労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
第二章 労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置(第四条─第二十五条)

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 目次

    第一節 業務の範囲

第四条 何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない。
 一 港湾運送業務(港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第二条第二号に規定する港湾運送の業務及
  び同条第一号に規定する港湾以外の港湾において行われる当該業務に相当する業務として政令で定め
  る業務をいう。)
 二 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又
  はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)
 三 警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)第二条第一項各号に掲げる業務その他その業務の実施の適
  正を確保するためには業として行う労働者派遣(次節並びに第二十三条第二項、第四項及び第五項に
  おいて単に「労働者派遣」という。)により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる
  業務として政令で定める業務
2 厚生労働大臣は、前項第三号の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、労働
 政策審議会の意見を聴かなければならない。
3 労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に当該労
 働者派遣に係る派遣労働者を第一項各号のいずれかに該当する業務に従事させてはならない。

    第二節 事業の許可

  (労働者派遣事業の許可)
第五条 労働者派遣事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を厚生労働大臣に提出しなけれ
 ばならない。
 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
 二 法人にあつては、その役員の氏名及び住所
 三 労働者派遣事業を行う事業所の名称及び所在地
 四 第三十六条の規定により選任する派遣元責任者の氏名及び住所
3 前項の申請書には、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書その他厚生労働省
 令で定める書類を添付しなければならない。
4 前項の事業計画書には、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当
 該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣に関する料金の額その他労働者派遣に関する事項を記載しな
 ければならない。
5 厚生労働大臣は、第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かな
 ければならない。

  (許可の欠格事由)
第六条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の許可を受けることができない。
 一 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定その他労働に関する法律の規定(次号に規定する規
  定を除く。)であつて政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平
  成三年法律第七十七号)の規定(同法第五十条(第二号に係る部分に限る。)及び第五十二条の規定を除
  く。)により、若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第
  二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十
  五年法律第六十号)の罪若しくは出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七十
  三条の二第一項の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受け
  ることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
 二 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第二百八条、第二百十三条の二若しくは第二百十四条第一項、
  船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第百五十六条、第百五十九条若しくは第百六十条第一項、労
  働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第五十一条前段若しくは第五十四条第一項(同法第
  五十一条前段の規定に係る部分に限る。)、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第百二条、
  第百三条の二若しくは第百四条第一項(同法第百二条又は第百三条の二の規定に係る部分に限る。)、
  労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)第四十六条前段若しくは第四
  十八条第一項(同法第四十六条前段の規定に係る部分に限る。)又は雇用保険法(昭和四十九年法律第
  百十六号)第八十三条若しくは第八十六条(同法第八十三条の規定に係る部分に限る。)の規定により
  罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を
  経過しない者
 三 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
 四 第十四条第一項(第一号を除く。)の規定により労働者派遣事業の許可を取り消され、当該取消しの
  日から起算して五年を経過しない者
 五 第十四条第一項の規定により労働者派遣事業の許可を取り消された者が法人である場合(同項第一
  号の規定により許可を取り消された場合については、当該法人が第一号又は第二号に規定する者に該
  当することとなつたことによる場合に限る。)において、当該取消しの処分を受ける原因となつた事
  項が発生した当時現に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者
  をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する
  社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。
  以下この条において同じ。)であつた者で、当該取消し又は命令の日から起算して五年を経過しない
  もの
 六 第十四条第一項の規定による労働者派遣事業の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法
  律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことを
  決定する日までの間に第十三条第一項の規定による労働者派遣事業の廃止の届出をした者(当該事業
  の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から起算して五年を経過しないもの
 七 前号に規定する期間内に第十三条第一項の規定による労働者派遣事業の廃止の届出をした者が法人
  である場合において、同号の通知の日前六十日以内に当該法人(当該事業の廃止について相当の理由
  がある法人を除く。)の役員であつた者で、当該届出の日から起算して五年を経過しないもの
 八 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号に
  おいて「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下この条にお
  いて「暴力団員等」という。)
 九 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であつて、その法定代理人が前各号又は次
  号のいずれかに該当するもの
 十 法人であつて、その役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
 十一 暴力団員等がその事業活動を支配する者
 十二 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者

  (許可の基準等)
第七条 厚生労働大臣は、第五条第一項の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときで
 なければ、許可をしてはならない。
 一 当該事業が専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるもの(雇用の機
  会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる
  場合として厚生労働省令で定める場合において行われるものを除く。)でないこと。
 二 申請者が、当該事業の派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして厚
  生労働省令で定める基準に適合するものであること。
 三 個人情報(個人に関する情報であつて、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合す
  ることにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下同じ。)を適
  正に管理し、及び派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。
 四 前二号に掲げるもののほか、申請者が、当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであ
  ること。
2 厚生労働大臣は、第五条第一項の許可をしないときは、遅滞なく、理由を示してその旨を当該申請者
 に通知しなければならない。

  (許可証)
第八条 厚生労働大臣は、第五条第一項の許可をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働
 者派遣事業を行う事業所の数に応じ、許可証を交付しなければならない。
2 許可証の交付を受けた者は、当該許可証を、労働者派遣事業を行う事業所ごとに備え付けるとともに、
 関係者から請求があつたときは提示しなければならない。
3 許可証の交付を受けた者は、当該許可証を亡失し、又は当該許可証が滅失したときは、速やかにその
 旨を厚生労働大臣に届け出て、許可証の再交付を受けなければならない。

  (許可の条件)
第九条 第五条第一項の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該許可の趣旨に照らして、又は当該許可に係る事項の確実な実施を図るために必要
 な最小限度のものに限り、かつ、当該許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつては
 ならない。

  (許可の有効期間等)
第十条 第五条第一項の許可の有効期間は、当該許可の日から起算して三年とする。
2 前項に規定する許可の有効期間(当該許可の有効期間についてこの項の規定により更新を受けたとき
 にあつては、当該更新を受けた許可の有効期間)の満了後引き続き当該許可に係る労働者派遣事業を行
 おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、許可の有効期間の更新を受けなければならない。
3 厚生労働大臣は、前項に規定する許可の有効期間の更新の申請があつた場合において、当該申請が第
 七条第一項各号に掲げる基準に適合していないと認めるときは、当該許可の有効期間の更新をしてはな
 らない。
4 第二項の規定によりその更新を受けた場合における第五条第一項の許可の有効期間は、当該更新前の
 許可の有効期間が満了する日の翌日から起算して五年とする。
5 第五条第二項から第四項まで、第六条(第四号から第七号までを除く。)及び第七条第二項の規定は、
 第二項に規定する許可の有効期間の更新について準用する。

  (変更の届出)
第十一条 派遣元事業主は、第五条第二項各号に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を
 厚生労働大臣に届け出なければならない。この場合において、当該変更に係る事項が労働者派遣事業を
 行う事業所の新設に係るものであるときは、当該事業所に係る事業計画書その他厚生労働省令で定める
 書類を添付しなければならない。
2 第五条第四項の規定は、前項の事業計画書について準用する。
3 厚生労働大臣は、第一項の規定により労働者派遣事業を行う事業所の新設に係る変更の届出があつた
 ときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該新設に係る事業所の数に応じ、許可証を交付しなけ
 ればならない。
4 派遣元事業主は、第一項の規定による届出をする場合において、当該届出に係る事項が許可証の記載
 事項に該当するときは、厚生労働省令で定めるところにより、その書換えを受けなければならない。

第十二条 削除

  (事業の廃止)
第十三条 派遣元事業主は、当該労働者派遣事業を廃止したときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるとこ
 ろにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出があつたときは、第五条第一項の許可は、その効力を失う。

  (許可の取消し等)
第十四条 厚生労働大臣は、派遣元事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、第五条第一項の許可を
 取り消すことができる。
 一 第六条各号(第四号から第七号までを除く。)のいずれかに該当しているとき。
 二 この法律(第二十三条第三項、第二十三条の二、第三十条第二項の規定により読み替えて適用する
  同条第一項及び次章第四節の規定を除く。)若しくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく命
  令若しくは処分に違反したとき。
 三 第九条第一項の規定により付された許可の条件に違反したとき。
 四 第四十八条第三項の規定による指示を受けたにもかかわらず、なお第二十三条第三項、第二十三条
  の二又は第三十条第二項の規定により読み替えて適用する同条第一項の規定に違反したとき。
2 厚生労働大臣は、派遣元事業主が前項第二号又は第三号に該当するときは、期間を定めて当該労働者
 派遣事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 (名義貸しの禁止)
第十五条 派遣元事業主は、自己の名義をもつて、他人に労働者派遣事業を行わせてはならない。

 
第十六条から第二十二条まで 削除

    第三節 補則

  (事業報告等)
第二十三条 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごと
 の当該事業に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。
2 前項の事業報告書には、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当
 該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額
 その他労働者派遣に関する事項を記載しなければならない。
3 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、次条に規定する関係派遣先への派遣割合を厚
 生労働大臣に報告しなければならない。
4 派遣元事業主は、派遣労働者をこの法律の施行地外の地域に所在する事業所その他の施設において就
 業させるための労働者派遣(以下「海外派遣」という。)をしようとするときは、厚生労働省令で定める
 ところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
5 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業
 に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均
 額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除し
 て得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合、教育訓練に関する事項その他当該
 労働者派遣事業の業務に関しあらかじめ関係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働
 省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならない。

  (派遣元事業主の関係派遣先に対する労働者派遣の制限)
第二十三条の二 派遣元事業主は、当該派遣元事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係
 にある者その他の当該派遣元事業主と特殊の関係のある者として厚生労働省令で定める者(以下この条
 において「関係派遣先」という。)に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合(一の事業年度
 における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の関係派遣先に係る派遣就業(労働者派遣に係る派遣
 労働者の就業をいう。以下同じ。)に係る総労働時間を、その事業年度における当該派遣元事業主が雇
 用する派遣労働者のすべての派遣就業に係る総労働時間で除して得た割合として厚生労働省令で定める
 ところにより算定した割合をいう。)が百分の八十以下となるようにしなければならない。

  (職業安定法第二十条の準用)
第二十四条 職業安定法第二十条の規定は、労働者派遣事業について準用する。この場合において、同
 条第一項中「公共職業安定所」とあるのは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護
 等に関する法律第二条第四号に規定する派遣元事業主(以下単に「派遣元事業主」という。)」と、「事
 業所に、求職者を紹介してはならない」とあるのは「事業所に関し、同条第一号に規定する労働者派遣
 (以下単に「労働者派遣」という。)(当該同盟罷業又は作業所閉鎖の行われる際現に当該事業所に関し
 労働者派遣をしている場合にあつては、当該労働者派遣及びこれに相当するものを除く。)をしてはな
 らない」と、同条第二項中「求職者を無制限に紹介する」とあるのは「無制限に労働者派遣がされる」
 と、「公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない」とあるのは「公共職業安定
 所は、その旨を派遣元事業主に通報するものとし、当該通報を受けた派遣元事業主は、当該事業所に関
 し、労働者派遣(当該通報の際現に当該事業所に関し労働者派遣をしている場合にあつては、当該労働
 者派遣及びこれに相当するものを除く。)をしてはならない」と、「使用されていた労働者」とあるの
 は「使用されていた労働者(労働者派遣に係る労働に従事していた労働者を含む。)」と、「労働者を紹
 介する」とあるのは「労働者派遣をする」と読み替えるものとする。

  (派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主からの労働者派遣の受入れの禁止)
第二十四条の二 労働者派遣の役務の提供を受ける者は、派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事
 業主から、労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

  (個人情報の取扱い)
第二十四条の三 派遣元事業主は、労働者派遣に関し、労働者の個人情報を収集し、保管し、又は使用
 するに当たつては、その業務(紹介予定派遣をする場合における職業紹介を含む。次条において同じ。)
 の目的の達成に必要な範囲内で労働者の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保
 管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、
 この限りでない。
2 派遣元事業主は、労働者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

  (秘密を守る義務)
第二十四条の四 派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でな
 ければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。派遣元事業主及
 びその代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。

  (運用上の配慮)
第二十五条 厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係るこの法律の規定の運用に当たつては、労働者の職
 業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行並び
 に派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮するとともに、労働者
 派遣事業による労働力の需給の調整が職業安定法に定める他の労働力の需給の調整に関する制度に基づ
 くものとの調和の下に行われるように配慮しなければならない。


このページのトップへ戻ります