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原子力施設における放射線業務に係る安全衛生管理対策の強化について
(平成24年8月10日 基発0810第1号により廃止)

改正履歴
基発第581号
平成12年9月19日
別記の道府県労働局長 殿

労働省労働基準局長


原子力施設における放射線業務に係る安全衛生管理対策の強化について
(平成24年8月10日 基発0810第1号により廃止)

 原子力発電所で放射線業務に従事する労働者の被ばく管理対策については、昭和56年9月5日付け基発第573号「原子力発電所における被ばく管理対策の強化について」(以下「573号通達」という。)により、原子炉設置者について労働安全衛生法(以下「安衛法」という。)第29条に基づく元方事業者として着目し、安全衛生協議組織の設置とその適正な運営、放射線作業管理計画の作成とこれに基づく作業の実施及び放射線作業の報告の措置を講じさせることにより、原子力発電所における総合的な被ばく管理体制の確立と自主的安全衛生活動の促進に努めてきたところである。
 一方、昨年9月に発生した茨城県東海村のウラン燃料加工施設における臨界事故については、労働者に十分な安全衛生教育を実施していなかったこと、不適切な方法により作業を行わせたこと等事業場における放射線業務に係る安全衛生管理の不備が原因として挙げられたところである。
 また、原子力発電所のみならず、試験研究用の原子炉を有する施設においても、最近、事故・トラブルが発生しているところである。
 このため、昨年11月30日には、核燃料施設及び原子炉施設において核燃料物質等を取り扱う業務を行う場合には、当該業務に従事する労働者に特別教育を実施すること及び作業に当たって作業規定を定め、これにより作業を行うとともに関係労働者に周知させることを義務付ける電離放射線障害防止規則(以下「電離則」という。)等の改正が行われ、本年1月30日から施行されたところである。
 ついては、これらを踏まえ、原子力施設における関係請負人を含めた放射線業務に係る総合的な安全衛生管理対策の万全を期するため、今後は、下記により放射線業務に係る安全衛生管理対策を強化し、その徹底を図ることとしたので、その実施に遺憾なきを期されたい。
 なお、573号通達は、本通達をもって廃止する。


1 対象
本通達は、次に定める原子力施設の管理区域内における放射線業務を対象とする。
(1) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第13条第2項第2号に規定する加工施設
(2) 同法第44条第2項第2号に規定する再処理施設
(3) 同法第53条第3号に規定する使用施設等(同法施行令第16条の2に規定する核燃料物質の使用施設等に限る。)
(4) 同法第23条第2項第5号に規定する原子炉施設

2 原子力事業者が元方事業者として実施すべき事項
放射線業務係る安全衛全管理(以下「安全衛生管理」という。)については、安衛法及び電離則に基づき各事業者に実施義務があるが、原子力施設において数次の請負契約のもとに複数の事業者の労働者が同一の作業場所で作業を行う場合、上記1の原子力施設を設置する事業者(以下「原子力事業者」という。)は、安衛法第29条の元方事業者に該当することから、関係請負人が事業者として実施する措置が的確に行われるよう同人を指導又は援助するとともに、原子力施設全体の安全衛生管理が適切に行われるよう、3に掲げる場合を除き、原子力事業者に次の事項を実施させること。
(1) 原子力事業者における安全衛生統括者の選任等
原子力施設全体の安全衛生管理が適切に行われるよう、事業の実施を統括管理する者から安全衛生統括者を選任し、同人に以下の(3)から(12)までに掲げる次項を実施させること。
(2) 関係請負人における安全衛生管理の職務を行う者の選任等
関係請負人に対し、安全衛生管理の職務を行う者を選任させ、次に掲げる次項を行わせること。
安全衛生統括者との連絡
安全衛生統括者から連絡を受けた事項の関係者への連絡
上記ロの安全衛生統括者からの連絡に係る事項のうち当該関係請負人に係るものの実施についての管理
安全衛生統括者が行う以下の(3)から(12)までに掲げる事項のうち当該関係請負
人に係るものが円滑に行われるようにするための安全術生統括者との胴整
当該関係請負人の労働者の行う作業及び当該労働者以外の者の行う作業によって生ずる、電離則第42条第1項各号に掲げる被ばくにつながるおそれのある事故(以下「事故」という。)に係る危険の有無の確認
当該関係請負人がその仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合における当該
他の関係請負人の安全衛生管理の職務を行う者との作業間の連絡及び調整
(3) 原子力事業者及び関係請負人による安全衛生協議組織の開催等
関係請負人を含めた安全衛生協議組織を設置し、1月以内ごとに1回(定常運転時等で安全衛生管理上支障がない場合を除く。)、定期に開催すること。また、当該協議組織には、安全衛生統括者及び関係請負人における安全衛生管理の職務を行う者を参加させること。
安全衛生協議組織において協議すべきは、次のとおりとすること。
(イ) 原子力事業者と関係請負人、関係請負人間の連絡調整に関すること。
(ロ) 外部放射線量及び空気中の放射性物質の濃度に係る作業環境測定の実施及びその結果に基づく作業環境の改善に関すること。
(ハ) 作業規定(労働者の被ばく管理及び労働者の受ける線量当量の低減化の方策に関することを含む。)その他の安全衛生管理に関する規定の作成又は改善に関すること。
(ニ) 特別教育その他の放射線業務に係る安全衛生教育の実施方法に関すること。
(ホ) 事故が発生した場合の避難その他の措置に関すること。
(ヘ) 事故の事例及びその再発防止策に関すること。
(4) 関係請負人の把握
関係請負人の名称、責任者名、主たる事業場の所在地、作業の内容、作業期間、労働者数及びその他必要な事項を確実に把握すること。
(5) 管理区域に立ち入る関係請負人の労働者に対する確認
管理区域に立ち入る関係請負人の所属労働者について、放射線管理手帳の所持、特別教育等放射線業務に係る必要な安全衛生教育の修了及び電離放射線健康診断の受診を確認すること。
(6) 作業規定の作成等に対する指導又は援助
関係請負人が作成する作業規定について、その内容が適切なものとなるよう必要に応じて関係請負人を指導し、又は援助すること。
関係請負人が行う作業のうち、労働者の1センチメートル線量当量が1日につき1ミリシーベルトを超えるおそれのあるもの又は核燃料施設における間欠的若しくは一時的作業で定常時よりも量の多い若しくは濃度の高い核燃料物質を取り扱うものに係る作業規定については、あらかじめ内容の確認を行うこと。
関係請負人が関係労働者に作業規定の周知を図るよう指導すること。
関係請負人が行う作業について、作業場所を巡視すること等により被ばく管理について重点的に確認を行い、必要な場合には作業方法の改善等について指導又は援助を行うこと。
(7) 被ばく状況の把握等
関係請負人の所属労働者の被ばく状況を確実に把握し、その状況に応じて、作業環境の改善等の必要な指導又は援助を行うこと。
関係請負人に対し、所属労働者の被ばく線量について当該労働者に通知するよう指導すること。
(8) 安全衛生教育に対する指導又は援助
関係請負人が行う特別教育、職長教育等の放射線業務に係る安全衛生教育について、関係請負人の要請等に応じて、必要な指導又は講師の派遣、教材・施設の提供等に関する援助を行うこと。特に、保護具、放射線測定器等の実物を用いた教育の実施、視聴覚教材等を常備した安全衛生教育施設の設置等に配慮すること。
関係請負人が行う放射線業務に係る安全衛生教育については、単に教育の実施の有無の確認のみにとどまらず、教育資料の内容、具体的な実施状況等についても把握することが望ましいこと。
(9) 作業環境測定
関係請負人が行う外部放射線量及び空気中の放射性物質の濃度に係る作業環境測定について、関係請負の要請等に応じて、測定の方法等に関する指導又は作業環境測定機関を斡旋するなど必要な援助を行うこと。なお、同一の作業場に、原子力事業者と関係請負人が混在して作業を行っている場合等において、原子力事業者が作業環境測定を行い、その結果を共同して関係請負人にも利用させて差し支えないものであること。
(10) 電離放射線健康診断
関係請負人の行う電離放射線健康診断について、関係請負人の要請等に応じて、原子力事業者が行う電離放射線健康診断時に併せて実施することや健康診断機関を斡旋すること等必要な指導又は援助を行うこと。
関係請負人の使用する労働者に係る健康管理について、関係請負人の要請等に応じて、電離放射線健康診断結果についての意見聴取、保健指導その他必要な指導を原子力事業者の産業医が行うなどの援助等を行うこと。また、電離放射線健康診断結果に基づき関係請負人の労働者に就業上の措置等を要する者が生じた場合にも、関係請負人の要請等に応じて、当該措置等に関して必要な指導を行うとともに、当該措置が適切に行われるよう必要な配慮を行うこと。
(11) 事故時の避難等
事故が発生した場合の関係請負人を含めた連絡、避難及び応急体制を確立するとともに、関係請負人に対する周知及び必要に応じて関係請負人を含めた合同の実地訓練を実施すること。
(12) 事故の再発防止対策の確立
事故が発生した場合、事故に関わった関係請負人と共に、その発生経過、連絡、緊急作業等に係る問題点を十分に究明し、速やかに再発防止対策を確立するとともに、関係請負人に周知させること。

3 定期検査工事等において原子力事業者及び元請事業者が実施すべき事項
定期検査工事のように、施設又は設備の大がかりな補修工事であって原子力事業者が外部の工事業者に発注するもの(以下「定期検査工事等」という。)においては、元請工事業者の下に関係請負人が混在作業を行うこととなり、・元請工事業者が特定元方事業者となることから、2の措置については、原子力事業者に代わって元請工事業者に実施させること。
また、原子力事業者は、必要に応じて元請工事業者を指導又は援助するとともに、2の(3)に基づき元請工事業者が設置する協議組織に、定期検査工事等の発注に関して責任を有する者を参加させること。

4 報告等
(1) 事故等の報告
原子力事業者に対して、事故が発生したときは速やかにその旨を報告するよう指導すること。
また、事故の発生原因及び再発防止策についても分かり次第速やかに報告するよう指導すること。
(2) 放射線作業の報告
放射線業務に係る作業のうち、労働者の1センチメートル線量当量が1日につき1ミリシーベルトを超えるおそれのある作業を行う事業者に対して、あらかじめ、様式第1号により放射線作業についての届出をするよう指導すること(緊急作業の場合を除く。)
 また、当該作業終了後にあっては、従事した労働者の平均線量当量、最高線量当量及び総線量当量について、速やかに報告(様式任意)するよう指導すること。
(3) 安全衛生管理状況の報告
原子力事業者に対して、上記3の場合を含め、上記2その他の事項の四半期ごとの安全衛生管理の状況等について、様式第2号及び第3号により報告をするよう指導すること。
(4) 労働者の年間線量当量の報告
原子力事業者に対して、原子力施設構内において放射線業務に係る作業に従事したすべての労働者(常駐のみならず定期検査工事等その他の保守点検作業に従事した関係請負人の労働者も含む。)の午間の線量当量について、様式第4号により報告を行うよう指導すること。