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小規模温水ボイラーに対するボイラー構造規格の適用の特例について
(平成10年12月11日基発第695号により廃止)

改正履歴


                                                                             基発第769号
                                                                         平成9年12月24日

  温水ボイラーについては、その内部に大量かつ高圧の温水を有し、いったん、破裂等の事故が発生する
と人的にも甚大な被害をもたらすおそれが高いことから、その安全確保が強く求められてきたところであ
る。
  しかし、小規模な電機温水ボイラーをはじめとする温水ボイラーの近年における製造上の技術の進歩等
を踏まえ、当面、下記のとおり一定の条件を満たす温水ボイラーに対してボイラー構造規格(平成元年労
働省告示第65号)の適用の特例を認めることとしたので、その適正な運用に遺憾なきを期されたい。
  なお、本件については、規制緩和推進計画(平成9年3月28日閣議決定)に盛り込まれた事項であるこ
と、また、当該温水ボイラーについては、今後、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)を改正
し、その適用区分をボイラーから小型ボイラーに改める予定であることを申し添える。
  おって、(社)日本ボイラ協会などの関係団体に対しては、別添のとおり通知したので、了知されたい。

記
I  基本的事項
    水頭圧が10mを超え20m以下で、かつ、伝熱面積が2m2以下の温水ボイラー(以下「小規模温水ボ
  イラー」という。)については、次のIIの「小規模温水ボイラーの構造等に関する適用基準」を満たし
  ているときは、ボイラー構造規格第176条に基づき、同構造規格第1章から第4章までの規定に適合す
  るボイラーと同等以上の安全性を有するものと認めて差し支えないこと。
II  小規模温水ボイラーの構造等に関する適用基準
    小規模温水ボイラーは、小型ボイラー及び小型圧力容器構造規格(昭和50年労働省告示第84号。以下
  「小型ボイラー等構造規格」という。)第1章に規定する小型ボイラーに関する構造規格と同一の規格
  を具備し、かつ、温水温度が120℃以下でなければならず、この場合、小規模温水ボイラーは、温水温
  度が120℃以下となるよう2つ以下の異なる方式による温水温度自動制御装置(機械的な遮断装置を含
  む。)を設けなければならないものであること。また、温水温度が100℃以上120℃以下の小規模温水ボ
  イラーについては、ボイラー水容量(m3)とその最高使用圧力(kg/cm2)の積が0.2m3・kg/cm3以
  下の条件を満たさなければならないものであること。
    ただし、小規模温水ボイラーが次に定める全ての基準を満たしているときは、同構造規格第1章第1
  節から第4節までの規定に適合するボイラーと同等以上の性能があるものとして同構造規格の同一の規
  格を具備するものと認めて差し支えないこと。
  1  範囲
    (1)  圧力・伝熱面積
          圧力は水頭圧が10mを超え20m以下のものを対象とし、伝熱面積は2m3以下のものを対象
        とすること。
    (2)  温水温度
          温水温度は、100℃未満のものを対象とすること。
    (3)  熱源
          熱源として、電気による加熱、並びに、ガス及び灯油による燃焼(腐食性の燃焼ガスを発生さ
        せるものを除く。)を用いるものを対象とすること。
    (4)  給水
          給水として、水道水を用いるものを対象とすること。
  2  材料
    (1)  材料(小型ボイラー等構造規格第1条)
          主要材料としてSUS316又はSUS444の鋼種を用いる場合は、小型ボイラー等構造規格第1
        条に規定する鋼種の同等材として認めること。
          なお、これらの鋼種以外のSUS材を用いる場合は、同条に規定する鋼種と同等以上の化学的
        成分及び機械的性質を有しているか否かについて個別に判定すること。
    (2)  材料の許容引張応力(小型ボイラー等構造規格第2条)
          材料が小型ボイラー等構造規格第1条に規定する鋼種に該当しない場合の許容引張応力につい
        ては、ボイラー構造規格第4条に基づく値を用いることができること。
  3  構造
    (1)  圧力を受ける部分の厚さ(小型ボイラー等構造規格第3条)
          胴、鏡板その他の圧力を受ける部分(炉筒及び煙突管を除く。)にステンレス鋼を使用する場
        合の厚さは、0.6mm以上とすること。
    (2)  胴の板の最小厚さ(小型ボイラー等構造規格第4条)
          胴にステンレス鋼を使用する場合については、その最小厚さの計算式において腐れ代(α=1
        mm)は0mmとみなして差し支えないこと。
    (3)  さら型鏡板等の最小厚さ(小型ボイラー等構造規格第6条)
          さら型鏡板等にステンレス鋼を使用する場合については、その最小厚さの計算式において腐れ
        代(α=1mm)は0mmとみなして差し支えないこと。
    (4)  ステーによって支えられない平板の最小厚さ(小型ボイラー等構造規格第7条)
          ステーによって支えられない平板にステンレス鋼を使用する場合については、その最小厚さの
        計算式において腐れ代(α=1mm)は0mmとみなして差し支えないこと。
    (5)  炉筒及び煙突管の厚さ(小型ボイラー等構造規格第8条)
          炉筒及び煙突管にステンレス鋼を使用する場合の厚さは、0.8mm以上とすること。
    (6)  ステーの取付け(小型ボイラー等構造規格第11条)
          管ステー(煙管)は、バーリング加工した平鏡板等の板に溶接で取り付けても差し支えないこ
        と。この場合、次の図に示すように、バーリング突出部はできる限り短くし、かつ、溶接部の裏
        側まで完全に溶け込むように溶接するとともに、当該管ステーの端部が火災に触れる部分を削り
        取ってはならないこと。
          なお、「バーリング加工」とは、円錐形又は円筒形ポンチ(金型)で突き出してフランジを立
        てる成形をいうものであること。
    (7)  ステーによって支えられる板の最小厚さ(小型ボイラー等構造規格第12条)
          ステーによって支えられる平板にステンレス鋼を使用する場合については、その最小厚さの計
        算式において腐れ代(α=1mm)は0mmとみなして差し支えないこと。
    (8)  掃除及び検査のために必要な穴の設置(小型ボイラー等構造規格第13条)
          燃焼室については、バーナを取り外す等により容易に内部の検査及び掃除ができる場合は、掃
        除及び検査のための穴を設けなくても差し支えないこと。
          燃焼室以外の部分については、給湯管、還水管及び配水管の取付部からファイバースコープよ
        り内部が検査できる場合は、検査のための穴を設けなくても差し支えないこと。また、主要材料
        にステンレス鋼を使用する場合は、掃除のための穴を設けなくても差し支えないこと。
    (9)  煙管の最小厚さ(小型ボイラー等構造規格第15条)
          煙管にステンレス鋼を使用する場合については、その最小厚さの計算式において腐れ代
        (1.5mm)は0mmとみなして差し支えないこと。
  4  工作及び水圧試験
    (1)  管類の取付け(小型ボイラー等構造規格第19条)
          煙管は、バーリング加工した管板に溶接で取り付けても差し支えないこと。この場合、IIの
        3の(6)の条件を満たさなければならないこと。
    (2)  溶接(小型ボイラー等構造規格第21条)
          ステンレス鋼の薄板からなる胴の長手継手をティグ溶接し、十分な裏ビートが確認できる場合
        には、十分な溶込みが得られるものとして、突合せ片側溶接の方法を用いることができること。
    (3)  溶接継手等の効率(小型ボイラー等構造規格第22条)
          放射線検査を行う場合の溶接継手の効率は、ボイラー構造規格第104条に定めるところによる
        ことができること。
    (4)  構造規格の設計・工作基準の適用が困難な場合の措置(小型ボイラー等構造規格第17条、第32
        条)
          特殊な設計・工作方法等を用いて製造され、小型ボイラー等構造規格第2節及び第3節に定め
        る設計・工作基準等を用いて最高圧力を算定することができない場合は、ボイラー構造規格第137
        条第1項第3号に規定する検定水圧試験により、最高圧力を求めることができること。
          この場合、破壊圧力は10kg/cm3以上とし、ボイラー構造規格の「最高使用圧力」は「最高圧
        力」に読み替えること。
  5  附属品
    (1)  温水温度自動制御装置
          温水温度が100℃未満となるよう2つ以上の異なる方式による温水温度自動制御装置(機械的
        な遮断装置を含む。)を設けなければならないこと。
    (2)  水高計及び温度計(小型ボイラー等構造規格第27条)
          ボイラーの水の水位が正常範囲を逸脱したときに自動的に警報を発する装置を設けた場合は、
        水高計を設けなくても差し支えないこと。
          ボイラー水の温度が正常範囲を逸脱したときに自動的に警報を発する装置を設けた場合は、温
        度計を設けなくても差し支えないこと。

別添

基発第769号の2
平成9年12月24日

(社)日本ボイラ協会会長  殿
(社)日本ボイラ・クレーン安全協会会長  殿
(社)日本電機工業会会長  殿
日本暖房機器工業会理事長  殿

労働省労働基準局長

小規模温水ボイラーに対するボイラー構造規格の適用の特例について

  労働災害の防止をはじめとする労働基準行政の推進につきましては、平素から多大な御支援と御協力を
賜り厚く御礼申し上げます。
  さて、温水ボイラーについては、その内部に大量かつ高圧の温水を有し、いったん、破裂等の事故が発
生すると人的にも甚大な被害をもたらすおそれが高いことから、従前よりその安全確保が強く求められて
きたところです。
  しかし、近年における小規模な温水ボイラーの製造上の技術の進歩等を踏まえ、当面、下記のとおり一
定の条件を満たす温水ボイラーに対してボイラー構造規格(平成元年労働省告示第65号)の適用の特例を
認めることとしたので、通知します。