別紙1-2

製鉄業等における一酸化炭素(CO)により休業4日以上の労働災害に被災した例

(※ 休業人数は4日以上のみ)

1 フランジ部の隙間から漏れているコークスガスによるCO中毒

平成20年12月(製鉄・製鋼・圧延業:休業1名)

製鉄所構内において、労働者4名にて給水予熱器点検作業のため給水予熱器とコークス冷却設備の間にあるフランジ部(高さ1.3m、幅4.3m)に閉止板を挿入する作業を行っていたところ、フランジ上部から既設の通路を使用して下部へ移動する際に、送気マスクのホースの長さが足りなかったため、これを一旦はずして下部に行ったところ、フランジ部の隙間(9mm)から漏れているコークスガスを吸入しCO中毒となった。 なお、他に2名が被災した。

2 排気ダクト内の点検中のCO中毒

平成20年8月(製鉄・製鋼・圧延業:休業1名)

製鋼工場において、溶湯内に含まれるガスを吸引する真空装置の真空度に不備があったため、排気ダクト内の点検を行っていた労働者が、CO中毒により被災した。また、救出を行った構内下請業者の労働者も、CO中毒により被災している。  

病院に搬送されたところ、被災者の血中のCO濃度が29%であり、救出した労働者は6.6%であった。

3 施設点検作業中のCO中毒

平成20年5月(製鉄・製鋼・圧延業:休業1名)

高炉の炉頂挿入装置上部シール弁が「閉」にならない故障が発生したため、被災者は原料等の挿入コ ンベヤ側の点検口を開いて、内部のシール弁を確認しようとしたが確認出来なかった。そのため、点検口より当該コンベヤのヘッド側シュート内に入り、点検後に外に出ようとしたときに気分が悪くなり自力で 脱出できない状態になった。

4 キュポラ内部の不完全燃焼によるCO中毒

平成18年3月(鋳物業:死亡1名)

被災者は昼から鋳鉄製品の製造作業をするための準備作業をし、鋳鉄製造のためキュポラにコークスを入れ火をつけて予熱を起こしていた。加熱する際にキュポラ内に風を送るための送風機の吸気口の前でマンガンを鉄鎚で小分けにしていたところキュポラ内のコークスが不完全燃焼を起こしCOが発生、送風機の配管を逆流し吸気口から噴出したため被災者がばく露した。

5 スクリューコンベア内のCO中毒

平成17年12月(派遣業:死亡1名)

キュポラ用集じん機において、集じんした粉じんを排出口まで搬送するスクリューコンベアが故障したため、派遣労働者である被災者が点検口から集じん機内に入り、機内の堆積粉じんの掻き出し作業を行っていたところ、機内に滞留していたCOを吸入し、同中毒に罹患したもの。なお、被災者は、意識不明の状態が続いたが、平成18年2月15日死亡した。

6 ガスブロワー室内のCO中毒

平成17年12月(製鉄・製鋼・圧延業:死亡1名)

COを含有する高炉ガスのガス圧を昇圧するガスブロワー室のガス漏れが深夜に確認されたとの作業前ミーティングにより、同日午後に点検準備作業を予定していた同事業場エネルギー課の主任代行が、ミーティング終了約1時間後の午前9時50分頃、ガスブロワー室において倒れているのが発見され、救出後病院に収容されたが午前11時過ぎに死亡したもの。

7 キュポラを覗き込んでCO中毒

平成17年7月(鋳物業:休業1名)

鋳造工場において、操業中のキュポラの状態を確認しようと上から覗き込んだところ、キュポラから出ていたCOガスを吸い込み意識を失って倒れたもの。