職場の喫煙対策事例 安全衛生情報センターへ
事例6  B事業場
 
1 事業場の概要
(1)業種:化学工業(医薬品製造業)
(2)所在地:東京都
(3)従業員数:5,188人(男性:3,941人 女性:1,247人)
平成18年7月現在−連結(国内子会社・海外子会社含む)
(本社1,832人(男性:1,477人 女性:355人)
従業員の平均年齢:40.38歳
事業の内容:医薬品、医薬部外品、化粧品、食品、雑貨等の製造ならびに販売
 
2 禁煙の概要
(1)喫煙対策の担当部署:総務部(複数部署メンバーによる「禁煙推進委員会」運営)
(2)喫煙対策に取り組み始めた時期:平成7年 〜
(3)禁煙を実施した時期:平成11年 1月 〜
(4)従業員の喫煙率:平成14年 8月 39%(男性47% 女性6%)(対策当初)
             平成18年 7月 29%(男性37% 女性4%)
(全社員対象、職種により喫煙率が異なり内勤者より営業職の喫煙率が高い。)
喫煙率の推移
  B事業場 B事業場の関連会社
平成10年 52%  
平成14年 39%  
平成15年 35% 39%
平成16年 34% 37%
 
(5)昼休み等休憩時の喫煙:敷地内喫煙所で許可している。
(6)禁煙の状況:全社
(7)建物の構造:事務所、工場、他に研究所等
(8)建物の所有者:自社ビル
(9)禁煙の内容:建物内禁煙、屋外に喫煙場所あり(従業員、来客者とも喫煙可)
          (テナントビル内1Fのファミリーレストランは空間分煙)
          設備:屋外に喫煙スペース(椅子はなし)、吸殻入れは各自持参する。
          外部のお客様が多くみえた際は、水を入れたバケツを用意する場合もある。
          ※喫煙場所の移動により(屋外―屋根なし)周辺への迷惑は解消された。
 
3 禁煙の詳細
(1)禁煙にする前の状況
分煙対策あり、喫煙コーナーあり
 
(2)動機・経緯
ア 事業場責任者(経営トップ)の判断により、屋内禁煙とした。
イ 大切な社員の健康管理を考慮し、健康をむしばむ「喫煙」に対し、生活者の健康の維持増進に貢献する製薬企業として率先して禁煙運動に取り組むこととした。
平成7年  執務フロア分煙化
平成10年 全社禁煙の啓発開始(メール、文書、館内放送等)
       会議室、応接室の禁煙化
平成11年 全社構内禁煙化(第1次)
平成14年 全社禁煙5ヵ年計画(第2次)
       定期的に禁煙関連の情報を発信
平成15年 B事業場の関連会社(1社)も参画開始
平成17年 総務部HPに「たばこ情報部」開設
 
(3)禁煙に取り組んだ内容
ア トップの禁煙宣言
(ア)平成10年5月31日の啓発開始時に宣言。
(イ)当社の幹部社員やOBが肺疾患を発症することが少なからずある。
(ウ)当社の企業理念は「生活者が納得する医薬品、関連商品、及びサービスを創造提供し、生活者の健康の維持増進に貢献する。」であるが、その社員が明らかに健康をむしばむ「喫煙」をやめないことに危機感がある。
(エ)したがって、社員の健康管理意識を高めるために平成11年1月より全社禁煙とする。
イ 外部への公表 HPで禁煙宣言等 社内での表示方法、社内での宣言
ウ 禁煙キャンペーンの実施
全社禁煙キャンペーンでは、喫煙による健康被害、禁煙に取り組む人を対象にしたアンケート結果(効果など)、禁煙治療に対する保険適用等の情報を提供した。
平成18年9月1日から10月31日の禁煙キャンペーンでは、参加者に禁煙キャンペーン記録表を配布した。スタートする前に身近な人に禁煙宣言を行い、宣言をした相手にサインしてもらい、スタートとなる。記録表を11月10日までに各指定先へ提出し禁煙日数が50日を達成した人には禁煙達成賞として、電動歯ブラシを贈呈する(図6−1〜4)
エ アンケート調査
実施年度 実施時期 アンケート内容
平成14年度 平成14年8月 喫煙者のたばこ依存度がわかる質問(本人も確認できる形式)
喫煙者はどのような禁煙支援策を望むかについての調査
意見・提案の自由記載
等全17問
平成15年度 平成15年11月 喫煙者の実態調査(依存度、支援策)
たばこに関する意識調査
意見、提案の自由記載
等全30問
平成16年度 平成16年12月 喫煙マナーについてどう考えているか
たばこの害や健康増進法についてどう認識しているか
意見・提案の自由記載
等全21問
平成18年度 平成18年7月 「習慣的」喫煙の実態調査
禁煙成功者の具体例調査
どのようなきっかけがあれば禁煙するかの調査
等全5問
※喫煙率以外の結果については、意見・提案を集計し社内ホームページで公表している。
 
オ 啓発ポスターの掲示
カ 社内ホームページの開設(禁煙情報)
キ 禁煙本の貸し出し
「読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー」という本を総務部で貸し出している。その他にもホームページで禁煙本を紹介している。
喫煙場所及び喫煙時間の制限、ポスターの掲示、ホームページでの情報提供等、年間を通じて啓発活動を続けてきたことが効果的であった。
 
(4)社内で苦労した点
喫煙場所の確保
 
(5)労働者の評価
ア 喫煙者の評価
年々理解が深まってきており、協力的になってきている。喫煙できる場所が限られるため、喫煙の本数が少なくなったり、また、禁煙をする人も増え、健康に良いと喫煙者本人や家族から評価されている。
イ 非喫煙者の評価
好評である。
 
4 問題点、今後の課題、今後のサポートの予定
(1)会社来訪者(関係者)への告知
社内入口に全館禁煙の告知ポスターを掲示し、外部への理解を求めた。
 
(2)問題点、今後の課題、今後のサポートの予定
ここ数年、頭打ちになっている社内の喫煙率をどのように低減させていくか、また喫煙率が高い職種への対応方法等が課題となっている。
今後は禁煙支援の内容を充実させることが重要であり、どのように進めていくかを検討している。
 
禁煙キャンペーン表紙   禁煙動機づけ
図6−1
禁煙キャンペーン表紙
  図6−2
禁煙動機づけ
 
禁煙の旅   禁煙キャンペーン記録表
図6−3
禁煙の旅
  図6−4
禁煙キャンペーン記録表
 
※太枠で囲われている画像をクリックすると拡大します。
 
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