原子力施設における放射線業務及び緊急作業に係る安全衛生管理対策の強化について

基安労発0821第1号
平成24年8月21日
別記の都道府県労働局労働基準部長 殿
厚生労働省労働基準局
安全衛生部労働衛生課長

原子力施設における放射線業務及び緊急作業に係る安全衛生管理対策の強化について

 標記については、「原子力施設における放射線業務及び緊急作業に係る安全衛生管理対策の強化につい
て」(平成24年8月10日付け基発0810第1号。以下「通達」という。)により示されたところであるが、この
運用に当たっては、下記の事項に留意されたい。
 なお、本通達をもって、「原子力発電所における放射線業務に係る安全衛生管理対策の強化について」
(平成12年10月16日付け労働衛生課長名事務連絡)を廃止する。
1  対象
 (1) 通達第1の2に掲げる対象施設の名称及び所在地については、現段階においては別添1のとおりであ
  ること。
 (2) 別添1の事業場のうち、建設中又は廃止措置中のものについては、放射線業務及び関係請負人の有
  無を確認の上、対象の要否を判断すること。
2  安全衛生統括者等の取扱い
 (1) 通達第2の1(1)に定める安全衛生統括者については、原子力事業者が労働安全衛生法(昭和47年法
  律第57号。以下「法」という。)第10条の総括安全衛生管理者を選任している場合には、当該総括安
  全衛生管理者が兼務して差し支えないものであること。
 (2) 通達第2の1(3)に定める安全衛生協議組織については、法第18条の衛生委員会又は法第19条の安全
  衛生委員会の開催にあわせ開催しても差し支えないものであること。
 (3) 通達第3に該当する場合において、元方事業者が選任する通達第2の1(1)の安全衛生統括者、関係請
  負人が選任する通達第2の1(2)の安全衛生管理の職務を行う者については、それぞれ、法第15条の統
  括安全衛生責任者、法第16条の安全衛生責任者と密接な連携のもとに職務を行う限りにおいて、当該
  統括安全衛生責任者、安全衛生責任者とは別に選任して差し支えないものであること。
 (4) 通達第3に該当する場合においては、通達第2の1(3)の安全衛生協議組織について、法第30条第1項
  第1号の協議組織の下部組織として位置付け、協議内容が当該法定の協議組織に報告されるなど、当
  該法定の協議組織との密接な連携のもとに運営される限りにおいて、当該法定の協議組織そのものと
  別に設けて差し支えないものであること。
 (5) 一の関係請負人の労働者が作業を行う場所で、他の関係請負人の労働者及び元方事業者の労働者が
  混在して作業を行うことがない場合には、当該関係請負人を通達第2の1(3)の安全衛生協議組織に参
  画させる必要はないが、その場合であっても、通達第2の1(3)イに定める事項について、別途協議す
  る機会を設けることが望ましいこと。
3  作業規程又は作業計画の作成等に対する指導又は援助
 (1) 作業の管理上、原子力事業者が元方事業者に当たる場合は原子力事業者が、原子力事業者以外の者
  が元方事業者に当たる場合は元方事業者が、元方事業者に係る作業の全体について総括して作業規程
  又は作業計画を作成し、その内容を関係請負人に周知すること。
   また、作業規程又は作業計画は、関係請負人と十分に協議した上で作成するよう指導すること。
 (2) 通達第5の3(1)の「労働者の被ばくする実効線量が1日につき1ミリシーベルトを超えるおそれ」と
  は、「労働者1人当たりの最大の実効線量が作業期間のいずれかの1日につき1ミリシーベルトを超え
  るおそれ」をいい、これに該当するかどうかは、作業の内容、作業時間、外部放射線による1センチ
  メートル線量当量率、1日又は1時間の推定の1センチメートル線量当量によって個々の作業ごとに判
  断されるべきものであること。
   なお、各事業場において実務的に判断するため、それぞれの被ばく管理の実態に適応した適正な判
  断基準を設けていればそれによって運用して差し支えないものであること。
 (3) 作業規程は、電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)第41条の3及び第41条の4に掲げ
  る項目を満たす必要があること。なお、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭
  和32年法律第166号。以下「炉規法」という。)に基づく保安規定その他の諸規定において、作業規程
  で定めるべき事項がすでに網羅されている場合には、それをもって作業規程として差し支えないもの
  であり、当該諸規程とは別に作業件名ごとの1冊の文書を作成するようなことは要しないものである
  こと。
   作業計画については、通達第5の3に定めるほか、下記5に定めるところによること。
4  緊急作業に対する準備に関する指導等
 (1) 通達別添1-1から1-3までの自主点検(以下「自主点検」という。)のうち、本店等に対する自主点検
  の実施については、以下の事項に留意すること。
  ア 通達第1の1でいう「本店・本社・本部組織の原子力部門の機能を持つ原子力施設外の施設」とは、
   原子力事業者が、その本店等から原子力所管部門等を切り離し、原子力施設の立地している道府県
   に移設したもの(以下「現地原子力本部等」という。)を想定していること。
  イ アの場合、本店等に対する自主点検の実施方法は、[1]本来の本店・本社・本部組織のみに対して
   本店等所轄局が実施、[2]現地原子力本部等のみに対して、原子力施設所轄局が実施、又は[3]本来
   の本店・本社・本部組織及び現地原子力本部等の両方に対して、本店等所轄局及び原子力施設所轄
   局が実施、のいずれかとなる。
  ウ イの方法のうち、いずれがよいかは各原子力事業者の現地原子力本部等の権限等によるため、本
   店等所轄局は、原子力事業者の本来の本店・本社・本部組織と調整を行い、本店等に対する自主点
   検の実施方法を決定すること。
 (2) 自主点検は、内容の審査に専門的な知識が必要であること、原子力施設所轄局と本店等所轄局との
  局間連携が必要であること、都道府県の保健医療部局との調整が必要であることから、原則として都
  道府県労働局健康主務課において対応すること。ただし、原子力施設への監督指導等に齟齬を来すこ
  とがないよう、所轄労働基準監督署と自主点検の報告内容等を共有すること。
 (3) 自主点検の実施に当たっては、「実施内容」欄に、実施済みの場合は実施した内容、実施準備中の
  場合には実施準備中の内容と今後のスケジュール、未実施の場合は、未実施の理由と今後の予定につ
  いて記載を求めること。
 (4) 原子力施設は、許可区分、規模又は保有する核燃料物質若しくは核原料物質の数量が異なるため、
  自主点検項目のうち、あらかじめ準備するAPD等、WBC、呼吸用保護具、保護衣等の数量、バックアッ
  プシステムの容量等については、緊急事態発生時に各施設で緊急作業に従事する労働者を見積もった
  上で、十分な数量等を準備するように指導すること。
 (5) 自主点検項目のうち、原子力施設所轄局での医療体制の整備、臨時健康診断の実施、患者搬送体制
  の構築等については、通達第4の1(1)のほか、以下の事項に留意すること。
  ア 「医療体制連絡協議会」については、すでに類似の協議会等が設置されている道府県にあっては、
   その協議会等に労働局が参加できるように調整すること。
  イ 「医療体制連絡協議会」に類するものがない場合は、(独)放射線医学総合研究所、地方自治体及
   び医療機関により年2回程度開催されている「地域緊急被ばく医療連携協議会」に出席している道府
   県の保健医療部局に対して、「医療体制連絡協議会」の設立を図るための調整を行うこと。設立に
   向けての関係機関との調整に当たっては、原子力事業者からも主体的に保健医療部局に働きかけを行
   うよう指導すること。
  ウ 患者搬送体制の構築等に関する具体的方法については、自主点検項目に記載された方法に関わら
   ず、「医療体制連絡協議会」において関係者で合意された方法によることとして差し支えないこと。
5  放射線作業の報告
   放射線作業届については、通達第5の3に定めるほか、次に掲げる事項に留意すること。
 (1) 通達様式第1号については、必要な事項の最小限度を記載し、報告することを指導するものであっ
  て、これと異なる様式を用いることを妨げるものではないこと。
 (2) 通達様式第1号の記載にあたっては、「記入例」(別添2)及び「熱中症予防対策に関するチェックリ
  スト」(別添3)を参考にすること。
 (3) 放射線作業届の審査に当たっては、「放射線作業届審査のポイント」(別添4)に留意すること。
 (4) 報告を作成するに当たっては、当該作業に係る被ばく管理について十分に検討を行うよう指導し、
  単に法令に抵触しないようにするにとどまらず、労働者の被ばく線量をできるだけ低く抑えるという
  観点から、個々の労働者の被ばく線量だけではなく総実効線量についても、その低減化を図るための
  対策を講じるよう指導すること。
 (5) 報告によって、短期間に比較的高い被ばくを伴う作業の実態の把握に努めること。
 (6) 通達第5の3(2)による実績報告により、推定被ばく線量と実際の被ばく線量とに大きな差異が生じ
  た場合には、必要に応じ、所轄労働基準監督署において、当該作業に伴う被ばく管理が的確に実施さ
  れたものであるかどうか等を調査すること。
6  安全衛生管理状況等の報告
 (1) 通達様式第2号については、必要な事項の最小限度を記載し、報告することを指導するものであっ
  て、これと異なる様式を用いることを妨げるものではないこと。なお、同様式の記載等に当たっては、
  「記載例」(別添5)を参考にすること。
 (2) 同一事業場が炉規法に基づき、通達第1の2(1)から(4)までのうち複数の許可を受けている場合に
  は、通達様式第2号については事業場ごとに報告を行えば足りるものとするが、通達様式第3号及び第
  4号については、炉規法に基づく許可の区分ごとに報告するものとすること。
 (3) 通達様式第3号の実効線量区分については、同様式の区分を含む区分けであれば、同様式の区分に
  よらないで報告して差し支えないものであること。
 (4) 労働局又は労働基準監督署において、独自に原子力事業者又は元方事業者に対して安全衛生管理計
  画、その実施状況等の報告を求めている場合には、様式第2号から第4号までの報告と重複することの
  ないよう内容の調整を図ること。なお、当該安全衛生管理計画、その実施状況等の報告が、当該様式
  による報告内容を含む場合には、当該様式による報告を求める必要はないものであること。
7  本省への報告等
   通達別添1-1から1-3までの自主点検結果、通達第5の1の報告又は通達様式第4号の報告がなされたと
 きは、速やかに本省電離放射線労働者健康対策室あて報告すること。


別記
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