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アーク溶接作業における粉じん障害防止のための工学的対策の推進について

改正履歴
                                     基安発第0220001号
                                      平成18年2月20日


都道府県労働局長 殿


                               厚生労働省労働基準局安全衛生部長



      アーク溶接作業における粉じん障害防止のための工学的対策の推進について


 じん肺の新規有所見者は減少傾向にあるものの、依然として年間250人近くの新規有所見者が発生して
おり、そのなかでも金属製品製造業、機械器具製造業を始めとして、アーク溶接作業に係る作業者の占め
る割合が高い状況である。
 粉じん対策については、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号。以下「粉じん則」という。)及
び第6次粉じん障害防止総合対策(平成15年5月29日付け基発第0529004号。以下「第6次粉じん対策」とい
う。)に基づき実施されているところであり、アーク溶接作業については、この第6次粉じん対策において
重点事項として位置付け、局所排気装置等の設置による作業環境の改善、呼吸用保護具の着用の徹底等を
事業者が重点的に講ずべき措置として、指導を行っているところである。
 今般、アーク溶接作業における粉じん対策の更なる推進のため、作業環境の改善に必要かつ有効な工学
的対策について、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、ヒューム吸引トーチ、自動アーク溶接等の実
際に事業場で実施している具体的事例を収集し、別添の「アーク溶接作業における粉じん対策」を作成し
たところである。ついては、第6次粉じん対策に基づく監督指導等を実施する際には、下記事項に留意す
るとともに、別添の資料を参考として活用し、事業場において的確な粉じん対策が図られるよう指導され
たい。
                        
                        記

1 局所排気装置、プッシュプル型換気装置の設置の促進
  屋内でアーク溶接作業を行う場合、事業者は、粉じん則第5条に基づき、全体換気装置による換気の
 実施又はこれと同等以上の措置を講じることとされている。「同等以上の措置」としては、昭和54年7
 月26日付け基発第382号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び粉じん障害防止規則の施行
 について」及び第6次粉じん対策において、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、ヒューム吸引ト
 ーチの設置等を示しているところであるが、別添の事例によれば、特に局所排気装置、プッシュプル型
 換気装置について高い換気効果が示されていることから、これらを好事例として参考とし、粉じんの発
 散の防止のために有効な局所排気装置、プッシュプル型換気装置の適切かつ効果的な導入を促進するこ
 と。

2 局所排気装置と全体換気装置の併用の促進
  局所排気装置は、作業者周辺の粉じん濃度は低減されるものの、吸引できなかったヒュームによる作
 業場全体の汚染に対しては、粉じん濃度の低減効果が見られないことがある。このような場合には、周
 辺作業者の健康障害の防止の観点から、作業場全体の粉じん濃度低減に一定の効果のある全体換気装置
 の併用を勧奨すること。

3 全体換気装置を設置する場合の留意事項
  全体換気装置は局所排気装置等に比べヒュームの粉じんは抑えにくく、作業場全体の粉じん濃度低減
 には一定の効果はあるものの、作業者周辺では高濃度となる場合も想定されることから、局所排気装置
 又はプッシュプル型換気装置を設置することが困難で、やむを得ず全体換気装置を設置する場合には、
 作業者に対する防じんマスクの着用を徹底させること。
  なお、防じんマスクの選択、使用等については、平成17年2月7日付け基発第0207006号「防じんマスク
 の選択、使用等について」によること。

4 粉じんの発生源対策の促進
  粉じんの飛散を発生源そのもの又はその直近で抑制するための措置としては、発散源の密閉化のほか、
 ヒューム吸引トーチ、低ヒューム溶材の使用も効果的である。
  このため、やむを得ず全体換気装置を設置する場合には、ヒューム吸引トーチ及び低ヒューム溶材の
 併用を勧奨すること。