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振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断の実施手技について
改正履歴
  標記については、昭和48年11月2日付け基発第622号「チエンソー等の取扱い業務に係る特殊健康診断
の実施手技について」により通達したところであるが、今回その内容の細部を改善し、別添のとおり定め
たので、関係者に周知徹底を図り、当該健康診断の実施に遺憾のないようされたい。
  なお、前記通達は廃止する。

別添

I  第一次健康診断
  1  職歴調査  別紙1に掲げる項目(被検者の自己記入でもよい。)(別紙1)
  2  自覚症状調査  別紙2に掲げる項目(被検者に自己記入させた場合でも、必ず問診で確認すること。)
   (別紙2)
  3  視診、触診
      爪の変化、指の変形、皮膚の異常、骨・間接の変形・異常、上肢の運動機能の異常及び運動痛、腱
    反射の異常、筋萎縮、筋・神経そうの圧痛、触覚の異常等
  4  運動機能検査
      運動機能検査は、被検者の協力が必要であり、また巧拙が大きく影響するので、検査の実施に当た
    っては十分留意すること。
    (1)  握力(最大握力、瞬発握力)
          直立し腕を下方に伸ばしたまま、左右とも最大努力させ、5秒間隔で2回測ってその大きい方
        の値をとること。(5回法の最初の2回値でよい。)
      (注)(イ)  検査前に1〜2回練習をさせることが望ましい。
          (ロ)  握力計は、校正済みのスメドレー式握力計を用いること。
    (2)  維持握力(5回法)
          直立し、腕を下方に伸ばしたまま最大努力させ、5秒間隔で左右交互にこれを5回くり返し、
        1回目及び2回目の値のうちの大きい方の値と4回目及び5回目の値のうちの小さい方の値との
        差をその値とする。
  5  血圧、最高血圧及び最低血圧
  6  末梢循環機能検査
      室温20℃〜23℃位の室で30分以上安静にさせた後行うこと。
    (1)  手指の皮膚温
          常温下で両手の示、中、環、小指の末節の掌側中央について測定する。(各指間の差をみる場
        合の「各指」とは、示、中、環、小指の4指をいう。)
      (注)イ  皮膚温計は感温部が小さく、測定の所要時間が短いサーミスター式又は熱電対式のものを
            選ぶこと。
          ロ  感温部は、十分皮膚に密着させないと正しい値が得られないので注意すること。
          ハ  喫煙により末梢皮膚温が低下するので、測定前1時間は禁煙させること。また、測定時に
            は必ず喫煙の有無を確認すること。
          ニ  常温下の皮膚温は、平常時でも若干の変動があるとされているので留意すること。したが
            って、常温時の測定は、できれば適当な時間をおいて2回以上行うようにすること。
    (2)  爪圧迫
          常温下で両手の示、中、環指の3指について行う。方法は、1指ごとに、軽くにぎった検者の
        手の拇指と示指で被検者の爪の部分を挾み、ついで10秒間強く押え、はなした後、爪の退色が元
        に戻るまでの時間を測定する。
    (注)(イ)  時間はストップウォッチを用いて測定すること。
        (ロ)  被検者の手の高さは、心臓の高さとし、指の力を完全に抜かせた状態で行うこと。
7  末梢神経機能検査(感覚検査)
    室温20℃〜23℃室内で30分以上安静にさせた後行うこと。
  (1)  痛覚
        常温下で、両手の示、中、環指の手指中節背側の皮膚の薄い部位で検査する。
        方法は、この箇所の小範囲について痛覚計の先で軽く4〜5回突き、痛覚の有無を検査し、この
      部位に鈍麻を認めれば、さらに鈍麻の範囲をみるため、前腕撓・尺側及び上腕撓・尺側について検
      査する。
      (注)(イ)  痛覚計は、注射管方式(1/2静脈用注射針を注射管に取りつけたもの)、テンションメ
              ーター式又はペンシル式のいずれでもよい。
          (ロ)  外傷のある指及び爪圧迫テストを行った指はさけること。
          (ハ)  検査の際は、最初に手背部等で試行し、痛覚を確認させてから行うこと。
          (ニ)  検査に当っては、軽く目を閉じさせること。
  (2)  指先の振動覚
        常温下で両手の示、中、環指の末節の掌側中央の部位で検査する。方法は手掌を水平に保ち、指
      を軽く伸ばし、指先を軽く振動子に接触させて行う。
      (注)イ  振動覚は、原則として鈍正弦波振動により検査すること。(リオンAu−02型等によること
            が望ましい。)
          ロ  周波数は、原則として62.5、125、250Hzを用いること。冷却負荷後は、1周波のみで差し
            支えない。
          ハ  外傷のある指及び爪圧迫テストを行った指はさけること。
          ニ  はじめに振動感覚を確認させた後、上昇法を2〜3度くり返した測定すること。
          ホ  検査に当っては、軽く目を閉じさせること。
II  第二次健康診断
  1  末循環機能検査
      室温20℃〜23℃位の室で30分以上安静にさせた後行うこと。
    (1)  手指の皮膚温
      [1]  常温下で両手の示、中、環、小指の末節の掌側中央について測定する。(各指間の差をみる
          場合の「各指」とは、示、中、環、小指の4指をいう。)
      [2]  左手(右手だけレイノー現象を訴えるときは右手)を冷却負荷(5℃±0.5℃の冷水中に手首
          まで10分間浸漬することをいう。以下同じ。)し、浸漬手の示、中、環指のうち1指について、
          末節の掌側中央について冷却負荷開始6分目から1分毎に測定し、10分目の測定終了と同時に
          手を冷水から引き上げ、乾いたタオルでふき、さらに手を冷水から引き上げた時を基点として
          5分目及び10分目に測定する。
      (注)イ  皮膚温計は、感温部が小さく、測定の所要時間が短いサーミスター式又は熱電対式のもの
            を選ぶこと。
          ロ  感温部は、十分皮膚に密着させないと正しい値が得られないので注意すること。
          ハ  喫煙により末梢皮膚温が低下するので、測定前1時間は禁煙させること。また、測定時に
            は必ず喫煙の有無を確認すること。
          ニ  常温下の皮膚温は、平常時でも若干の変動があるとされているので留意すること。したが
            って、常温時の測定は、できれば適当な時間をおいて2回以上行うようにすること。
          ホ  冷水槽は、椅座位で腕を下方に伸ばした状態で手首まで浸漬できるような高さ及び位置と
            すること。
          ヘ  冷却負荷中、浸漬している部分が容器及び氷塊に触れないように気をつけさせること。
          ト  冷水槽の水は、ときどき撹拌し、温度を一定かつ一様に保つこと。
          チ  冷却負荷の際、皮膚温計の感温部の測定指へのとりつけは、紙ばんそうこうを用いて固定
            し、白色ワセリンで防水すること。
              また、ばんそうこうは指の血流を阻害しないように用いること。
              なお、水中での測定は、測定時の固定の方法の如何によっては、水温の影響を受け易いの
            で、慎重に行うこと。
          リ  外傷のある指はさけること。
          ヌ  冷却負荷中被検者が胸苦しさ、狭心痛などを訴えた場合には、直ちに中止すること。
          ル  高血圧、心筋梗塞、冠動脈硬化症又は心不全の既往歴のある者には、心電図などをよく検
            計したうえで、支障がないと認められた場合にのみ実施すること。
    (2)  爪圧迫
      [1]  常温下で両手の示、中、環指の3指について行う。方法は、1指ごとに、軽くにぎった検者
          の手の拇指と示指で被検者の爪の部分を挾み、ついで10秒間強く押え、はなした後、爪の退色
          が元に戻るまでの時間を測定する。
      [2]  左手(右手だけレイノー現象を訴えるときは右手)を冷却負荷し、冷却負荷終了直後と、5
          分目及び10分目に示、中、環指中の1指(同時に皮膚温を測定している場合は、測定していな
          い指で色が悪くない指)について行う。
          (注)イ  時間はストップウォッチを用いて測定すること。
              ロ  被検者の手の高さは、心臓の高さとし、指の力を完全に抜かせた状態で行うこと。
  2  末神経機能検査(感覚検査)
      室温20℃〜23℃の室内で30分以上安静にさせた後行うこと。
    (1)  痛覚
      [1]  常温下で、両手の示、中、環指の手指中節背側の皮膚の薄い部位で検査する。
            方法は、この箇所の小範囲について痛覚計の先で軽く4〜5回突き、痛覚の有無を検査し、
          この部位に鈍麻を認めれば、さらに鈍麻の範囲をみるため、前腕撓・尺側及び上腕撓・尺側に
          ついて検査する。
      [2]  左手(右手だけレイノー現象を訴えるときは右手)を冷却負荷し、常温下で検査した指のう
          ち1指について、冷却負荷終了直後と、5分目及び10分目に検査する。
          (注)イ  痛覚計は、注射管方式(静脈用注射針を注射管に取りつけたもの)、テンションメー
                ター式又はペンシル式のいずれでもよい。
              ロ  外傷のある指及び爪圧迫テストを行った指はさけること。
              ハ  検査の際は、最初に手背部等で試行し、痛覚を確認させてから行うこと。
              ニ  検査に当っては、軽く目を閉じさせること。
    (2)  指先の振動覚
      [1]  常温下で両手の示、中、環指の末節の掌側中央の部位で検査する。方法は、手掌を水平に保
          ち、指を軽く伸ばし、指先を軽く振動子に接触させて行う。
      [2]  左手(右手だけレイノー現象を訴えるときは右手)を冷却負荷し、常温下で測定した指のう
          ちの1指について冷却負荷終了直後と、5分目、及び10分目に検査する。
          (注)イ  振動覚は、原則として純正弦波振動により検査すること。(リオンAu−02型等による
                ことが望ましい。)
              ロ  周波数は、原則として62.5、125、250Hzを用いること。冷却負荷後は、1周波のみで
                差し支えない。
              ハ  外傷のある指及び爪圧迫テストを行った指はさけること。
              ニ  はじめに振動感覚を確認させた後、上昇法を2〜3度くり返して測定すること。
              ホ  検査に当っては、軽く目を閉じさせること。
  3  運動機能検査
      運動機能検査は、被検者の協力が必要であり、また巧拙が大きく影響するので、検査の実施に当っ
    ては十分留意すること。
    (1)  維持握力(60%法)
          椅座位で握力計を机の上にのせ、肘を約90°に曲げた姿勢で手掌を上に向け、瞬発握力の60%
        の値を被検者に針を見せながら保持させ、維持できる時間をストップウォッチで計る。
          なお、本検査は5回法の実施後、少なくとも10分以上の時間を置いて行うこと。
        (注)イ  握力計は、校正済みのスメドレー式握力計を用いること。
            ロ  60%値が、かなり大きい場合、維持時間が短くなる傾向があるので、評価に当たって留
              意すること。
    (2)  つまみ力
          拇指を下に測定指を上にし、測定指の遠位指節間関節を伸展させ、他の指を軽く伸ばした状態
        で拇指と示指及び、中指間のつまみ力を測定する。
        (注)イ  つまみ力計は、労研エスメス式つまみ力計を用いることが望ましいこと。
            ロ  指を重ねないように注意すること。
    (3)  タッピング
          タッピング測定器を用い、椅座位で左手、右手交互に示指及び中指を1指ずづ30秒間できるだ
        け早く打たせ、30秒値を測定する。
          できれば10秒、20秒値についても測定することが望ましい。
        (注)イ  タッピング測定器は、労研エスメス式タッピング測定器を用いることが望ましいこと。
            ロ  指は3〜4cmの距離を上下することが望ましいこと。
            ハ  手掌は軽く測定台上に置き、はなさないこと。
III  医師が必要と認めた場合に実施する項目
  1  末梢循環機能検査
      指尖容積脈波
      左手(右手にだけレイノー現象のみられるときは右手)示、中及び環指の1指尖について冷却負荷
    終了の直後、5分後及び10分後に容積脈波計(校正値のあるものに限る。)を用いて測定すること。
      必要な場合は、他の手の同じ指についても測定すること。
      (注)(1)  本測定は、他の検査と別に行うことが望ましい。
          (2)  できれば本測定と同時に、心電図をとらせることが望ましい。
          (3)  被検者には、横臥した姿勢をとらせることが望ましい。
          (4)  容積脈波計としては、2段較正型光電管容積脈波計を用いることが望ましい。
          (5)  脈波については、波型(アーチ波、く形波等)波高(プラトー波、平坦波等)をチェッ
              クすることが望ましい。
  2  末梢神経機能検査
      手背等の温覚、冷覚
      温覚計、冷覚計を軽く両手の手背等に接触させた後、温覚、冷覚が発生するまでの時間を測定する
    こと。
      必要がある場合は他の手についても測定すること。
      (注)(1)  温覚計は、径20mmの金属製の円筒に壁温が55℃になるように温水を入れたものを用いる。
          (2)  冷覚計は、径20mmの金属製の円筒に氷を入れたものを用いる。
  3  心電図検査
      高年令者、高血圧者等について、安静時心電図をとること。また、必要な場合は、負荷心電図をと
    ること。
4  X線検査
  (1)  直接撮影で行うこと。
  (2)  頚椎を撮影する時は、両肩をできるだけ下げ第5頚椎に焦点を合せること。
5  聴力
    オージオメーターを用い、両耳について聴力損失を500、1,000、2,000、4,000、8,000Hzの各周波数
  について測定すること。
  (注)  測定は、45dB以下の静かな室で行うこと。移動式測定室を用いることもよい。
IV  検査実施上の留意点
  イ  皮膚温、痛覚、その他の検査に当たっては、それらの測定値に外気温ばく露の影響が残らないよう、
    必ず検査前に室温20℃〜23℃の室温において30分以上の安静時間をとること。
      なお、気温及び室温を必ず記録しておくこと。
  ロ  冷却負荷し冷却負荷終了直後と、5分後及び10分後に行う検査にあっては、その都度手指の皮膚温、
    爪圧迫、指先の振動覚、痛覚の順序で検査を行うこと。
  ハ  特別な異常検査値が得られた場合は、検査手技に問題がなかったかどうかについて調査すること。
  ニ  健康診断の所見及び検査結果は、別紙3の様式で記録するとともに、その結果をできる限り早く受
    診者に通知すること。(別紙3の1別紙3の2