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引金付工具による手指障害等の予防について
改正履歴
  最近、各局管内において、炭酸ガスアーク溶接トーチ、エヤーリベッター等の引金付工具を使用する労
働者の中から手指に障害を生ずる等の健康障害が発生しており、これらの引金付工具を用いる作業は、多
くの業種に及んでいることから今後においても同種の障害の発生が予想されるところである。
  ついては、この種の障害を防止するため、今般、「引金付工具使用作業指導要領」を別添のとおり定め
たので、同要領に基づき関係者に対し適切な指導を行われたい。

別  添

引金付工具作業者要領

  本要領は、炭酸ガスアーク溶接トーチ、エヤーリベッター、自動刺しゅう機、スプレーガン、エヤード
ライバー等手で保持し、引金を操作する工具(以下「引金付工具」という。)の使用に伴う健康障害を防
止するために定めたものである。
1  作業管理について
  (1)  引金付工具を取り扱う作業は、特定の労働者を長時間にわたって連続して行わせることなく、そ
      の他の適当な作業と交互に行わせるように努めること。
        なお、それぞれの作業の連続時間は、作業の状態等に応じ適正な時間であること。
  (2)  特定の労働者を引金付工具を取り扱う作業にもっぱら従事させる場合は、適正な時間ごとに10分
      ないし15分の休憩を与えること。
  (3)  上記(1)及び(2)の適正な時間の目安は、おおむね60分ないし120分とし、120分は超えないこと。
  (4)  作業者が連続して同一の作業をくりかえし行わないようにするため、流れ作業方式をいわゆる
      JEL(Job Enlargement)方式((注)参照)に替える等の措置についても配意すること。
  (5)  引金付工具の形、重量、引金を引く又は押さえるに要する力、引金のストローク等は人間工学的
      に配慮された適正なものとすること。
  (6)  引金付工具を使用する場合は、スプリングバランサー又はカウンターウエイトを取り付ける等に
      よりその重量が作業者の上肢に直接かからないようにすること。
        なお、スプリングバランサー又はカウンターウエイトを引金付工具に取り付ける位置は、通常の
      作業で引金付工具の重心の沿直線上にあるようにすることが望ましいこと。
  (7)  引金付工具に接続するホース又はケーブルについては、適切な保持具で支える等により、作業者
      の上肢に負担がかからないようにすること。
  (8)  工具のとっ手部(にぎり部)の形状は、作業者の手指の大きさ等に応じた適正なものとすること。
  (9)  上肢を過度に屈曲し又は捻(ねん)転した状態で作業をさせないこと等、作業姿勢の適正化を図る
      こと。
  (注)  JEL(Job Enlargement)方式とは、職務内容の単純化、定型化に伴う単調感、疎外感を克服し、
      能力の活用の増大による満足感を与えることを図るため、作業者の職務内容を極度に単純化するこ
      とをせず、複数の機能内容を含ませる方式である。
2  作業環境について
  (1)  作業を行う場所の気温等については、次によるように努めること。(表)
        換気等については、事務所衛生基準規則に準じて必要な措置を講ずるようにすること。
        なお、気温、湿度、照明等についての測定を必要に応じ実施するようにすること。
  (2)  作業を行う場所の広さ、作業台の配置等は、作業状態に応じた人間工学的に配慮されたものとす
      ること。
  (3)  持続的立業である作業については、必要に応じ手待ち時間等に利用しうるいすを備え、労働者が
      適宜に利用できるようにすること。
  (4)  作業者が有効に利用することができる休憩のための設備を設けるようにすること。また、労働者
      が臥床することができる休養室又は休養所を男子用と女子用に区別して設けるようにすること。
        なお、これらの設備を設ける場合には、できるだけ作業室に近接した位置に設けるようにするこ
      と。
  (5)  その他、騒音の軽減、清掃の実施等衛生水準の維持向上について十分配慮すること。
3  健康管理について
  (1)  引金付工具を使用する作業に従事する労働者に対して、雇入れの際、当該業務への配置替えの際
      及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師により健康診断を行うこと。
    イ  業務歴、既往歴等の調査
    ロ  問  診
        肩こり、背痛、腕痛、項部の張り、手のしびれ、手指の痛み、こわばり、はれ及びしこり、手の
      脱力感、指の弾発現象等の継続する自覚症状の有無
    ハ  視診、触診
      (イ)  せき柱の変形と可動性の異常の有無、棘(きよく)突起の圧痛、叩打痛の有無
      (ロ)  指、手、腕の運動機能の異常及び運動痛の有無
      (ハ)  指の弾発現象、軋(あつ)音の有無
      (ニ)  筋、腱、関節(頸、肩、背、手、指等)の圧痛、硬結及び腫張の有無
      (ホ)  腕神経そうの圧痛及び上肢末梢循環障害の有無
      (ヘ)  上肢の知覚異常、筋、腱反射の異常の有無
    ニ  握力の測定
    ホ  視機能検査
       なお、上記の健康診断の結果医師が必要と認める者については、必要な検査を追加して行うこと。
  (2)  健康診断結果に基づく事後措置
       上記(1)の健康診断の結果、引金付工具作業による症状増悪のおそれがみられる等、作業を続ける
      ことが適当でない者又は作業時間の短縮を要す ると認められる者については、作業転換、作業時
      間の短縮等当該労働者の健康保持のための適切な措置を講ずること。
  (3)  職場体操を実施するとともに、体育活動、レクリエーションの実施等について便宜を与える等、
      労働者の健康の保持増進のために必要な措置を講ずるようにすること。
        頸肩腕症候群を予防するための職場体操は別紙1に掲げるものがあるので、これを参考にして実
      施すること。
  (4)  引金付工具を使用する労働者に対し、適切な作業方法及び必要な安全衛生教育を行うこと。
  (5)  産業医、衛生管理者又は労働衛生管理員等に引金付工具を用いる作業に従事する労働者の健康管
      理、健康相談等にあたらせること。
        健康診断、健康相談等の結果、労働者の健康を保持するため必要と認める場合には、産業医等の
      指導により必要な措置を講ずること。
  (6)  衛生委員会等においては、健康障害の防止、健康の保持増進等について関係労働者の意見を十分
      にきくこと。
        なお、衛生委員会等を設けない事業場においても、関係労働者の意見をきくための機会を設ける
      ようにすること。

別紙1  (図)
     (図)

※  小山内  博:学研維持会資料NO647〜649合併号(P22〜23昭49)
    この他、頚肩腕症候群を予防する体操のテキストとしては、次の文献がある。
〇  菰  池  義  彦・木  村  正  己  監修
  「頚肩腕をまもる  けいわん体操」予防医学協会
〇  塩  谷  宗  雄  著
  「腰痛、頚肩腕障害の予防」新企画出版社
別紙2 参考 引金付工具の例

        (図)