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別添
建設業労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン

目   次
1 目的
2 適用等
3 用語と定義
4 システムを確立するために必要な実施すべき事項の特定
4.1 店主において必要な基本的事項
4.1.1 安全衛生方針の表明
4.1.2 危険又は有害要因の特定及び実施すべき事項の特定
4.1.3 安全衛生目標の設定
4.1.4 安全衛生計画の作成
4.1.5 労働者の意見の反映
4.1.6 安全衛生計画の実施及び運用等
4.1.7 作業所において必要な基本的事項に関する手順の作成等
4.1.8 システム体制の整備
4.1.9 システム教育の実施
4.1.10 関係請負人の安全衛生管理能力等の評価
4.1.11 文書化
4.1.12 緊急事態への対応
4.1.13 日常的な点検及び改善
4.1.14 労働災害、事故等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善
4.1.15 システム監査
4.1.16 記録及びその保管
4.1.17 システムの見直し
4.2 作業所において必要な基本的事項
4.2.1 工事安全衛生方針の表明
4.2.2 危険又は有害要因の特定及び実施すべき事項の特定
4.2.3 工事安全衛生目標の設定
4.2.4 工事安全衛生計画の作成
4.2.5 工事安全衛生計画の実施及び運用等
4.2.6 労働者等の意見の反映
4.2.7 関係請負人の安全衛生管理能力等の評価
4.2.8 緊急事態への対応
4.2.9 日常的な点検及び改善
4.2.10 労働災害、事項等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善
4.2.11 文書化、記録及び報告


建設業労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン

 このガイドラインは、労働大臣が公表した「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に基づき、建設業の固有の特性を踏まえ、必要な安全衛生管理の仕組みを示したものであり、建設事業を行う事業者が、自らの意志において、自主的に取り組むものである。
1 目的
このガイドラインは、建設事業を行う事業者が、労働者の協力の下に、店社と作業所が一体となって、「計画−実施−評価−改善」という一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全衛生活動を促進することにより、建設事業場における労働災害の潜在的危険性を低減するとともに、労働者の健康の増進及び快適職場の形成の促進を図り、もって建設事業場における安全衛生水準の向上に資することを目的とする。
2 適用等
2.1 このガイドラインは、危険又は有害要因等を考慮しながら、建設業労働安全衛生マネジメントシステムを確立しようとする建設事業を行う事業者に適用し、すべての規模の建設事業場を対象とする。
2.2 このガイドラインは、建設事業場の安全衛生管理に関する仕組みを確立するための基本的事項を定めたものであり、労働安全衛生法の規定に基づき、機械、設備、化学物質等による危険又は健康障害を防止するため建設事業を行う事業者が講ずべき具体的な措置を定めるものではない。
3 用語と定義
このガイドラインに用いる用語と定義は、次の定めるところによる。
3.1 建設業労働安全衛生マネジメントシステム建設業労働安全衛生マネジメントシステム(以下「システム」という。)とは、建設事業場において安全衛生方針の表明、安全衛生目標の設定、安全衛生計画の作成、実施及び運用、日常的な点検及び改善、システム監査、システムの見直し等の一連の過程を定めて連続的かつ継続的に実施する安全衛生管理に関する仕組みであって、施工管理等の建設事業の実施に係る管理に関する仕組みと一体となって実施され、及び運用されるものをいう。
3.2 建設事業場
建設事業場とは、店社と作業所を統合した組織をいう。
3.3 建設事業者
建設事業者とは、建設事業場で建設事業を行う者をいう。
3.4 店社
店社とは、作業所の指導、支援及び管理業務を行う本社、支店等の組織をいう。
3.5 作業所
作業所とは、工事の施工を行う組織をいう。
3.6 安全衛生方針
1) 安全衛生方針とは、建設事業場における安全衛生水準の向上を図るために建設事業者が表明する安全衛生に関する基本的考え方をいう。
2) 工事安全衛生方針とは、作業所における安全衛生を確保するため、作業所長が表明する、施工する工事の安全衛生に関する基本的考え方をいう。
3.7 安全衛生目標
1) 安全衛生目標とは、安全衛生方針に基づいて、建設事業者が設定する一定期問内に達成すべき到達点をいう。
2) 工事安全衛生目標とは、工事安全衛生方針に基づいて、作業所長が設定する工事期間又は一定期間内において確保すべき実施事項の安全衛生の水準をいう。
3.8 安全衛生計画
1) 安全衛生計画とは、建設事業者が建設事業場における危険又は有害要因等を踏まえ、一定の期間を限り、安全衛生目標を達成するための具体的な実施事項、日程等について定める計画をいう。
2) 工事安全衛生計画とは、作業所長が、施工する工事における危険又は有害要因等を踏まえ、工事期間又は一定の期間を限り、工事安全衛生目標を達成するための具体的な実施事項、日程等について定める計画をいう。
3.9 緊急事態
緊急事態とは、労働災害発生の急迫した危険がある状態をいう。
3.10 システム監査
システム監査とは、システムが適切に実施され、及び運用されているかどうかについて、安全衛生計画の期間を考慮して定期的に建設事業者が行う調査及び評価をいう。
4 システムを確立するために必要な基本的事項
建設事業場におけるシステムを確立し、適切に実施し、及び運用するため、建設事業者及び作業所長は、以下の基本的事項を実施する。
4.1 店主において必要な基本的事項
4.1.1 安全衛生方針の表明
1) 建設事業者は、建設事業場における安全衛生方針を表明し、労働者に周知させる。
2) 安全衛生方針には、次の事項を含むものとする。
(1) 労働者の協力の下に、安全衛生活動を実施すること。
(2) 労働安全衛生関係法令、建設事業場において定めた安全衛生に関する規程(以下「建設事業場安全衛生規程」という。)等を遵守すること。
(3) システムを適切に実施し、及び運用すること。
3) 建設事業者は、安全衛生方針を必要に応じて関係する事業者等に周知させる。
4.1.2 危険又は有害要因の特定及び実施すべき事項の特定
1) 建設事業者は、工事に伴う危険又は有害要因を特定する手順を定め、この手順に基づき、危険又は有害要因を特定する。
2) 建設事業者は、1)において特定された危険又は有害要因を、除去又は低減するために実施すべき事項を特定する手順を定め、この手順に基づき、実施すべき事項を特定する。
3) 建設事業者は、労働安全衛生関係法令、建設事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項を特定する手順を定め、この手順に基づき、実施すべき事項を特定する。
4.1.3 安全衛生目標の設定
建設事業者は、4.1.2で特定された危険又は有害要因等を踏まえ、安全衛生方針に基づき、安全衛生目標を設定する。
4.1.4 安全衛生計画の作成
建設事業者は、安全衛生目標を達成するため、4.1.2の2)及び3)で特定された実施すべき事項、安全衛生に関する行事、安全施工サイクル活動等の日常的な安全衛生活動に係る事項、作業所の指導及び支援に関する事項等を内容とする安全衛生計画を作成する。
4.1.5 労働者の意見の反映
1) 建設事業者は、安全衛生目標の設定及び安全衛生計画の作成に当たり、安全衛生委員会の活用等労働者の意見を反映する手順を定め、この手順に基づき、労働者の意見を反映する。
2) 建設事業者は、安全衛生計画の実施及び運用に当たり、労働者の意見を反映する手順を定め、この手順に基づき、労働者の意見を反映する。
4.1.6 安全衛生計画の実施及び運用等
1) 建設事業者は、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用する手順を定め、この手順に基づき、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用する。
2) 建設事業者は、安全衛生計画のうち必要な事項を労働者、関係する事業者等に周知させる手順を定め、この手順に基づき、これらの者に周知させる。
3) 建設事業者は、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用するために必要な事項について、労働者、関係する事業者等に周知させる手順を定め、この手順に基づき、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用するために必要な事項を、これらの者に周知させる。
4) 建設事業者は、工事に使用する機械、設備、資材等の譲渡又は提供を受ける場合には、4.1.2の1)の危険又は有害要因の特定等に資するよう、必要に応じてこれらの取扱いに関する事項を記した書面を入手するよう努めるとともに、この事項のうち必要な事項を労働者、関係する事業者等に周知させる手順を定め、この手順に基づき、これらの者に周知させる。
4.1.7 作業所において必要な基本的事項に関する手順の作成等
1) 建設箏業者は、システムを適切に実施し、及び運用するため、作業所において必要な基本的事項に関する次の手順を作成する。
(1) 危険又は有害要因の特定及び実施すべき事項の特定
(2) 工事安全衛生計画の作成
(3) 工事安全衛生計画の実施及び運用等
(4) 労働者等の意見の反映
(5) 関係請負人の安全衛生管理能力等の評価
(6) 日常的な点検及び改善
(7) 労働災害、事故等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善
(8) 文書化、記録及び報告
2) 建設事業者は、4.2.11の報告を踏まえ、必要に応じて1)の手順の見直しを行う。
4.1.8 システム体制の整備
建設事業者は、建設事業場におけるシステムを確立し、適正に実施し、及び運用する体制を整備するため、次の事項を行う。
(1) 建設事業場においてその事業を統括管理する者を、システム管理の最高責任者として指名し、役割、責任及び権限を定めること。
(2) システム各級管理者(店社においては、安全衛生管理部門、工事管理部門等における部長・課長・係長等の管理者、また、作業所においては、作業所長、工事主任等の管理者であって、システムを担当するものをいう。以下同じ。)を指名し、その役割、責任及び権限を定めること。
(3) システム管理の最高責任者、システム各級管理者の役割、責任及び権限を、労働者及び必要に応じて関係する事業者等に周知させること。
(4) システムの確立、実施及び運用等に必要な人材及び予算を確保するように努めること。
(5) システムの実施及び運用に当たり、安全衛生委員会等を活用すること。
4.1.9 システム教育の実施
建設事業者は、労働者に対してシステムに関する教育を実施する手順を定め、この手順に基づき、システムに関する教育を実施する。
4.1.10 関係請負人の安全衛生管理能力等の評価
1) 建設事業者は、安全衛生に関して優良な関係請負人の選定及びその育成のため、関係講負人の安全衛生管理能力等を適正に評価する手順を定め、この手順に基づき、関係請負人の安全衛生管理能力等を評価する。
2) 建設事業者は、1)において評価した結果を、次の工事等における関係請負人の選定及びその育成に反映する。
4.1.11 文書化
1) 建設事業者は、次の事項を文劃こより定める。
(1) 安全衛生方針
(2) 安全衛生目標
(3) 安全衛生計画
(4) システム管理の最高責任者及びシステム各級管理者の役割、責任及び権限
(5) 店社において必要な基本的事項に係る規定に基づき定められた手順
2) 建設事業者は、1)の文書を管理する手順を定め、この手順に基づき、これらの文書を適切に管理する。
4.1.12 緊急事態への対応
建設事業者は、工事において緊急事態が発生した場合に労働災害を防止するための措置を定める。
4.1.13 日常的な点検及び改善
1) 建設事業者は、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施する手順を定め、この手順に基づき、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施する。
2) 建設事業者は、次回の安全衛生計画を作成するに当たって、日常的な点検及び改善の結果を反映する。
4.1.14 労働災害、事故等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善
1) 建設事業者は、労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する手順を定め、労働災害、事故等が発生した場合には、この手順に基づき、これらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する。
2) 建設事業者は、労働災害、事故等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善の結果を、次回の安全衛生計画の作成に反映する。
4.1.15 システム監査
1) 建設事業者は、定期的なシステム監査の計画を作成し、システム監査を実施する手順を定め、この手順に基づき、システム監査を実施する。
2) 建設事業者は、システム監査の結果、必要があると認めるときは、システムの実施及び運用について改善を行う。
4.1.16 記録及びその保管
建設事業者は、安全衛生計画の実施及び運用の状況、システム監査の結果等システムの実施及び運用に関し必要な事項を記録し、この記録を適切に保管する。
4.1.17 システムの見直し
建設事業者は、システム監査の結果を踏まえ、定期的に、システムの妥当性及び有効性を確保するため、安全衛生方針の見直し、このガイドラインに基づき定められた手順の見直し等システムの全般的な見直しを行う。
4.2 作業所において必要な基本的事項
4.2.1 工事安全衛生方針の表明
1) 作業所長は、施工する工事の特性、建設事業者が定めた安全衛生方針、安全衛生目標及び安全衛生計画等を踏まえ、工事安全衛生方針を表明する。
2) 作業所長は、工事安全衛生方針を工事に関係する労働者及び関係請負人に周知させる。
4.2.2 危険又は有害要因の特定及び実施すべき事項の特定
1) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、施工する工事において予想される危険又は有害要因を特定する。
2) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、1)において特定された危険又は有害要因を除去又は低減するために実施すべき事項を特定する。
3) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、労働安全衛生関係法令、建設事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項を特定する。
4.2.3 工事安全衛生目標の設定
作業所長は、4.2.2で特定された危険又は有害要因等を踏まえ、工事安全衛生方針に基づき、工事安全衛生目標を設定する。
4.2.4 工事安全衛生計画の作成
作業所長は、工事安全衛生目標を達成するため、4.1.7で定める手順を踏まえ、4.2.2の2)及び3)で特定された実施すべき事項、安全衛生に関する行事、安金施エサイクル等の日常的な安全衛生活動に関する事項等を内容とする工事安全衛生計画を作成する。
4.2.5 工事安全衛生計画の実施及び運用等
1) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、工事安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用する。
2) 作業所長は、工事安全衛生計画を実施及び運用するために必要な事項を、工事に関係する労働者及び関係請負人に周知させる。
3) 作業所長は、工事に使用する機械、設備、資材等の搬入又は持込みについて、4.1.7で定める手順を踏まえ、これらの機械、設備、資材等に関する事項を記した書面を入手し、及び確認するとともに、必要な事項を工事に関係する労働者及び関係請負人に周知させる。
4.2.6 労働者等の意見の反映
作業所長は、工事安全衛生計画の実施及び運用に当たって、4.1.7で定める手順を踏まえ、工事に関係する労働者の意見を反映するとともに、関係請負人の意見を反映するよう努める。
4.2.7 関係請負人の安全衛生管理能力箸の評価
作業所長は、安全衛生に関して優良な関係請負人の選定及び育成のため、4.1.7で定める手順を踏まえ、関係諸負人の安全衛生管理能力等の評価を実施し、この結果を建設事業者に報告する。
4.2.8 緊急事態への対応
作業所長は、緊急事態が生ずる可能性を事前に評価し、4.1.12で定める措置に従って、適切に対応する。
4.2.9 日常的な点検及び改善
作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、工事安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施する。
4.2.10 労働災害、事故等の原因の調査並びに間題点の把握及び改善
作業所長は、労働災害、事故等が発生した場合には、4.1.7で定める手順を踏まえ、労働災害、事故等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する。
4.2.11 文書化、記録及び報告
1) 作業所長は、次の事項を文書により定める。
(1) 工事安全衛生方針
(2) 工事安全衛生目標
(3) 工事安全衛生計画
2) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、工事安全衛生計画の実施及び運用の状況、日常的な点検及び改善の状況等、システムの実施及び運用に関し必要な事項を文書に記録する。
3) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、1)及び2)の文書を建設事業者に報告する。