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基発0728第7号
平成23年7月28日
別記関係団体の長 殿
厚生労働省労働基準局長

石綿障害予防規則の改正について

 日頃より労働基準行政の推進に格段の御理解・御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)については、国際標
準化機構(ISO)における船舶の解体等における石綿ばく露防止対策の規格化が、平成22年12月にISO30007
として定められたことを踏まえ、船舶の解体等の際の石綿による労働者の健康障害の防止を徹底するため、
その一部を改正し、船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)の解体等作業に関し、建築物と同等の石綿ばく
露防止措置を講ずることとしました。
 本改正の主な内容等については、下記のとおりですので、平成23年3月11日に東日本大震災が発生し、
津波により陸上に打ち上げられた船舶の解体等が行われる事態となったことを踏まえ、貴団体におかれて
も、この趣旨を御理解いただくとともに、傘下会員事業場等に対する本改正内容の周知徹底等につきまし
て御協力を賜りますようお願い申し上げます。
1 改正の概要
  建築物等の解体等について従前より適用されている次の(1)から(5)までの措置を、船舶の解体等につ
 いても義務付けるもの。
 (1) 石綿等を除去等する際の作業の届出(改正後の石綿則第5条関係)
   壁等に石綿等が使用されている保温材等が張り付けられた船舶の解体等の作業を行う場合における
  当該保温材等を除去する作業等を行うときは、所轄の労働基準監督署長にあらかじめ届け出ることと
  したこと。
 (2) 石綿等を除去等する際の隔離等(改正後の石綿則第6条関係)
   壁等に石綿等が吹き付けられた船舶の解体等の作業を行う場合における当該石綿等を除去する作業
  等に労働者を従事させるときは、当該作業を行う作業場所を、それ以外の作業を行う作業場所から隔
  離する等の措置をとることとしたこと。
 (3) 石綿等が使用されている保温材等の除去等に係る措置(石綿則第7条関係)
   壁等に石綿等が使用されている保温材等が張り付けられた船舶の解体等の作業を行う場合における
  当該保温材等を除去する作業等(石綿等を切断等しない場合)に労働者を従事させるときは、当該作業
  場所に当該作業に従事する労働者以外の者が立ち入ることを禁止する等の措置をとることとしたこと。
 (4) 石綿等が吹き付けられた船舶における業務に係る措置(改正後の石綿則第10条関係)
   労働者を就業させる船舶の、壁等に吹き付けられた石綿等の損傷等により労働者が当該石綿等の粉
  じんにばく露するおそれがあるときは、当該石綿等の除去等を行う等の措置をとることとしたこと。
 (5) 隔離を行った作業場所における業務に係る措置(石綿則第14条関係)
   (2)により隔離を行った作業場所において、壁等に石綿等が吹き付けられた船舶の解体等の作業を行
  う場合における当該石綿等を除去する作業等に労働者を従事させるときは、電動ファン付き呼吸用保
  護具等を使用させることとしたこと。

2 施行期日
  平成23年8月1日から施行することとしたこと。

3 その他
  改正後の石綿則第5条について次の(1)から(3)に留意すること。
 (1) 船舶に関し、改正後の石綿則第5条の「石綿等の粉じんを著しく発散させるおそれのあるもの」とは、
  船舶の解体等の作業であって、平成17年3月18日付け基発第0318003号「石綿障害予防規則の施行につ
  いて」第3の2の(3)のイ中の「建築物又は工作物の解体等の作業」を「船舶の解体等の作業」と読み替
  えるものであること。
 (2) 船舶における吹き付けられた石綿等の除去作業については、吸音用吹付け石綿等に係る措置と同様、
  改正後の石綿則第5条第1項第3号の「前二号に掲げる作業に類する作業」に該当すること。
 (3) 平成23年8月1日より前に現に行われている作業については、上記1(1)の作業の届出は法的義務では
  ないが、適切な対策を講じていることを所轄労働基準監督署として確認する上で重要であり、届出をお
  願いしたいこと。


参考 平成17年3月18日付け基発第0318003号「石綿障害予防規則の施行について」抜粋
 第3 細部事項
  2 第2章 石綿等を取り扱う業務等に係る措置
  (3) 第5条関係
   イ 第1項の「石綿等の粉じんを著しく発散させるおそれのあるもの」とは、以下に掲げる保温材、
    耐火被覆材等が張り付けられた建築物又は工作物の解体等の作業をいうこと。
   (ア) 「石綿等が使用されている保温材」とは、石綿保温材並びに石綿を含有するけい酸カルシウ
     ム保温材、けいそう土保温材、バーミキュライト保温材、パーライト保温材及び配管等の仕上
     げの最終段階で使用する石綿含有塗り材をいうものであること。
   (イ) 「石綿等が使用されている耐火被覆材」とは、石綿を含有する耐火被覆板及びけい酸カルシ
     ウム板第二種をいうものであること。
   (ウ) 石綿等が使用されている断熱材とは、屋根用折版石綿断熱材及び煙突石綿断熱材をいうもの
     であること。