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健康診断結果にもとづく健康管理について

改正履歴

  標記については、今般別添指針のとおり定めたので、下記事項に留意の上、本健康管理が適切に行なわ
れるよう格段の配意を致されたい。

記
一  健康診断との関係について
  (1)  本指針は、労働基準法第52条第4項(現行=安衛法第66条の3)の規定により、使用者が健康診
      断結果にもとづいて講ずべき措置の参考とするために作成したものであること。なお特殊健康診断
      (昭和31年5月18日基発第308号)結果にもとづいて講ずべき措置についても指針を参考とするこ
      と。
  (2)  本健康管理の前提となるべき健康診断については、別途通ちょうするところによること。
二  指導対象事業場について
    別添指針に掲げた業務を有する事業場であって、衛生管理者を選任すべき事業場を重点とすること。
三  運用の方法について
  (1)  別添指針にもとづく健康管理措置は、当分の間使用者の自発的措置としてその実施を勧奨するこ
      と。
  (2)  講習会、研究会及び労働衛生週間中の集団指導を行なう機会を利用して本措置の内容を周知徹底
      すること。
四  その他
    本指針にもとづく健康管理は、医師である衛生管理者の業務として運用されるべきであることを、関
  係事業場の使用者は勿論のこと、労働者についても十分納得せしめ、無用の混乱が生じないように指導
  すること。

                      健康診断結果にもとづく健康管理指針

一  緒言
    衛生上有害な又は有害のおそれある業務に従事している労働者の健康診断結果にもとづいて講ずべき
  措置については、従来ややもすればなおざりに附され、また実施されていてもその方法に適切を欠く場
  合もすくなくなかったので、早急に適正な健康管理指針を作成する必要が痛感されていた。しかしなが
  らただ一つの健康管理指針を機械的かつ画一的に適用することについては種々の問題点があることのた
  め、労働省としても数年にわたり専門家による所要の研究を促進し、種々の角度から意見を聴取してき
  た。もともと健康管理は医師の医学的判断によって行なわれるべきものであるが、普遍妥当性のある健
  康管理指針の作成は、医師である衛生管理者の健康管理実務上の参考となる点が少なくないという結論
  に達し、本指針を作成したものである。勿論、これをもって健康診断結果にもとづく健康管理指針の作
  成はすべて完了したとはいえず今後更に検討を進め逐次他の疾病についても健康診断結果にもとづく健
  康管理を行なうべき指針を追加作成する予定である。
二  健康診断結果にもとづく健康管理の内容
    本指針にもとづく健康管理は、有害又は有害のおそれある業務に従事する労働者が当該業務に従事す
  ることによって生ずる障害を対象として作成したもので、先ず業務に従事することによって当該業務に
  起因して生ずる障害を推測するに必要な最小限の健康診断の結果からその症状の程度に応じて三群に分
  け、その各群に対しそれぞれ適切な管理措置を行なうこととし、前者の基準として別表一の「健康管理
  区分表」と後者の措置として別表二の「健康診断事後措置表」とからなる健康管理指針を示したもので
  ある。
  すなわち
  ○健康管理区分表  対象業務ごとに定められた第一次健康診断又は第二次健康診断結果を下記の原則的
    方法で三区分(管理A、管理B及び管理C)するための基準を対象業務ごとに示した表で、同一管理
    区分の症状の程度は、対象業務の如何にかかわらず同様のものである。(表)
  〇健康診断事後措置表  健康診断の結果発見された管理B該当者に対し、この時期において健康管理を
    行なうことにより管理Cに移行するのを防止し、すすんで管理Aに移行せしめるよう措置すること及
    び管理C該当者に対しては病勢の悪化を防止し、進んで健康を回復させるために管理区分に応じてと
    るべき措置の大すじを示したものである。
      なお、業務に起因しない疾患にかかっている者、妊産婦又は授乳婦等に対してはそれぞれふさわし
    い別途の健康管理が必要であることはいうまでもない。
三  健康診断にもとづく健康管理の進め方
    健康管理は、医師である衛生管理者の指示にもとづき大略下記順序によって運用する必要がある。な
  お、健康診断については、昭和38年8月19日基発第940号によること。
  (1)  対象業務従事労働者について、当該業務に係る第一次健康診断を実施し、その結果を「健康管理
      区分表」から第一次健康診断の全ての検査項目に異常が認められない者(管理A該当者)、第一次
      健康診断のある検査項目について異常を認めるが、医師が第二次健康診断を必要としないと判断し
      た者(管理Bの1該当者)及び前記管理A及び管理B該当者以外の者(第二次健康診断対象者)と
      に分ける。
  (2)  第二次健康診断対象者について、当該業務に係る第二次健康診断を実施し、その結果を「健康管
      理区分表」から、治療を要すると認められる者(管理C該当者)及び治療を要しない者(管理Bの
      2該当者)とに分ける。
  (3)  管理B及び管理Cに該当する者に対し「健康診断事後措置表」にもとづき管理措置を行なう。
      これを図示すれば下図の通りである。(下図参照)

四  健康診断結果にもとづく健康管理運用上の留意点
  (1)  健康診断事後措置について
    イ  表中管理Bの「当該業務への就業制限」は、就業の場所又は業務の転換、労働時間の短縮を意味
      するものであるが、本措置を実施するにあたっては当該業務を行なう作業場の労働環境条件、当該
      労働者の健康状態及び作業条件等を考慮して、医師が定めるものである。
    ロ  表中管理Bの斜線の部分欄は、積極的な事後措置を一般的には必要としないとの意味であり、措
      置をすべて否定する意味ではない。
    ハ  表中管理Cの「医学的治療」欄は、入院又は自宅療養ばかりでなく、配置転換先において就業し
      ながら現われている症状を消散させるのに必要な治療を意味するが、単なる予防的投薬等はふくま
      ないものである。