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次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液との混触による塩素中毒災害の防止について

改正履歴
                                      基安発第1102003号
                                       平成16年11月2日

 各都道府県労働局長  殿

                              厚生労働省労働基準局安全衛生部長



      次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液との混触による塩素中毒災害の防止について


 安全衛生行政の中でも化学物質による健康障害の防止は重点項目の一つとして推進しているところであ
るが、化学物質による労働災害の中で次亜塩素酸塩溶液を誤って酸性溶液のタンク等に注入し、又はその
逆の操作を行い、これらの液体が混触することにより化学反応を起こし、発生した塩素ガスを作業者や周
辺の労働者が吸入する中毒災害は別紙のとおり毎年のように発生している。しかも、近年は屋外での発生
から近隣住民等を巻き込んだ公衆災害にまで発展する例もみられるところである。
 次亜塩素酸塩溶液は消毒や漂白等に、酸性溶液は洗浄や水処理等に用いられることから、両者のタンク
を併設している事業場も多く、このような災害の起きる可能性は少なくないものと考えられる。
 このような状況にかんがみ、別添1及び別添2のとおり、関係団体に対して標記災害の防止について周知
徹底方要請したので、各局においても、関係事業者等に対して下記事項を周知するとともに必要な指導に
努められたい。


                      記


1 運送事業者に対する指導事項
 (1)特定化学物質等作業主任者等による指揮管理
   次亜塩素酸塩溶液又は酸性溶液をタンクへ注入する作業を運送作業者が行う場合においては、注入
  作業者の中から特定化学物質等作業主任者その他の化学物質による労働災害防止に関する知識を有す
  る者(ただし、酸性溶液のうち塩酸、硝酸又は硫酸をタンクへ注入する場合においては、特定化学物質
  等作業主任者に限る。)を選任し、次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液を混触させないよう、その者の指揮管
  理の下に作業を行うこと。

 (2)事業場の化学物質の管理に関する責任者の立会い
   タンクローリーの内容物を事業場のタンクに注入する際は、当該事業場の化学物質の管理に関する
  責任者に立会いを求め、注入する化学物質がタンクの表示と同じ物であることを確認すること。

 (3)タンクへの注入時の確認
   タンクローリーの内容物を事業場のタンクに注入する際は、まず少量を注入し、塩素ガスが発生し
  ないことを確認の上で注入作業を行うこと。

 (4)次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液が混触した場合の措置
   誤って次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液を混触させ、塩素ガスが発生した場合には、タンクへの注入を
  中止させ、速やかに労働者を作業場から退避させること。

 (5)安全衛生教育
   次亜塩素酸塩溶液又は酸性溶液の輸送及び荷役を行う労働者に対して、化学物質の危険・有害性と
  して次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液が混触した場合に塩素ガスが発生すること、塩素ガスが発生した場
  合の対応、塩素ガスの有害性及び災害事例について安全衛生教育を行うこと。

2 次亜塩素酸塩溶液及び酸性溶液を使用する事業者に対する指導事項
 (1)特定化学物質等作業主任者等による指揮管理
   次亜塩素酸塩溶液又は酸性溶液のタンク又は小分け用容器(以下「タンク等」という。)への注入作
  業を事業場所属の労働者が行う場合においては、注入作業者の中から特定化学物質等作業主任者その
  他の化学物質による労働災害防止に関する知識を有する者(ただし、酸性溶液のうち塩酸、硝酸又は硫
  酸をタンクへ注入する場合においては、特定化学物質等作業主任者に限る。)を選任し、次亜塩素酸塩
  溶液と酸性溶液を混触させないよう、その者の指揮管理の下に作業を行わせること。

 (2)タンク等への注意表示
   次亜塩素酸塩溶液及び酸性溶液のタンク等には、それぞれ次の内容をタンク等の注入口等見やすい
  位置に大きく表示すること。
  (1) 次亜塩素酸塩溶液タンク等
   ア 内容物の名称
   イ 酸性溶液を補充しないこと
   ウ 酸性溶液を注入すれば有害な塩素ガスが発生すること
  (2) 酸性溶液タンク等
   ア 内容物の名称
   イ 次亜塩素酸塩溶液を補充しないこと
   ウ 次亜塩素酸塩溶液を注入すれば有害な塩素ガスが発生すること

 (3)作業標準の整備
   次亜塩素酸塩溶液及び酸性溶液の補充に際しての混触防止のための作業標準を定め、これを関係労
  働者に周知すること。

 (4)タンク等への注入時の確認
   次亜塩素酸塩溶液又は酸性溶液をタンク等に注入する際は、まず少量を注入し、塩素ガスが発生し
  ないことを確認した上で注入作業を行うこと。

 (5)次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液が混触した場合の措置
   誤って次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液を混触させ、塩素ガスが発生した場合には、タンク等への注入
  を中止させ、速やかに労働者を作業場から退避させること。
   また、労働者が塩素ガスによる健康障害を受けるおそれのないことを確認するまでの間、作業場等
  に関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示する必要があること。

 (6)安全衛生教育
   関係労働者に対して、次亜塩素酸塩溶液及び酸性溶液のそれぞれの危険・有害性としてこれらが混
  触した場合に塩素ガスが発生すること、塩素ガスが発生した場合の対応、塩素ガスの有害性及び災害
  事例について安全衛生教育を行うこと。

 (7)荷役時の立会い
   外部の運送業者からタンクローリーにより次亜塩素酸塩溶液又は酸性溶液を事業場内のタンクに荷
  受けする場合には、荷受けタンクを誤らないよう、これらの化学物質の管理に関する責任者に立ち会
  わせること。