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別添3

基安発第0329002号
平成14年3月29日
別添2の関係事業者団体の長 殿
厚生労働省労働基準局
安全衛生部長
携帯電話筐体等の仕上げ加工に係るマグネシウム合金粉じん
による爆発火災災害の防止について



爆発火災災害の防止については、かねてからその徹底を図ってきたところでありますが、別添のとおり、携帯電話やノート型パソコン等の筐体の研磨を行っている事業場において、マグネシウム合金粉じんによる爆発火災災害が、近年多く発生しているところです。
マグネシウム合金は軽量で放熱特性に優れており、携帯電話やノート型パソコン等の筐体として広く利用されていますが、その仕上げ工程においてバフ研磨等によって発生するマグネシウム合金粉じんは、労働安全衛生法上の危険物に該当し、爆発火災の原因となり得るものです。しかしながら、事業者のマグネシウム合金粉じんに係る危険性の程度等に関する認識が乏しいことなどから、爆発火災等の防止対策が不十分な場合が少なくなく、同種災害の発生が懸念されるところです。
つきましては、携帯電話筐体等の研磨等の作業に係るマグネシウム合金粉じんの爆発火災災害を防止するために、事業者が実施すべき事項等は下記のとおりであり、貴会におかれましても、同種災害の防止に万全を期するよう会員事業場への周知徹底を要請します。



1 マグネシウム合金粉じんの一般的な危険性について
携帯電話等の筐体として使用されるマグネシウム合金は、合金成分としてアルミニウムが質量割合で約9%程度及びその他の金属が微量に含まれるものであり、その粉じんは労働安全衛生関係法令により発火性の危険物として規制されているが、特にバフ研磨等の工程において発生する研磨粉は、軽量で浮遊又は飛散して粉じん雲を形成しやすい5μmから80μm程度の粒径のものである。
また、着火エネルギーが小さいことから、物体の静電気によるスパーク放電等の火気以外のものも着火源となり得るものである。
さらに、爆発時における爆発圧力は他の粉じんに比べて大きいものである。
そのため、粉じん爆発や火災の危険性には特に留意する必要がある。
また、マグネシウム合金粉じんは、水分と常温常圧で反応して、可燃性の水素ガスを発生させることから、滞留した水素ガスによる爆発の危険性にも留意する必要がある。
マグネシウム合金粉じんの取扱いに当たっては、このような爆発火災の危険性を十分に認識した上で、除じん措置の適正化、火気等の点火源となる要因の除去、安全衛生教育の実施等の対策を徹底する必要がある。

2 マグネシウム合金粉じんの取扱いに当たって事業者が実施すべき事項
携帯電話筐体等の仕上げ加工に係るマグネシウム合金粉じんの爆発火災災害を防止するため、事業者が特に留意して実施すべき事項は以下のとおりである。
(1) 除じん等の措置の適正化
通風、換気、除じん等の実施
(ア) バフ研磨等の作業を行う場所については、通風、換気、除じん等の措置を講じなければならないこと。
(イ) 上記の(ア)の措置として集じん機による除じんを行う場合、バグフィルター方式やサイクロン方式等の乾式集じん機は、内部で形成されるマグネシウム合金の粉じん雲に静電気放電等が点火源となって爆発のおそれがあることから、湿式集じん機でマグネシウム合金粉じんを含む液体を連続的に排出でき、かつ、ガス抜き装置等により発生した水素ガスの滞留を防止することができる湿式集じん機を使用するようにすること。
やむを得ず、バグフィルター方式やサイクロン方式等の乾式集じん機によるときは、接地、バグフィルターへの導電性の布地の使用その他の帯電防止措置とともに、捕集される金属粉じんに消石灰を投入する等によりマグネシウム合金粉じんを不活性化する等の措置を講ずるようにすること。
(ウ) 集じん機のダクトについては、捕集した金属粉じんが系内にたい積しないようにするため、次の措置を講ずるようにすること。
(i) 十分な風速を確保すること。
(ii) ベント、T字継手をできるだけ少なくすること。
(iii) 蛇腹状のダクトを使用する場合においては、U字状の屈曲部が生じないようにすること。
(iv) たい積状況を確認するための点検口を設けること。
たい積粉じんの除去
床、作業台等に堆積したマグネシウム合金粉じんは、固く絞ったぬれ雑巾やモップを用いて、粉じんが舞い上がらないようにふき取る方法により、一定時間ごとに捕集するようにすること。
(2) 火気等の管理
火気等の使用禁止、電気機械器具の防爆性能の確保
(ア) マグネシウム合金粉じんが存在して爆発又は火災のおそれがある場所においては、火花若しくはアークを発して点火源となるおそれがある機械等又は火気を使用してはならないこと。
また、火気の使用を禁止する旨の表示をすること。
(イ) バフ研磨等を行う場所において電気機械器具を使用するときは、粉じん防爆特殊防じん構造のものを使用すること。
帯電防止措置
(ア) バフ研磨等の作業に従事する労働者に静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止靴を着用させる等により、身体、作業服等に帯電する静電気を除去するための措置を講ずること。
(イ) 作業床の導電性を確保するため、塩化ビニル等の不導電性のものを材質とする床には帯電防止用マットを使用するようにすること。
(ウ) 集じん機のダクトは接地する等の措置を講ずること。また、材質は導電性のものとし、ガスケットを介して接続する箇所はボンディングにより導通を確保するようにすること。
消火設備の設置
バフ研磨等の作業を行う屋内作業場には、金属火災用消火器、乾燥砂等の消火設備を設けること。
なお、火災時における注水、炭酸ガス消火器及びABC消火器等の使用はしないようにすること。
(3) 作業指揮者の配置
バフ研磨等の作業に係る作業指揮者を定め、その者に当該作業を指揮させるとともに、バフ研磨機、集じん機、ダクト等を随時点検させ、異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとること等の事項を行わせること。
(4) 安全衛生教育の実施
労働者を雇い入れ、又は作業内容を変更して、新たにバフ研磨等の作業に従事させる労働者に対して、マグネシウム合金粉じんの爆発の危険性、取扱い方法、作業標準等に基づく安全な作業方法、想定される災害と緊急時の措置等についての安全衛生教育を実施すること。
職長等となった者に対して、作業方法の決定、労働者に対する指導、労働災害を防止するための必要な事項等について教育を実施すること。