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参考1

             溶接に伴って発生する一酸化炭素について

 溶接時には、溶接ヒュームの他に有害ガスも発生しており、主な有害ガスとしては、オゾン、窒素酸化物、
一酸化炭素等がある。
 一酸化炭素は、溶接中のアーク熱による炭酸ガスの熱分解及び溶接面での炭素の燃焼により発生する。炭
酸ガスから一酸化炭素への分解は2000℃でおよそ2%起こるとされている。アーク溶接のアーク熱が5000〜70
00℃であることからも溶接に伴い一酸化炭素が発生することが分かる。シールドガスとして炭酸ガスを用い
るMAG溶接、特に炭酸ガスのみを用いる炭酸ガスアーク(MAGC)溶接においては他の溶接に比べ高濃度の一酸
化炭素が発生すると推測される。
 溶接に伴い発生する一酸化炭素の量は、溶接条件によるが、1分間の溶接作業を行うとおよそ200〜400ml
の一酸化炭素が発生する。このことは、例えば100m3の空間で作業者1名が溶接作業を行い、溶接作業1分間
あたり300mlの一酸化炭素を発生したとすると、環境中の一酸化炭素は1分あたり3ppmずつ上昇し、そのまま
作業を続けるとおよそ8分でACGIHのTLV25ppmを、およそ17分で日本産業衛生学会の許容濃度50ppmを超えて
しまう。また、溶接作業者が増えれば、それまでに要する時間は作業者数に見合って短縮することとなる。
 このことにより、船底、タンク内等のような狭隘な場所や広くても換気の不十分な場所では十分に注意を
払う必要がある。
 
参考文献 「平成14年労働衛生工学会資料」藪田十司