別紙1 建設業における総合的労働災害防止対策 1 基本的考え方 建設業は、重層下請構造の下、所属の異なる労働者が同一場所で作業するという作業形態であり、短 期間に作業内容が変化するという事業の性質から、建設業における労働災害防止対策においては、工事 現場における元方事業者による統括管理の実施、関係請負人を含めた自主的な安全衛生活動の推進を基 本に、当該現場を管理する本店、支店、営業所等がそれぞれ工事現場への安全衛生指導・援助を的確に 行うことが重要である。 また、労働災害を防止する責務が事業者に課せられていることを経営トップ自らが厳しく認識し、率 先垂範して、労働安全衛生関係法令の遵守はもとより、自主的な安全衛生活動の活性化を図る必要があ る。 さらに、国土交通省から各地方整備局等に対して毎年通知される「建設工事事故防止のための重点対 策の実施について」において、直轄土木工事における発注者としての実施事項等が示される等、発注者 自らの取組も進められているところであり、発注者と労働基準行政との連携も重要になってきている。 このような状況の中で、建設業における労働災害防止対策の推進に当たっては、工事現場における統 括管理を基本とし、工事現場における安全衛生管理に対して、当該現場を管理する本店、支店、営業所 等が指導・援助を的確に行うとともに、労働災害防止団体、関係業界団体、発注者及び労働基準行政が 一体となって、総合的に推進していくこととする。また、この対策の推進に当たっては、労働安全衛生 関係法令の遵守はもとより、危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置(以下「危険性又は 有害性等の調査等」という。)の実施及び事業者の主体的能力に応じた労働安全衛生マネジメントシス テムの導入を推進させることにより、自主的な安全衛生活動を活性化し、もって、工事現場における安 全衛生水準のさらなる向上を図ることとする。 2 安全衛生管理の実施主体別実施事項 事業者、建設業労働災害防止協会、総合工事業者等の団体及び発注者においては、次の実施事項につ いて的確に実施すること。 なお、別添1「建設業における安全衛生管理の実施主体別実施事項」を示すので、この実施事項につ いて、その的確な実施に格段の努力を傾けること。 (1)事業者においては、別添2「建設業における労働災害を防止するため事業者が講ずべき措置」を徹 底すること。当該措置の確実な実施及び自主的な安全衛生活動の推進のため、平成18年厚生労働省 公示第1号「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に基づく危険性又は有害性等の調査等を 実施するように努めるとともに、平成11年労働省告示第53号「労働安全衛生マネジメントシステム に関する指針(以下「マネジメント指針」という。)」に基づき、事業者の主体的能力に応じた労 働安全衛生マネジメントシステムの導入を促進し、組織的かつ体系的に安全衛生水準の向上を図る ことにも配慮すること。 (2)建設業労働災害防止協会においては、労働災害防止に関する長期的な事業計画の策定、各種情報 の分析・提供、調査研究活動の推進、安全衛生教育の充実、広報活動の推進、安全衛生診断、安全 衛生相談等事業者に対する支援事業の実施等、事業者の労働災害防止対策の推進に対する必要な指 導・援助を主体的に行うこと。また、危険性又は有害性等の調査等の実施、労働安全衛生マネジメ ントシステムの導入について、その促進を図ること。 (3)総合工事業者の団体においては、建設業労働災害防止協会との連携の下、各種工法、工事用機械 設備等についての安全性の確保に関する自主的基準の設定及び周知並びに安全衛生意識の高揚のた めの諸活動を企画・実施すること。 また、工事を直接施工する専門工事業者の団体においては、建設業労働災害防止協会との連携の 下、安全衛生意識の高揚のための活動、それぞれの専門職種に応じた安全作業マニュアル等の作成・ 普及、安全パトロール、安全衛生教育等を実施すること。 さらに、これら団体においては、危険性又は有害性等の調査等の実施並びに労働安全衛生マネジ メントシステムの導入の促進を図ること。 (4)発注者においては、国土交通省等が実施する特別重点調査等公共工事における極端な低価格の受 注による悪影響を防止するための対策が進められていることを踏まえ、計画段階における安全衛生 の確保とともに、施工時の安全衛生の確保にも配慮すること。また、労働安全衛生マネジメントシ ステム等自主的な安全衛生活動の取組を評価する仕組みの導入等事業者が積極的に安全衛生管理を 展開するような環境づくりを行うこと。 3 労働基準行政の実施事項 労働基準行政においては、上記2に掲げた事項が建設業における労働災害防止を図るための重要な事 項であるという認識に立ち、事業者が的確に労働災害防止対策を実施するよう必要な指導等を行うこと。 また、労働災害防止団体、関係業界団体及び発注者において、それぞれの役割に応じて適切な措置が実 施されるよう必要な指導・要請等を行うこと。