「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正する件」の周知について

基発0208第1号
令和3年2月8日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長

「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正する件」の周知について

 事業場における労働者の健康保持増進のための指針(昭和63年健康保持増進のための指針公示第1号。以
下「指針」という。)について、事業者と医療保険者とが連携した健康保持増進対策がより推進されるよ
う、別紙1の新旧対照表のとおり指針の改正を行い、令和3年4月1日から適用されることとなった。改正後
の指針は別紙2のとおりであり、改正の趣旨及び内容は下記のとおりである。
 ついては、事業者又は関係機関等に対する改正後の指針の閲覧及び周知について遺憾なきを期されたい。
 また、別添のとおり関係団体に対して周知したので、了知されたい。
1 改正の趣旨
 事業場における労働者の健康の保持増進については、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安
衛法」という。)第70条の2第1項の規定に基づき、事業場における労働者の健康保持増進措置を推進する
ため、昭和63年に指針を策定し、指針に沿った取組を普及してきたところである。
 また、令和2年には、指針の策定から30年以上が経過し、産業構造の変化や高齢化の一層の進展、働き
方の変化等、日本の社会経済情勢が大きく変化していることを踏まえ、事業場における健康保持増進対策
がより推進されるよう必要な見直しを行ったところであり、事業者は、健康保持増進対策の推進体制を確
立するために、労働衛生機関、中央労働災害防止協会、スポーツクラブ、医療保険者、地域の医師会や歯
科医師会、地方公共団体又は産業保健総合支援センター等の事業場外資源を、事業場の実態に即して活用
することとされたところである。
 一方で、医療保険制度において、糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症や重症化を予防し、医療費を
適正化するため、医療保険者が法定義務の保健事業として、特定健康診査及び特定保健指導を行っており、
高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号。以下「高確法」という。)第27条第2項及び第3項
の規定に基づき、医療保険者から安衛法に基づく健康診断の記録の写しの提供の求めがあった場合に、事
業者は当該記録の写しを医療保険者に提供しなければならないこととされている。
 また、令和3年3月からは、マイナポータルを通じて本人が自らの特定健康診査情報等を閲覧することが
できる仕組みが稼働されることとなっており、事業者から医療保険者に提供された健康診断の結果は、医
療保険者を通じてオンライン資格確認等システムに格納されることで、特定健康診査情報としてマイナポ
ータルを用いて本人閲覧ができるようになる予定である。
 事業者から医療保険者に安衛法に基づく健康診断の記録の写しを提供することは、データヘルスやコラ
ボヘルス等の推進に資するとともに、マイナポータルを用いて労働者が自らの健康データの変化を把握し、
自らの健康管理に役立てることが可能になることから、労働者の健康保持増進につながり、労働者が健康
になることによって、労働災害の防止、企業の生産性向上、経営改善及び経済成長にもつながるものであ
る。
 これらを踏まえ、安衛法に基づく健康診断の記録の写しの提供やコラボヘルスの取組等、事業者と医療
保険者とが連携した健康保持増進対策がより推進されるよう、今般、指針の改正を行ったものである。

2 改正の内容
 (1) 健康保持増進対策の基本的考え方関係
  事業者と医療保険者とが連携した健康保持増進対策がより推進されるよう、コラボヘルスの推進が求
 められていることを追加したこと。
 (2) 健康保持増進措置の内容関係
  健康保持増進措置の検討に当たって、安衛法に基づく健康診断の結果等を医療保険者に提供する必要
 があること及びそのデータを医療保険者と連携して事業場内外の複数の集団間のデータと比較し健康保
 持増進等に係る取組の決定等に活用することが望ましいこととしたこと。
 (3) その他
  個人情報の取扱いについて、医療保険者から安衛法に基づく健康診断の記録の写しの提供の求めがあ
 った場合に、事業者がその記録の写しを医療保険者に提供することは、高確法に基づく義務であるため、
 第三者提供に係る本人の同意が不要であることを示したこと。




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