査を受けた労働者の就業環境等を総合的に勘案し異常の所見が認められると診断した場合には、産業医等の意見を優先し、当該検査項目については異常の所見があるものとすること。
(2) 二次健康診断等給付の範囲
二次健康診断等給付の範囲は、次のとおりであること。
二次健康診断(新労災法第26条第2項第1号及び新労災則第18条の16第2項関係)二次健康診断は、脳血管及び心臓の状態を把握するために必要な検査(一次健康診断において行われる検査を除く。)であって厚生労働省令で定めるものを行う医師による健康診断をいうこと。
具体的には、次の検査の全てを実施するものであること。
(ア) 空腹時の血清総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライド(中性脂肪)の量の検査(空腹時血中脂質検査)
(イ) 空腹時の血中グルコース(ブドウ糖)の量の検査(空腹時血糖値検査)
(ウ) ヘモグロビンA1c検査(一次健康診断において当該検査を行った場合を除く。)
(エ) 負荷心電図検査又は胸部超音波検査(心エコー検査)
(オ) 頸部超音波検査(頸部エコー検査)
(カ) 微量アルブミン尿検査(一次健康診断における尿中の蛋白の有無の検査において、
疑陽性(±)又は弱陽性(+)の所見があると診断された場合に限る。)
特定保健指導(新労災法第26条第2項第2号及び同条第3項関係)
特定保健指導は、二次健康診断の結果に基づき、脳及び心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師、保健婦又は保健士による保健指導をいうこと。
具体的には次の指導の全てを行うものであること。
(ア) 栄養指導
(イ) 運動指導
(ウ) 生活指導
なお、二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、療養を行うことが必要であるため、当該二次健康診断に係る特定保健指導を行わないものとすること。
(3) 支給回数(新労災法第26条第2項関係)
二次健康診断は、1年度につき1回に限り、特定保健指導は、二次健康診断ごとに1回に限る。したがって、同一年度内に1人の労働者に対して2回以上の定期健康診断等を実施している事業場であっても、一次健康診断において給付対象所見が認められる場合に当該年度内に1回に限り支給するものであること。
なお、一次健康診断を実施した次の年度に当該一次健康診断に係る二次健康診断等給付を支給することは可能である。ただしその場合は、当該年度に実施した定期健康診断等について、同一年度内に再度二次健康診断等給付を支給することはできないものであることに留意されたい。
(4) 支給方法(新労災則第11条の3第1項関係)
労災病院又は都道府県労働局長が指定する病院若しくは診療所(以下「健診給付病院等」という。)において、直接、二次健康診断及び特定保健指導を給付(現物給付)することにより行うこと、なお、二次健康診断及び特定保健指導を給付した健診給付病院等は、給付に要した費用を二次健康診断等給付を請求した労働者(以下儲求労働者」という。)の所属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄労働局長」という。)に請求するものとすること。
(5) 都道府県労働局長が病院又は診療所を指定する際の手続(新労災則第11条の3第2項及び第3項関係)都道府県労働局長が病院又は診療所を指定する際の指定準則等については、別に通達するが、概要は次のとおりであること。
都道府県労働局長の指定を受けることを希望する医療機関の開設者は、「労災保険二次健診等給付医療機関指定申請書」に、必要な書類を添付し、医療機関の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「管轄労働局長」という。)に提出すること。
申請書を受領した管轄労働局長は、ウに掲げる指定選考基準により、指定の適否を調査決定するとともに、速やかにその結果を「労災保険二次健診等給付医療機関指定通知書」又は労災保険二次健診等給付医療機関非指定通知書」により申請者に通知すること。
指定選考基準は次のとおりであること。
(ア) 物的要件
二次健康診断等給付に相応した次に掲げる医療器具を具備しているものであること。ただし、a及びCの器具により行った採血及び採尿を分析する器具を具備する必要はない。また、(オ)bの要件を備えることにより、dの医療器具を具備しないことができる。
a 下記の検査を行うことができる血液検査器具
血清総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量、血中グルコースの量、ヘモグロビンA1c
b 負荷心電図に係る装置(トレッドミル法、エルゴメーター法又はマスター法に限る。)
c 尿検査器具
d 画像診断用超音波装置(頸部及び心臓を診察できるもの)
(イ) 人的要件
二次健康診断及び特定保健指導を担当する医師、保健婦又は保健士が、労災保険及び産業保健に関する知識を有し、二次健康診断及び特定保健指導について積極的な協力ができるものであること。
(ウ) 診療録等の整備状況に関する要件
二次健康診断の結果及び特定保健指導の記録その他二次健康診断等給付に関する帳簿書類の記録及び保管等が適切に行われるものであること。
(エ) その他の要件
a 二次健康診断の受診が相当程度見込まれるものであること。
b 健康診断の精度が高く信頼できるものであること。
c 胸部超音波検査及び頸部超音波検査の一方又は両方を他の労災保険二次健診等給付医療機関に委託する揚合にあっては、胸部超音波検査及び頸部超音波検査について他の適当な労災保険二次健診等給付医療機関を紹介する体制を整えていること。また、委託した場合の費用分配等について的確な経理管理ができる体制を整えていること。
管轄労働局長は、病院又は診療所を指定し、又はその指定を取り消すときは、当該病院又は診療所の名称及び所在地を公告しなければならないこと。
管轄労働局長の指定を受けた病院又は診療所は、それぞれ新労災則様式第5号又は第6号による標札を見やすい場所に掲げなければならないこと。
(6) 二次健康診断等給付の請求手続
請求方法(新労災則第18条の19第1項及び新告示様式第16号の10の2関係)
二次健康診断等給付は、請求労働者が次に掲げる事項を記載した請求書(新告示様式第16号の10の2。以下「給付請求書」という。)を、二次健康診断等給付を受けようとする健診給付病院等を経由して請求労働者の所属する事業揚の所轄労働局長あて提出することにより行うものであること。
(ア) 氏名、生年月日及び住所
(イ) 事業の名称及び事業場の所在地
(ウ) 一次健康診断を受けた年月日
(エ) 一次健康診断の結果
(オ) 二次健康診断等給付を受けようとする健診給付病院等の名称及び所在地
(カ) 請求の年月日(健診給付病院等に給付請求書を提出した年月日をいう。)
給付請求書に添付する書類(新労災則第18条の19第2項関係)二次健康診断等給付の請求を行うときほ、給付請求書には一次健康診断において(1)のアの検査のいずれの項目にも異常の所見があると診断されたことを証明することができる書類を添付することとすること。
事業主の証明が必要な事項(新労災則第18条の19第3項関係)
給付請求書に記載された一次健康診断を受けた年月日及びイの書類が一次健康診断に係るものであることについては、事業主の証明を受けなければならないこと。
請求期限(新労災則第18条の19第4項関係)
二次健康診断等給付の請求は、一次健康診断を受けた日から3か月以内に行わなければならないものとすること。ただし、当該期間内に、天災その他請求しなかったことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでないこと。
(7) 二次健康診断等給付に要した検査等の費用の請求方法
健診給付病院等が二次健康診断等給付に要した検査等の費用を請求するときは、二次健康診断等給付費用請求書を、給付請求書と合わせて請求労働者の所属する事業場の所轄労働局長あて提出させることとすること。
(8) 二次健康診断等給付に関する事務の管轄(新労災則第1条第2項関係)
二次健康診断等給付に関する事務は、請求労働者の所属する事業場の所轄労働局長(事業場が2以上の都道府県労働局の管轄区域にまたがる場合には、その事業の主たる事務所の所轄労働局長)が行うこと。
(9) 二次健康診断等給付に関する処分の通知等(新労災則第19条第1項及び第2項関係)
所轄労働局長は、二次健康診断等給付の全部又は一部について支給しないこととする処分を行ったときは、遅滞なく、文書で、その内容を請求労働者に通蝕しなければならないこと。
また、所轄労働局長は、二次健康診断等給付に関する支給又は不支給の処分を行ったときは、請求労働者等から提出された書類その他の資料のうち返還を要する資料があるときは、遅滞なく、これを返還するものとすること。
(10) 二次健康診断の結果についての医師からの意見聴取(新労災法第27条、安衛法第66条の4、新労災則第18条の17及び第18条の18並びに安衛則第51条の2第2項関係)
二次健康診断を受けた労働者から当該二次健康診断の実施の日から3か月以内に当該二次健康診断の結果を証明する書面の提出を受けた事業者(安衛法第2条第3号に規定する事業者をいう。)は、安衛法第66条第1項から第4項まで若しくは第5項ただし書又は第66条の2の規定による健康診断及び当該二次健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、当該二次健康診断の結果を証明する書面が事業主に提出された日から2か月以内に、医師の意見を聴かなければならないこと。また、聴取した医師の意見は安衛則様式第5号の健康診断個人票に記載しなければならないこと。
(11) 二次健康診断実施後の措置(安衛法第66条の5関係)
事業主は、(10)による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設若しくは設備の設置又は整備その他の適切な措置を講じなければならないこと。
なお、事業主が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針(健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(平成8年労働省公示第1号))について、改正法の施行に併せて改正し、4月1日から適用されることとしていること。
3 その他
(1) 特別加入者の取扱い(新労災法第34条から第36条まで関係)
二次健康診断等給付は、事業主による業務軽減などの適切な予防対策に結びつけることを趣旨としているが、特別加入者については、安衛法の適用がないことから定期健康診断等の適用対象となっておらず、健康診断の受診について自主性に任されていることから二次健康診断等給付の対象としないこととすること。
(2) 二次健康診断等給付の結果と他の労災保険給付との関係
二次健康診断等給付として二次健康診断を受診した結果、既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有していると診断されたことにより、療養補償給付等の他の保険給付の請求がなされた場合は、通常の脳及び心臓疾患に係る労災請求事案と同様に平成7年2月1日付け基発第38号「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」に基づき業務上外の判断を行うこと。
(3) 労災保険率の決定基準に関する改正(新徴収法第12条第2項、改正法附則第3条、新徴収令第2条及び整備政令附則第2項関係)
労災保険率の決定に当たっては、従来、過去3年間に発生した業務災害及び通勤災害に係る保険給付の種類ごとの受給者数及び平均受給期間その他の事項に基づき算定した保険給付に要する費用の予想額を基礎とし、労災保険に係る保険関係が成立しているすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率、労働福祉事業として行う事業の種類及び内容、労働者災害補償保険事業の事務の執行に要する費用の予想額その他の事情を考盧して定めるものとされていたが、二次健康診断等給付の創設に伴い、上記要素のほか、新たに二次健康診断等給付の受給者数に基づき算定した保険給付に要する費用の予想額をも基礎とし、二次健康診断等給付に要した費用の額をも考慮するものとされたこと。
ただし、経過措置として、改正法の施行日の属する保険年度及びこれに引き続く二保険年度においては、労災保険率を決定する場合に基礎とすべき「二次健康診断等給付の受給者数に基づき算定した保険給付に要する費用の予想額」については、「二次健康診断等給付の受給者数又は二次健康診断等給付の受給者の見込数」を基礎とし、考慮すべき「二次健康診断等給付に要した費用の額」については、「二次健康診断等給付に要した費用の額又は二次健康診断等給付に要する費用の予想額」を考慮して決定することとしたこと。
(4) 第一種特別加入保険料率に関する改正(新徴収法第13条、改正法附則第3条及び新徴収則第21条の2関係)
従来、第一種特別加入保険料率は、当該事業についての労災保険率と同一の率とされていたが、二次健康診断等給付制度は特別加入者については適用されないことから、第一種特別加入保険料率は、第一種特別加入者に係る事業についての労災保険率と同一の率から労災法の適用を受けるすべての事業の過去3年間の二次健康診断等給付に要した費用の額を考慮して厚生労働大臣の定める率を減じた率としたこと。
ただし、(3)と同様の経過措置を設けたこと。
また、当該厚生労働大臣が定める率は、零としたこと。
(5) メリット制における二次健康診断等給付の取扱い(新徴収法第12条第3項及び第20条、改正法附則第3条並びに新徴収則第16条第2項及び第19条関係)
継統事業及び有期事業に係るメリット制(労災保険率及び確定保険料の特例)について、二次健康診断等給付の性格及びメリット制の趣旨にかんがみ、二次健康診断等給付に要した費用の額は、通勤災害に関する保険給付と同様に、継続事業についてのメリット労災保険率及び有期事業についてのメリット確定保険料額の算定の基礎となる保険給付の額及び一般保険料の額に含めないこととしたこと。当該改正等に伴う規定の整備として、従来の「通勤災害に係る率」に代わるもめとして、一般保険料の額にあっては、労災法の適用を受けるすべての事業の過去3年間の通勤災害に係る災害率及び二次健康診断等給付に要した費用の額その他の事情を考慮して厚生労働大臣の定める率を「非業務災害率」と規定し、第一種特別加入保険料の額にあっては、非業務災害率から労災法の適用を受けるすべての事業の過去3年間の二次健康診断等給付に要した費用の額を考慮して厚生労働大臣の定める率を減じた率を「特別加入非業務災害率」と規定したこと。
ただし、(3)と同様の経過措置を設けたこと。
また、非業務災害率は、1000分の1としたこと。
(6) 支給制限(労災法第12条の2の2関係)
二次健康診断等給付については、労災法第12条の2の2に基づく支給制限の問題は生じないものであること。
(7) 費用徴収
不正受給者からの費用徴収(労災法第12条の3関係)
。二次健康診断等給付における不正受給者からの費用徴収において徴収する徴収金の価額は、保険給付を受けた者が受けた保険給付めうち、偽りその他不正の手段により給付を受けた部分に相当する価額とすること。
第三者の行為による事故(労災法第12条の4関係)
二次健康診断等給付については、労災法第12条の4に基づく第三者に対する損害賠請求権の取得の問題は生じないものであること。
事業主の費用徴収(新労災法第31条関係)
新労災法第31条第1項第1号から第3号までに該当する事故について保険給付を行う揚合は、労働基準法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することとなっているが、労働基準法上規定のない二次健康診断等給付については費用徴収は行わないものとすること。
(8) 時効(新労災法第42条関係)
二次健康診断等を受ける権利は、労働者が一次健康診断の結果を了知し得る日の翌日から起算して2年で時効により消滅すること。
(9) 二次健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払い
健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、昭和47年9月18日付け基発第602号の記I13(2)イに示しているとおりであるが、二次健康診断を勤務中に受診せざるを得ない揚合においても同様に、その受診に要した時間に係る賃金の支払いについては、当然には労働者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものではあるが、脳及び心臓疾患の発症のおそれのある労働者の健康確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業主が支払うことが望ましいこと。
(10) 事務処理
二次健康診断等給付に係る事務処理については、別添の二次健康診断等給付事務取扱手引によること。
(11) 労災保険業務室の所掌事務の追加(整備政令第8条の規定による改正後の厚生労働省組織令(平成12年政令第252号)第70条関係)
労災保険業務室は、療養の給付と同様に、二次健康診断等給付を行う病院又は診療所に対する当該給付に要する費用の支払いを行うこととしたこと。

第2 介護作業従事者に係る特別加入の新設
1 改正の趣旨、
高齢化の進展等に伴い、身体上又は精神上の障害がある者に対する介護サービスを担う労働力への需要が増大していることから、介護サービスの供給の必要性が高まってきており、介護作業に従事する者の就労条件を整備し、介護サービスの安定した供給を図る必要がある。
このような中で、介護サービスを供給する者には、個人家庭に使用されるために家事使用人として労働基準法及び労働者災害補償保険法が適用されない者が存在するが、当該者の就労形態は、介護保険法(平成9年法律第123号)に規定する指定居宅サービス事業者に使用され労災保険が適用される訪問介護員(ホームヘルパー)の就労形態と類似しており、労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者であると考えられる。
こうした観点から、平成12年1月25日の労働者災害補償保険審議会においても、介護作業に携わる者を新たに特別加入の対象に加えることについて建議がなされたこと等から、介護作業に従事する者に係る特別加入制度を新設することとしたものである。
2 改正の内容
(1) 加入対象作業(新労災則第46条の18第5号関係)
特別加入の対象となる作業(以下「加入対象作業」という。)は、介護労働者法第2条第1項に規定する介護関係業務(以下「介護関係業務」という。)に係る作業であって、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練又は看護に係るものであること。
介護関係業務とは、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者に対し、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練、看護及び療養上の管理その他のその者の能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするための福祉サービス又は保健医療サービスであって、介護労働者則第1条で定めるものを行う業務であるが、このうち加入対象作業は、介護関係業務に係る作業であって、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練又は看護に係るもの(以下「介護作業」という。)のみであること。
介護関係業務に係る作業であっても、以下のサービスに係るものは、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活に支障がある者に対する入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練又は看護に係るものには含まれないので、加入対象作業とならないこと。
(ア) 介護労働者則第1条第17号に規定する福祉用具の貸与
(イ) 同条第18号に規定する福祉用具の販売
(ウ) 同条第19号に規定する移送
(エ) 同条第20号に規定する食事の提供
(オ) 同条第22号に規定する療養上の管理及び指導
(カ) 同条第28号に規定する居宅サービス計画の作成、指定居宅サービス事業者その他の者との連絡調整、介護保険施設への紹介その他の便宜の供与
(キ) 同条第29号に基づく「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第1条第1号から第28号までに掲げる福祉サーどス又は保健医療サービスに準ずるサービス」(厚生労働大臣定め)のうち、第16号に規定する地域療育等支援事業として行われる相談、健康診査、各種福祉サービスとの調整その他の援助
入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話とは、身体上又は精神上の障害があることにより目常生活に支障がある者に対する、入浴、排せつ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除、買い物等の家事その他の当該者本人に必要な日常生活上の世話であり、直接本人の世話に該当しない行為(本人以外の者に係る調理、洗濯、掃除、買い物等)や日常生活上の世話に該当しない行為(草むしり、室内外家屋の修理及び植木の剪定等の園芸等)と判断される行為は含まれないこと。
(2) 加入対象者
労働者以外の者であって(1)の加入対象作業に従事する者(以下「介護作業従事者」という。)を加入対象者とすること。
介護作業に携わる者には、自発的に、かつ、報酬を得ないで労務を提供するいわゆるボランティアが存在するが、労災保険の特別加入制度は、労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者に対し、労災保険の適用を及ぼそうとするものであるから、これらの者については特別加入が認められないこと。
なお、交通費等の実費弁償として支払われるものはここでいう報酬に含まれないこと。
職業安定法(昭和22年法律第141号)に基づく有料職業紹介事業と介護保険法に基づく指定居宅サービス事業を併せて行っている事業者については、指定居宅サービス事業者に労働者として使用されている訪問介護員(ホームヘルパー)であっても、同一事業者が行う有料職業紹介事業の紹介により個人家庭に使用され介護保険の給付の対象とならないサーどスを提供する者がおり、これらの者については特別加入の加入対象者となること。
これらの者が特別加入した場合には、指定居宅サービス事業者に使用されている労働者として業務を遂行している際に被災した場合は、指定居宅サービス事業者に使用される労働者として労災保険の適用を受け、個人家庭に使用され介護作業に従事する際に介護作業により被災した場合は、特別加入者として労災保険の適用を受けることとなること。
なお、これらの者については、特別加入者として介護作業に従事する日数及び時間が少ない揚合があるが、特別加入者として労災保険の適用を受ける介護作業のみによる収入等を考慮のうえ給付基礎に地額を希望するよう、制度を十分理解させること。
(3) 特別加入手続及び特別加入承認の基準
特別加入手続及び特別加入承認の基準は、一人親方等及び特定作業従事者の特別加入手続及び特別加入承認の基準(昭和40年11月1日付け基発第1454号(以下「基本通達」という。)の記の第2の4及び6の(2)参照)と同様とするほか、次に定めるところによること。
事務の所轄(新労災則第1条第2項及び第3項関係)
特別加入申請書(告示様式第34号の10)の受付等を取り扱う労働基準監督署は、各特別加入団体の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署とし、特別加入の承認等は、当該事務所の所轄労働局長が行うものであること。
承認の基準等
(ア) 介護作業従事者の団体についても、一人親方等の団体と同様に労災保険事務を確実に処理しうる能力を必要とするものであるが、現段階では、その団体の組織、運営方針等も十分に整備されがたいものと予想されるので、当面は、団体としての結成がなされ、その行うべき労災保険事務を、社会保険労務士又は労働保険事務組合に委託することによって、円滑に事務処理しうるような場合には、特別加入の承認を行うこととすること。
(イ) 有料職業紹介事業の許可基準(※)に、「その紹介により就職した者のうち介護作業に従事するものが、労災保険の特別加入を希望する揚合に、団体の代表者として所定の申請を行うものであること」を加えることが予定されている(別紙1参照)。
有料職業紹介事業者が、介護作業従事者の団体の代表者である場合は、承認申請に当たって、当該団体から新労災則第46条の23第3項に掲げる書類のほか、職業安定法第32条の4に規定する許可証の写し(別紙2)を提出させること。
(※)有料職業紹介事業の許可基準:有料の職業紹介事業を行う事業所に対する職業安定法第30条の規定による厚生労働大臣の許可の基準。
(ウ) 特別加入の申請に対する承認の年月日は、当該申請の日の翌日から起算して14日の範囲内において申請者が加入を希望する日である。
(4) 特別加入の制限
特別加入の制限については、一人親方等及び特定作業従事者の特別加入承認の基準(基本通達の記の第2の7参照)と同様とすること。
介護作業従事者として2以上の団体の構成員となることがあり、加入要件を満たせば本人の選択によりいずれかの団体の構成員として特別加入できることとなるが、重複加入は認められないこと(新労災法第35条第2項)。また、誤って重複加入した場合は、先に加入した特別加入が優先し、後から手続した特別加入に係る保険関係は無効となることに十分留意すること。
(5) 業務上外及び通動災害の認定
業務上外の認定
(ア) 業務遂行性は介護労働者法第2条第1項に規定する介護関係業務に係る作業であって、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練又は看護に係るもの及びこれに直接附帯する行為を行う場合に認めることとすること。
なお、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話とは、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活に支障がある者に対する、入浴、排せつ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除、買い物等の家事その他の当該者本人に必要な日常生活上の世話であり、直接本人の世話に該当しない行為、日常生活上の世話に該当しない行為は含まないこと。
また、「直接附帯する行為」とは、生理行為、反射的行為、準備・後始末行為、必要行為、合理的行為及び緊急業務行為をいう。例えば、介護用器具の準備・片付け等が該当すること。
(イ) 業務起因性は、労働者の場合に準ずること。
通勤災害の認定
介護作業従事者の住居と作業場との間の往復の実状等から、通勤災害についても労災保険の対象とし、通勤災害の認定については、労働者の場合に準ずること。
就業の揚所間の移動
複数の個人家庭等に使用される介護作業従事者が行うそれぞれの就業の場所間の移動については、業務遂行性は認められないこと。また、当該行為は通勤こも該当しないこと。
(6) 保険給付の請求
保険給付請求書の事業主の証明は、当該特別加入団体の代表者が行うこと。
保険給付に関する事務は、当該特別加入団体の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長が行うこと(新労災則第1条第3項)。
保険給付の事務のうち、短期給付一元管理システム及び年金・一時金システムについては、特別加入者コードに「介護作業従事者」としてコード「28」を追加し、平成13年4月2日から稼働させることとしているので、同日以降入カすること。
(7) 保険給付の支給制限
保険給付の支給制限については、昭和40年12月6日付け基発第1591号通達の記の第2によること。
(8) 保険料
保険料については、一人親方等及び特定作業従事者の保険料と同様とする(基本通達の記の第2の13参照)ほか、次に定めるところによること。
保険料率及び特定業種区分(新徴収則第23条及び別表第5関係)
第二種特別加入保険料率は1000分の7、作業の種類の番号は特17とされること。
保険料の納付
特別加入者の保険料については、特別加入者自身が負担するのが原則であるが、個人家庭に使用される介護作業従事者については、他の特別加入者の場合と異なり、介護作業従事者を使用している個人家庭が保険料を実質負担する場合があること。
なお、本日職業安定法施行規則の一部を改正する省令(平成13年厚生労働省令第97号)が公布され、平成13年3月31日から有料職業紹介事業者が労災保険の特別加入の関係事務を行う場合は、有料職業紹介事業者は、その紹介により就職した介護作業従事者の特別加入保険料に充てるべきものとして、手数料を徴収できるものとされたこと(別紙3参照)
しかし、保険料について、介護作業従事者の団体が事業主とみなしてその納付義務を負うことについては、従来と同様であること。
3 その他
労働者災害補償保険特別支給金支給規則(昭和49年労働省令第30号)第16条第2号の規定の準用に係る向規則第17条第5号の読替え規定につき、所要の整備を行った。

第3 労災保険率等の改正
1 改正の趣旨
労災保険率、第二種特別加入保険料率及び第三種特別加入保険料率については、事業の種類ごとに過去3年間の災害率等を基礎として、3年に一度定期的に見直しを行っているところであるが、今般、林業、漁業、鉱業、建設事業、製造業、運輸業、電気、ガス、水道又は熱供給の事業及びその他の事業に係る業種の労災保険率について改正を行うとともに、労災則第46条の17及び第46条の18の事業及び作業についての特別加入者に係る第二種特別加入保険料率及び海外派遣者である特別加入者に係る第三種特別加入保険料率について改正を行うものである。
また、請負による建設の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、その請負金額に事業の種類ごとに定められた労務費率を乗じて得た額を賃金総額とする特例が定められているが、請負金額に占める労務費の割合に関する実態調査の結果に基づき、一部の事業の業種に係る労務費率を改正することとした。
なお、所得税法及び消費税法の一都を改正する法律(平成6年法律第109号)並びに地方税法等の一部を改正する法律(平成6年法律第111号)の施行により、平成9年4月1日から消費税と地方消費税を合わせた税率が5%となったことに伴い請負金額に105分の103を乗じるとする暫定措置は、平成13年3月31日をもって廃止することとした。
2 事業の種類別等の改正の内容
(1) 林業に係る労災保険率及び第二種特別加入保険料率の改正(新徴収則第16条第1項、第23条、別表第1及び別表第5関係)
「木材伐出業」に係る労災保険率を「1000分の133」(現行1000分の134)とすること。
また、新労災則第46条の17第4号の事業(林業の事業)に係る第二種特別加入保険料率は「1000分の53」(現行1000分の52)とすること。
(2) 漁業に係る労災保険率の改正(新徴収則第16条第1項及び別表第1関係)
「海面漁業(定置網漁業又は海面魚類養殖業を除く。)」及び「定置網漁業又は海面魚類養殖業」に係る労災保険率を、それぞれ「1000分の56」(現行1000分の59)及び「1000分の42」(同1000分の40)とすること。
(3) 鉱業に係る労災保険率の改正(新徴収則第16条第1項及び別表第1関係)
「石灰石鉱業又はドロマイト鉱業」に係る労災保険率は「1000分の57」(現行1000分の60)、「原油又は天然ガス鉱業」は「1000分の9」(同1000分の10)、「採石業」は「1000分の71」(同1000分の72)、「その他の鉱業」は「1O00分の35」(同1000分の36)とすること。
(4) 建設事業に係る労災保険率、労務費率及び第二種特別加入保険料率の改正
労災保険率(新徴収則第16条第1項及び別表第1関係)
「水力発電施設、ずい道等新設事業」に係る労災保険率は「1000分の133」(現行1000分の134)、「道路新設事業」は「1000分の31」(同1000分の33)、「舗装工事業」は「1000分の19」(同1000分の20)、「鉄道又は軌道新設事業」は「1000分の34」(同1000分の38)、「建築事業(既設建築物設備工事業を除く。)」は「1000分の20)(同1000分の22)、「機械装置の組並て又は据付けの事業」は「1000分の19」(同1000分の20)、「その他の建設事業」は「1000分の26」(同1000分の27)とすること。
労務費率(新徴収則第13条第1項及び別表第2関係)
「道路新設事業」に係る労務費率は「21%」(現行22%)、「建築事業(既設建築物設備工事業を除く。)」は「21%」(同20%)、「既設建築物設備工事業」は「21%」(同20%)、「機械装置の組立て又は据付けの事業」のうち「組立て又は取付けに関するもの」は「41%」(同43%)、「その他のもめ」は「21%」(同20%)とすること。
第二種特別加入保険料率(新徴収則第23条及び別表第5関係)
新労災則第46条の17第2号の事業(土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の作業)に係る第二種特別加入保険料率は「1000分の21」(現行1000分の22)とすること。
(5) 製造業に係る労災保険率及び第二種特別加入保険料率の改正
労災保険率(新徴収則第16条第1項及び別表第1関係)
「たばこ等製造業」に係る労災保険率は「1000分の7」(現行1000分の6)、「繊維工業又は繊維製品製造業」は「1000分の6.5」(同1000分の7)、「パルプ又は紙製造業」は「1OOO分の9」(同1000分の10)、「化学工業」は「1000分の7.5」(同1000分の8)、「ガラス又はセメント製造業」は「1000分の8.5」(同1000分の8)、「陶磁器製品製造業」は「1000分の18」(同1000分の19)、「金属製品製造業又は金属加工業(洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業及びめっき業を除く。)」は「1000分の16」(同1000分の17)、「機械器具製造業(電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、船舶製造又は修理業及び計量器、光学機械、時計等製造業を除く。)」は「1000分の8.5」(同1O00分の9)、「電気機械器具製造業」は「1000分の5.5」(同1000分の6)、「船舶製造又は修理業」は「1O00分の23」(同1000分の22)、「計量器、光学機械、時計等製造業(電気機械器具製造業を除く。)」は「1000分の5.5」(同1000分の6)とすること。
第二種特別加入保険料率(新徴収則第23条及び別表第5関係)
新労災則第46条の18第3号ニの事業(じん肺法(昭和35年法律第30号)第2条第1項第3号の粉じん作業又は労働安全衛生法施行令別表第4第6号の鉛化合物(以下「鉛化合物」という。)を含有する釉薬を用いて行う施釉薬若しくは鉛化合物を含有する絵具を用いて行う絵付けの作業若しくは当該施釉薬若しくは絵付けを行った物の焼成の作業であって陶磁器の製造に係るもの)に係る第二種特別加入保険料率は「1000分の17」(同1000分の16)とすること。
(6) 運輸業に係る労災保険率の改正(新徴収則第16条第1項及び別表第1関係)
「交通運輸事業」に係る労災保険率は「1000分の6.5」(現行1000分の7)、「港湾貨物取扱事業(港湾荷役業を除く。)」は「1000分の20」(同1000分の22)、「港湾荷役業」は「1OOO分の35」(同1000分の38)とすること。
(7) 電気、ガス、水道又は熱供給の事業に係る労災保険率の改正(新徴収則第16条第1項及び別表第1関係)
「電気、ガス、水道又は熱供給の事業」に係る労災保険率を「1000分の5.5」(現行1000分の6)とすること。
(8) その他の事業に係る労災保険率及び第二種特別加入保険料率の改正
労災保険率(新徴収則第16条第1項及び別表第1関係)
「農業又は海面漁業以外の漁業」に係る労災保険率は「1000分の13」(現行1000分の11」、「ビルメンテナンス業」は「10OO分の6.5」(同1000分の6)、「倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業」は「1000分の6.5」(同1000分の6)、「その他の各種事業」は「1000分の5.5」(同1000分の6)とすること。
第二種特別加入保険料率(新徴収側第23条及び別表第5関係)
新労災則」第46条の17第6号の事業(再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解体等の事業)に係る第二種特別加入保険料率は「1000分の13」(同1000分の12)、新労災則第46条の18第5号の作業(介護労働者法第2条第1項に規定する介護関係業務に係る作業であって、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練及び看護に係るもの)は「1000分の7」(新設(第2参照))とすること。
(9) 海外派遣者である特別加入者に係る第三種特別加入保険料率の改正(新徴収則」第23条の3関係)
海外派遣者である特別加入者に係る第三種特別加入保険料率を「1000分の6」(現行1000分の7)とすること。
3 事務処理上の留意事項
(1) 改正労災保険率等の適用について
改正省令により労災保険率及びこれを基礎とする第一種特別加入保険料率、第二種特別加入保険料率、第三種特別加入保険料率並びに労務費率が改正される事業等について、改正省令の施行後において一般保険料、第一種特別加入保険料、第二種特別加入保険料及び第三種特別加入保険料の額を算定する場合には、次によるものとする。
継続事業に係る一般保険料の額の算定に当たっては、平成13年3月31日以前の期間に係る一般保険料については、改正省令による改正前の労災保険率(以下「旧労災保険率」という。)により算出し、平成13年4月1日以降の期間に係る一般保険料については、改正省令による改正後の労災保険率(以下新労災保険率」という。)により算出すること。当該事業に係る第一種特別加入保険料ついても同様であること(改正省令附則第3条第1項関係)。
有期事業(一括有期事業として一括される優々の有期事業を含む。)に係る一般保険料の額の算定に当たっては、平成13年3月31日以前に労災保険に係る保険関係が成立している事業の一般保険料については、旧労災保険率及び改正省令による改正前の労務費率(以下「旧労務費率」という。)により算出し、平成13年4月1日以降に労災保険に係る保険関係が成立する事業の一般保険料については、新労災保険率及び改正省令による改正後の労務費率(以下「新労務費率」という。)により算出すること。当該事業に係る第一種特別加入保険料についても同様であること(改正省令附則第3粂第2項及び第3項関係)。
改正省令施行の際、現に一括有期事業とされている請負による建設の事業のうち、「道路新設事業」、「建築事業(既設建築物設備工事業を除く。)」、「既設建築物設備工事業」一又は「機械装置の組立て又は据付けの事業」であって、[1]請負金額に労務費率を乗ずることにより賃金総額を算定し、かつ、[2]平成13年度の賃金総額の見込額が平成12年度の賃金総額の100分の50以上100分の200以下であるものについての平成13年度の一般保険料に係る概算保険料の額の算定に当たっては、平成12年度の一般保険料に係る確定保険料の額の基礎となった賃金総額の算定に用いた請負金額に新労務費率を乗じて得た額を、当該概算保険料の算定に際し用いる平成12年度の賃金総額(新徴収法第15条第1
項参照)とし、その額に新労災保険率を乗じて算出すること(改正省令附則第3条第4項関係)。
工第二種特別加入保険料及び第三種特別加入保険料の額の算定に当たっては、平成13年3月31日以前の期間に係る保険料については、改正省令による改正前の第二種特別加入保険料率及び第三種特別加入保険料率により算出し、平成13年4月1日以降の期間に係る保険料については、改正省令による改正後の第二種特別加入保険料率及び第三種特別加入保険料率により算出すること(改正省令附則第3条第6項及び第7項関係)。
改正省令の施行の際、現に一括有期事業とされている請負による建設の事業についての平成12年度の一般保険料に係る確定保険料の額の算定に際し用いる賃金総額の算定については、従来の消費税に係る暫定措置を適用し、「請負金額に105分の103を乗じて得た額(その額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)」に1日労務費率を乗じて得た額とすること(改正省令附則第3条第9項関係)。
改正省令の施行の際、現に一括有期事業とされており、かつ、平成13年度の賃金総額の見込額が平成12年度の賃金総額の100分の50以上100分の200以下である請負による建設の事業についての平成13年度の一般保険料に係る概算保険料の額の算定に際し用いる平成12年度の賃金総額の算定については、従来の消費税に係る暫定措置は適用せず、請負金額に労務費率(新労務費率に係る事業については、新労務費率(ウ参照))を乗じて得た額とすること(改正省令附則第3条第10項関係)。
請負による建設の事業(一括有期事業を除く。)であって、平成13年3月31日以前に労災保険に係る保険関係が成立している事業についての一般保険料に係る確定保険料の額の算定に際し用いる賃金総額の算定については、従来の消費税に係る暫定措置を適用し、「請負金額に105分の103を乗じて得た額(その額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)」に旧労務費率を乗じて得た額とすること(改正省令附則第3条第11項関係)。
(2) その他
改正後の労災保険率及びこれを基礎とする第一種特別加入保険料率、第二種特別加入保険料率1第三種特別加入保険料率、労務費率並びに消費税に係る暫定措置の廃止の内容並びに当該改正に伴う労働保険料の算定、納付の方法等については、関係事業主及び労働保険事務組合に対し、周知徹底を図ること。

第4 建設の事業及び立木の伐採の事業に係るメリット制(事業場ごとの災害率による保険料の調整)の増減率の改正
1 改正の趣旨
メリット制は、個別事業場の労働災害防止意欲を喚起し、もって新規災害の発生率を低下させることにより、当該業種全体の保険収支に好影響を与えるとともに、災害防止努力の成果を直接個別事業場の負担保険料に反映させることによって事業場間の負担の公平性を図ることを目的としている。
従来のメリット制の増減幅は、継続事業については±40%、有期事業については±30%としていたところであるが、近年、建設業における災害率が低下してきていること等を踏まえ、有期事業(建設の事業及び立木の伐採の事業)に係るメリット制の増減幅を拡大するとともに、建設の事業及び立木の伐採の事業に係る継続事業(一括有期事業を含む。)についても有期事業と同様にメリット増減幅を拡大することとするものである。
2 改正の内容
(1) 建設の事業及び立木の伐採の事業に係る継続事業(一括有期事業を含む。)に係るメリット増減率の改正(新徴収則第20条及び別表第3関係)
建設の事業及び立木の伐採の事業に係る継続事業(一括有期事業を含む。)におけるメリット制の増減率(以下「メリット増減率」という。)については、業務災害に関する保険給付の額(特別支給金を含む。)と一般保険料の額から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額(調整率を乗じる。)との割含が「10%以下のもの」は「35%減ずる。」(現行30%滅ずる。)に、「10%を超え20%までのもの」は「30%減ずる。」(同25%減ずる。)に、「20%を超え30%までのもの」は「25%減ずる。」(同20%減ずる。)に、「30%を超え40%までのもの」は「20%減ずる。」(同15%減ずる。)に、「120%を超え130%までのもの」は「20%増加する。」(同15%増加する。)に、「130%を超え140%までのもの」は「25%増加する。」(同20%増加する。)に、「140%を超え150%までのもの」は「30%増加する。」(同25%増加する。)に、「150%を超えるもの」は「35%増加する。」(同30%増加する。)に改正されるものであること。
(2) 有期事業に係るメリット増減率の改正(新徴収法第20条、新徴収則」第35条及び別表第6関係)
有期事業におけるメリット増減率については、業務災害に関する保険給付の額(特別支給金を含む。)と一般保険料に係る確定保険料の額から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額(調整率を乗じる。)との割合が「10%以下のもの」は「35%減ずる。」(現行30%減ずる。)に、「10%を超え20%までのもの」は「30%減ずる。」(同25%減ずる。)に、「20%を超え30%までのもの」は「25%減ずる。」(同20%減ずる。)に、「30%を超え40%までのもの」は「20%減ずる。」(同15%減ずる。)に、「120%を超え130%までのもの」は「20%増加する。」(同15%増加する。)に、「130%を超え140%までのもの」は「25%増加する。」(同20%増加する。)に、「140%を超え150%までのもの」は「30%増加する。」(同25%増加する。)に、「150%を超えるもの」は「35%増加する。」(同30%増加する。)に改正されるものであること。
3 新メリット増減率の適用時期
有期事業に係るメリット増減率と継続事業(一括有期事業を含む。)に係るメリット増減率では、メリット制における保険料の精算方法が異なるため、今般改正されるメリット増減率(以下「新メリット増減率」という。)の適用時期を完全に一致させることはできないが、どちらの制度についても可能な限り早く適用できるように措置を講ずることとしており、具体的には次のようになること。
(1) 有期事業に係る新メリット増減率の適用(改正省令附則第3条第8項関係)
平成13年4月1日以降に保険関係が成立する有期事業について新メリット増減率が適用される。工事終了時期が平成13年4月1日以降であっても、平成12年度以前に保険関係が成立している事業については、従来どおりのメリット増減率(以下「旧メリット増減率」という。)が適用されること。()
(2) 継続事業(一括有期事業を含む。)に係る新メリット増減率の適用(改正省令附則第3条第5項関係)
平成14年度に適用される労災保険率から新メリット増減率が適用されること。()

第5 その他
1 目的の改正及び保険給付の種類の整備について(新労災法第1条及び第7条第1項関係)
二次健康診断等給付の創設に伴い、保険給付を行うべき保険事故の内容を改正し、保険給付の種類に二次健康診断等給付を追加したこと。
2 年金の端数処理の廃止(旧労災法第8条の6及び旧労働者災害補償保険特別支給金支給規則第6条の2関係)
従来、年金たる保険給付及び年金たる特別支給金の額に50円未満の端数があるときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数があるときは、これを100円に切り上げるものと規定していたが、年金たる保険給付及び年金たる特別支給金の額をより正確に算定する観点から、当該規定を削除し、「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」(昭和25年法律第61号)第2条に基づき、銭単位まで算出した後、円未満を切り捨てることとしたこと。
なお、労災年金受給者への具体的な適用は以下のとおりであること。
(1) 支給事由発生日が平成13年4月1日以後である者
当初の年金たる保険給付及び年金たる特別支給金の額の算定に当たり、端数処理については、上記の方法により行うこととすること。
(2) 支給事由発生日が平成13年3月31日以前である者
算定事由発生日が平成11年度以前である者
平成13年8月のスライド率の改定時に、端数処理については、上記の方法により行うこととすること。
算定事由発生日が平成12年度以前である者
平成14年8月のスライド率の改定時に、端数処理については、上記の方法により行うこととすること。
3 業務災害及び通勤災害に関する保険給付に関する処分の通知等(新労災則第19条関係)
従来、所轄労働基準監督署長は、保険給付に関する処分を行ったときは、遅滞なく、文書で、その内容を請求人、申請人又は受給権者若しくは受給権者であった者に通知しなければならないこととしていたが、法の規定による療養の給付にあっては、その全部又は一部について支給しないこととする処分に限り、通知しなければならないこととしたこと。
4 労働福祉事業に要する費用の限度額の改定及び労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度の特例に関する省令の廃止(新労災則43条及び改正劣令第3条関係)労働福祉事業等に要する費用の限度額を、保険料収入等に対する割合の118分の18から122分の22に改定するとともに、労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度の特例に関する省令を廃止することとしたこと。
5 立入検査及び診療担当者に対する命令等に係る規定の整備(新労災法第48条及び第49条、旧労災則第52条及び第53条並びに新告示様式第1号及び新告示様式第2号関係)
最近の立法例にならい、適用事業の事業揚等への立入検査及び診療録等の検査をする職員はその身分を示す証明書を携帯しなければならないことを法律で定め、旧労災則第52条及び第53条を削除するとともに、旧告示様式第36号及び旧告示様式第37号を削除し、新たに適用事業場検査証及び診療録検査証を定めた。また、適用事業の事業場等への立入検査及び診療担当者に対する命令等の権限が、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないことを明記したこと。
6 条ずれ等の規定の整備
旧労災法第32条から第34条まで及び第39条から第41条までを削り、規定の整備を行うこととしたほか、二次健康診断等給付の創設等に伴い所要の整備を行うこととした。条ずれ等改正事項に係る規定に関する従来の通達については、改正の趣旨を勘案し、適宜読み替えて運用されたい。

第6 関係通達の改正
1 昭和40年11月1日付け基発第1454号通達の改正
昭和40年11月1日付け基発第454号通達の記の第2の2を次のように改正する。
(1) 1(3)にトとして次のように加える。
ト介護作業従事者(則第46条の18第5号)
別途通達する(平成13年3月30日付け基発第233号通達似下「平成13年通達」という。)
の記の第2の2(1)及び(2)参照)。
(2) 5(7)を(8)とし、(7)として次のように加える。
(7) 介護作業従事者
別途通達する(平成13年通達の記の第2の2(3)参照)。
2 昭和40年12月6日付け基発第1591号通達の改正
昭和40年12月6日付け基発第1591号通達の記第1の1(3)に次のように加える。
キ介護作業従事者について
別途通達する(平成13年3月30日付け基発第233号通達の記の第2の2(5)参照)。