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染色汚水処理施設における硫化水素中毒災害の防止について


改正履歴
基安労発第0626001号
平成14年6月26日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局
安全衛生部労働衛生課長


染色汚水処理施設における硫化水素中毒災害の防止について


平成14年6月10日、福岡県久留米市における繊維染色工場の廃液処理施設のピットにおいて、別添1のとおり硫化水素中毒により6名が被災し、うち4名が死亡するという災害が発生したところである。
現在、所轄局が中心となり、独立行政法人産業医学総合研究所と連携を図りながら、災害発生原因等の究明に努めているところであるが、本災害は、染色廃液の処理プラントのメンテナンス作業中に発生したものであり、メンテナンス作業のために汚泥・汚水配管のジョイント部や汚泥閉止バルブを開放することにより、作業場所に汚泥・汚水が流れこみ、酸素欠乏等の状態が生ずるおそれがあったにもかかわらず、換気等の措置を行わず、かつ、救出用の空気呼吸器等の呼吸用保護具を備え付けていなかったものである。
各局におかれては、下記事項に留意の上、同種災害の防止に努められたい。
なお、当該指導の実施に当たっては、平成14年3月15日付け基安労発第0315001号「下水道清掃作業における硫化水素中毒災害の防止について」も参考にされたい。
おって、別添2のとおり、関係事業者団体に対して要請したので了知されたい。



1 酸素欠乏等危険場所の確認と対策の実施
染色汚水の処理施設における硫化水素の発生原因としては、汚水及び汚泥に含まれる硫黄分を含む化合物等が、酸度や温度の変化により急激に分解すること硫酸還元菌等の介在により汚泥が腐敗等すること等が考えられる。特に、硫黄分を含む化合物の化学反応による分解で発生する硫化水素については、高濃度のものが急激に発生する場合もある。
本件災害のように、通常は汚水・汚泥が滞留していない場所であっても、メンテナンス作業等により、急激に汚水・汚泥が労働者の立ち入る場所に流れ込むおそれのある場合は、高濃度の硫化水素が発生する可能性があることに鑑み、非定常作業を含む全ての作業について、酸素欠乏危険場所の有無を確認し、酸素欠乏症等防止規則に基づく対策の的確な実施を図らせること。

2 二次災害の防止
二次災害の防止のために、関係労働者に硫化水素の毒性を十分に認識させるほか、空気呼吸器等の呼吸用保護具の備え付け及び使用訓練等を行わせるよう、関係事業者に周知徹底すること。