別添2

「びまん性胸膜肥厚」の診断方法

 「びまん性胸膜肥厚」の診断は、画像による以外に有効なものはなく、専ら胸部エックス線写真、胸部
CT画像の読影によることとなる。石綿ばく露以外の原因による疾患との鑑別がなされ、かつ石綿の職業ば
く露歴が認められることを前提に以下の画像診断を行うことが適当である。
1 胸部エックス線写真による診断
  びまん性胸膜肥厚の診断に関し、レントゲン学的にさまざまな定義が試みられているが、国際的に統一
 されたものはなく、2000年のILO国際じん肺標準フィルムによるびまん性胸膜肥厚の定義は、厚さが3mm
 以上としている。しかし、厚さや広がりだけで、びまん性胸膜肥厚と、胸膜外脂肪組織との鑑別ができ
 ないのも事実である。また、融合した胸膜プラークとの鑑別もできない。
  他方、肋横角(costophrenic angle)の消失(obliteration)をびまん性胸膜肥厚の所見とした場合に
 は、肋横角消失を伴わない非常に稀なびまん性胸膜肥厚例が除外されるが、読影者間のばらつきが極め
 て小さくなるという意味で有用である。胸部CT画像所見に基づく精査を踏まえた結果においても、肋横
 角の消失による定義の方が一定の厚みと広がりによる定義よりも信頼性が高いとされており、胸部エッ
 クス線写真上の定義としては、肋横角の消失の方が最近では重要視されている。
  ただし、胸部エックス線写真では、びまん性胸膜肥厚が十分に疑われるものでありながら肋横角の消
 失が認められない症例や胸膜外脂肪組織や融合した胸膜プラークとの鑑別が必要な症例もあることから、
 胸部CT画像による診断を併せて行うべきである。
2 胸部CT画像
  多くの研究報告によれば、胸部エックス線写真と比べて、胸部CT画像は胸膜プラークやびまん性胸膜
 肥厚の所見、さらには軽度の肺線維化の所見を検出し、胸膜外脂肪との鑑別にはるかに有用であること
 は明らかである。我が国でのCT機器の普及を考慮すると、胸部エックス線写真による診断と胸部CT画像
 による診断を併せて評価するべきである。
  なお、胸部CT画像による診断においては、胸膜がびまん性に肥厚している状態を確認するとともに、
 胸膜プラークの有無のチェックも重要である。
○(参考画像)びまん性胸膜肥厚の胸部エックス線写真及び胸部CT画像例



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