別添
基安発第0109001号
平成14年1月9日
コンクリート用化学混和剤協会
全国生コンクリート工業組合連合会
全国生コンクリート協同組合連合会
会長 殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部長

コンクリート用化学混和剤を貯留するタンク内作業における酸素欠乏症等の防止について

 労働安全衛生行政の推進につきましては、平素から格段の御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、貴会におかれましては、コンクリート用化学混和剤を貯留するタンク(以下「タンク」という。)
の内部における作業に係る安全衛生管理について、かねてより十分に御配慮いただいていることと存じま
すが、コンクリート用化学混和剤は、貯留条件によりその結果は一定ではないものの一般に腐敗しやすく、
これを長期間貯留した場合には、タンクの置かれた環境等の条件によってはタンク内で腐敗が進行し、酸
素欠乏等を引き起こす危険性があります。
 ついては、標記災害の発生を防止するため、特に下記事項の徹底について会員事業場及び関係事業場へ
の周知を図られますようお願い申し上げます。
1 タンク内への立入禁止措置
  タンクの内部については、酸素欠乏等の危険があるため、原則として立入禁止とし、その旨を見やす
 い箇所に表示するとともに周知徹底を図ること。
 
2 タンク内作業を行うに当たって講ずべき措置
  タンクの内部の洗浄、改修等の作業を行うため、作業者がやむを得ずタンクの内部に入る場合には、
 以下の酸素欠乏危険作業において措置すべき事項を実施し、酸素欠乏症等の防止を図ること。

(1) 酸素濃度等の測定
   作業を開始する前にタンクの内部の空気中の酸素濃度及び硫化水素濃度を測定し、酸素濃度につい
  ては18%以上、硫化水素濃度については10ppm以下であることを確認した上でタンクの内部に立ち入
  ること。また、作業中もこれらの濃度の測定を行うために必要な測定器具を容易に利用できるように
  しておき、必要に応じ、測定を行うこと。なお、タンクの下部の方が酸素濃度が低下し、また、硫化
  水素濃度が高くなりやすいので、タンクの下部まで十分な測定を行うこと。

(2) 換気の実施
   作業中においては、タンクの内部の空気中の酸素の濃度については18%以上、硫化水素の濃度につ
  いては10ppm以下に保つよう、送風機、風管等により十分な換気を継続して行うこと。なお、長期
  間洗浄を行っていないタンクについては、酸素濃度が低下している危険性が高いので、特に十分な換
  気を行うこと。

(3) 空気呼吸器等の使用
   十分な換気を継続して行えない場合については、作業者に適正な使用方法について事前に十分教育
  した上で、空気呼吸器又は送気マスク(以下「空気呼吸器等」という。)を着用させること。なお、
  防毒マスク及び防じんマスクは酸素欠乏症の防止には全く効力がなく、絶対に用いてはならないこと。

(4) 安全帯の使用
   作業者が酸素欠乏症等によりタンク内に転落する恐れがある場合は、安全帯を安全に取り付けるた
  めの設備を設け、作業者に安全帯を使用させること。

(5) 避難救出用具の配備
   空気呼吸器等、はしご、繊維ロープ等の非常の場合に労働者を避難させ、又は救出するために必要
  な用具を備えること。

(6) 空気呼吸器等及び安全帯等の点検
   作業を開始する前には、上記に掲げる空気呼吸器等及び安全帯等の点検を行うこと。

(7) 監視人の配置
   作業の状況を常時監視し、異常があったときには直ちにその旨を通報する監視人を置くこと。

(8) 作業主任者の選任
   第二種酸素欠乏危険作業主任者講習を修了した者のうちから、作業主任者を選任し、その者に作業
  の方法を決定させ、作業を直接指揮させるとともに、法令で定められた事項を行わせること。

(9) 特別教育の実施
   作業者に対して事前に酸素欠乏危険作業に関する特別教育を実施しておくこと。

3 災害発生時に講ずべき措置
  万が一災害が発生した場合については、以下の措置を講じること。

(1) 救出時の空気呼吸器等の使用
   酸素欠乏症等にかかった作業者を救出する作業に作業者を従事させるときは、空気呼吸器等を使用
  させること。  

(2) 医師の診察等
   酸素欠乏症等にかかった作業者には、直ちに医師の診察又は措置を受けさせること。
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