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建設業における労働災害防止対策の一層の推進について

改正履歴


  標記については、平成元年2月20日付け基発第70号「労働災害防止緊急対策について」により鋭意展開
しているところであるが、平成元年の労働災害による死亡者数(1〜8月の速報値)は、建設業において
は619人であり、前年同期と比べると62人(9.1%)の減少をみているものの、依然として高水準の発生件
数となっており、また、今後、年末に向かって公共工事をはじめとする建設工事の最盛期を控え、予断を
許さない状況にある。
  また、本年6月に、労働災害防止緊急対策の一環として、建設業の工事現場について全国一斉監督を行
ったところであるが、この監督結果をみると、違反現場は全体の59.8%であり、また、足場、作業床の設
置等墜落防止措置に係る違反のある現場が48.8%と高率であったほか、使用停止等処分を受けた現場が
20.2%あるなど、緊急対策の浸透状況は十分とは言いがたい状況である。
  このため、本省においては、建設業における死亡災害の防止を更に強力に推進し、死亡災害の減少基調
を確かなものとするため、関係団体に対し別添のとおり要請を行ったところである。
  ついては、貴局においても、本要請事項の徹底について配慮するとともに下記の事項に留意して労働災
害防止対策を推進されたい。特に、建設業において死亡災害が本年増加している局にあっては、第3四半
期の時期に建設業を重点に労働災害防止対策を更に効果的かつ徹底して推進されたい。

記

1.工事受注量の増大等に的確に対応した労働災害防止対策を図るため、大手店社を含めた店社首脳に対
  する集合指導等を行うことにより、次の事項を中心に自主的労働災害防止活動の促進を図るとともに、
  報告を求める等によりその活動状況の把握に努めること。
  (1)  現場責任者等による安全管理の徹底
        工事受注量の増大等に伴い、現場責任者等が複数の現場を担当することにより安全管理水準が低
      下し、災害発生につながることが多いことにかんがみ、現場責任者等の現場の常駐化をできる限り
      図り、安全管理を徹底させること。
  (2)  墜落防止措置に係る総点検の実施
        墜落による死亡災害の占める割合が増加していること、墜落防止措置に係る法違反が多いこと等
      にかんがみ、足場の設置、安全帯の使用等墜落防止措置に係る総点検を実施し、墜落防止措置の徹
      底を図らせること。
  (3)  建設業店社首脳による現場のパトロールの実施
        建設業店社首脳自ら各現場をパトロールすることにより、現場の安全意識を高揚させるとともに、
      店社首脳自らが安全衛生管理責任を負うことの自覚を促すこと。
2.現場に対する監督指導の結果、現場単位で安全衛生管理体制の確立が期待し得ないものについては、
  店社首脳に対して問題点を具体的に摘示し、上記1の事項を含め現場の安全衛生管理体制の確立につい
  て強く迫ること。
3.発注者対策については、従来、公共発注工事の発注について指導を行ってきたところであるが、さら
  に、最近の民間工事における死亡災害の増加傾向にかんがみ、民間発注工事についても、発注者が労働
  災害防止に認識がなく適正な発注の配慮に欠けることがないよう、工事量の多い民間業者等を中心に啓
  蒙を図ること。
4.労働災害発生状況、監督指導結果、司法処分事案等について積極的に広報すること。

別添

建設業における労働災害防止対策の一層の推進について

平元.10.6  基発第542号

建設業労働災害防止協会会長
(社)全国建設業協会会長
(社)全国中小建設業協会会長
(社)日本建設業団体連合会会長
(社)日本電設工業協会会長
(社)全国中小建築工事業団体連合会会長  殿

  労働災害、とりわけ死亡災害の防止につきましては、積極的な取組みを頂いているところと存じます。
  さて、平成元年の労働災害による死亡者数(1〜8月の速報値)は、建設業においては619人であり、
前年同期と比べると62人(9.1%)の減少をみており、積極的な労働災害防止対策の一定の成果が表れつ
つあると考えられますものの、依然として高水準の発生件数となっており、また、今後、年末に向かって
公共工事をはじめとする建設工事の最盛期を控え、予断を許さない状況にあります。
  労働省におきましては、本年2月から労働災害防止緊急対策を推進しておりますが、建設業における労
働災害の発生状況をみると、依然として工事現場における安全管理体制、作業方法、設備等に問題がある
事案が多く、また、先般、緊急対策の一環として実施した全国7,000箇所余りの工事現場についての一斉
監督においても、何らかの法違反のある現場が全体の59.8%であり、また、足場、作業床の設置等墜落防
止措置に係る違反が48.8%と高率であったほか、設備等に急迫した危険が認められた場合等の使用停止等
処分を受けた現場が20.2%もあるなど、緊急対策の浸透状況は十分とは言いがたい状況にあります。
  このため、今後とも建設業における労働災害の防止を最重点として、監督指導等を進めることとしてお
りますが、貴会におかれましても会員事業者等関係者に対し、改めて、本年2月の労働大臣の緊急要請の
趣旨について充分に御周知いただくとともに、特に、下記の事項について、更に一層の徹底を図られるよ
う要請いたします。

記

1.各現場の安全管理状況の把握、安全意識の高揚を図ること等を目的とする、元方事業者及び関係請負
  人の経営首脳者による現場の巡視等の実施
2.工事量増大に伴い、現場責任者等が複数の現場を担当することにより安全管理水準が低下し、災害発
  生につながることが多いことから、現場責任者の現場常駐化をできる限り図ること等による安全管理の
  徹底
3.未熟練労働者等新規入場者の労働災害を防止するため、これらの者に対する適正な作業方法の指示及
  び安全衛生教育の徹底
4.墜落災害の多発、墜落防止措置に係る法違反が高率であることから、足場の設置、安全帯の使用等墜
  落防止措置の徹底