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ゴンドラ構造規格
  第一章
     構造部分等(第一条−第二十条)

ゴンドラ構造規格 目次

第一節  材料

(材料)
第一条  ゴンドラ(労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第十二条第一項第八号に
  掲げるゴンドラをいう。以下同じ。)の構造部分(ゴンドラのうち、囲い、覆いその他人を乗せて昇降
  させるための支持部分以外の部分及び機械部分を除いた部分をいう。以下同じ。)の材料は、次に掲げ
  る日本産業規格に適合した鋼材若しくはアルミニウム合金材又はこれらと同等以上の化学成分及び機械
  的性質を有する鋼材若しくはアルミニウム合金材でなければならない。ただし、厚生労働省労働基準局
  長が認めた場合には、この限りでない。
  一  日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)に定めるSS三三〇又はSS四〇〇
  二  日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)
  三  日本産業規格G三三五〇(一般構造用軽量形鋼)
  四  日本産業規格G三四四四(一般構造用炭素鋼鋼管)に定めるSTK四〇〇又はSTK四九〇
  五  日本産業規格G三四四五(機械構造用炭素鋼鋼管)に定める十三種
  六  日本産業規格G三四四六(機械構造用ステンレス鋼鋼管)に定めるSUS三〇四
  七  日本産業規格G三四六六(一般構造用角形鋼管)
  八  日本産業規格G四三〇四(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)に定めるSUS三〇四
  九  日本産業規格G四三一七(熱間成形ステンレス鋼形鋼)に定めるSUS三〇四
  十  日本工業規格H四一〇〇(アルミニウム及びアルミニウム合金押出形材)に定めるA六〇六一S
    −T六、A六〇六三S−T六、A六〇〇五CS−T五又はA六〇〇五CS−T六
  前項の規定にかかわらず、構造部分のうち、作業床の床板等には、木材又はアルミニウム合金材(前
  項第十号の材料を除く。)を使用することができる。
  前項の規定により使用することができる木材は、強度上の著しい欠点となる割れ、虫食い、節、繊維
  の傾斜等がないものでなければならない。

(材料に係る計算に使用する定数)
第二条  前条第一項本文の材料に係る計算に使用する定数は、次の表の上欄に掲げる定数の種類及び同表
  の中欄に掲げる材料の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。(表)

第二節  許容応力

(材料に係る許容応力の値)
第三条  第一条第一項本文の材料に係る計算に使用する許容引張応力の値、許容圧縮応力の値、許容曲げ
  応力の値、許容せん断応力の値及び許容支え圧応力の値は、それぞれ次の式により計算して得た値とす
  る。

式

    これらの式において、F、σta、σca、σba、τ及びσdaは、それぞれ次の値を表するものとする。
    F  材料に係る次に掲げる値のうちいずれか小さい値
      イ  降伏点又は耐力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)の値
      ロ  引張強さ(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)の値を一・二で除して得た値
    σta  許容引張応力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)
    σca  許容圧縮応力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)
    σba  許容曲げ応力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)
    τ  許容せん断応力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)
    σda  許容支え圧応力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)

  第一条第一項本文の材料に係る計算に使用する許容座屈応力の値は、次の式により計算して得た値と
  する。
    λ≦Λの場合  σk=1.7{1−(1−α)(λ/Λ)2}σca/ν
    λ>Λの場合  σk=0.68ασca/(λ/Λ)2
    これらの式においてσk、σca、α、λ、Λ及びνは、それぞれ次の値を表すものとする。 
    σk  許容座屈応力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)
    σca  許容圧縮応力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)
    α  鋼材にあっては〇・六、アルミニウム合金材にあっては〇・四
    λ  有効細長比
    Λ  次の算式により算定する限界細長比

式
    この式において  π、E及びFは、それぞれ次の値を表すものとする。
    π  円周率
    E  材料の縦弾性係数(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)
    F  材料に係る次に掲げる値のうちいずれか小さい値
      イ  降伏点又は耐力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)の値
      ロ  引張強さ(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)の値を一・二で除して得た値
    ν  次の算式により算定する安全率
      一  鋼材の場合
        ν=1.7+0.8(λ/Λ)2
      二  アルミニウム合金材の場合
        ν=1.7{0.9+0.6(λ/Λ)}
        ただし、νの値が一・七を超えないときは、一・七  

(溶接部に係る許容応力の値)
第四条  第一条第一項本文の鋼材により構成されるゴンドラの構造部分の溶接部に係る計算に使用する許
  容応力(許容支え圧応力及び許容座屈応力を除く。)の値は、前条第一項の規定にかかわらず、同項に
  規定するそれぞれの値(溶接加工の方法がすみ肉溶接である場合には、許容せん断応力の値)に、次の
  表の上欄に掲げる溶接加工の方法及び同表の中欄に掲げる鋼材の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に
  掲げる係数を乗じて得た値とする。(表)
  前項の規定にかかわらず、放射線試験を行う場合において、構造部分(ステンレス鋼材以外の鋼材に
  より構成されるものに限る。次項において同じ。)の溶接部(溶接加工の方法が突合せ溶接である場合
  に限る。)が次に掲げるところに該当するときは、当該溶接部に係る計算に使用する許容応力(許容引
  張応力、許容圧縮応力及び許容曲げ応力に限る。)の値は、前条第一項に規定する値とすることができ
  る。
  一  日本工業規格Z三一〇四(鋼溶接部の放射線透過試験方法及び透過写真の等級分類方法)(以下こ
    の条において「規格」という。)に規定する第三種の欠陥がないこと。
  二  規格に規定する第一種の欠陥又は第二種の欠陥のいずれかがある場合には、当該欠陥に係る規格に
    規定する欠陥点数が、それぞれ規格に規定する第一種の二級の許容限度を表す値又は第二種の二級の
    許容限度を表す値以下であること。
  三  規格に規定する第一種の欠陥及び第二種の欠陥が混在する場合には、当該欠陥に係る規格に規定す
    る欠陥点数が、それぞれ規格に規定する第一種の二級の許容限度を表す値及び第二種の二級の許容限
    度を表す値の二分の一以下であること。
  前項の放射線試験は、次に定めるところによるものでなければならない。
  一  規格に定めるところに従い構造部分の溶接部の全長の二十パーセント以上の長さについて行うこと。
  二  構造部分の溶接部は、その余盛りが母材の表面と同一の面まで削られていること。ただし、余盛り
    の中央における高さが、次の表の上欄に掲げる母材の厚さに応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる高
    さ以下である場合には、この限りでない。(表)

(許容応力の値の特例)
第五条  次に掲げる材料又は溶接部に係る計算に使用する許容応力の値は、当該材料又は当該溶接部に係
  る材料の化学成分及び機械的性質を考慮して厚生労働省労働基準局長が定めるものとする。
  一  第一条第一項ただし書の規定により厚生労働省労働基準局長が構造部分に使用することを認めた材料
  二  アルミニウム合金材(前号の材料を除く。)により構成される構造部分の溶接部
  三  ステンレス鋼材(第一号の材料を除く。)により構成される構造部分の溶接部について放射線試験
    を行った場合の当該溶接部
  四  第一号の材料により構成される構造部分の溶接部

(許容応力の値の割増し)
第六条  前三条に規定する許容応力の値は、第十四条第一項第二号の荷重の組合せによる計算においては
  十五パーセントを、同項第三号の荷重の組合せによる計算においては三十パーセントを限度として割り
  増した値とすることができる。

(床板等に使用する材料に係る許容応力の値)
第七条  第一条第二項の作業床の床板等に使用する木材の繊維方向の許容曲げ応力の値は、次の表の上欄
  に掲げる木材の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。(表)
  第一条第二項の作業床の床板等に使用するアルミニウム合金材の許容曲げ応力の値は、次の計算式に
  より算定される値とする。

σba

1

1.7

    この式において、σba及びFは、それぞれ次の値を表すものとする。
    σba  許容曲げ応力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)
    F  材料に係る次に掲げる値のうちいずれか小さい値
      イ  耐力(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)の値
      ロ  引張強さ(単位  ニュートン毎平方ミリメートル)の値を一・二で除して得た値

第三節  荷重

(計算に使用する荷重の種類)
第八条  構造部分に掛かる荷重のうち計算に使用する荷重は、次に掲げるとおりとする。
  一  ゴンドラの自重
  二  積載荷重
  三  昇降慣性力
  四  走行慣性力
  五  風荷重
  六  地震荷重

(積載荷重)
第九条  前条第二号の積載荷重の値は、作業床の床面の中心に作用する集中荷重とし、その値は、次の式
  により計算して得た値(チェア型のゴンドラについては百キログラム)以上とする。
    W1=75(A+1)
    この式において、  W1及びAは、それぞれ次の値を表すものとする。
    W1  積載荷重(単位  キログラム)
    A  作業床の面積(単位  平方メートル)

(昇降慣性力)
第十条  第八条第三号の昇降慣性力は、ゴンドラに対し垂直方向に作用するものとし、その値は、次の式
  により計算して得た値とする。
    Fv=(0.15+0.15u)(Wd1+W1)g
    この式において、Fv、u、Wd1、W1及びgは、それぞれ次の値を表すものとする。
    Fv  昇降慣性力(単位  ニュートン)
    u  昇降速度(単位  メートル毎秒)
    Wd1  昇降する部分の自重(単位  キログラム)
    W1  積載荷重(単位  キログラム)
    g  重力加速度(単位  メートル毎秒毎秒)

(走行慣性力)
第十一条  第八条第四号の走行慣性力は、ゴンドラに対し水平方向に作用するものとし、その値は、次の
  式により計算して得た値とする。
    Fh=0.05(Wd2+W1)g
    この式において、F、Wd2、W1及びgは、それぞれ次の値を表すものとする。
    Fh  走行慣性力(単位  ニュートン)
    Wd2  走行する部分の自重(単位  キログラム)
    W1  積載荷重(単位  キログラム)
    g  重力加速度(単位  メートル毎秒毎秒)

(風荷重)
第十二条  第八条第五号の風荷重の値は、次の式により計算して得た値とする。
    F=qCA
    この式において、F、q、C及びAは、それぞれ次の値を表すものとする。
    F  風荷重(単位  ニュートン)
    q  速度圧(単位  ニュートン毎平方メートル)
    C  風力係数
    A  受圧面積(単位  平方メートル)  
  前項の速度圧の値は、次の表の上欄に掲げる風の作用する方向に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げ
  る式により計算して得た値とする。(表)
  第一項の風力係数は、ゴンドラの風を受ける面に関して風洞試験を行って得た値又は次の表の上欄に
  掲げるゴンドラの風を受ける面の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。(表)
  第一項の受圧面積は、ゴンドラの風を受ける面の風の方向に直角な面に対する投影面積(以下この項
  において「投影面積」という。)とする。この場合において、ゴンドラの風を受ける面が風の方向に対
  して二面以上重なっているときは、次に定めるところによる。
  一  風を受ける面が二面重なっているとき  風の方向に対して第一の面となる面の投影面積に、風の方
    向に対して第二の面となる面のうち第一の面と重なっている部分の投影面積の六十パーセントの面積
    及び風の方向に対して第二の面となる面のうち第一の面と重なっていない部分の投影面積を加えた面
    積
  二  風を受ける面が三面以上重なっているとき  前号に定めるところにより得た面積に、風の方向に対
    して第三以降の面のうち風の方向に対して前方にある面と重なっている部分の投影面積の五十パーセ
    ントの面積及び風の方向に対して第三以降の面のうち風の方向に対して前方にある面と重なっていな
    い部分の投影面積を加えた面積

(地震荷重)
第十三条  第八条第六号の地震荷重の値は、ゴンドラの自重及び積載荷重のそれぞれ二十パーセントに相
  当する荷重がゴンドラに対し水平方向に作用するものとして計算した値とする。

第四節  強度

(強度計算に係る荷重の組合せ)
第十四条  構造部分を構成する部材の断面に生ずる応力の値は、次に掲げる荷重の組合せによる計算にお
  いて、第二節に規定する許容応力の値を超えてはならない。
  一  ゴンドラの自重、積載荷重、昇降慣性力及び走行慣性力の組合せ
  二  ゴンドラの自重、積載荷重、昇降慣性力、走行慣性力及び風荷重の組合せ
  三  ゴンドラの自重、積載荷重、昇降慣性力、風荷重及び地震荷重の組合せ
  前項の応力の値は、同項各号に掲げる荷重の組合せにおいて、当該構造部分の強度に関し最も不利と
  なる場合におけるそれぞれの荷重によって計算するものとする。

(床板等を構成する部材の応力)
第十五条  前条の規定にかかわらず、作業床の床板等を構成する部材の断面に生ずる応力の値は、二千四
  百五十ニュートン毎平方メートルの等分布荷重として計算するものとする。

(剛性の保持)
第十六条  構造部分は、当該ゴンドラの使用に支障となる変形が生じないように剛性が保持されているも
  のでなければならない。

第五節  安定度

(安定度)
第十七条  ゴンドラは、次の式により計算して得た値が、第十四条第一項第一号に掲げる荷重の組合せに
  おいては一・五以上、同項第二号に掲げる荷重の組合せにおいては一・三五以上、同項第三号に掲げる
  荷重の組合せにおいては一・二以上である安定度を有するものでなければならない。
S= s
o
    この式において、S、Ms及びMoは、それぞれ次の値を表すものとする。
    S  安定度
    Ms  安定モーメント(単位  ニュートンセンチメートル)
    Mo  転倒モーメント(単位  ニュートンセンチメートル)
  前項の安定度は、ゴンドラの安定に関し最も不利となる状態にあるものとして計算するものとする。
  ただし、軌道式のゴンドラに係る前項の安定度は、台車を固定するレール等の強度が十分であることが
  確認される場合は、台車の固定の効果を考慮して計算することができる

第六節  作業床等

(作業床)
第十八条  作業床は、次に定めるところによるものでなければならない。ただし、第二号及び第三号の規
  定は、チェア型のゴンドラの作業床については、適用しない。
  一  床板材は、すき間がなく、かつ、枠に確実に固定されていること。
  二  周囲には次に定める囲い又は手すりが設けられていること。
    イ  丈夫な構造であること。
    ロ  材料は、著しい損傷、腐食等がないものであること。
    ハ  高さは、九十センチメートル以上であること。
  三  手すりが設けられている場合にあっては、周囲に中さん及び高さが十センチメートル以上のつま先
    板が設けられていること。

(金具等)
第十九条  ゴンドラは、墜落制止用器具その他の命綱を取り付けるための金具等を備えているものでなけ
 ればならない。ただし、チェア型のゴンドラにあっては、この限りでない。

(車輪止め等)
第二十条  軌道式のゴンドラは、軌道の端部若しくはこれに準ずる箇所に緩衝装置若しくは緩衝材を、又
  はレールの端部に当該ゴンドラの走行車輪の直径の五分の一以上の長さに相当する高さの車輪止めを備
  えるものでなければならない。
  軌道式ゴンドラのうち、軌道を切り替えることのできる構造のものにあっては、軌道が正確に切り替
  えられていない場合に、軌道の切り替わる部分の手前の位置で当該ゴンドラの走行を停止させる構造の
  ものでなければならない。