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参考2

クロルピクリンの有害性等について

1 性状
  刺激臭のある無色の液体で、気化したガスは空気より重く低所に流れる。

2 用途
  土壌燻蒸剤、倉庫燻蒸剤

3 有害性
(1)主要な症状
  [1] 吸入した場合
   ・せきや鼻汁が出る。
   ・気管支及び肺を強く刺激し、重度障害を生じる。
   ・多量に吸入すると悪心、血尿を認め、胃腸炎、肺炎、呼吸困難、肺水腫をおこす。
   ・ばく露の症状は灼熱感、咳、息切れ、喉頭炎、息苦しさ、頭痛、吐き気、嘔吐。
  [2] 皮膚に触れた場合
   ・皮膚から吸収する。
   ・皮膚を刺激する(かぶれる、ただれる、発赤する)。
   ・皮膚炎を起こすことがある。
   ・水疱を生じる。
   ・皮膚アレルギーを起こすことがある。
  [3] 眼に入った場合
   ・粘膜を刺激し催涙する。
   ・結膜の炎症により視力障害を起こす。
  [4] その他
   ・許容濃度を超えると、死に至ることがある。
   ・これらの影響は遅れて現れることがある。

(2)許容濃度
 日本産業衛生学会(2004年)許容濃度    0.1ppm
                     (0.67mg/m3)
 ACGIH(2003年)TLV-TWA           0.1ppm

 (注)ACGIH:米国産業衛生専門家会議
   TLV-TWA:時間加重平均許容濃度

4 応急措置
(1)吸入した場合
  [1] 新鮮な空気にあてる。
  [2] 呼吸停止の場合は、人工呼吸を行う。
  [3] 呼吸困難の場合は、酸素吸入を行う。
  [4] 医師に連絡する。

(2)皮膚に付着した場合
  [1] 汚染した衣服や靴を脱がせると同時に、大量の水で最低15分間洗浄する。
  [2] 医師に連絡する。

(3)眼に入った場合
  [1] 大量の水で最低15分間洗浄する。(できればコンタクトレンズをはずす。)
  [2] 洗眼は指で瞼をひろげ、大量の水で十分に洗浄する。
  [3] 医師に連絡する。

(4)飲み込んだ場合
  [1] 口をすすぐ。
  [2] 多量の水を飲ませる。
  [3] 医師に連絡する。

5 漏出時の措置
(1)退避
  [1] 危険区域から立ち退く。
  [2] 漏洩した場所の周辺にはロープを張るなどして立入りを禁止する。

(2)除去方法
  [1] 大量の流出には、土砂等で流出を止め、多量の活性炭又は消石灰を散布して覆い、至急
    関係先に連絡し、専門家の指示により処理する。
  [2] 少量の流出では、布でふき取るか又はそのまま風にさらして蒸発させる。
  [3] 漏れた液を密閉式の表示された容器にできるだけ集める。

(3)事故処理の際の装備
  下記のうち作業に適したものを使用する。
  [1] 呼吸器の保護具
  呼吸用保護具を着用する。
  [2] 手の保護具
  保護手袋を着用する。
  [3] 眼の保護具
  顔面シールド又は呼吸器用保護具と眼用保護具の併用。
  [4]皮膚及び身体の保護具
  保護衣を着用する。(漏えい飛散した場合の処理時でも防護衣の上に防火服を着装する。)

(4)検知方法
  検知管:塩素用、クロルピクリン用、ホスゲン用。

6 廃棄上の注意
  分解法:少量の界面活性剤を加えた亜硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合溶液中で、攪拌し分解さ
 せた後、多量の水で希釈して処理する。

 注1 混合溶液の亜硫酸ナトリウムの濃度は30%、炭酸ナトリウムの濃度は約4%とする。
 注2 混合溶液はクロルピクリンに対して25倍容量以上用いる。
 注3 分解は液中の油滴及び刺激臭が消失するまで行う。

参考文献
(1)ICSC
(2)RTECS(CD-ROM)
(3)厚生省「毒劇物基準関係通知集 改訂増補版」
(4)中央労働災害防止協会「化学物質の危険・有害便覧」
(5)化学物質評価研究機構「化学物質安全性(ハザード)評価シート」
(6)日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
(7)日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM)
(8)日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」
(9)化学工業日報社「14504の化学商品」

クロルピクリンについての問い合わせ先
 クロルピクリン工業会
 電 話 03-3516-0868
 FAX 03-3516-0869
 URL http://www.chloropicrin.jp