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地方労働行政の重点政策(平成15年)
第1 労働行政を取り巻く情勢
1 経済社会の構造的な変化
我が国経済社会は、高い実質経済成長率を期待し難い環境の中で、経済のグローバル化、情報化、サービス経済化並びに生産設備の海外移転及び規制改革等に伴う産業構造の変化が急速に進展しており、労働力需給のミスマッチの拡大が見られる。同時に、企業における能力主義、成果主義的な賃金・処遇制度の導入など人事労務管理の個別化も進んでいる。
また、近年における出生率の低下に伴い、急速な少子・高齢化が進展している。
さらに、女性労働者が増加し、また若年層を中心に就業意識の多様化が進展するとともに、経済社会の国際化の中で我が国で就労する外国人労働者が増加している。

2 最近の経済情勢
対外経済環境の改善や在庫調整の進展が、今後の景気を下支えすることが期待される中、我が国経済をみると、個人消費の弱含みや設備投資の大幅な減少など景気は依然厳しい状況にあるが、生産など、一部に下げ止まりの兆しがみれらる。こうした中で、雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど厳しさを増しているところである。さらに持続的な物価下落が進行している。
政府としては、構造改革を断行する一方で、我が国経済が物価下落と生産活動の縮小とが相互作用して景気が加速度的に悪化していく、いわゆるデフレスパイラルに陥ることを阻止することとしている。

3 労働基準行政を取り巻く情勢
厳しい経済情勢の下、労働基準監督署には、労働基準関係法令の違反に関する申告や、解雇、賃金・労働時間等の労働条件の引下げ等に関する相談が数多く寄せられている。
平成13年における年間総実労働時間は1848時間、所定内労働時間は1714時間と前年に比べてそれぞれ11時間、5時間の減少となっている。また、平成12年における年次有給休暇の取得率は、49.5%と前年に比べ低下している。
労働災害による被災者数は長期的には減少し、平成13年の死亡災害についても、前年を下回る見込みとなっている。しかしながら、今なお年間約55万人が被災しており、このうち2000人近くの人が労働災害により尊い命を奪われている状況にある。
一方、労働者の健康を取り巻く状況を見ると、職業性疾病の発生は、長期的には減少しているものの、じん肺等の疾病は依然として後を絶たない。
また、産業構造の変化、高齢化の進展等労働者を取り巻く環境が変化する中で、一般健康診断の結果、脳・心臓疾患につながる所見を始めとして何らかの所見を有する労働者が4割を超えるとともに、現下の厳しい経済情勢の中で、仕事や職業生活に関する強い不安やストレスを感じている労働者の割合が増加している。さらに、ダイオキシン類等の化学物質による健康影響が問題となっている。
労災補償の面では、「過労死」、「過労自殺」を始めとして社会的にも関心を集めている労災請求事案が増加している。

4 職業安定行政を取り巻く情勢
最近の雇用失業情勢は、依然として厳しい。
公共職業安定所で取り扱う新規求人数は、平成13年6月に2年ぶりに前年同月比で減少に転じ、7月には一旦増加したものの、8月以降減少を続けている。産業別にみても製造業、運輸・通信業など主要産業のほとんどで減少となっている。
一方、求職者数は増加傾向で推移している。これを態様別にみると、自己都合離職者が増加傾向で推移しているほか、事業主都合離職者が増加を続けており、その増加幅も拡大傾向にある。
これらの結果、有効求人倍率は低下傾向で推移している。
また、完全失業者数は、増加傾向にあり、平成14年1月には前年同月比27万人増の344万人となるなど、依然として高い水準で推移している。それに伴って完全失業率も上昇を続け、平成13年7月に初めて5%台となり、12月には既往最高の5.5%となった。14年1月は、0.2%ポイント低下し、5.3%となった。
雇用者数は、前年同月比で13年度当初は増加が続いていたが、9月に17か月ぶりに減少に転じて以降減少が続いている。形態別にみると、常雇は、13年度当初は増加していたものの、8月に減少に転じ、以降減少幅も拡大しており、臨時雇・日雇は、13年度当初は増加していたものの、11月には減少に転じている。また産業別にみると、サービス業が引き続き大きく増加しているものの、建設業では減少を続け、製造業でも6月に5か月ぶりに減少に転じて以降減少を続けている。さらに規模別にみると、30人未満の企業では一進一退だが、500人以上では5月に減少に転じて以降減少が続き、その減少幅も拡大している。
完全失業率を年齢別にみると、若年層は、厳しい雇用失業情勢にもかかわらず転職志向が高まっていること等から、自発的な理由による離職者が多いことを背景に依然として高水準で推移している。また、平成14年3月新規学校卒業者の就職環境は新規高卒者の就職内定率が過去最低となるなど一層厳しい状況となっている。
高年齢層は、有効求人倍率が依然として低く、一旦離職すると再就職が厳しい状況が続き、失業期間も長期化する傾向にある。
企業の労働力過剰感は、産業別、規模別にみても上昇傾向にあり、先行き見込でも高水準にある。また、雇用調整の実施事業所割合については、その水準は高く、その方法としては「残業規制」が中心となっている。
さらに、障害者についても、公共職業安定所に届出のあった解雇者数が依然として高い水準で推移するとともに、有効求職者数が13万人を超え過去最高となるなど、厳しい状況が続いている。

5 雇用均等行政を取り巻く情勢
昭和51年以降堅調に増加してきた我が国の女性雇用者数は、平成10、11年と厳しい経済情勢を反映して減少してきたが、12年に増加に転じた後、平成13年には前年より28万人増加し2,168万人となった。こうした中で、平成13年の女性の完全失業率は平成12年に引き続き過去最高となるなど、女性の雇用を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。
また、女性労働者の平均勤続年数の伸長や、結婚、出産後も働き続けることを希望する女性の増加が見られる一方、合計特殊出生率は長期的に下降を続け、平成11年には過去最低の1.34となり、平成12年には1.36に上昇したものの、出生率の低迷は続いている。少子化が進行した背景としては、仕事と子育ての両立の負担感が増大していることが強く指摘されている。加えて、平均寿命の伸長による高齢化に伴う要介護者の増加等により、男女を問わず、働きながら介護の負担を担わなければならない者が今後ますます増大することが見込まれる。
さらに、パートタイム労働者は顕著に増加しており、平成13年には、週間就業時間が35時間未満の非農林業の雇用者数(休業者を除く。)は1,205万人となり、そのうち女性は68.8%に当たる829万人となった。