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別添
陸運業における労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン

陸上貨物運送事業労働災害防止協会

1 目的
このガイドラインは、陸上貨物運送事業の事業者が労働者の協力の下、自らの意思で、計画的かつ継続的な安全衛生活動を進めるに当たっての必要事項を示し、もってその活動を促進することにある。

2 適用等
(1) このガイドラインは、危険又は有害要因等を考慮しながら労働安全衛生マネジメントシステムを確立しようとする陸上貨物運送事業を行う事業者に適用する。
(2) このガイドラインは、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定に基づき機械、設備、化学物質等による危険又は健康障害を防止するため事業者が講ずべき具体的な措置を定めるものではない。

3 定義
このガイドラインにおいて用いる用語の定義は以下のとおりである。
(1) 労働安全衛生マネジメントシステム(以下「システム」という。)
事業場において、「計画―実施―評価―改善」というサイクルにより連続的かつ継続的に実施する安全衛生管理に関する仕組みであって事業経営と一体となって運用実施されるもの
(2) 安全衛生方針
事業場における安全衛生水準の向上を図るため、事業者が表明する安全衛生に関する基本的な考え方
(3) 安全衛生目標
安全衛生方針に基づいて、事業者が設定する一定期間内に達成すべき到達点
(4) 安全衛生計画
事業者が、事業場における危険又は有害要因等を踏まえ、一定の期間を限り、安全衛生目標を達成するための具体的な実施事項、日程等について定める計画
(5) システム監査
システムが、適切に実施され及び運用されているかどうかについて、安全衛生計画の期間を考慮して事業者が行う調査及び評価
(6) 緊急事態
労働災害発生の急迫した危険がある状態

4 組織体制の整備
事業者は、システムを適切に実施・運用する体制を整備するため、次の事項を行う。
[1] システム各級管理者それぞれの役割、責任及び権限について定めること。
[2] システム各級管理者を指名すること。
[3] 前記[1],[2]について労働者その他関係者に周知すること。
[4] システムに係る人材及び予算を確保するよう努めること。
[5] 労働者に対してシステムに関する教育を行うこと。
[6] システムの実施・運用に当たり安全衛生委員会等を活用すること。

5 「計画」に係る事項
(1) 安全衛生方針の表明
[1] 事業者は、安全衛生方針を表明し労働者に周知させる。
[2] 安全衛生方針には、次の事項を含む。
・労働者の協力の下に、安全衛生活動を実施すること。
・労働安全衛生法、道路交通法等の関係法令、陸上貨物運送事業労働災害防止規程及び事業場安全衛生規程を遵守すること。
・システムを適切に実施・運用すること。
(2) 危険又は有害要因の特定
事業者は、荷役運搬作業に伴う危険又は有害要因を特定する手順を定めるとともに、その手順に基づき危険又は有害要因を特定する。
(3) 実施事項の特定
事業者は、労働安全衛生法、道路交通法等の関係法令、陸上貨物運送事業労働災害防止規程及び事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項及び前項で特定された危険又は有害要因を除去又は低減するために実施すべき事項を特定する手順を定めるとともに、その手順に基づき実施すべきことを特定する。
(4) 安全衛生目標の設定
事業者は、安全衛生方針に基づき安全衛生目標を設定する。設定に当たっては当該事業場の実態にふさわしいものとする。
(5) 安全衛生計画の作成
事業者は、安全衛生目標を達成するため、特定された実施事項を中心に安全衛生計画を作成する。
(6) 労働者の意見の反映
事業者は、安全衛生目標の設定及び安全衛生計画の作成に当たっては、あらかじめ定めた手順に従って、労働者の意見を反映する。

6 「実施」に係る事項
(1) 安全衛生計画の実施及び運用
事業者は、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施・運用する手順を定めるとともに、その手順に基づきこれを実行する。
(2) 労働者、関係者等への周知
事業者は、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施・運用するために必要な事項について、労働者、その他関係者等に周知させる手順を定めるとともに、その手順に基づきそれらの者に周知させる。
(3) 労働者の意見の反映
事業者は、安全衛生計画の実施・運用に当たっては、あらかじめ定めた手順に従って労働者の意見を反映する。
(4) 情報の入手及び周知
[1] 事業者は、貨物の荷役運搬を引き受けるとき又は機械、設備の提供を受ける場合には、危険又は有害要因の特定に資するよう、これらの取扱いに関する事項を記した書面を入手するよう努める。
[2] 事業者は、入手した取扱いに関する事項のうち、必要事項を労働者に周知させる手順を定め、その手順に基づき労働者に周知させる。

7 「評価・改善」に係る事項−[1]
(1) 日常的な点検、改善
事業者は、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検・改善を実施する手順を定めるとともに、その手順に基づきそれらを実行する。
(2) 災害原因の調査等
事業者は、労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する手順を定めるとともに、そうした事態が発生した場合には、この手順に基づき実行する。
(3) 次回安全衛生計画への反映
事業者は、次回安全衛生計画の作成に当たって、日常的な点検結果及び災害原因の調査結果等をこれに反映させる。

8 「評価・改善」に係る事項−[2]
(1) システム監査
事業者は、定期的なシステム監査の計画を作成し、実施手順を定めるとともに、その手順に基づきシステム監査を実施する。
(2) システムの改善
事業者は、システム監査の結果、必要があると認められるときは、システムの実施及び運用について改善を行う。
(3) システムの見直し
事業者は、システム監査の結果を踏まえ、システムの妥当性及び有効性を確保するため、システムの全般的な見直しを行う。
9 緊急事態への対応
事業者は、貨物の積卸し作業現場又は道路上において、緊急事態が生ずる可能性を評価し、緊急事態が発生した場合に、労働災害を防止するための措置を定めるとともに、これに基づき適切に対応する。

10 文書化等及び記録
(1) 文書化及び管理
事業者は、次の事項を文書により定めるとともに当該文書を管理する手順を定め、この手順に基づき管理する。
[1] 安全衛生方針
[2] 安全衛生目標
[3] 安全衛生計画
[4] システム管理者の役割、責任及び権限
[5] この仕組みに基づき定められた手順
(2) 記録
事業者は、安全衛生計画の実施及び運用の状況、システム監査の結果等システムの実施及び運用に関し必要な事項を記録するとともに、保管する。