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別添1



      職域における屋内空気中のホルムアルデヒド濃度低減のためのガイドライン



1  趣旨
  近年、住宅に使用される建材等から室内に発散するホルムアルデヒド等の化学物質等により、目、鼻、
 のど等への刺激、頭痛等の多様な症状が生じるいわゆる「シックハウス症候群」が問題となっている。
  本ガイドラインは、このような状況に鑑み、屋内空気中のホルムアルデヒドの濃度の指針値及びその
 雇用する労働者の健康を確保するために事業者が講ずるよう努めるべき具体的措置を示すことにより、
 職域におけるホルムアルデヒド濃度低減のための事業者による自主的対策を促進し、もってホルムアル
 デヒドによる労働者の健康リスクの低減に資することを目的とするものである。

2  本ガイドラインの適用範囲
  本ガイドラインは、ホルムアルデヒドによる健康リスクの低減に関する関係法令の規定の適用がない
 場合について、その雇用する労働者のホルムアルデヒドによる健康リスク低減のための自主的な取組と
 して事業者が講ずるよう努めるべき措置を示すものである。

3  事業者が講ずべき措置
  事業者は、職域における屋内空気中のホルムアルデヒドの濃度を0.08ppm以下とし、ホルムアルデヒ
 ドによる労働者の健康リスクの低減を図るため、以下の措置を講ずるよう努めること。
 (1) 濃度の測定
  ア 濃度の測定の契機
    職域において屋内空気中にホルムアルデヒドのガスが発散しているおそれがある場合は、次のイ
   に定めるところにより、空気中のホルムアルデヒドの濃度を測定すること。
    屋内空気中にホルムアルデヒドのガスが発散しているおそれがある場合としては、以下のような
   場合がある。
   [1] 目、鼻、のど等への刺激を感じる者がいる。
   [2] ホルムアルデヒドのガスを多く発散すると考えられる建材、家具等が多く使用されている。
   [3] 屋内の換気が不十分である。
    なお、一般の事務所等におけるホルムアルデヒドのガスの発散源としては、合板、繊維板等の建
   材、オフィス家具、カーペット等に使用されているホルムアルデヒドを含有する接着剤、防腐剤等
   がある。
  イ 濃度の測定の方法
    屋内空気中のホルムアルデヒドの濃度の測定は、次に定めるところによること。
   [1] 測定点は、事務室、室内作業場等の作業場の中央付近の床上50センチメートル以上150センチ
    メートル以下の位置の一以上とすること。
   [2] 測定は、通常の作業時間中に行うこと。
   [3] 測定方法及び測定時間は、次のいずれかによること。また、濃度は、測定した時間の平均濃度
    とすること。
    なお、作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)第10条第1項で定めるホルムアルデヒド
   の測定方法は、(ア)又は(カ)に該当するものであること。また、作業環境測定基準第10条第2
   項で定めるホルムアルデヒドの測定方法は、(ウ)又は(エ)に該当するものであること。
   (ア)2,4-ジニトロフェニルヒドラジン捕集−高速液体クロマトグラフ法、測定時間は仕様に応じ
     た時間
   (イ)4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール法、測定時間は仕様に応じた時間
   (ウ)平成15年厚生労働省告示第204号(建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則
     第3条の2第1号の表の第7号の下欄の規定に基づき厚生労働大臣が別に指定する測定器を定める
     件)に定める測定器による方法、測定時間は仕様に応じた時間
   (エ)適用される濃度指針値を精度良く測定できる検知管による上記以外の方法、測定時間は一の
     測定点ごとに使用する検知管の仕様に応じた時間(一般には10分〜30分間)
   (オ)適用される濃度指針値を精度良く測定できるデジタル計測器による上記以外の方法、測定時
     間は一の測定点ごとに10分間以上
   (カ)上記と同等以上の性能を有する方法、測定時間は仕様に応じた必要な時間
 (2) 濃度低減のための措置
   上記(1)の結果、屋内空気中のホルムアルデヒドの濃度が0.08ppmを超える場合には、次に掲げる措
  置のうち、当該作業場において有効な措置を講ずることにより、当該濃度を超えないようにすること。
  ア 換気装置の設置又は増設
  イ 継続的な換気の励行
  ウ 発散源となっている合板、繊維板等の建材、オフィス家具、カーペット等の撤去又は交換
  エ 発散源のコーティング等の封じ込め措置又は有効な吸着剤等の使用
 (3) 就業上の措置
   シックハウス症候群に関連した症状を訴える労働者に対しては、産業医等の意見に基づき、就業場
  所の変更等の必要な措置を講じること。この場合、必要に応じシックハウス症候群について詳しい医
  師、医療機関等の意見を参考にすること。
 (4) 相談支援体制の活用
   本ガイドラインに基づく措置を実施しようとする事業者への支援のため、独立行政法人労働者健康
  福祉機構の東京労災病院(産業中毒センター)及び都道府県産業保健推進センターにおいては、産業
  医、衛生管理者等からの相談に応じることとしているので、これらの相談支援体制を積極的に活用す
  ること。