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別添
               熱中症による死亡災害発生状況

1 熱中症による死亡者数の推移(平成6〜15年分)
  過去10年間の熱中症による死亡者数の推移を見ると、平成6年及び7年の猛暑に20名以上の死亡災害
 が発生し、その後3年程は10名前後で推移し、平成11年からは、毎年20名前後の死亡災害が発生して
 いる。
           熱中症による死亡災害発生件数の推移(平成6〜15年分)
2 月別被災状況(平成13〜15年分)
  月別の被災状況をみると、例年7月および8月に集中している。
  7月、8月以外の月においても、労働負荷によって体内の筋肉から大量の熱を発生するような状態と
 なる場合や脱水などの影響によっては、発生する例もみられる。
               月別被災状況(平成13〜15年分)
3 時間帯別被災状況(平成13〜15年分)   時間帯別の被災状況をみると、午後2時台から午後4時台の間に多発している。この時間帯は気温が最  も上昇し、また、疲労も蓄積するときであり、作業中のこまめな休憩と十分な水分及び塩分の補給が重  要である。また、午前中から12時台の時間帯にも注意を要する。   なお、体調不良を訴える等の発症の兆候が確認できる時間は、作業開始から比較的短時間の例もみら  れる。               時間帯別被災状況(平成13〜15年分)
4 被災者の年代別被災状況(平成13〜15年分)   被災者の年代別の被災状況をみると、10代〜60代のいずれの年代においても発生しているが、特に30  代〜50代の被災者が多い。              被災者の年代別被災状況(平成13〜15年分)
5 業種別被災状況(平成13〜15年分)   業種別の被災状況をみると、建設業が圧倒的に多い。高温、直射日光下での屋外作業に起因するもの  であり、これは他の業種についても、多くの場合同様である。                業種別被災状況(平成13〜15年分) 6 作業日数別被災状況(平成13〜15年分)   作業日数別の被災状況をみると、作業開始から数日の間での発生がほとんどである。とくに作業開始  初日に多発している。高温環境下で作業を行う場合には、労働者に対し、作業開始前の安全衛生教育、  体調の確認及び作業開始後各日の予防対策の実施状況を確認することが不可欠である。               作業日数別被災状況(平成13〜15年分) 7 その他  (1) 熱中症の症状が出ているにもかかわらず、一人作業であったために発見が遅れ、症状が悪化して   はじめて周囲の作業者が気付き、病院に搬送するという例がみられる。高温、直射日光下下等で作業   を行う場合には、あらかじめ作業者全員に対し、熱中症予防を含む労働衛生教育を確実に実施すると   ともに、作業中に巡視等で作業者の健康状態を随時、確認することが熱中症の予防・早期発見には極   めて重要である。  (2) 熱中症の発生については、高温環境下での作業の危険性について認識のないまま、直射日光下等   での連続作業等が行われていることにその原因がある。    作業当日の天気予報等により、気温、湿度等の上昇が予想される場合は、日陰などの涼しい場所に   おける休憩時間を頻繁にとる作業計画を立て、同計画に基づき、作業者の健康状態等を考慮した作業   を行わせることが必要である。  (3) 水分補給用に水やお茶、清涼飲料水が準備されている例もあるが、それらにより水分補給を行って   いても塩分の補給がない場合に被災している例があることから、塩あるいは塩分を含んだ飲料等によ   り、水分補給とともに塩分の補給を必ず行うことが必要である。  (4) 症状が軽いときに、医師による治療を受けさせることなく休憩させていたところ、急に症状が悪化   して手遅れになる例が多い。熱中症の症状が見られた場合は、たとえ症状が軽いと思われる場合であ   っても、直ちに医師に受診させることが必要である。  (5) 高温環境下での作業に慣れていなかったと思われる作業者の被災がみられることから、特にこのよ   うな作業者については巡視等で作業中の様子に十分に気を配ることが必要である。  (6)被災当日以前に体調を崩していた作業者の被災がみられることから、特にこのような者については作   業当日の健康状態を十分に把握した上で作業を行わせることが必要である。