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基安化発0728第3号
平成23年7月28日
別記関係団体の長
厚生労働省労働基準局
安全衛生部化学物質対策課長

船舶の解体等作業における石綿ばく露防止対策に係る留意事項について

 石綿障害予防規則の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第83号。以下「改正省令」という。)が、
平成23年7月1日に公布され、同年8月1日から施行されることとなっていますが、鋼製の船舶の解体等にお
ける労働災害の防止について万全を期すため、下記に留意の上作業が行われるよう会員事業場に対し周知
徹底されたくお願いいたします。
1 石綿含有断熱材が使用されている配管や機械類からの石綿等の適切な除去
 (1) 船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)の解体等における石綿等の除去等については、船舶の内部が
  狭隘であること、石綿を含む断熱材等(以下「石綿断熱材等」という。)が使われている配管や機械類
  (以下「配管等」という。)の形状が特異であることから、通常の除去作業が困難となる可能性がある。
  その場合には、船舶の内部でこれら配管等から石綿断熱材等を除去することは避け、これら配管等そ
  のものを、グローブバッグ、ビニール、テープ等を用いて覆った上で外し、又は石綿断熱材等が使わ
  れている部分を周囲から切断すること。その際、適切な保護具を使用すること。
 (2) 具体的な方法としては、(参考図)のように、配管を解体するに当たり、配管エルボ(配管の曲線部)
  のみが石綿断熱材等で覆われており、石綿断熱材等で覆われていない直線部分で切断することにより、
  配管エルボごと石綿を除去し、その後、専門工場で配管エルボから石綿を取り除く作業方法があること。
 (3) 上記(1)及び(2)に示す作業に際して、取扱いは次のア及びイのとおりとすること。
  ア 船舶の解体等の作業場所においては、配管等から石綿断熱材等の除去作業は行われないものの、船
   舶から石綿断熱材等を取り除くことには相違ないことから、当該作業は石綿障害予防規則(以下「石
   綿則」という。)第5条第1項第1号に掲げる作業に当たることとなり、当該作業を行う事業者は、石
   綿則第5条に基づく作業の届出その他必要な措置を講じなければならないものであること。
  イ 船舶から取り外され、船舶以外の場所で当該取り外された配管等から石綿断熱材を除去する作業
   は、船舶の解体等の作業には該当しないものであることから、石綿則第5条の作業の届出は要しない
   が、当該作業は石綿等の取扱い作業に該当するため、屋内作業場の場合には石綿則第12条に基づく
   局所排気装置の設置等その他必要な措置を講じなければならないものであること。

   (参考図)
図 配管エルボの事例
 
2 集じん・排気装置の保守点検
  次の(1)から(3)までに掲げる集じん・排気装置の保守点検の徹底を図ること。なお、必要に応じて3の
 「船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル」(財団法人日本船舶技術研究協会)又は
 「建築物等の解体等工事における石綿粉じんへのばく露防止マニュアル」(建設業労働災害防止協会)を
 参考にすること。
 (1) 集じん・排気装置の取扱説明書等に基づき、フィルターの目詰まりによる劣化を防止するため、フ
  ィルターの定期的な交換を徹底すること。
 (2) 集じん・排気装置のパッキンの取付け等の不具合による石綿の漏洩を防止するため、使用開始前の
  取付け状態の確認を徹底すること。
 (3) その他、集じん装置等の定期自主点検指針に示された事項の確認を徹底すること。

3 「船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル」について
  船舶の解体等における石綿等の除去等に係る指導に当たっては、必要に応じ、財団法人日本船舶技術
 研究協会において作成した「船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル 2011年3月」
 を参考にすること。(本マニュアルは同協会ホームページ(http://www.jstra.jp/html/a04/cat100/ 
 平成23年7月現在)上に公開されている。)