(別紙)
基発第603号
昭和63年9月16日
改正 基発第413号
平成9年6月2日
改正 基発第491号
平成12年7月14
改正 基発0210第1号
令和3年2月10日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長

有害性の調査の基準及び有害性の調査を行う試験施設等が
具備すべき基準の適用について

 労働安全衛生法第57条の4第1項の規定に基づき厚生労働大臣の定める基準(昭和63年労働省告示第77号。
以下「有害性の調査の基準」という。)及び労働安全衛生規則第34条の3第2項の規定に基づき試験施設等
が具備すべき基準(昭和63年労働省告示第76号。以下「有害性の調査を行う試験施設等が具備すべき基準」
という。)は、昭和63年9月1日に公布され、それぞれ昭和63年10月1日から適用されることとなった。
 ついては、下記事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。
第1 制定の趣旨
   OECD(経済協力開発機構)は、化学物質の安全性試験に関し、試験の信頼性を確保するとともに、試
  験の成績の各国間での相互利用を可能とすることを目的として、標準的試験法(以下「テストガイド
  ライン」という。)及び優良試験所基準(Good Laboratory Practice.以下「GLP」という。)を定め、
  これらを加盟各国が採用すべきことを勧告し、OECDのGLPに合致した試験施設において、OECDのテス
  トガイドラインに従って実施された試験の成績については、加盟各国間において相互に受け入れるべ
  きことを決定している。
   労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条の4第1項の規定による新規化学
  物質の有害性の調査については、これまで、「微生物を用いる変異原性試験の基準等について」(昭
  和60年5月18日付け基発第261号。以下「第261号通達」という。)により、別添1「微生物を用いる変
  異原性試験の基準」及び別添3「変異原性試験実施機関が具備すべき基準」を定め、これにより関係
  事業者の指導を行ってきたところであるが、このような国際的動向を踏まえつつ、同調査の信頼性を
  法的に確保することを目的として、今般、法令改正を行い、新規化学物質の有害性の調査は有害性の
  調査の基準(テストガイドライン)に従って行われるべきこと及び当該有害性の調査は有害性の調査を
  行う試験施設等が具備すべき基準(GLP)に合致した試験施設等において行われるべきこととし、この
  二基準を、それぞれ労働省告示として制定したものである。

第2 有害性の調査を行う試験施設等が具備すべき基準
 1 全般的事項
  (1) 法第57条の4第1項の規定による有害性の調査のうち、変異原性試験及びがん原性試験を行う場合
   にあっては、当該試験は、組織、設備等に関し、本基準を具備した試験施設等で行わなければなら
   ないものであること。
  (2) 本基準は、第261号通達の別添3に示した「変異原性試験実施機関が具備すべき基準」を基に、OE
   CDのGLP及び国内他法令に基づくGLPとの整合性にも配慮して定めたものであること。
  (3) 法第57条の4第1項の規定による届出を行おうとする事業者が、有害性の調査のうち、変異原性試
   験及びがん原性試験以外の試験を行う場合にあっては、あらかじめ、厚生労働省労働基準局安全衛
   生部化学物質対策課と協議するように指導すること。
 2 細部事項
  (1) 第2条関係
   イ 第1号の「厚生労働大臣に試験の成績を提出する者」とは、他者が実施した試験の成績を有害
    性の調査の結果として厚生労働大臣に提出する者であって、試験施設等に試験を委託する者以外
    のものをいうこと。これは、試験の実施時において試験を委託しなかった者であっても、後に当
    該試験の成績を厚生労働大臣に提出する場合があることから、このような場合にも本基準を適用
    する趣旨であること。
   ロ 第5号の「磁気テープ等」の「等」には、写真及び図表が含まれること。また、同号の「原観
    察結果等」の「等」には、作業記録が含まれること。
  (2) 第3条関係
   イ 第1項の「次の事項を行う」には、運営管理者が自ら行うのみならず、代理の者をして行わせ、
    その結果を確認することも含む趣旨であること。
   ロ 第1項第1号の「指名」を行った場合において、試験責任者が第4条に規定する職務を遂行する
    ことが困難になったときは、直ちにこの者を交替させること。この場合には、当該交替の日付及
    び理由を記録しておくこと。
   ハ 第1項第5号の「(当該試験に係る職員を除く。)」は、信頼性保証業務の中立性を担保するため、
    信頼性保証業務に携わる者は当該信頼性保証業務の対象となる試験の実施に参加してはならない
    という趣旨であること。また、同様の趣旨から運営管理者も信頼性保証責任者を兼務してはなら
    ないものであること。
   ニ 第1項第5号の「指名」を行った場合において、信頼性保証責任者が第5条に規定する職務を遂
    行することが困難になったときは、直ちにこの者を交替させること。この場合には、当該交替の
    日付及び理由を記録しておくこと。
   ホ 第1項第5号の「当該指名に代えることができる。」は、試験委託者等に委託した試験に関し、
    運営管理者の確認を受けて当該試験に係る信頼性保証責任者を指名することができることとした
    趣旨であること。
   ヘ 第1項第7号の「信頼性保証プログラム」を作成したときは、その日付を当該信頼性保証プログ
    ラムに記載しておくこと。また、信頼性保証プログラムを変更したときは、当該変更の理由及び
    日付を当該信頼性保証プログラムに記載しておくこと。
   ト 第1項第8号の「指名」を行った場合において、試資料保管責任者が第7条に規定する職務を遂
    行することが困難になったときは、直ちにこの者を交替させること。この場合には、当該交替の
    日付及び理由を記録しておくこと。
   チ 第1項第9号の「標準操作手順書」を作成したときは、その日付を当該標準操作手順書に記載し
    ておくこと。また、標準操作手順書を変更したときは、当該変更の理由及び日付を当該標準操作
    手順書に記載しておくこと。
  (3) 第4条関係
    第5条第7号の規定による監査を受けた後の最終報告書の訂正又は追加を行う場合には、次による
   こと。
   ① 訂正又は追加を行うときは、訂正又は追加を行う前の記載事項が不明瞭にならない方法により
    行うこと。
   ② 訂正又は追加を行った最終報告書については、再度信頼性保証責任者の監査を受けること。
  (4) 第5条関係
    第6号は、制度の改正に伴い、第261号通達で規定されていた信頼性保証証明書を廃し、査察記録
   を作成させることとしたものであること。
  (5) 第8条関係
    第1項第4号の「保管する施設」は、保管する設備でも差し支えないこと。
  (6) 第13条関係
    第7号の「溶解させる等」の「等」には、懸濁及び希釈が含まれること。
  (7) 第15条関係
    第3項の規定は、試験委託者等にも資料等の保管義務を負わせることとした趣旨であること。

第3 その他
  有害性の調査の基準及び有害性の調査を行う試験施設等が具備すべき基準の適用をもって、第261号
 通達は、廃止すること。





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