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中規模建設工事現場における安全衛生管理の充実について

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                                                                        基発第209号の2
                                                                        平成5年3月31日
																																				
  中規模建設工事現場における安全衛生管理体制については、これまでも昭和59年4月2日付け基発第
161号「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について」に基づきその確立を図ってきたところ
であるが、中規模建設工事現場における安全衛生管理の充実を図ること等を内容とする労働安全衛生法及
び関係政省令の改正が行われ、一定の規模及び種類の建設工事について店社安全衛生管理者制度の創設、
統括安全衛生責任者の選任基準の引下げが行われたところであり、今回の法令改正の趣旨を踏まえ、中規
模建設工事現場全体にわたり安全衛生管理の充実を図るため、別紙のとおり「中規模建設工事現場におけ
る安全衛生管理指針」を定めたところである。
  ついては、集団指導により、事業者の自主的活動による統括安全衛生責任者に準ずる者及び元方安全衛
生管理者に準ずる者又は店社安全衛生管理者に準ずる者の選任、これらの者による的確な職務の実施等に
よる中規模建設工事現場における安全衛生管理の充実が図られるよう本指針の定着を図られたい。
  なお、別添のとおり関係業界団体に対し本指針に基づく中規模建設工事現場における安全衛生管理の充
実について要請したので申し添える。
  おって、貴職においても必要な場合には、関係団体に対して同様の趣旨の要請を行われたい。

別紙

中規模建設工事現場における安全衛生管理指針

1  趣  旨
    統括安全衛生責任者等の選任による統括安全衛生管理体制の整備が義務づけられていない中規模建設
  工事現場において、元方事業者の統括安全衛生管理が不十分なことによる労働災害が多発していること
  にかんがみ、中規模建設工事現場における統括安全衛生管理体制又は本店、支店、営業所等による建設
  工事現場に対する指導体制の確立を図り、中規模建設工事現場における安全衛生管理の充実を図ること
  を目的とする。
2  対象建設工事現場
    おおむね労働者数10〜49人規模の建設工事現場(統括安全衛生責任者又は店社安全衛生管理者の選任
  が義務付けられている建設工事現場を除く。)
3  安全衛生管理体制の確立
  (1)  統括安全衛生責任者に準ずる者及び元方安全衛生管理者に準ずる者又は店社安全衛生管理者に準
      ずる者の選任
        上記2の対象建設工事現場について元方事業者は、当該建設工事現場の状況に応じ建設工事現場
      単位での統括安全衛生責任者に準ずる者及び元方安全衛生管理者に準ずる者の選任又は当該現場を
      管轄する本店、支店、営業所等(以下「店社」という。)において店社安全衛生管理者に準ずる者
      の選任を行うものとする。
        この場合、元方事業者が、統括安全衛生責任者に準ずる者及び元方安全衛生管理者に準ずる者を
      選任する場合においては、関係請負人は、安全衛生責任者に準ずる者を選任するものとする。
  (2)  統括安全衛生責任者に準ずる者の知識、経験等
      イ  統括安全衛生責任者に準ずる者については、当該場所においてその事業の実施を統括管理する
        者をもって充てるものとする。
      ロ  元方安全衛生管理者に準ずる者については、労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)第
        18条の4に掲げる資格に準ずる知識、経験を有する者のうちから選任するものとする。
      ハ  店社安全衛生管理者に準ずる者については、安衛則第18条の7に掲げる資格に準ずる知識、経
        験を有する者のうちから選任するものとする。
  (3)  統括安全衛生責任者に準ずる者等の職務
      イ  統括安全衛生責任者に準ずる者は、4の(1)のイの(イ)の混在作業による労働災害を防止する
        ために必要な事項について統括管理するものとする。
      ロ  元方安全衛生管理者に準ずる者は、4の(1)のイの(イ)の混在作業による労働災害を防止する
        ために必要な事項のうちの技術的事項を管理するものとする。
      ハ  店社安全衛生管理者に準ずる者は、次の職務を行うものとする。
        (イ)  建設工事現場において4の(1)のイの(イ)の混在作業による労働災害を防止するために必
            要な事項を担当する者に対して指導すること。
        (ロ)  毎月1回以上当該建設工事現場を巡視すること。
        (ハ)  当該建設工事の進捗状況を把握すること。
        (ニ)  当該建設工事現場の協議組織に随時参加すること
        (ホ)  当該建設工事に係る仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の設置に
            関する計画を確認すること。
      ニ  安全衛生責任者に準ずる者は、次の職務を行うものとする。
        (イ)  統括安全衛生責任者に準ずる者との連絡及び統括安全衛生責任者に準ずる者から連絡を受
            けた事項の関係者への連絡を行うこと。
        (ロ)  統括安全衛生責任者に準ずる者からの連絡事項の実施について管理すること。
        (ハ)  請負人が作成する作業計画等について、統括安全衛生責任者に準ずる者と調整を行うこと。
        (ニ)  混在作業による危険の有無を確認すること。
        (ホ)  請負人が仕事の一部を後次の請負人に請け負わせる場合には、その請負人の安全衛生責任
            者に準ずる者と連絡調整を行うこと。
4  統括安全衛生管理の充実
  (1)  建設工事現場における統括安全衛生管理の充実
      イ  元方事業者は、次の事項を確実に実施し、建設工事現場における統括安全衛生管理の充実を図
        るものとする。
        (イ)  混在作業による労働災害に防止するために必要な事項
            [1]  協議組織の設置及び運営
            [2]  作業間の連絡及び調整
            [3]  作業場所の巡視
            [4]  関係請負人が行う安全衛生教育に対する指導、援助
            [5]  仕事の工程に関する計画及び機械、設備等の配置に関する計画の作成並びに当該機械、
                設備等を使用する作業に関し関係請負人が講ずべき措置についての指導
            [6]  その他混在作業による労働災害を防止するために必要な事項
        (ロ)  関係請負人の労働安全衛生法令違反を防止するための指導及び指示
        (ハ)  作業場所の安全確保についての関係請負人に対する指導
        (ニ)  注文者としての設備等を関係請負人の労働者に使用させる場合の適切な措置の実施
        (ホ)  その他安全施工サイクル活動の実施等建設工事現場の労働災害を防止するために必要な事
            項
      ロ  関係請負人は、事業者としての措置を確実に講じるとともに、元方事業者の講ずる措置に応じ
        て必要な措置を講じるものとする。
          また、移動式クレーン等を用いての作業に係る仕事の一部を請負人に請け負わせて共同して当
        該作業を行う場合には、作業内容等についての連絡調整を確実に行うものとする。
  (2)  店社による建設工事現場の指導、支援の充実
        店社は、安全衛生パトロールの実施、店社としての安全衛生管理計画の作成、工事用機械設備の
      点検基準の作成、各種安全衛生情報の提供等により建設工事現場の統括安全衛生管理に対する指導、
      支援を充実するものとする。
        特に、統括安全衛生責任者に準ずる者及び元方安全衛生管理者に準ずる者が選任されていない建
      設工事現場については、店社に店社安全衛生管理者に準ずる者を選任し、建設工事現場において(1)
      のイの混在作業による労働災害を防止するために必要な事項が確実に行われるよう指導させるもの
      とする。
        なお、店社安全衛生管理者に準ずる者が指導する建設工事現場の数については、店社安全衛生管
      理者に準ずる者の職務の内容、担当する現場の遠近等を考慮するうえ、職務が確実に行える工事現
      場数を担当させるよう十分配慮するものとする。
5  その他
    元方事業者は、統括安全衛生責任者に準ずる者、元方安全衛生管理者に準ずる者及び店社安全衛生管
  理者に準ずる者に建設業労働災害防止協会の行う「店社安全衛生管理者等レベルアップ研修」等の講習
  を受講させるよう努めるものとする。

基発第209号
平成5年3月31日

建設業労働災害防止協会会長  殿
社団法人日本建設業団体連合会会長  殿
社団法人日本土木工業協会会長  殿
社団法人全国建設業協会会長  殿
社団法人建築業協会会長  殿
社団法人全国中小建設業協会会長  殿

労働省労働基準局長

別添

中規模建設工事現場における安全衛生管理の充実について

  貴協会におかれましては益々御清栄のこととお慶び申し上げます。
  また、労働基準行政の運営につきましては、平素より多大の御協力を頂いていることに対しまして厚く
お礼申し上げます。
  さて、中規模建設工事現場における安全衛生管理体制については、これまでも昭和59年6月21日付け基
第314号「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について」によりその確立を要請してきたとこ
ろですが、中規模建設工事現場における安全衛生管理の充実を図ること等を内容とする労働安全衛生法及
び関係政省令の改正が行われ、一定の規模及び種類の建設工事について店社安全衛生管理者制度の創設、
統括安全衛生責任者の選任基準の引下げが行われたところであり、今回の法令改正の趣旨を踏まえ、中規
模建設工事現場全般にわたり安全衛生管理の充実を図るため、別紙のとおり「中規模建設工事現場におけ
る安全衛生管理指針」を定めたところです。
  つきましては、貴協会の自主的労働災害防止活動により、本指針の定着を図り、会員事業者の中規模建
設工事現場において、統括安全衛生責任者に準ずる者及び元方安全衛生管理者に準ずる者又は店社安全衛
生管理者に準ずる者の選任、これらの者による的確な職務の実施等による安全衛生管理の充実が図られる
よう要請します。