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                                        (別添)
 
                  呼吸用保護具の選択の方法 
 
 呼吸用保護具の使用に当たっては、発散防止のための措置等の状況に応じた適切な防護係数又は指定防護
係数のものを選定する必要がある。防護係数とは呼吸用保護具の防護性能を表す数値であり次の式で表すこ
とができる。
  
           PF : 防護係数   Co  : 面体等の外側の粉じん濃度      
                        Ci  : 面体等の内側の粉じん濃度
 
 すなわち、防護係数が高いほど、マスク内への粉じんの漏れ混みが少ないことを示し、作業者のばく露が
少ない呼吸用保護具といえる。 
 作業現場において防護係数が算定できない場合は、各機関から公表されている指定防護係数を利用する。
指定防護係数は、実験結果から算定された多数の防護係数値の代表値である。したがって、訓練された着用
者が、正常に機能する呼吸用保護具を正しく着用した場合に、少なくとも得られるであろうと期待される防
護係数を示している。JISで公表されている指定防護係数を表1に示す。
  呼吸用保護具の選定に当たっては、可能な限り指定防護係数の大きなものを使用するべきであり、特に工
業生産現場等において、労働衛生工学的設備対策が講じられず、高濃度ばく露が予想される作業の場合には
必ず指定防護係数の大きな呼吸用保護具を選定することが必要である。ナノマテリアル等の製造又は取扱い
工程の密閉化、無人化又は自動化(以下「密閉化等」という。)の措置が講じられている場合には指定防護係
数の小さい呼吸用保護具の選択も可能である。また、当該工程の密閉化等はできないものの、局所排気装置
又はプッシュプル型換気装置(以下「局所排気装置等」という。)の設置が可能な場合は、中程度の指定防護
係数のものを選択することも可能である。試験研究機関において呼吸用保護具を使用する場合のその選定に
ついては、労働衛生工学的設備対策が講じられていない場合は呼吸用保護具の種類に応じて中程度以上の指
定防護係数の呼吸用保護具を選定しなければならないが、密閉化等の措置や局所排気装置等の設置をした場
合は、指定防護係数が小さなものの選択も可能である。このような考えに基づき、一般の製造・取扱事業場
及び試験研究機関における呼吸用保護具の選定について参考として図1及び図2並びにこれらをまとめた表2を
示す。
 なお、これらの図表の作成に際しては、次の事項を考慮した。 
・ 作業者のばく露のおそれがないことを作業環境測定等の結果から確認できない場合は、ナノマテリアル
 等を密閉化等の措置を講じた装置で取り扱う場合であっても呼吸用保護具を装着することとした。 
・ 呼吸用保護具のろ過材の捕集効率に関し、最近の文献により、50nm前後の粒径に対して捕集効率の低く
 なるろ過材が確認され、N95(NIOSH規格:95%以上の捕集効率)又はRS2、DS2(日本の国家検定規格:95%
 以上の捕集効率)のろ過材の捕集効率が基準の95%を下回る結果が報告されている。そのため、防じんマ
 スクのろ過材としては、99.9%以上の捕集効率のろ過材を使用することとした。
    
 おって、これらの図表は現時点で入手可能な情報、科学的知見等に基づいて作成したものであり、今後、
新たなナノマテリアル等の有害性の情報が把握できた場合、防じんマスクのろ過材の粒径に対する捕集効率
が把握できた場合等は、その時点で選定基準を見直すこととする。 

図1

図2

表1

表2