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(別紙)
                                                                 

      特定健康診査等の実施に係る事業者と医療保険者の連携・協力事項について
       


1.定期健康診断時の服薬歴及び喫煙歴の聴取の実施並びに医療保険者への情報提供
 特定健康診査においては、「既往歴の調査」の項目の中で「服薬歴及び喫煙習慣の状況に係る調査」を
行うこととなっているが、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)に規定する定期健康診断におい
ては「既往歴の調査」の項目の中で服薬歴及び喫煙歴の調査を行うことまで義務付けられているわけでは
ない。
 しかしながら、定期健康診断においては、従来からこれらに係る聴取を行っている場合が多いこと、服
薬歴及び喫煙歴の有無は特定保健指導対象者の抽出に不可欠なことから、来年度以降も引き続き聴取を実
施されるよう御協力願いたい。なお、労働安全衛生規則第51条に基づく健康診断結果個人票に服薬歴及び
喫煙歴の有無を記載していない場合においても、事業者がこれらに関する情報を定期健康診断等により把
握している場合には、医療保険者から求めがあった際、健康診断結果個人票の写しと併せて、情報を提供
されるよう御協力願いたい。
 また、定期健康診断時に服薬歴及び喫煙歴について聴取を行わなかった場合は、医療保険者が労働者個
人に対して直接聴取を行う可能性があることについて周知願いたい。
 ※服薬歴及び喫煙歴に関する標準的な問診内容については、「標準的な健診・保健指導プログラム(確定
版)」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/02b_0013.pdf)を参照されたい。


2.定期健康診断等の結果の情報提供等について
(1)事業者から医療保険者への定期健康診断等の結果の情報提供について
 労働安全衛生法上、事業者は、電磁的記録様式による保存を義務付けられていないが、高齢者医療確保
法関係法令上、医療保険者は、特定健康診査等の結果を標準的な電磁的記録様式により保存しなければな
らないこと、電磁的記録を作成し提出できる機関に委託し得ることを定めることとしている。
そのため、医療保険者が事業者に対して標準的な電磁的記録様式による健康診断の結果の提出を求めるこ
とが予想されるところである。これを踏まえ、医療保険者と事業者との協議調整により、標準的な電磁的
記録様式による方法やその他適切な方法により、医療保険者へその保存している結果の写しを提出するよ
う願いたい。
 なお、社会保険診療報酬支払基金ホームページの特定健診等機関基本情報リスト(http://www.ssk.or.j
p/tokuteikenshin/index.html)国立保健医療科学院ホームページの特定健康診査機関・特定保健指導
機関データベース(http://kenshin-db.niph.go.jp/kenshin/)においては、標準的な電磁的記録様式に
よる結果の提出が可能な健診機関等の情報を提供しているので参考として御活用いただきたい。

(2)特定健康診査に含まれない検査項目の取扱いについて
 労働安全衛生規則に基づく定期健康診断の検査項目のうち、高齢者医療確保法に基づく特定健康診査の
検査項目に含まれないものについては、事業者が定期健康診断の実施時に、労働者に対して定期健康診断
の結果の情報を医療保険者に提供する旨を明示し、同意を得ること(受診案内等への記載や健診会場での
掲示等黙示によるものも含む。)で特定健康診査に含まれないものも含めて情報提供が可能となる。
 受領した定期健康診断結果のうち特定保健指導の実施等に必要な検査項目の結果以外は廃棄するなど、
個人情報保護に十分配慮した取扱いを医療保険者が行うよう定められていることから、事業者におかれて
は、労働者の同意が得られるよう、御協力願いたい。

(3)定期健康診断の結果の情報提供に関する必要な取決め及び費用負担等について
 定期健康診断の結果の情報提供に関する必要な取決め等については、事業者と医療保険者との間で、双方
が納得できる方法及び形態等を十分に協議いただき、必要に応じて契約を締結するなど円滑な連携を図って
いただくよう御協力願いたい。
 なお、協議調整の際は、医療保険者への提供のみを目的として定期健康診断の結果を作成又は送付する場
合は、それに要した費用を医療保険者に請求することは差し支えないことに御留意願いたい。


3.特定保健指導について
(1)就業時間中における特定保健指導の実施等について
 特定保健指導は、医療保険者にその実施義務を課し、労働者個人の意思により利用されるものであって、
業務遂行との関連において行われるものではないことから、その受診に要した時間の賃金を事業者が負担
する義務を負うものではない。
 しかしながら、特定保健指導等を受けるための機会の拡充や実施率の向上は、労働者の健康の保持・増
進につながることから、事業者におかれては、就業時間中の受診に要した時間の賃金等の取扱いについて
特段の御配慮をいただき、協力できるか御検討願いたい。

(2)事業者が実施する保健指導と併せて特定保健指導を実施する場合の費用負担について
 事業者が定期健康診断等の実施後の保健指導と併せて特定保健指導も行う場合、特定保健指導の費用と
して医療保険者に請求できる範囲は、その趣旨及び法定の実施内容にかんがみ特定保健指導とみなすこと
ができる部分に限られ、明確な区分けに基づく費用の算定が求められることから、事業者と医療保険者と
の間で事前に十分な協議調整を行い、円滑な実施を図っていただくようお願いしたい。
 なお、協議調整の際は、保健指導と特定保健指導との棲み分けや一体実施の方法等について、具体的に
整理しておく必要がある点に御留意願いたい。


4.血糖検査について
 高齢者医療確保法において、特定保健指導の対象者の選定のために必要な項目として、空腹時血糖又は
ヘモグロビンA1c検査を実施することとしている。
 定期健康診断においては、従来から空腹時血糖を中心に検査を行ってきており、今後も空腹時血糖を測
定することとするのが望ましいが、受診前に摂食した者等、随時血糖の測定を行わざるをえない場合には、
ヘモグロビンA1c検査で代替させることも可能である。
 この際、事業者におかれては、随時血糖の測定のみとならざるを得ない場合であって、高齢者医療確保
法に基づき医療保険者に対して当該測定の結果に関する情報を提供する際には、当該結果が随時血糖に係
るものであることを明示していただくよう、あらかじめ健診機関に依頼する等の御協力を願いたい。
<編注:平成29年8月4日基発0804第4号により、ヘモグロビンA1c検査で代替させることが可能であ
る取扱いは廃止>